離婚を決断できないなら。改善の可能性と4つのチェック項目

離婚を決断できないなら。改善の可能性と4つのチェック項目

「離婚したほうがいいのかもしれない」と思いながらも、なかなか決断できない日々が続いているのではないでしょうか。

夫婦カウンセリングの現場で、「離婚を考えているけれど、決断できない」という悩みは最も多い相談の一つです。このように悩まれる方の多くは、「自分はなぜ決められないのだろう」「このままでいいのだろうか」と自分を責めてしまいがちです。

私は20年以上にわたり、夫婦関係の改善に携わってきました。その経験から言えることは、離婚を決断できないことは決して特別なことではなく、むしろ自然な心の動きだということです。

この記事では、離婚を決断できない方に向けて、その心理的な背景から具体的な判断材料、そして後悔のない決断をするための準備まで、具体的にお伝えしていきます。

▼この記事でわかること

  • 離婚を決断できない心理的メカニズム
  • 決断に必要な具体的なステップ
  • 後悔のない決断をするための準備方法

1.「離婩を決断できない」は特別なことではない

結婚生活の中で深刻な問題に直面し、離婚を考えざるを得ない状況になったとき、多くの方が決断に迷い、苦しみます。しかし、これは決して特別なことではありません。

むしろ、人生を大きく変える決断ですから、慎重になるのは自然なことです。私のカウンセリング経験から言えば、あまりに簡単に決断してしまう方よりも、しっかりと考えて決断する方のほうが、その後の人生により良い影響をもたらすケースが多いのです。

1-1.なぜ離婚を決断できないのか?3つの心理的ブロック

離婚を決断できない背景には、主に3つの心理的なブロックが存在します。まずはこれらを理解することで、自分の心の動きを客観的に見つめることができるようになります。

【1.経済的な不安】
「この先、子どもと二人で生活していけるだろうか」「今の収入だけで家賃を払えるだろうか」という不安は、特に専業主婦やパートタイムで働く方に強く見られます。

【2.子どもへの影響への懸念】
「離婚が子どもに与える影響が心配」「子どもの将来に傷を残してしまうのではないか」という不安は、多くの親御さんが感じるものです。実際に私のカウンセリングでも、子どもへの影響を最も心配される方が多いです。

【3.周囲の目や世間体への不安】
「両親にどう説明すればいいのか」「親戚や友人にどう思われるだろうか」という不安も、決断を遅らせる大きな要因となっています。

1-2.離婚を決断できない状態は回復への第一歩

ここで重要なのは、離婚を決断できない状態は、必ずしもマイナスではないということです。なぜなら、この迷いの期間は、より良い決断をするための大切な時間となるからです。

たとえば、私がカウンセリングでお会いした40代の女性は、夫との関係に悩み、半年以上離婚を考えながらも決断できない状態が続いていました。しかし、その期間に夫婦関係を客観的に見つめ直し、改善のために何ができるかを考えることで、最終的に関係修復の道を選択。現在は、以前よりも良好な関係を築けています。

このように、決断できない期間は、次のようなメリットをもたらす可能性があります。

【決断を迷う期間がもたらすメリット】

  • 自分の本当の気持ちと向き合える時間
  • 冷静な判断をするための準備期間
  • 関係修復の可能性を探る機会
  • 具体的な生活設計を考える時間

ただし、DVなどの深刻な問題がある場合は、早急な対応が必要です。そのような状況では、すぐに専門家への相談をお勧めします。

次の章では、この「迷いの時期」を活かしながら、具体的にどのようなステップを踏んでいけば良いのかをご説明していきます。

2.離婚の決断に必要な3つのステップ

これまで見てきたように、離婚を決断できない状態は、必ずしもマイナスではありません。むしろ、この期間を活用して、より良い決断への準備を進めていくことができます。では、具体的にどのようなステップを踏んでいけば良いのでしょうか。

私の経験から、後悔のない決断をするためには、以下の3つのステップを踏むことが重要です。

  • 【Step1】客観的な状況把握をする
  • 【Step2】専門家に相談する
  • 【Step3】具体的な生活プランを立てる

それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。

2-1.【Step1】客観的な状況把握をする

まず最初に行うべきことは、現在の状況を客観的に把握することです。感情的になっているときは、物事を極端に考えてしまいがちです。冷静な判断をするために、まずは事実を整理していきましょう。

具体的には、毎日の生活の中で気になった出来事や会話を、日記のように記録していくことをお勧めします。記録をつけることで、「本当に問題なのは何か」が少しずつ見えてくるからです。

たとえば、あるカウンセリングに来られた方は、「夫が全然話を聞いてくれない」と感じていましたが、記録をつけていくうちに、実は夫の帰宅時間が遅すぎて会話の時間が取れていないことが分かりました。これにより、「会話ができない」という問題の本質が見えてきたのです。

2-2.【Step2】専門家に相談する

状況を整理できたら、次は専門家に相談することをお勧めします。離婚を考えるような深刻な状況では、専門家の客観的な意見が、とても重要な判断材料となります

具体的には、以下のような専門家への相談が考えられます。

【相談できる専門家】
まずは法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。婚姻費用や養育費、財産分与など、具体的な権利や今後の生活に関わる重要な情報を得ることができます。

次に、心理の専門家である夫婦カウンセラーへの相談も有効です。感情的になりすぎず、冷静な判断をするためのサポートを受けることができます。

さらに、状況に応じて、ファイナンシャルプランナーにも相談することをお勧めします。離婚後の生活設計について、具体的なアドバイスをもらうことができます。

2-3.【Step3】具体的な生活プランを立てる

最後に重要なのが、具体的な生活プランを立てることです。離婚後の現実的な生活をイメージできることは、適切な判断をする上でとても重要です。

私のカウンセリングでは、以下のような項目について、できるだけ具体的に考えていくことをお勧めしています。

【生活プランで考えるべきこと】
住まいについては、現在の家に住み続けるのか、それとも引っ越すのか。引っ越す場合、どの地域なら家賃が適正で、子どもの学校や仕事場への通勤にも便利なのか、具体的に検討していきます。

仕事については、現在の収入で生活が成り立つのか、新しい仕事や副業が必要なのか、資格取得などのスキルアップが必要なのかを考えます。

子どもの環境については、学校や習い事はどうするのか、面会交流をどのように行うのかなど、子どもの生活環境についても具体的にイメージしていきます。

たとえば、私のカウンセリングに来られたある方は、生活プランを立てる過程で、まず資格を取得してから転職し、その後に離婚するという段階的なプランを立てました。この計画性が、その後の新生活をスムーズにスタートさせる大きな要因となりました。

このように、3つのステップを着実に進めていくことで、より良い決断への準備が整っていきます。次の章では、決断の前に必ず確認しておくべきポイントについて、さらに詳しくお伝えしていきます。

3.決断の前に確認すべき4つのポイント

前章では、離婚の決断に必要な3つのステップについてお伝えしました。しかし、実際の決断の前には、さらにいくつかの重要なポイントを確認する必要があります。

私が20年以上のカウンセリング経験の中で見てきた多くのケースから、特に重要だと考える4つのポイントをご説明していきます

  • DVや経済的暴力の有無をチェックする
  • 修復の可能性を見極める
  • 子どもへの影響を考える
  • 経済面での自立可能性を確認する

それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。

3-1.DVや経済的暴力の有無をチェックする

まず最初に、そして最も重要なのが、DVや経済的暴力の有無を確認することです。もしこれらの問題が存在する場合、他の要素を考える前に、まず安全確保を最優先にする必要があります

DVには身体的な暴力だけでなく、さまざまな形があります。たとえば、以下のような行為も暴力に該当します。

【要注意な行為の例】
相手の携帯電話をチェックする、友人との付き合いを制限する、生活費を渡さない、収入を自分の口座に入れることを強要する、といった行為です。

「これくらいなら大丈夫かな」と悩む方も多いのですが、このような行為が日常的に行われている場合、早急な対応が必要です。実際に私のカウンセリングでも、最初は「ただの夫婦げんか」だと思っていたケースが、専門家の目から見ると明らかなDVだったということは少なくありません。

3-2.修復の可能性を見極める

次に考えるべきなのが、夫婦関係の修復可能性です。離婚は最後の選択肢であり、修復の可能性がある場合は、まずその道を探ることをお勧めします

たとえば、私がカウンセリングで出会った40代の夫婦のケースをお話しします。妻は夫の仕事中心の生活に強い不満を持ち、離婚を考えていました。しかし、カウンセリングの場で互いの気持ちを話し合う機会を持ったところ、夫は妻の気持ちに気づいていなかっただけで、家族を大切に思う気持ちは変わっていないことが分かりました。

その後、夫は定時退社の日を作り、家族との時間を意識的に持つようになりました。このように、お互いの気持ちをしっかりと話し合える関係であれば、修復の可能性は十分にあります

ただし、以下のような場合は修復が難しいケースが多いことも、知っておく必要があります。

【修復が困難なケース】
一方的に話し合いを拒否される、約束を繰り返し破られる、相手に治療や改善の意思が全くない、といった場合です。このような状況では、修復にこだわりすぎず、決断を先送りにしないことも大切です。

続いて、子どもへの影響と経済面での自立可能性という、さらに重要な2つのポイントについて見ていきましょう。

3-3.子どもへの影響を考える

DVや修復の可能性を確認したら、次に考えるべき重要なポイントが、子どもへの影響です。多くの方が「子どものために我慢すべきか」と悩みますが、実は不健全な夫婦関係の方が子どもに大きな影響を与える可能性があります

私のカウンセリングでお会いしたある女性は、小学生の頃、両親が毎日のように言い争う家庭で育ちました。その方は「子どものために別れなかった」という両親の選択について、「むしろ毎日の言い争いの方が辛かった。もっと早く決断して欲しかった」と話してくれました。

このように、「子どものため」という判断は慎重に考える必要があります。子どもにとって本当に必要なのは、安全で安心できる環境なのです。

たとえば、以下のような状況では、むしろ離婚を決断する方が子どものためになる可能性があります。

【子どもの心身の安全が脅かされる状況】
毎日のように夫婦喧嘩が起きている、子どもの前で相手を非難する言葉を投げかけ合っている、暴力を子どもが目撃している、といった場合です。このような環境は、子どもの心に深い傷を残すことがあります。

また、離婚を決断する場合は、子どもへの伝え方も重要です。私のカウンセリングでは、子どもの年齢や理解力に応じた説明の仕方についても、具体的なアドバイスをさせていただいています。

3-4.経済面での自立可能性を確認する

最後に確認すべき重要なポイントが、経済面での自立可能性です。経済的な不安は多くの方が抱える悩みですが、実は想像以上に選択肢や支援制度が存在します

たとえば、私のカウンセリングに来られた専業主婦の方は、当初「収入がないから離婚できない」と考えていました。しかし、以下のような具体的な計画を立てることで、自立への道筋が見えてきました。

【具体的な経済プランの例】
まず、養育費や婚姻費用の請求により、基本的な生活費を確保します。その上で、職業訓練校で資格を取得し、子どもの保育園入園と同時に就職するというプランを立てました。これにより、段階的に経済的自立を目指すことができました。

実際、母子家庭への支援制度は充実しています。児童扶養手当、就職のための職業訓練制度、住宅支援など、知っているのと知らないのとでは、選択できる可能性が大きく変わってきます

もちろん、経済的な自立は簡単なことではありません。しかし、きちんと計画を立て、利用できる制度を確認することで、道は必ず開けます。

このように4つのポイントをしっかりと確認することで、より良い決断への準備が整ってきます。次の章では、実際の決断に向けて必要な具体的な準備について、お伝えしていきます。

4.後悔のない決断をするための準備

ここまで、離婚の決断に必要なステップと確認ポイントについて見てきました。実際に決断を下す前に、もう一つ大切な準備があります。それは、決断後の生活をスムーズにスタートさせるための具体的な準備です。

4-1.決断前の記録と証拠の保管

まず最初に行うべきことは、日々の出来事の記録と必要な証拠の保管です。後悔のない決断のためには、感情的な判断ではなく、事実に基づいた判断が重要だからです。

具体的な記録方法についてお話しします。私のクライアントの多くは、スマートフォンのメモ機能を活用しています。日付、出来事、その時の気持ちを簡単にメモしておくだけでも、後で状況を整理する際に大きな助けとなります。

また、以下のような資料は必ず保管しておきましょう。

【保管が必要な資料】
収入に関する資料として、源泉徴収票や給与明細、預貯金通帳のコピーがあります。また、ローンの返済予定表や、生命保険の証券なども重要です。これらの資料は、別居や離婚の際の取り決めに必要となります。

4-2.相談できる専門家を見つける

次に重要なのが、信頼できる専門家との関係づくりです。離婚の過程では、法律、心理、経済など、様々な専門家のサポートが必要となります

たとえば、私のカウンセリングに来られたあるクライアントは、最初は弁護士に相談することに抵抗がありました。しかし、一度相談してみると「こんなに親身に話を聞いてもらえるとは思わなかった」と安心されました。

専門家との関係は、以下のような段階を踏んで築いていくことをお勧めします。

【専門家との関係構築のステップ】
まずは電話やメールでの問い合わせから始めましょう。その際、初回相談の料金体系や、相談時間の目安を確認します。そして実際に会って話をする中で、その専門家があなたに合っているかどうかを判断していきます。

4-3.支援制度の確認と利用の検討

最後に必要なのが、利用可能な支援制度の確認です。支援制度は意外と充実していますが、知らないために活用できていないケースが非常に多いのが現状です。

たとえば、私のカウンセリングでお会いした30代の女性は、区役所の相談窓口で母子家庭向けの支援制度について詳しく説明を受けました。その結果、職業訓練給付金を利用して資格を取得し、新しい仕事を始めることができました。

具体的な支援制度には以下のようなものがあります。

【主な支援制度】
経済面では、児童扶養手当や生活保護制度があります。また、住居については母子生活支援施設や公営住宅の優先入居制度があります。就労支援としては、職業訓練制度や就労支援給付金なども用意されています。

これらの情報は、お住まいの地域の福祉事務所や児童相談所で詳しく知ることができます。一人で抱え込まず、積極的に情報を集めていくことが大切です。

このように、具体的な準備を整えることで、決断後の生活をよりスムーズにスタートすることができます。次の章では、これまでの内容を踏まえた上で、最後に大切なメッセージをお伝えしたいと思います。

5.おわりに

ここまで、離婚の決断に悩む方のために、具体的なステップや確認ポイント、そして必要な準備についてお伝えしてきました。

最後に、もう一度お伝えしたいことがあります。離婚を決断できないことは、決して弱さや優柔不断さの表れではありません。むしろ、慎重に考え、よりよい決断を目指そうとする、大切な心の働きなのです。

私は20年以上、多くの夫婦の相談に携わってきました。その経験から言えることは、人生の重要な決断には、それぞれに適切なタイミングがあるということです。焦って結論を出す必要はありません。

たとえば、私のカウンセリングに来られた方の中には、半年以上悩んだ末に離婚を決断された方もいれば、カウンセリングを通じて関係修復の道を選ばれた方もいます。どちらの選択も、その方にとっての正しい決断だったのです。

大切なのは、この記事でお伝えした以下のポイントを意識しながら、あなたなりのペースで考えを進めていくことです。

  • 現状を客観的に把握すること
  • 必要な情報をしっかりと集めること
  • 具体的な準備を進めること
  • 一人で抱え込まず、専門家に相談すること

そして最も重要なことは、あなたは決して一人ではないということです。必ず道は開けます。そのことを、20年以上の経験を持つカウンセラーとして、自信を持ってお伝えできます。

もし今、まだ迷いや不安を感じているのであれば、まずは専門家に相談してみることをお勧めします。きっと、あなたの心に寄り添いながら、より良い選択への道筋を示してくれるはずです。

あなたらしい、そして後悔のない決断ができることを、心より願っています。

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