お金のことで離婚したいと言われた本当の理由とは?相手の本音から始める、一人でできる関係修復法

お金のことで離婚したいと言われて、頭が真っ白になっていないでしょうか。収入のこと、借金のこと、お金の使い方のこと。言われた理由に心当たりがあるほど自分を責めてしまい、この先どうすればいいのか分からなくなっているかもしれません。

ですが、どうか安心してください。離婚を切り出されたのは、あなたという人間の価値が否定されたからではありません。そして、お金のことで離婚を切り出されても、それだけで離婚が決まるわけでもないのです。

むしろお金の問題は、改善を目に見える形で示しやすく、関係修復のきっかけにしやすい問題です。

私はこれまで20年以上、夫婦関係の修復に携わり、1万組を超えるご夫婦をサポートしてきました。その中には、夫側・妻側を問わず、お金のことで離婚を切り出されながらも、時間をかけて夫婦の信頼を取り戻した方がたくさんいます。

この記事では、離婚を切り出された直後の対応から、お金の不満の裏にある相手の本音、パートナーの協力がなくても一人で始められる改善策まで、順番にお伝えしていきます。

この記事で分かること
  • お金のことで離婚したいと言われても、すぐに離婚にならない理由
  • 離婚を切り出された直後にやってはいけない行動と、まずやるべきこと
  • お金の不満の裏に隠れている相手の本音
  • パートナーの協力がなくても一人で始められるお金の改善策
  • お金の話し合いで相手の信頼を取り戻す伝え方
  • 離婚になった場合に知っておきたいお金の知識
  • お金のことで離婚を切り出された夫婦が関係を取り戻した実例

今はとても苦しい時期だと思います。それでも、ここから夫婦関係を立て直すことは十分にできます。一つずつ、一緒に確認していきます。

目次

1.お金のことで離婚したいと言われても、すぐに離婚が決まるわけではありません

離婚したいと言われた今、いちばん気になるのは、本当に離婚しなければいけないのかということだと思います。まずは離婚の法律上の仕組みと、言われた直後の対応からお伝えします。

1-1.相手が一人だけで離婚を決めることはできない

結論からお伝えすると、相手が一人だけで離婚を決めることはできません。日本の離婚には大きく分けて次の3つの方法があり、どれも相手の気持ちだけで進むものではないからです。

日本の離婚の3つの方法
  1. 協議離婚
  2. 調停離婚
  3. 裁判離婚

それぞれ詳しく解説していきます。

1.協議離婚

協議離婚は、夫婦が話し合って合意し、離婚届を出す方法で、日本の離婚でもっとも多い形です。夫婦の合意が前提なので、あなたが離婚に同意しない限り、協議離婚は成立しません。

2.調停離婚

話し合いで合意できない場合、相手は家庭裁判所に調停を申し立てることになります。調停では調停委員が間に入りますが、あくまで話し合いの場です。あなたが納得しなければ、調停で離婚が成立することはありません。

3.裁判離婚

調停でも合意できない場合に、はじめて裁判に進みます。裁判では、法律で決められた離婚の理由があるかどうかを裁判官が判断します。そのため、離婚したいと言われたからといって、すぐに離婚が決まるわけではないのです。

ここで大切なのは、離婚を拒むことそのものがゴールではないということです。法律の仕組みがあなたに与えてくれるのは、関係を立て直すための時間です。この時間をどう使うかで、夫婦の未来は大きく変わります。

1-2.お金の問題が裁判で離婚理由として認められるのはどんなとき?

収入が少ない、貯金が思うようにできないといった理由だけで、裁判で離婚が認められることは多くありません。一方で、生活費を渡さない、浪費やギャンブルで借金を繰り返す、別居が長く続くといった場合は、離婚が認められる可能性があります。

現在の民法では、裁判で離婚が認められる理由として、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、そして「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が定められています。お金の問題は、主に悪意の遺棄か、重大な事由にあたるかどうかで判断されます。

収入の少なさだけで認められにくいのは、収入は努力だけではどうにもならない面もあり、夫婦で支え合うことが前提とされているからです。

悪意の遺棄とは、夫婦の同居・協力・助け合いの義務を、正当な理由なく果たさないことです。正当な理由なく生活費を渡さない場合は、これにあたると判断されることがあります。

また、借金を何度も重ねて家計が成り立たなくなっている場合や、別居が長く続いている場合は、ほかの事情と合わせて重大な事由と判断される可能性があります。

離婚を避けたいなら、別居を切り出されてもすぐには受け入れず、同居のまま改善に取り組む道を考えてください。離婚理由になるかどうかは、今の状態の深刻さと、改善への姿勢によって変わるからです。

1-3.離婚を切り出された直後にやってはいけない3つの行動

離婚を切り出された直後は、誰でも気持ちが大きく揺れます。ただ、この時期の行動は、その後の関係修復に大きく影響します。特に、次の3つの行動は避けてください。

離婚を切り出された直後にやってはいけない3つの行動
  • 感情的に言い返す
  • 相手を責め返す
  • その場しのぎの約束をする

それぞれ詳しく解説していきます。

感情的に言い返す

突然お金のことを責められると、「そんなこと急に言われても困る」と強く言い返したくなるものです。ですが、感情的に言い返すと、相手はやっぱり話が通じないと感じ、離婚の気持ちをさらに強めてしまいます。

相手が離婚という言葉を口にするまでには、長い時間悩んできたことがほとんどです。その重さを受け止めずに言い返すと、相手の悩みを否定することになります。まずは深呼吸をして、相手の言葉を最後まで聞くことを意識してください。

相手を責め返す

「そっちだって無駄づかいしてるじゃないか」のように、相手の欠点を持ち出して責め返すのも逆効果です。たとえ相手にも問題があったとしても、この場面で責め返すと、話はどちらが悪いかという言い争いになってしまいます。

相手の問題点は、関係が落ち着いてから話し合えば十分に間に合います。今は、相手が何に苦しんできたのかを知ることを優先してください。

その場しのぎの約束をする

離婚を避けたい一心で、「来月から絶対に貯金する」「すぐに収入を増やす」といった約束をしてしまう方も多くいます。しかし、守れない約束は、かえって相手の信頼を失う原因になります。

相手は、これまでにも同じような言葉を聞いてきたかもしれません。その場合、口先だけの約束は、またかという失望しか生みません。約束をするなら、実際に守れる小さなものだけにしてください。

1-4.離婚を切り出された直後にまずやるべき3つのこと

やってはいけない行動が分かったら、次は、離婚を切り出された直後にまずやるべきことです。次の3つを順番に進めてください。

離婚を切り出された直後にまずやるべき3つのこと
  1. 相手の言い分を最後まで聞く
  2. すぐに返事をせず、考える時間をもらう
  3. 離婚届の不受理申出をしておく

それぞれ詳しく解説していきます。

1.相手の言い分を最後まで聞く

最初にやるべきことは、相手がお金の何に不満を持っているのかを、できるだけ正確に知ることです。お金の問題と一口に言っても、収入なのか、借金なのか、使い方なのかによって、この後の対処法がまったく違うからです。

聞くときは、途中で言い訳をはさまず、相手の言葉をそのまま受け止めてください。「そう感じてたんだね」と相づちを打つだけでも、相手は聞いてもらえたと感じます。相手の話をメモしておくと、後で冷静に振り返ることができます。

話を聞きながら、相手の気持ちがどこまで固まっているのかも確認しておきます。「このままなら離婚したい」のように条件をつけている場合や、お金への不満を具体的に訴えている場合は、まだ改善を待つ気持ちが残っているサインです。

一方で、財産の分け方や子どもの親権など、離婚の条件まで具体的に話している場合は、気持ちがかなり固まっている可能性があります。その場合も、あきらめる必要はありません。ただし、より丁寧に、時間をかけて向き合う覚悟が必要です。

2.すぐに返事をせず、考える時間をもらう

相手の話を聞いたら、離婚するかどうかの返事をその場でする必要はありません。気持ちが揺れている状態で出した答えは、後から後悔することが多いからです。

たとえば、次のように伝えると、相手の気持ちを尊重しながら時間をもらうことができます。

「話してくれてありがとう。大事なことだから、すぐに答えは出せない。少し考える時間がほしい」

このとき、離婚はしないと強く言い張る必要はありません。相手の気持ちを受け止めたうえで、真剣に考えるという姿勢を見せることが大切です。

3.離婚届の不受理申出をしておく

相手の気持ちが強い場合、あなたが知らないうちに離婚届を出されてしまうのではと不安になる方もいます。そんなときに知っておきたいのが、離婚届の不受理申出という制度です。

これは、本籍地または住所地の市区町村役場に申し出ておくと、あなたが取り下げるまで、あなたの意思を確認できない離婚届が受理されなくなる仕組みです。原則として本人が役所の窓口に出向き、本人確認書類を提示して手続きします。

不受理申出は、相手を攻撃するためのものではありません。あなたが落ち着いて関係修復に向き合うための、心の安全を守る手段だと考えてください。

2.「お金のこと」は表向きの理由?相手が本当に伝えたい5つの本音

離婚がすぐに決まるわけではないと分かったら、次に向き合いたいのが、相手がなぜお金を理由に離婚を口にしたのかという点です。結論からお伝えすると、お金の不満の裏には、多くの場合、不安を一緒に抱えてほしいという本音が隠れています。この章では、その本音を詳しく見ていきます。

2-1.お金の不満が「離婚したい」という言葉になるまでの心の流れ

お金を理由にした離婚したいという言葉は、多くの場合、関係の終わりの宣言ではなく、不安に気づいてほしいという最後のサインです。お金の不満は、ある日突然そうした言葉になるわけではなく、長い時間をかけて少しずつ心の中に積み重なっていきます。

最初は、生活費が足りない、貯金が増えないといった小さな不安から始まります。相手はその不安を何度か伝えたものの、話をそらされたり、大丈夫だよと軽く流されたりして、状況は変わりませんでした。

そうした経験が重なると、相手は話しても無駄だとあきらめるようになります。そして、あきらめが限界に達したとき、離婚という言葉が口から出てくるのです。

私がこれまで相談を受けてきた中でも、お金を理由に離婚を切り出した方の多くは、本当はお金そのものより、不安を一緒に抱えてもらえなかったことに傷ついていました。お金は目に見えて説明しやすいため、心の不満を代わりに表す理由になりやすいのです。

このサインに気づけた今が、関係を立て直す出発点になります。

2-2.「収入が少ない・不安定」と言われたときの本音

ここからは、お金の不満をよくある5つのタイプに分けて、それぞれの裏に隠れている相手の本音を見ていきます。まずは、収入のことを理由にされた場合です。

収入が少ない、不安定だと言われたときの相手の本音は、収入の金額そのものではなく、家計の不安を一人で抱えている苦しさであることがほとんどです。責められると自分の価値を否定されたように感じるかもしれませんが、相手が本当に伝えたいのはそこではありません。

相手は毎月のやりくりに頭を悩ませ、子どもの教育費や老後のことを心配しています。それなのに、あなたが危機感を持っていないように見えることがつらいのです。

たとえば、次のような言葉には、その本音がよく表れています。

「毎月ギリギリなのに、あなたは何とかなるって言うだけでしょ。私だけが心配してるみたいで疲れた」

これは、専業主婦やパートで働く妻が、夫から「もっと稼いでほしい」と言われる場合も同じです。夫の本音は、妻の収入への不満というより、家族を一人で支え続けることへの重圧や心細さであることが多いのです。

どちらの場合も、言葉の中心にあるのは、一緒に考えてくれないことへの寂しさです。収入をすぐに増やせなくても、家計の不安を一緒に背負う姿勢を見せることで、相手の気持ちは変わり始めます。

2-3.「借金がある」と責められたときの本音

借金を理由に責められたとき、相手の本音の中心にあるのは、多くの場合、信頼を裏切られたという気持ちです。借金の金額以上に、隠されていたことや、相談なく増えていたことに深く傷ついているのです。

厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」によると、児童のいる世帯のうち、住宅ローンなども含めて借入金がある世帯は54.3%にのぼります。借金があること自体は、決してめずらしいことではありません。

それでも借金が離婚の理由になるのは、お金の問題が信頼の問題に変わってしまったからです。ほかにもまだ隠していることがあるのではと、相手はあなたの言葉を信じられなくなっています。信頼の取り戻し方は、第3章で詳しくお伝えします。

2-4.「浪費やギャンブル」を指摘されたときの本音

浪費やギャンブルを指摘されたとき、相手の本音には、家族よりもあなた自身の楽しみを優先されているという寂しさがあります。お金の使い道は、その人が何を大切にしているかを映すものだからです。

たとえば、家族の外食は我慢しているのに、自分の趣味やギャンブルには惜しまずお金を使う。こうした姿を見続けると、相手は自分や子どもが大切にされていないと感じてしまいます。

さらに、何度注意しても変わらない場合、相手は、この人は自分では止められないのではという不安も抱えています。その不安が、将来の生活への恐怖につながり、離婚という選択肢を考えさせるのです。

この場合に相手が求めているのは、反省の言葉ではありません。お金の使い方が本当に変わったと、実感できることです。

2-5.「金銭感覚が合わない」と言われたときの本音

金銭感覚が合わないと言われると、どちらが正しいのかを考えたくなります。ですが、相手の本音は、どちらが正しいかではなく、自分の考えを尊重してもらえないつらさにあることが多いです。

金銭感覚は、育ってきた家庭や経験によって大きく変わります。節約を大切にする家庭で育った人もいれば、使うべきときには使う家庭で育った人もいます。どちらも間違いではありません。

問題になるのは、違いを話し合えないまま、お互いが自分のやり方を押し通してしまうことです。

「また高いの買ったの?こっちがどれだけ節約してるか分かってる?」
「必要だから買っただけだろ。いちいち言わないでくれ」

こうしたやりとりが続くと、相手はこの人とは分かり合えないと感じるようになります。金銭感覚の違いそのものより、違いを受け止め合えないことが、離婚の気持ちを生んでいるのです。

2-6.「家計管理や将来のお金が不安」と訴えられたときの本音

家計管理や将来のお金への不安を訴えられたとき、相手の本音には、家族の未来を一人で背負っている孤独があります。特に、家計の管理を任されている側は、毎月の数字と向き合う中で、将来への心配を一人で抱えがちです。

子育て世代は、将来への不安を感じやすい時期でもあります。総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年平均結果-」によると、二人以上の世帯のうち世帯主が40歳未満の世帯では、負債現在高が1,882万円と、貯蓄現在高の994万円を上回っています。

住宅ローンや教育費を抱えながら、老後の準備も考えなければならない。そんな状況で、パートナーが将来のお金について無関心に見えると、相手はこの人と一緒に未来を描けないと感じてしまいます。

この場合、相手が求めているのは、完璧な家計管理ではありません。家族の将来を自分ごととして一緒に考えてくれるパートナーであってほしいという願いなのです。

ここまで5つの本音を見てきました。あなたの相手がどのタイプに近いのかを知るために、相手の言葉や態度を思い出しながら、次のチェックリストを確認してみてください。

相手の本音を見分けるチェックリスト
  • このままでは生活できない、と家計の苦しさを訴えている(収入のタイプ)
  • 隠していたことや、相談なくお金を使ったことを責めている(借金のタイプ)
  • 趣味や遊びへのお金の使い方を何度も注意されてきた(浪費やギャンブルのタイプ)
  • お金の使い方をめぐって、同じ言い争いを繰り返している(金銭感覚の違いのタイプ)
  • 老後や教育費など、将来のお金の話をよく持ち出す(家計管理や将来の不安のタイプ)

当てはまる項目は複数あっても構いません。当てはまったタイプの改善策を、次の第3章で重点的に読み進めてください。

3.原因別|パートナーの協力がなくても一人で始められるお金の改善策

相手の本音が見えてきたら、次は行動に移すときです。お金の問題を改善する基本は、家計を見える形にし、原因に合った改善策を一人で始め、それを続けることです。

まずは次の早見表で、2-6のチェックリストで当てはまったタイプと、最初に取り組むことを確認してください。

▼お金の不満のタイプ別早見表
タイプ 相手の本音 最初に取り組むこと 詳しい解説
収入 家計の不安を一人で抱えている苦しさ 収入アップの道を調べ、自分の支出を見直す 3-2
借金 隠されていたことへの裏切られた気持ち 借金の全体像を正確に知る 3-3
浪費やギャンブル 家族より自分の楽しみを優先されている寂しさ 使いすぎない仕組みをつくる 3-4
金銭感覚の違い 自分の考えを尊重してもらえないつらさ 自分のお金への思い込みに気づく 3-5
家計管理や将来の不安 家族の未来を一人で背負っている孤独 家計を見える形にし、将来を一緒に考える姿勢を見せる 3-1
※当てはまるタイプが複数ある場合は、それぞれの見出しを読んでください
※どのタイプでも、最初に3-1の家計の書き出しから始めるのがおすすめです

3-1.まずは家計を「見える形」にして現状を知る

どの原因に当てはまる場合でも、最初に取り組んでほしいのが、家計を見える形にすることです。今の状態を正しく知らないまま改善策を考えても、相手の不安には届かないからです。

家計を見える形にするときは、まず次の3つを書き出してください。

家計を見える形にするために書き出す3つのこと
  • 毎月入ってくるお金
  • 毎月出ていくお金
  • 借金やローンの残り

それぞれ詳しく解説していきます。

毎月入ってくるお金

あなたと相手の手取り収入や手当など、毎月入ってくるお金をすべて書き出します。収入が月によって変わる場合は、少なかった月の金額を基準にすると、無理のない見通しが立てやすくなります。

毎月出ていくお金

毎月決まって出ていくお金と、月によって変わるお金に分けて書き出します。通帳やクレジットカードの明細を見ながら進めると、思っていた以上に出ていっているお金に気づくことがあります。

借金やローンの残り

残っている借金やローンをすべて書き出します。残りの金額だけでなく、毎月の返済額と、あとどれくらいで返し終わるのかもあわせて整理してください。

書き出すときは、次のワークシートを使うと整理しやすくなります。

▼家計整理ワークシート
項目 書き出す内容の例 あなたの家庭 気づいたこと
毎月入ってくるお金 ・あなたの手取り収入
・相手の手取り収入
・児童手当などの手当
毎月決まって出ていくお金 ・家賃や住宅ローン
・光熱費、通信費
・保険料
月によって変わるお金 ・食費、日用品
・交際費
・趣味やお小遣い
借金やローン ・残りの金額
・毎月の返済額
・返し終わる時期
※金額が分からない項目は、空欄のままで構いません

家計の管理を相手に任せている場合は、自分の口座やカードの明細など、分かる範囲からで構いません。完璧な家計簿をつくることが目的ではなく、相手が抱えてきた不安を数字で理解することが目的です。ここで整理した内容は、後で相手と話し合うときの大切な土台になります。

3-2.収入が少ない・不安定な場合の改善策

家計の現状が見えてきたら、ここからは原因別に、一人で始められる改善策をお伝えします。まずは、収入が少ない、または不安定なことを理由にされた場合です。

収入をすぐに増やすのは簡単ではありません。だからこそ大切なのは、金額の変化よりも先に、家計の不安を一緒に背負う姿勢を行動で示すことです。

具体的には、まず自分にできる収入アップの道を調べることから始めてください。今の職場で昇給や手当の条件を確認する、仕事に役立つ資格を調べる、転職や副業の情報を集めるなど、一人でも今日から動けることはたくさんあります。

あわせて、家計を書き出したときの毎月の支出の中から、自分が見直せるものを探してください。自分のお小遣いや、使っていないサブスクリプションなどを減らすことも、収入を増やすことと同じように家計を助けます。

注意したいのは、焦って無理な転職や、よく分からないもうけ話に飛びつくことです。結果的に収入がさらに不安定になれば、相手の不安は大きくなります。一歩ずつ着実に進む姿こそが、相手に安心を与えます。

3-3.借金がある場合の改善策と公的な相談窓口

借金が原因で離婚を切り出された場合は、返済と同じくらい、隠しごとのない状態を取り戻すことが大切です。そのために、次の3つを順番に進めてください。

借金がある場合に進めたい3つの改善策
  1. 借金の全体像を正確に知る
  2. 無理のない返済計画を立てる
  3. 相手に正直に伝える

それぞれ詳しく解説していきます。

1.借金の全体像を正確に知る

最初にやるべきことは、借入先と総額を正確に知ることです。自分でもはっきりしない場合は、信用情報機関に情報の開示を請求すれば、借入状況を確認できます。

金融庁は、借入状況を確認できる信用情報機関として、CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの3つを案内しています。借入先によって登録されている機関が違うことがあるため、心当たりがある機関に確認してください。

2.無理のない返済計画を立てる

全体像が分かったら、毎月の家計の中で無理なく返せる計画を立てます。返済が苦しく、借金を返すために別の借金をしているような状態なら、一人で抱え込まずに専門の窓口に相談してください。

金融庁は2026年度も多重債務者相談強化キャンペーンを実施しており、全国の財務局や都道府県、市区町村に相談窓口が設けられています。法テラスや弁護士会でも相談を受け付けていて、状況によっては返済の負担を軽くする方法を一緒に考えてもらえます。

3.相手に正直に伝える

借金の全体像と返済の見通しが立ったら、相手に正直に伝えてください。たとえば、次のような伝え方です。

「借金のこと、全部調べたよ。総額はこれだけあって、相談窓口にも行って返し方を決めてきた。ずっと隠してて本当にごめん」

大切なのは、隠しごとをせずにすべてを見せることです。小さな借金を一つでも隠していて後から見つかると、取り戻しかけた信頼が一気に崩れてしまいます。

3-4.浪費やギャンブルがある場合の改善策

浪費やギャンブルを指摘された場合、気合いや反省だけで変わろうとするのはおすすめしません。お金の使い方のくせは、意志の強さだけでは変えにくいものだからです。大切なのは、使いすぎない仕組みを自分でつくることです。

具体的には、毎月使ってよい金額を決めて現金で管理する、クレジットカードや電子マネーの利用限度額を下げる、使ったお金をその日のうちに記録するといった方法があります。お金の流れが自分でも見えるようになると、使いすぎに気づきやすくなります。

もし、やめたいと思っているのにギャンブルがやめられない場合は、依存症の可能性も考えてください。各都道府県や政令指定都市にある精神保健福祉センターでは、ギャンブル依存症の相談を受け付けています。専門家の力を借りることは、決して恥ずかしいことではありません。

注意したいのは、相手に隠れてお金を使うことです。一度でも隠れて使ったことが分かると、ほかのどんな努力も信じてもらえなくなります。

3-5.金銭感覚の違いを埋めるための改善策

金銭感覚が合わないと言われた場合、目指すのは相手の考えに完全に合わせることではありません。お互いの違いを受け止め、夫婦としての新しいお金のルールをつくっていくことです。

まず取り組んでほしいのは、自分がお金について持っている思い込みに気づくことです。たとえば、必要なものは多少高くても買うべきだ、将来のために少しでも多く貯めるべきだ、といった考えは、あなたにとっては当たり前でも、相手にとっては当たり前ではないかもしれません。

次に、相手の金銭感覚がどこから来ているのかに関心を向けてください。相手がどんな家庭で育ち、お金でどんな経験をしてきたのかを知ると、相手の考えにも理由があることが見えてきます。

そのうえで、相手が大切にしているお金の使い方を、一つだけでも尊重してみてください。相手が節約を大切にしているなら、自分の買い物を一度立ち止まって考える。そうした小さな歩み寄りが、分かり合えるかもしれないという希望を相手の心に生みます。

3-6.改善を「言葉」ではなく「行動の積み重ね」で見せる方法

ここまでお伝えした改善策は、どれも一度やれば終わりというものではありません。お金のことで失った信頼を取り戻すには、改善を行動の積み重ねで見せ続ける必要があります。

そのために大切なのが、守れる小さな約束だけをして、それを確実に守り続けることです。大きな約束を一度破るよりも、小さな約束を毎日守るほうが、相手の信頼は確実に戻っていきます。

また、自分が取り組んでいることを、相手に何度もアピールしないことも大切です。これだけ頑張っているのにと見返りを求めると、相手はまた自分のためかと感じてしまいます。相手が気づくまで、淡々と続けることを意識してください。

私がサポートしてきたご夫婦を見ても、お金のことで失った信頼が戻るまでには、1年前後かかることが多いです。その間、相手の冷たい態度に落ち込み、やっぱり自分はだめだと責めてしまう日もあるはずです。

そんなときは、相手の反応ではなく、自分が今日できたことに目を向けてください。相手の気持ちはすぐには変えられませんが、自分の行動は自分で選べます。信頼は行動の積み重ねで戻ります。

自分の取り組みをノートに記録しておくと、続ける力になります。記録を見返すたびに、自分が確かに変わってきていることを実感できるはずです。

4.お金の話し合いで相手の信頼を取り戻す伝え方

一人で改善の行動を積み重ねてきたら、いずれ相手とお金について話し合う場面がやってきます。このとき大切なのは、改善策を伝えるより先に、相手の不満を受け止めることです。伝え方ひとつで相手の受け取り方は大きく変わるため、この章では信頼を取り戻すための伝え方をお伝えします。

4-1.話し合いを切り出す前に整えておきたい3つの準備

お金の話し合いは、準備をしないまま始めると、過去の不満のぶつけ合いになりがちです。話し合いを切り出す前に、次の3つを整えておいてください。

話し合いを切り出す前に整えておきたい3つの準備
  1. 自分の気持ちを落ち着けておく
  2. 家計の現状を整理しておく
  3. 話し合う時間と場所を選ぶ

それぞれ詳しく解説していきます。

1.自分の気持ちを落ち着けておく

離婚を切り出された不安や焦りを抱えたまま話し合うと、相手の言葉に過敏に反応してしまいます。話し合いの前には、自分が何に不安を感じているのかをノートに書き出してみてください。気持ちを言葉にするだけで、心はずいぶん落ち着きます。

また、この話し合いで相手を説得しようと思わないことも大切です。目的は相手に分かってもらうことではなく、相手の気持ちを知り、あなたの変わろうとする姿勢を伝えることです。

2.家計の現状を整理しておく

収入、毎月の支出、借金やローンの残りを書き出した家計の内容を、もう一度見直しておいてください。家計が整理されていると、話し合いの中で相手の不安に具体的に答えられます。

数字を見ながら話すことで、話し合いが感情だけのぶつかり合いになるのを防ぐこともできます。資料は立派なものでなくて構いません。手書きのメモでも、あなたが真剣に向き合っている姿勢は十分に伝わります。

3.話し合う時間と場所を選ぶ

お金の話は、相手が疲れているときや、子どもがそばにいるときには避けてください。落ち着いて話せない状況では、どんなに言葉を選んでも相手の心に届きにくいからです。

子どもが寝た後や、相手に時間の余裕がある休日などを選び、前もって「お金のことで、ちゃんと話したいことがあるんだけど、時間をもらえる?」と伝えておくと、相手も心の準備ができます。

4-2.相手の不満を受け止めるときの伝え方と会話例

準備が整い、話し合いが始まったら、最初にやるべきことは、相手の不満を受け止めることです。相手の気持ちが受け止められていないうちは、どんな改善策も言い訳に聞こえてしまいます。受け止めるときは、次の3つを順番に意識してください。

相手の不満を受け止める3つの手順
  1. 相手の言葉を最後まで聞く
  2. 相手の気持ちを言いかえて返す
  3. 自分の非を具体的に認めて謝る

それぞれ詳しく解説していきます。

1.相手の言葉を最後まで聞く

相手が話している途中で、説明や反論をはさまないでください。特に「でも」「だって」という言葉が出た瞬間に、相手はまた言い訳が始まったと感じ、心を閉ざしてしまいます。

相手の不満に、あなたから見ると事実と違うことが含まれていても、この場面では正しさを主張しないでください。相手がそう感じてきたという気持ちを受け止めることを優先します。

2.相手の気持ちを言いかえて返す

相手の話を聞き終えたら、相手の気持ちを自分の言葉で言いかえて返します。自分の話がきちんと伝わったと感じると、相手の心は少しずつやわらいでいきます。

言いかえるときは、お金への不満の裏にある不安や寂しさを言葉にして返してください。そうすることで、相手は本当に分かってもらえたと感じます。

3.自分の非を具体的に認めて謝る

最後に、自分の何が相手を苦しめていたのかを具体的に認めて謝ります。ごめんの一言だけでは、何を反省しているのかが相手に伝わらないからです。

3つの手順をそろえると、たとえば収入のことで不満を伝えられたときは、次のような受け止め方になります。

妻「毎月やりくりが大変なのに、あなたはいつも何とかなるって言うだけだった」
夫「ずっと一人で家計のことを心配してたんだね。俺が何とかなるって流してたせいで、相談もできなかったよね。本当にごめん」

受け止めてもらえたと感じると、相手はこの人となら話し合えるかもしれないと思い始めます。

4-3.改善策を提案するときの伝え方と会話例

相手の不満をしっかり受け止めたら、次は改善策を伝える段階です。ここでのポイントは、相手の不安にこたえる形で、すでに始めている行動と、これから続ける小さな約束を伝えることです。

これからがんばる、という言葉だけでは、相手はこれまでと同じだと感じます。一方で、すでに始めている行動を伝えると、相手は今回は本気なのかもしれないと感じ始めます。

さらに大切なのが、改善策を押しつけず、相手の意見を聞くことです。家計は夫婦のものなので、相手の考えを取り入れる姿勢そのものが、信頼を取り戻す大きな一歩になります。

たとえば、借金のことで責められていた場合は、次のような伝え方があります。

夫「借金のこと、全部調べて返し方を決めたんだ。今月からは、毎月の返済が終わったらこのノートに書いて見えるようにしてる。ほかに、こうしてほしいってことがあったら教えてほしい」
妻「……ちゃんと続くなら、少しは安心できるかも」

相手の反応が冷たくても、がっかりする必要はありません。相手の信頼は、約束を守り続けた先で少しずつ戻ってきます。

4-4.話し合いがこじれてしまったときの立て直し方

話し合いがこじれてしまったときは、無理に続けず、いったん止めることが大切です。相手が感情的になったり、あなた自身が言い返してしまったりした状態で話し続けても、お互いに傷が深くなるだけだからです。

言い争いになりそうだと感じたら、「このまま話すと、お互いに傷つけ合いそうだから、少し時間を置かせてほしい」と伝え、話し合いをいったん止めてください。これは逃げではなく、関係をこれ以上悪くしないための大切な判断です。

もし、あなたが感情的な言葉を言ってしまった場合は、気持ちが落ち着いてから、その言葉についてだけ短く謝ります。直接話すのが難しければ、手紙やメッセージで伝えても構いません。

また、相手が話し合いそのものに応じてくれないこともあります。その場合は、お金の話を無理に持ち出さず、おはようやありがとうといった日常の短い言葉から関係を温め直してください。話したくない相手とは、話し合いの席につく気持ちにもなれないからです。

話し合いがうまくいかなかったからといって、関係修復が失敗したわけではありません。大切なのは、家計の見直しや小さな約束を守るといった改善の行動を、話し合いの結果に関係なく一人で続けることです。行動を続けていれば、相手が次の話し合いに応じてくれる日は必ずやってきます。

5.改善しても離婚を求められ続けるときに知っておきたいお金の知識

改善の行動を続けていても、相手の気持ちがすぐには変わらず、別居や離婚の話が進みそうになることもあります。そんなときに慌てずに済むよう、婚姻費用、財産分与、養育費の3つを知っておいてください。知識がないまま不安だけがふくらむと、冷静な判断ができなくなるからです。

この章でお伝えする知識は、あきらめるためのものではありません。落ち着いて関係修復を続けるための支えとして読み進めてください。まずは次の表で、3つの違いを整理しておきます。

▼離婚前後に関係する3つのお金
どんなお金か いつ関係するか 決まり方
婚姻費用 夫婦と子どもが生活するために必要なお金 別居中など、離婚が成立するまで 夫婦それぞれの収入や子どもの人数、年齢をもとに、裁判所の算定表が目安になる
財産分与 結婚中に夫婦で築いた財産を分け合うもの 離婚するとき
(離婚から5年以内に請求できる)
財産を築いたことへの貢献の割合は、原則2分の1ずつ
養育費 子どもが自立するまでの生活や教育に必要なお金 離婚した後 両親それぞれの収入や子どもの人数、年齢をもとに、裁判所の算定表が目安になる
取り決めがなくても、法定養育費を請求できる
※実際の金額や分け方は夫婦ごとに異なります
※具体的な判断は、弁護士などの専門家に確認してください

5-1.別居になったら生活費はどうなる?婚姻費用の基本

別居になっても、夫婦である限り、生活費は婚姻費用としてお互いに分担する義務があります。婚姻費用とは、夫婦と子どもが生活するために必要なお金のことです。

一般的には、収入の多い方が、収入の少ない方に婚姻費用を支払います。金額は、夫婦それぞれの収入や子どもの人数、年齢などをもとに決められ、裁判所が公開している算定表が目安として使われています。夫婦の話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることもできます。

あなたが支払う側になった場合は、決められた婚姻費用をきちんと支払い続けてください。正当な理由なく生活費を渡さないことは、法律上の離婚理由である悪意の遺棄と判断されることがあるからです。

それ以上に大切なのは、婚姻費用をきちんと支払う姿が、相手にとってあなたの誠実さを示す行動になることです。別居中の誠実な対応が、後に関係を取り戻すきっかけになったご夫婦も少なくありません。

5-2.離婚になった場合の財産分与と2026年4月からの新しいルール

離婚になった場合のお金として、次に知っておきたいのが財産分与です。財産分与とは、結婚している間に夫婦で築いた財産を、離婚のときに分け合う制度です。

法務省の「民法等の一部を改正する法律の概要」によると、2026年4月1日に施行された改正民法では、結婚中に財産を築いたり守ったりしたことへの貢献の割合は、原則として2分の1ずつとすることが明記されました。どちらか一方だけが働いていた場合でも、家事や子育てで家庭を支えた貢献は同じように評価されるということです。

また、財産分与を請求できる期間も、離婚から2年だったものが5年に延びました。離婚を急がされても、財産のことを慌てて決める必要はありません。

借金については、住宅ローンのように家族の生活のためにできたものは、財産分与の中で考慮されるのが一般的です。一方、ギャンブルなど個人的な理由でできた借金は、原則としてつくった本人が返すものと考えられています。

5-3.子どもがいる場合の養育費の考え方

子どもがいるご夫婦の場合、離婚後の子どもの生活費として養育費を考える必要があります。養育費は、子どもが自立するまでの生活や教育に必要なお金で、子どもと離れて暮らす親が支払うものです。

養育費の金額も、婚姻費用と同じように、両親それぞれの収入や子どもの人数、年齢などをもとに決められ、裁判所の算定表が一般的な目安として使われています。

さらに、2026年4月からは法定養育費という制度が始まりました。離婚のときに養育費の取り決めをしていなくても、子どもと暮らす親が、もう一方の親に一定の額を請求できる仕組みです。あわせて、養育費を優先的に回収しやすくする仕組みも整えられ、子どもの生活を守る制度が強くなっています。

ここで知っておいてほしいのは、離婚をしてもお金の問題はなくならないということです。家計が二つに分かれれば、それぞれの暮らしはかえって苦しくなることもあります。だからこそ、今の夫婦のまま家計を立て直す道には、子どもにとっても大きな意味があるのです。

5-4.一人で抱え込まずに専門家へ相談するタイミング

ここまでお伝えしたお金の知識は、あくまで基本的なものです。実際の状況は夫婦ごとに違うため、次のような場面では、一人で抱え込まずに専門家に相談してください。

相手から離婚調停や婚姻費用の調停を申し立てられた場合や、離婚の条件を具体的に示された場合は、弁護士への相談を考えるタイミングです。費用が心配な場合は、法テラスで収入などの条件に応じて無料の法律相談を受けられることがあります。

一方で、あなたの目的が離婚を避けて関係を立て直すことなら、法律の相談だけでは足りません。法律は離婚するかどうかの判断には役立ちますが、相手の心を取り戻す方法までは教えてくれないからです。

夫婦関係の修復を専門とするカウンセラーであれば、相手を連れて行く必要はありません。あなた一人で、パートナーに知られずに相談し、あなたの状況に合った関係修復の進め方を一緒に考えることができます。

5-5.お金のことで離婚を切り出された人からよくある質問

最後に、お金のことで離婚を切り出された方から、私がよく受ける質問にお答えします。

離婚届への署名を迫られたら、どうすればいいですか?
離婚に納得していないなら、署名はしないでください。一度署名した離婚届を相手が提出すると、そのまま受理されてしまうおそれがあるからです。署名を強く求められる場合は、本籍地または住所地の役所で離婚届の不受理申出をしておくと、あなたが取り下げるまで、あなたの意思を確認できない離婚届は受理されません。
相手にも問題があるのに、自分だけが変わらないといけないのですか?
相手に問題がある場合でも、先に自分が変わることが、結果的にいちばんの近道になります。あなたが変わると、相手もあなたの言葉に耳を傾けやすくなるからです。
改善を続けていることが相手に伝わっているか、どうすれば分かりますか?
相手の口調がやわらぐ、お金の相談をしてくれるといった小さな変化が、あなたの行動が届き始めているサインです。こうしたサインが見えるまでには時間がかかることが多いので、焦らずに続けてください。

6.お金のことで離婚を切り出された夫婦が1年かけて関係を取り戻した実例

ここまでお伝えしてきた方法で、実際に夫婦関係はどのように変わっていくのでしょうか。この章では、お金のことで離婚を切り出されながらも、悩んでいた側が一人で先に変わることで、1年から1年半ほどかけて関係を取り戻したご夫婦の実例をご紹介します。

6-1.収入の少なさを理由に離婚を切り出された夫が妻の信頼を取り戻すまで

私のもとに相談に来られたある男性は、妻から「あなたの収入では、この先やっていけない。離婚したい」と告げられていました。最初は、自分なりに働いているのにと、妻への不満を口にしていました。

カウンセリングを通して、彼はまず、妻の話をさえぎらずに聞くことから始めました。そして家計を書き出してみたところ、妻が毎月の赤字を自分の貯金で補っていたことを、初めて知ったのです。

そこから彼は、自分のお小遣いを見直し、仕事に役立つ資格の勉強を始めました。ただ、それを妻にアピールすることはせず、家計簿をつける手伝いなど、小さな約束だけを守り続けました。

最初の数か月、妻の態度は冷たいままでした。それでも行動を続けるうちに、半年ほどたったころから、妻がお金のことを少しずつ相談してくれるようになりました。

そして1年ほどたったころには、月に一度、夫婦で家計を見直す時間ができていました。ある日、妻から「最近は、一人で悩まなくてよくなった」と言われ、いつの間にか離婚の話は出なくなっていたそうです。

彼の収入が大きく増えたわけではありません。変わったのは、家計の不安を一緒に背負う姿勢でした。この実例は、お金の問題でも、本当に大切なのは金額より信頼だということを教えてくれます。

6-2.浪費を責められた妻が夫の笑顔を取り戻すまで

もう一つご紹介するのは、ネットショッピングでの浪費を夫に責められ、「お金のことで、もう信用できない。離婚したい」と言われた女性の実例です。夫の表情からは、笑顔がすっかり消えていたといいます。

最初、彼女は、必要なものを買っただけだと言い訳をしていました。しかし、カウンセリングで自分のお金の使い方を振り返るうちに、寂しさやストレスを買い物で埋めていたことに気づきました。

そこで彼女は、買い物アプリからカード情報を消し、毎月使える金額を決めて現金で管理する仕組みをつくりました。さらに夫の金銭感覚にも目を向け、夫がお金の苦労をしてきた家庭で育ったことを思い出し、夫の不安の深さを理解しようと努めました。

変化はすぐには表れませんでした。それでも隠れて買い物をすることは一度もなく、淡々と続けるうちに、1年ほどたったころ、夫から「最近、楽しそうだね」と声をかけられるようになりました。

そして1年半ほどたったころ、夫婦で少しずつ貯めたお金で、久しぶりの家族旅行に出かけることができました。旅行先で見た夫の笑顔は、彼女にとって何よりの宝物になったそうです。

6-3.2つの実例から分かる関係修復の共通点

2つの実例は、原因も立場も違います。それでも、関係を取り戻せた背景には、次の3つの共通点がありました。

2つの実例から分かる関係修復の3つの共通点
  • 相手の不満を反論せずに受け止めた
  • パートナーの協力を待たず一人で先に行動を始めた
  • 見返りを求めずに行動を続けた

それぞれ詳しく解説していきます。

相手の不満を反論せずに受け止めた

2人とも、最初は言い訳や反論をしていました。しかし、相手の不満を受け止めることに切りかえたことで、相手が本当は何に苦しんでいたのかが見えるようになりました。受け止めることは、関係修復のすべての出発点です。

パートナーの協力を待たず一人で先に行動を始めた

2人とも、相手が変わってくれるのを待つのではなく、自分から先に変わる道を選びました。夫婦関係は、どちらか一方が変わるだけでも動き始めます。一人の変化は、時間をかけて必ず相手にも伝わっていきます。

見返りを求めずに行動を続けた

2人とも、相手の態度がすぐに変わらなくても、自分の行動をアピールせず続けました。だからこそ、相手は少しずつ、今回は本気なのだと信じられるようになったのです。関係修復には1年ほどかかることが多いからこそ、続ける力が結果を分けます。

おわりに

お金のことで離婚したいと言われると、自分には価値がないと言われたように感じ、目の前が真っ暗になるかもしれません。ですが、ここまで読んでくださったあなたなら、それが関係の終わりではなく、立て直しの出発点になり得ることを感じていただけたと思います。

最後に、この記事でお伝えした大切なポイントを振り返ります。

この記事の大切なポイント
  • お金のことで離婚したいと言われても、相手が一人だけで離婚を決めることはできない
  • お金の不満の裏には、不安を一緒に抱えてほしいという相手の本音がある
  • 家計を見える形にし、原因に合った改善策を一人で始める
  • 話し合いでは、改善策より先に相手の不満を受け止める
  • 信頼は、小さな約束を守り続ける行動の積み重ねで戻っていく

何から始めればいいか迷ったら、まずは今日、相手に言われた言葉をノートに書き出してみてください。次に、分かる範囲で家計を書き出し、必要なら離婚届の不受理申出を確認します。この3つだけでも、あなたの関係修復は確かに動き出します。

お金の問題は、改善の努力が目に見えやすい問題です。だからこそ、あなたが一人で始めた小さな行動は、少しずつ相手の心に届いていきます。

もちろん、一人で取り組んでいると、本当にこのやり方でいいのか迷うこともあると思います。そんなときは、一人で抱え込まずに頼ってください。私たちのカウンセリングは、パートナーに知られることなく、あなた一人で受けていただけます。

夫婦関係は、どちらか一方が変わることで必ず動き始めます。あなたが今日踏み出した一歩が、1年後、夫婦で笑い合える未来につながっていくことを、心から願っています。

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  • なぜ多くの夫婦が問題を解決できずにいるのか?その本当の理由
  • 友人や家族に相談しても解決しない理由と、本当に必要なこととは
  • 離婚原因の上位12項目のうち、解決可能な問題と解決できない問題の見分け方
  • 夫婦関係修復に必要な「あり方」を決める方法
  • 本物の自分と偽物の自分を見極め、パートナーから愛される自分になる秘訣
  • パートナーの頭の中の雑念や不安を取り除く具体的なアプローチ
  • 相手をリラックスさせ、前向きな気持ちにさせるコミュニケーション術
  • 見返りを求めない行動が、なぜ関係修復に絶大な効果をもたらすのか
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