あの時、自分はどうしてあんな行動をとってしまったのだろう…。パートナーに対して暴力的な言動をとってしまい、今、離婚の危機に直面しているあなた。自分の行動を後悔し、関係を修復したいと強く願っているのではないでしょうか。
内閣府の調査によれば、女性の約4人に1人、男性の約5人に1人が配偶者からの暴力を受けた経験があるとされています。DVは決して珍しい問題ではなく、多くの家庭で起きている現実があります。
しかし、大切なのは過去の行動ではなく、これからどう変わるかです。私は20年以上にわたり夫婦関係の修復に携わってきましたが、本気で変わろうとする人には必ず変化の可能性があることを実感してきました。
今回の記事では、DVをしてしまったけれど離婚は避けたいと考えているあなたに向けて、関係修復のために具体的に何をすべきかをお伝えします。すぐにできる対処法から、長期的な人間関係の改善まで、段階的に解説していきます。
- DVの定義と自分の行動の振り返り方
- 離婚を回避するための具体的な対処法
- 怒りや感情をコントロールする実践的な方法
- パートナーの心理を理解し信頼を回復する方法
- 専門家のサポートを得て本質的な変化を実現する手順
1.DVしてしまったことを認め、改善のために行動することが関係修復の第一歩
関係修復の第一歩は、自分の行動を正しく認識し、改善に向けて具体的に行動することです。まずは自分自身と向き合う勇気を持ちましょう。
1-1.自分の行動がDVに該当するのか理解する
DVとは単に「殴る・蹴る」などの身体的暴力だけではありません。暴言、脅し、無視、行動の制限、経済的な支配なども含まれます。「自分はDVをしていない」と思っていても、実際にはパートナーを傷つける行為を行っている可能性があります。
下の表は、DVの種類とその具体例をまとめたものです。自分の行動を振り返る際の参考にしてください。
DVの種類 | 具体例 |
---|---|
身体的暴力 | 殴る、蹴る、物を投げる、突き飛ばす、髪を引っ張るなど |
精神的暴力 | 怒鳴る、脅す、馬鹿にする、無視する、子どもを利用して脅すなど |
社会的暴力 | 友人関係や行動を制限する、監視する、外出を禁止するなど |
経済的暴力 | 生活費を渡さない、収入を管理する、働くことを妨げるなど |
性的暴力 | 性行為を強要する、避妊に協力しないなど |
まずは自分の行動を客観的に振り返ってみましょう。「声を荒げることが多かった」「パートナーの行動を過度に制限していた」「お金の使い方を厳しく管理していた」など、思い当たることはありませんか?これらも立派なDVに該当します。
自分の行動を認めることは辛いことですが、変化の第一歩は現実を直視することです。自分の行動パターンを理解することで、初めて改善への道が開けます。
1-2.離婚を避けるために今すぐできる対処法
パートナーから離婚を切り出されている状況では、まず緊急的な対応が必要です。離婚を回避するために今すぐ実践できる対処法をご紹介します。
- 暴力的言動を即座に中止する
- 適切な距離を置く
- 一方的な連絡攻めを避ける
それぞれの対処法について詳しく見ていきましょう。
暴力的言動を即座に中止する
まず最も重要なことは、これ以上パートナーを傷つける行為を絶対にしないことです。どんな理由があっても、暴力や暴言、脅しなどの行為は即座に中止しましょう。
適切な距離を置く
次に、パートナーとの間に適切な距離を置くことも考えましょう。一時的な別居や、家の中でも互いの時間と空間を尊重することが大切です。これは「逃げる」ということではなく、お互いが冷静になるための時間を作ることです。
一方的な連絡攻めを避ける
また、一方的な連絡攻めも避けましょう。パートナーが連絡を拒否している場合は、その意思を尊重することが大切です。「変わりたい」という気持ちをアピールするあまり、さらに相手を追い詰めてしまうことがあります。
1-3.あなたの変化を伝える効果的なアプローチ
変わりたいという気持ちをパートナーに伝えることは大切ですが、言葉だけの約束では信頼を取り戻すことはできません。効果的なアプローチは、まず自分自身が本当に変わるための行動を起こし、その変化を自然と感じてもらうことです。
例えば、カウンセリングや怒りの管理プログラムなどへの参加を自ら申し出て、実際に通うことが挙げられます。また、家事や育児への積極的な参加、相手の意見を尊重する姿勢など、具体的な行動の変化が重要です。
変化を伝える際は、「もう二度としない」という抽象的な約束よりも、「怒りを感じたら部屋を出て5分間深呼吸する」など、具体的な対処法を身につけていることを伝えましょう。具体性があることで、変化への信頼が生まれます。
2.怒りや感情をコントロールする具体的な方法
DVの根本原因の一つに、感情、特に怒りのコントロールができないという問題があります。第1章で自分の行動を振り返り、改善の第一歩を踏み出したところで、ここからは実践的な内容として、怒りの感情をコントロールするための具体的な方法について解説します。
2-1.怒りの根本原因を特定する重要性
怒りをコントロールするには、まずその根本原因を理解することが重要です。多くの場合、表面的な怒りの裏には、恐れ、不安、自己価値の低さ、コントロールへの欲求など、より深い感情が隠れています。
例えば、「パートナーが友人と出かけると怒る」という場合、その裏には「見捨てられるのではないか」という恐れや、「自分は愛されていないのではないか」という不安があるかもしれません。
自分の感情パターンを記録してみましょう。怒りを感じた状況、その時の考え、身体の反応などを書き出すことで、自分の感情の引き金となるものが見えてきます。この自己分析が、感情コントロールの第一歩となります。
2-2.感情のコントロールに役立つ5つのテクニック
感情、特に怒りをコントロールするためには、実践的なテクニックが役立ちます。以下に、すぐに試せる効果的な方法をご紹介します。
- タイムアウト:感情が高ぶったら、その場を離れる
- 深呼吸と筋弛緩法:呼吸を整え、体の緊張をほぐす
- 考え方の修正:極端な思考を現実的なものに置き換える
- 「わたしメッセージ」の使用:「あなたが〜」ではなく「わたしは〜と感じる」と伝える
- 日々の感情日記:感情の変化とパターンを記録する
下の図は、これらのテクニックを実践する際の具体的なステップを示しています。特に怒りを感じたときの「タイムアウト」と「深呼吸法」は、その場ですぐに実践できる効果的な方法です。

それでは、これらのテクニックについて詳しく見ていきましょう。
タイムアウト
怒りが込み上げてきたら、まずはその場を離れることが最も効果的です。「5分間だけ別の部屋に行く」「散歩に出る」など、クールダウンのための時間と空間を作りましょう。この時、パートナーに「少し時間が欲しい」と伝えることで、逃げているわけではないことが伝わります。
深呼吸と筋弛緩法
怒りを感じると体が緊張し、呼吸が浅くなります。ゆっくりと腹式呼吸をし(4秒吸って、7秒止めて、8秒かけて吐く)、全身の筋肉を意識的に緩めることで、怒りの身体反応を和らげることができます。
考え方の修正
「絶対に」「必ず」「全然」などの極端な言葉で考えていないか注意しましょう。例えば「彼女は絶対に自分を理解してくれない」という思考を「彼女は今回は私の気持ちを理解していないようだ」と修正します。
「わたしメッセージ」の使用
相手を責める「あなたは〜した」という言い方ではなく、「私は〜と感じた」という表現を使うことで、相手の防衛反応を減らし、建設的な対話が可能になります。
日々の感情日記
毎日の感情の変化を記録することで、自分の感情パターンを理解できます。特に怒りを感じた状況、その時の考え、身体の反応を書き留めておくと、次第に自分の感情の引き金が見えてきます。
2-3.ストレス状況での冷静さを保つ対処法
日常生活の中で、さまざまなストレス状況に直面することがあります。そのような時に冷静さを保つための具体的な対処法をご紹介します。
まず、自分のストレスのサインを知ることが大切です。怒りの前には、動悸、息苦しさ、胸の圧迫感など、体に現れる兆候があります。これらのサインに早めに気づくことで、怒りが爆発する前に対処できます。
次に、「これは本当に怒るべきことなのか?」と自問することも効果的です。些細なことで過剰に反応していないか、冷静に考えてみましょう。5年後、この出来事を覚えているだろうか?という視点で考えると、多くの「怒り」は実は重要ではないことに気づきます。
また、日頃からのストレス管理も重要です。十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動など、基本的な健康管理がストレス耐性を高めます。趣味や楽しい活動に時間を使うことで、心の余裕も生まれます。
3.パートナーの心の傷を理解し、信頼を回復するステップ
ここまでは、自分自身の行動や感情をコントロールする方法について見てきました。しかし、関係修復のためには、これだけでは不十分です。パートナーの心理状態を理解し、信頼を回復するステップも欠かせません。感情のコントロールができるようになったら、次はパートナーとの関係性に焦点を当てていきましょう。
3-1.DV被害者の心理状態を理解する
DVを受けた人は、深い心の傷を負っています。その心理状態を理解することは、関係修復の第一歩です。
DVを受けた人は、恐怖、不安、自己価値の低下、無力感などを経験します。特に、「トラウマボンド」と呼ばれる心理状態に陥ることがあります。これは、加害者への恐怖と依存が入り混じった複雑な感情状態です。
また、DVは繰り返されることが多いため、「またすぐ元に戻るのでは」という不信感も強いものです。警視庁の統計によると、DVの相談件数は年々増加しており、令和5年には9,092件の相談があったとされています。これは氷山の一角で、多くの被害が表面化していないのが現状です。
パートナーが示す反応は、あなたへの攻撃ではなく、自分を守るための自然な反応だと理解しましょう。「なぜすぐに信じてくれないのか」という焦りは、さらなる関係悪化を招きます。
3-2.真摯な謝罪と反省を伝える具体的な方法
関係修復のためには、パートナーの心理状態を理解した上で、真摯な謝罪と反省の気持ちを伝えることが必要です。しかし、ただ「ごめん」と言うだけでは不十分です。効果的な謝罪には、以下の要素を含めることが大切です。
- 自分の言動の具体的な振り返り
- 相手の気持ちへの理解と共感
- 今後の具体的な改善案
それでは、この3つの要素について詳しく見ていきましょう。
自分の言動の具体的な振り返り
「あの時、私が声を荒げて怒鳴ったこと」「あなたの友人関係を制限しようとしたこと」など、具体的な行動を挙げて謝罪することが大切です。抽象的な「悪いことをした」という表現では、真摯さが伝わりません。
相手の気持ちへの理解と共感
「あなたを怖がらせてしまったこと、不安にさせてしまったことを本当に申し訳なく思います」など、相手がどのような感情を抱いたかを理解し、共感する言葉を添えましょう。
今後の具体的な改善案
「これからは怒りを感じたら、必ず一度その場を離れて冷静になります」「カウンセリングに通って、怒りの管理を学んでいます」など、具体的な改善策を示すことで、言葉だけの謝罪ではないことを伝えましょう。
謝罪の際には、相手の反応を強要しないことも重要です。「許してくれないと困る」「もう謝ったのに」といった言葉は、さらなる傷つきを与えます。
今後の具体的な改善案
「これからは怒りを感じたら、必ず一度その場を離れて冷静になります」「カウンセリングに通って、怒りの管理を学んでいます」など、具体的な改善策を示すことで、言葉だけの謝罪ではないことを伝えましょう。
謝罪の際には、相手の反応を強要しないことも重要です。「許してくれないと困る」「もう謝ったのに」といった言葉は、さらなる傷つきを与えます。
3-3.信頼回復には時間がかかることを受け入れる
関係修復の道のりで最も重要なことは、信頼回復には時間がかかることを受け入れることです。傷ついた信頼関係は、一日で回復するものではありません。
内閣府の調査によれば、配偶者からの暴力被害を受けた経験がある人のうち、女性の約4割、男性の約6割が誰にも相談していないという結果が出ています。これは、DVが深刻な心の傷となり、簡単には回復しない問題であることを示しています。
焦らず、パートナーのペースを尊重することが大切です。「もう変わった」と主張するのではなく、日々の小さな行動の積み重ねで信頼を取り戻していきましょう。
時には、パートナーからの厳しい言葉や態度に直面することもあるでしょう。そんな時こそ、以前のパターンに戻らず、冷静さを保つことが重要です。「この反応は当然だ」と受け止め、変化を続ける決意を新たにしましょう。
4.専門家のサポートを得て本質的な変化を実現する方法
これまでに自分の行動を振り返り、感情のコントロール方法や信頼回復のステップについて解説してきました。こうした取り組みは非常に重要ですが、多くの場合、自分一人の力だけでは根本的な変化を実現することは難しいものです。そこでこの章では、専門家のサポートを得ることの重要性と、その具体的な方法について説明します。
4-1.一人でも始められるDV改善カウンセリングの効果
DVの問題を抱える多くの方が「パートナーと一緒でなければカウンセリングの意味がない」と考えがちですが、実は一人でも十分に効果的なカウンセリングがあります。むしろ、変化の第一歩は自分自身から始めることが重要です。
一人で受けるカウンセリングでは、自分の感情パターンや行動の根本原因に向き合い、具体的な対処法を学ぶことができます。特に、幼少期の経験や家族関係が現在の行動にどう影響しているかなど、深い自己理解が得られることが大きな特徴です。
私のこれまでの経験では、最初は「自分だけが変わっても意味がない」と考えていた方も、カウンセリングを通じて自分の変化が周囲の反応を変え、最終的には関係全体が改善していくことを実感されています。一人の変化が家族全体の変化につながるのです。
4-2.専門家のサポートを受ける際の心構え
専門家のサポートを最大限に活かすためには、いくつかの心構えが必要です。まず何より大切なのは、正直さと継続的な参加です。
カウンセリングでは、自分の行動や感情を隠さず、正直に話すことが重要です。「こんなことを話したら否定されるのでは」という恐れを感じることもあるでしょうが、専門家は非難するためではなく、あなたの変化を支援するためにそこにいます。
また、短期間で劇的な変化を期待するのではなく、少しずつの変化を積み重ねるという姿勢が大切です。カウンセリングは魔法ではなく、自分自身の努力と専門家のサポートが組み合わさることで効果を発揮します。
そして、学んだことを日常生活で実践する意欲も欠かせません。セッションで得た気づきや技術を、実際の生活の中で試してみることで、本当の変化が生まれます。
4-3.カウンセリングで得られる具体的な変化と成功事例
カウンセリングを通して、多くの方が具体的な変化を実感されています。ここでは、実際に私がサポートしてきた方々の変化の例をご紹介します。
あるDVをしてしまった40代の男性は、妻から別居を告げられた後、カウンセリングを開始しました。最初は「自分は悪くない」という思いが強かったのですが、セッションを重ねるうちに自分の行動パターンに気づき始めました。特に、幼少期に厳格な父親から受けた扱いが、知らず知らずのうちに自分の行動モデルになっていたことを理解したのです。
この方は怒りの管理技術を学び、実践することで、徐々に感情のコントロールができるようになりました。半年後、妻との短い面会が実現し、その後段階的に関係を修復。1年後には再び一緒に暮らせるようになったのです。
別の事例では、言葉の暴力で妻を傷つけていた30代の男性が、カウンセリングを通じて自分のコミュニケーションパターンを変えました。特に「わたしメッセージ」の使用や、アクティブリスニングのスキルが大きな変化をもたらしました。妻からは「初めて本当の意味で話を聞いてもらえた気がする」という言葉があり、関係の質が大きく向上しています。
このように、カウンセリングは単なる「問題解決」ではなく、より健全で満たされた関係を構築するための基盤となります。
5.長期的な人間関係の改善と再発防止のためのプラン
専門家のサポートを得ることで大きな一歩を踏み出せることがわかりました。しかし、カウンセリングだけでは十分ではありません。真の変化は日々の生活の中での継続的な実践から生まれます。ここからは、カウンセリングで学んだことを日常に活かし、長期的な人間関係の改善と再発防止のための具体的なプランについて解説します。
5-1.健全なコミュニケーション習慣を身につける実践法
健全な関係の基盤となるのは、良好なコミュニケーションです。日常的に実践できる健全なコミュニケーション習慣について、具体的な方法をご紹介します。
- 相手の話を最後まで聴く
- 感謝の言葉を積極的に伝える
- 意見の不一致があっても共通点を見つける
それぞれの習慣について詳しく見ていきましょう。
相手の話を最後まで聴く
最も重要なのは「聴く」スキルです。相手の話を遮らず、最後まで聞くこと。そして「本当にそう感じたんだね」など、相手の感情を認める言葉をかけることで、相手は「理解された」と感じます。
感謝の言葉を積極的に伝える
日常会話の中で「ありがとう」「助かった」など、感謝の言葉を積極的に伝えることも効果的です。これは単なる礼儀ではなく、相手の存在価値を認める重要な行為です。
意見の不一致があっても共通点を見つける
意見の不一致があったときは、「◯◯については考えが違うね。でも△△については同じ考えだね」というように、共通点を見つける努力をしましょう。対立を「勝ち負け」ではなく「問題を一緒に解決するチャンス」と捉えることが大切です。
こうした健全なコミュニケーションは、最初は意識的に行う必要がありますが、継続することで自然な習慣となります。その結果、お互いの理解が深まり、信頼関係が強化されていきます。
5-2.再発防止のための日常的な自己モニタリング
DVの再発を防ぐためには、自分の感情や行動を日常的にモニタリングすることが効果的です。これは「自分を監視する」というよりも、「自分自身に気づきを与える」習慣だと考えてください。
- 感情日記をつける
- 身体の変化に注意を向ける
- 定期的な振り返りの時間を持つ
下記の表は、感情日記として使えるシンプルなワークシートです。毎日、あるいは強い感情を感じた時に記入してみましょう。
日付/時間 | 状況 | 感じた感情 | 身体の反応 | 思考 | 取った行動 | 代替行動 |
---|---|---|---|---|---|---|
例: 5/3 午後7時 | 妻が友人と予定より遅く帰宅した | 怒り、不安 | 胸の締め付け、手の震え | 「なぜ連絡しないのか」「大切にされていない」 | 大声で責めた | 散歩して落ち着いてから、心配していたことを伝える |
それぞれの自己モニタリング方法について詳しく見ていきましょう。
感情日記をつける
具体的な方法としては、毎日短い時間でも「感情日記」をつけることをおすすめします。その日感じた強い感情、それが生じた状況、自分の反応などを記録します。これにより、自分の感情パターンがより明確に見えてきます。
身体の変化に注意を向ける
また、自分の身体の変化にも注意を向けましょう。怒りや不安は、身体の緊張や動悸などの形で現れます。こうした初期サインに気づけば、感情が爆発する前に対処できます。
定期的な振り返りの時間を持つ
定期的に「今週はどうだったか」と振り返る時間を持つことも大切です。特に、うまくいった対応とそうでない対応を比較し、次へのヒントを得ましょう。こうした自己モニタリングは、変化の定着と継続的な成長に欠かせません。
5-3.夫婦関係を根本から改善するための新しい関係性の構築
最終的な目標は、支配や恐怖ではなく、尊重と信頼に基づく新しい関係性の構築です。これは一朝一夕には実現しませんが、日々の小さな変化の積み重ねが大きな違いを生み出します。
まず、パートナーと一緒に楽しめる活動を見つけましょう。共通の趣味や関心事を通じて、ポジティブな時間を共有することで、関係の新しい基盤が作られます。
また、家庭内での役割や決定権の見直しも重要です。「誰が何を決めるか」を明確にし、可能な限り公平な分担を目指しましょう。特に経済面や子育てなど、重要な決断は共同で行うことが望ましいです。
そして、お互いの個人的な空間と時間を尊重することも忘れないでください。健全な関係では、二人の時間と個人の時間のバランスが取れています。
私がカウンセリングでサポートしてきた多くのカップルは、最初は関係修復が不可能に思えても、こうした新しい関係性の構築により、以前よりも深い絆で結ばれるようになっています。変化は必ず可能です。
まとめ
DVをしてしまったけれど離婚は避けたいと考えるあなたに、関係修復のための具体的なステップをお伝えしてきました。この記事で学んだことを振り返りましょう。
まず、DVとは何かを正しく理解し、自分の行動を客観的に見つめることから始まります。そして、感情、特に怒りをコントロールするための具体的な技術を身につけることが重要です。
パートナーの心理状態を理解し、効果的な謝罪と反省を伝えることで、少しずつ信頼関係を回復させていくことが可能です。ただし、この過程には時間がかかることを受け入れる必要があります。
専門家のサポートを得ることは、本質的な変化を実現するための大きな助けとなります。一人でも始められるカウンセリングを通じて、多くの方が関係の修復に成功しています。
そして最終的には、支配や恐怖ではなく、尊重と信頼に基づく新しい関係性を構築することが目標となります。
変化の道のりは決して簡単ではありませんが、本気で取り組む人には必ず希望があります。これまでの20年間、1万組以上の夫婦の関係修復をサポートしてきた経験から、私はそれを確信しています。
今日からでも、小さな一歩を踏み出してみてください。その勇気ある一歩が、あなたとパートナーの新しい未来への道を開くことになるでしょう。
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