突然、夫や妻から離婚したいと言われて、頭が真っ白になっていませんか。心臓がドキドキして手が震えたり、涙が止まらなかったり、何をどう考えればいいのか分からなくなったりしているかもしれません。
その反応は、決しておかしなものではありません。大切な人から思いもよらない言葉を聞いたとき、心と体がパニックになるのはとても自然なことです。
自分のせいで家族が壊れてしまうと、自分を責めている人もいるかもしれません。けれども、夫婦の関係は二人で作ってきたものです。今はあなた一人が責任を背負いこまなくて大丈夫です。
私は夫婦関係修復コーチとして、20年以上にわたり夫婦の悩みに向き合い、1万組を超える夫婦の関係修復をサポートしてきました。その中には、離婚を切り出されたところから関係を立て直した夫婦がたくさんいます。
その経験から、結論を先にお伝えしておきます。離婚したいと言われてパニックになったときは、その場で返事をせず、深呼吸で心と体を落ち着かせ、離婚届には署名しないことが最優先です。
そして、離婚したいと言われた今が、夫婦の終わりと決まったわけではありません。たとえ相手が話し合いに応じてくれなくても、あなた一人から始められることがあります。ただし、パニックのまま動くと、修復の芽を自分でつんでしまうこともあります。
- 離婚したいと言われてパニックになったとき、まずやるべきこと
- パニックのときにやってしまいがちなNG行動と、してしまった後の立て直し方
- 相手が離婚したいと言った本当の気持ちと、修復の可能性があるサイン
- 相手が話し合いに応じなくても、一人から始められる関係修復のステップ
- 一人で抱え込まないために知っておきたい相談先
1.離婚したいと言われてパニックになったら、まずやるべき4つのこと
離婚したいと言われた直後は、何から手をつければいいのか分からなくなるものです。ここでは、パニックになっている今だからこそやってほしい4つのことを、やる順番にお伝えします。
- 今は結論を出さなくていいと自分に許してあげる
- 深呼吸で体から落ち着きを取り戻す
- その場で返事をせず「考える時間がほしい」と伝える
- 離婚届には絶対に署名しない
1-1.今は結論を出さなくていいと自分に許してあげる
離婚したいと言われた直後は、今すぐ何か答えを出さなければと焦ってしまうものです。けれども、最初にやってほしいのは、今は結論を出さなくていいと自分に許してあげることです。
パニックの状態では、頭の中が不安でいっぱいになり、冷静な判断ができません。その状態で、離婚するかしないか、どう返事をするかを決めようとすると、後悔する選択をしてしまいやすくなります。
それに、日本では夫婦の両方が合意しなければ、話し合いによる離婚(協議離婚)は成立しません。相手に言われたその日のうちに、離婚が決まってしまうわけではないのです。つまり、あなたには考える時間があります。
具体的には、心の中で、あるいは小さな声で、自分にこう言い聞かせてみてください。
「今日は何も決めなくていい。まずは落ち着くことが先」
よくある失敗は、眠れない夜に一人で考え続け、朝までに答えを出そうとすることです。夜は不安が大きくなりやすく、悪い方へ悪い方へと考えが進んでしまいます。今夜は答えを出す夜ではなく、心を休ませる夜だと考えてください。
1-2.深呼吸で体から落ち着きを取り戻す
自分に許しを出せたら、次は体から落ち着きを取り戻します。パニックのときは、気持ちだけを何とかしようとしても、なかなかうまくいきません。体が緊張したままだと、心も落ち着かないからです。
強い不安を感じると、呼吸が浅く速くなり、心臓の鼓動も早くなります。この状態が続くと、さらに不安が強まるという悪い流れができてしまいます。そこで、呼吸を意識してゆっくりにすることで、体の側から緊張をゆるめていきます。
やり方はとても簡単です。椅子に座るか横になり、鼻からゆっくり息を吸って、口から細く長く吐き出します。吸う時間よりも吐く時間を長めにするのがコツで、これを数分ほど繰り返します。
あわせて、温かい飲み物をゆっくり飲む、肩をぐるぐる回す、顔を洗うといった行動もおすすめです。体を少し動かしたり温めたりするだけでも、頭の中の混乱が少しずつ静まっていきます。
注意してほしいのは、相手のいる部屋で無理に落ち着こうとしないことです。相手の顔を見るたびに気持ちが乱れるなら、トイレやお風呂、外の空気が吸える場所など、一人になれる場所へ少し移動してください。それは逃げではなく、自分を守るための大切な行動です。
1-3.その場で返事をせず「考える時間がほしい」と伝える
少し落ち着いてきたら、次は相手への返事です。離婚を切り出されたときは、その場で結論を言わず、考える時間がほしいと落ち着いて伝えてください。この伝え方なら、相手の気持ちを否定せず、自分の本心も守ることができます。
その場で返事をしないほうがいいのは、パニックの中での返事が、本心とは違う言葉になりやすいからです。例えば、勢いで「分かった、離婚すればいいんでしょ」と言ってしまったり、反対に「絶対に嫌だ」と強く拒んで相手を追い詰めてしまったりします。
どちらも、あとから取り消すのがとても難しい言葉です。だからこそ、次のように短く伝えるだけにしておきます。
「すごく驚いてて、今はちゃんと考えられない。大事なことだから、少し時間がほしい」
相手から「いつまで待てばいいの?」と聞かれたときは、「一週間くらい考えさせてほしい」というように目安を伝えると、受け入れてもらいやすくなります。
相手がその日のうちに家を出ようとすることもあります。そのときは、玄関に立ちふさがったり荷物を取り上げたりして、無理に引き止めないでください。もみ合いになると、相手の気持ちはさらに離れてしまいます。
代わりに、連絡の取り方だけは静かに確認しておきます。
「分かった。子どものこともあるから、連絡だけは取れるようにしておいてほしい」
よくある失敗は、時間をもらったあとに、相手を説得するための材料集めに走ってしまうことです。考える時間は、相手を言い負かすためではなく、自分の気持ちと相手の気持ちを整理するために使ってください。
1-4.離婚届には絶対に署名しない
返事を保留したとしても、相手がすでに離婚届を用意している場合があります。目の前に離婚届を出されて、記入するよう迫られることもあるかもしれません。そのような場面でも、離婚届には絶対に署名しないでください。
離婚届は、一度提出されて受理されると、あとから取り消すのはとても大変です。パニックの中で、早く楽になりたい、言う通りにすれば嫌われずにすむと思い、署名してしまう人は少なくありません。けれども、それは本心からの決断ではないはずです。
署名を求められたときは、静かにこう伝えてください。
「今の気持ちのままでは書けない。もう少しだけ時間がほしい」
大声で拒んだり、離婚届を破ったりすると、相手の気持ちをさらにかたくしてしまいます。落ち着いた声で、短く伝えるだけで十分です。
相手が勝手に離婚届を出すのではと不安な場合や、すでに署名してしまったけれどまだ提出されていない場合は、法務省が案内している離婚届の不受理申出という制度があります。本人の意思に基づかない離婚届が受理されるのを防ぐための仕組みです。
不受理申出は夫と妻のどちらからでもでき、本籍地か住所地などの市区町村役場で、原則として本人が窓口で申し出ます。手数料はかからず、自分で取り下げない限り効力が続きます。申出をしておけば、本人が窓口で届け出たことを確認できない離婚届は受理されません。
もし、すでに離婚届が提出されて受理されてしまった場合は、自分だけで何とかしようとせず、できるだけ早く弁護士に相談してください。状況によって取るべき手続きが変わるため、専門家の判断が必要になります。
なお、不受理申出は相手と戦うための道具ではなく、自分が落ち着いて考える時間を守るためのものです。わざわざ相手に申出をしたことを伝えて、対立を深める必要はありません。
2.パニックのときにやってしまいがちなNG行動と立て直し方
今すぐやるべきことが分かっても、パニックの中では、頭より先に体が動いてしまうものです。ここからは、離婚を切り出された直後にやってしまいがちな4つのNG行動と、立て直し方を見ていきます。
- 泣いてすがったり何度も謝ったりしてしまう
- 相手を責めたり理由を問い詰めたりしてしまう
- LINEや電話を何度も送ってしまう
- 親や友人を巻き込んで説得してもらおうとしてしまう
- すでにNG行動をしてしまった人が今日からできる立て直し方
- 今夜・この1週間・この1か月でやることチェックリスト
自分に当てはまるものがないか、確かめながら読んでください。
2-1.泣いてすがったり何度も謝ったりしてしまう
まず避けたいのが、泣いてすがったり、何度も謝ったりすることです。引き止めたい気持ちとは反対に、相手をかえって遠ざけてしまいます。代わりに、相手の気持ちを受け止めたことを、一度だけ落ち着いて伝えれば十分です。
泣いてすがるのが逆効果なのは、離婚を切り出した側が、多くの場合、長い時間をかけて悩んだ末に言葉にしているからです。そこへすがられると、相手は重さや罪悪感を感じ、早く離れたいと思ってしまうことがあります。
また、何度も謝る姿は、相手からすると、何が悪かったのか分かっていないのに謝っているように見えます。「全部私が悪かった、直すから」と繰り返されても、言葉だけで中身がないと感じてしまうのです。
大切なのは、謝ることそのものではなく、謝り方です。今の段階では、次のような短い言葉で構いません。
「そこまでつらい思いをさせてたんだね。ちゃんと考えたい」
涙が出てしまうこと自体は悪いことではありません。泣きそうになったら、無理にその場にいないで、一度部屋を離れて気持ちを落ち着かせてください。感情を相手にぶつけないことが、今のあなたにできる一番の思いやりです。
2-2.相手を責めたり理由を問い詰めたりしてしまう
泣いてすがるのとは反対に、相手を責めたり理由を問い詰めたりするのも逆効果です。理由を知りたいときは、問い詰めるのではなく、相手が話したくなったときに話せる空気をつくり、話してくれたら最後まで聞いてください。
問い詰めるのがよくないのは、相手からすれば、やっと言えた気持ちを否定されたように感じるからです。突然の言葉にショックを受けて怒りがこみ上げるのは自然なことですが、その怒りをぶつけると相手は心を閉ざしてしまいます。
「なんで今さらそんなこと言うの?誰か好きな人でもできたの?」
このように詰め寄られると、相手はやっぱりこの人とは話し合えないと感じ、離婚の気持ちをさらに強めてしまうことがあります。
相手が理由を話してくれたときは、途中で反論しないことが大切です。言い返したくなっても、まずは「そう感じてたんだね」と受け止めることに集中します。正しいかどうかを判断するのは、もっとあとで構いません。
もし浮気などが疑われる場合も、今は証拠を突きつけて責める時期ではありません。感情のままにぶつかると、事実を確かめる前に関係がこじれてしまいます。気になることがあっても、まずは自分の心を落ち着かせることを優先してください。
2-3.LINEや電話を何度も送ってしまう
相手が家を出ていったり、話してくれなかったりすると、LINEや電話を何度も送ってしまいがちですが、これも避けたい行動です。連絡は、子どものことや生活に必要なことなど、本当に必要な用件だけを短く伝えるのが基本です。
何度も連絡するのが逆効果なのは、相手にとって、追い詰められている感覚を強めるだけだからです。長文のLINEや鳴り続ける電話は、愛情ではなく重さや圧力として伝わってしまいます。相手が離れたいと感じているときほど、追いかけるとさらに遠ざかるものです。
返事が来ないと不安がふくらみ、また送ってしまうという悪い流れにも入りやすくなります。だからこそ、連絡は感情をのせずに淡々と伝えます。
「明日の保育園のお迎え、私が行くね」
このような短い連絡の方が、相手も安心して返事をしやすくなります。
どうしても気持ちを伝えたくなったときは、送る前にスマホのメモなどに書いてみて、一晩おいてから読み返してください。多くの場合、翌朝には送らなくてよかったと感じるはずです。書くことで気持ちが整理されるので、それだけでも心は少し楽になります。
2-4.親や友人を巻き込んで説得してもらおうとしてしまう
一人で抱えきれなくなると、親や友人に相手の説得を頼みたくなりますが、これは関係を大きくこじらせてしまう行動です。つらい気持ちを聞いてもらうのは構いませんが、相手を説得してもらったり、相手に連絡してもらったりはしないでください。
第三者を巻き込むのがよくないのは、相手が責められている、追い込まれていると感じるからです。特に、相手の親に説得をお願いすると、自分の気持ちを無視して周りから固めようとしていると受け取られ、強い反発を招きやすくなります。相手の親を巻き込むのは避けてください。
また、自分の親や友人に相手の悪口を言うと、周りの人も相手を悪く見るようになります。あとで夫婦の関係が修復しても、周りとの関係にしこりが残ってしまうことがあります。
相手の親から連絡が来た場合は、事情を詳しく話しすぎず、丁寧に受け止めるだけにしておきます。
「ご心配をおかけしてすみません。今は二人でしっかり考えているところなので、もう少し見守っていただけるとありがたいです」
このように伝えると、相手の親も安心し、相手との関係もこじれにくくなります。
2-5.すでにNG行動をしてしまった人が今日からできる立て直し方
ここまで読んで、「もう全部やってしまった」と落ち込んでいる人もいるかもしれません。けれども、安心してください。NG行動をしてしまったからといって、それで夫婦の関係が終わるわけではありません。
私がこれまで関わってきた夫婦の中にも、最初は泣いてすがったり、相手を激しく責めたりしていた人がたくさんいます。それでも、そのあとの行動を変えたことで、少しずつ関係を立て直していきました。大切なのは、これまでの行動ではなく、ここからの行動です。
立て直しの第一歩は、取り乱してしまったことを、一度だけ短く謝ることです。言い訳や長い説明はいりません。
「この前は取り乱してごめん。これからは落ち着いて考えるね」
そして、謝ったあとは、その言葉通りに過ごすことが何よりも大切です。連絡の回数を減らす、相手を問い詰めない、家の中で穏やかにふるまう。こうした変化を、言葉ではなく態度で見せ続けてください。
よくある失敗は、謝ったあとすぐに「だからもう一度考え直してほしい」と返事を求めてしまうことです。これでは、謝罪が引き止めるための手段に見えてしまいます。謝罪は一度だけにして、あとは態度で示すことを心がけてください。
2-6.今夜・この1週間・この1か月でやることチェックリスト
ここまでの内容を、いつ何をすればいいのか、何をしないほうがいいのかという流れで、次の表に整理しました。頭がうまく働かないときは、この表だけを見返してください。
| ▼離婚したいと言われた後の時期別チェックリスト | ||
| 時期 | やること | やらないこと |
|---|---|---|
| 今夜 | ・何も決めずに体を休める ・深呼吸で心と体を落ち着かせる ・相手には考える時間がほしいとだけ伝える |
・離婚届に署名する ・その場で返事をする ・泣いてすがる、問い詰める |
| この1週間 | ・連絡は必要な用件だけにする ・取り乱した場面があれば一度だけ短く謝る ・不安なら離婚届の不受理申出を済ませる |
・LINEや電話を何度も送る ・親や友人に説得を頼む ・何度も謝り続ける |
| この1か月 | ・家の中で穏やかに過ごす ・修復の可能性があるサインを確かめる ・自分のふるまいを振り返り始める ・つらいときは相談先を頼る |
・夫婦の今後の話をこちらから持ち出す ・相手の反応に一喜一憂する ・一人で抱え込む |
特に大切なのは、最初の1週間でNG行動を重ねないことです。ここで状況を悪化させなければ、その後の関係修復をずっと進めやすくなります。
一人で抱えるのがつらいと感じたら、この1か月のうちに相談先を頼ってください。早めに相談するほど、遠回りせずに関係修復を進めやすくなります。
3.相手はなぜ「離婚したい」と言ったのか?本音を知って希望を見つける
少し落ち着きを取り戻せたら、次は相手の気持ちに目を向けてみます。相手がなぜ離婚したいと言ったのかを知ることは、修復への希望を見つけるための大切な手がかりになります。
3-1.離婚を切り出すまでに相手が一人で抱えてきた気持ち
離婚したいという言葉は、ある日突然、思いつきで出てきたものではないことがほとんどです。あなたにとっては突然でも、相手の中では、長い時間をかけて少しずつ気持ちが積み重なってきたのです。
多くの場合、その始まりは小さな不満です。話を聞いてもらえない、感謝されない、家事や育児を一人で抱えている、お金の使い方や価値観が合わない。こうした小さなすれ違いが重なり、何度か伝えたのに分かってもらえなかったという失望に変わっていきます。
また、相手に好きな人ができている場合もあります。ただ、その場合でも、多くはその前から夫婦の間に心の距離が生まれていたことがきっかけになっています。大切なのは、表に見える理由だけでなく、その奥にある寂しさや不満に目を向けることです。
そして、伝えてもどうせ変わらないと感じるようになると、人は不満を口にしなくなります。表面上は穏やかに見えても、心の中では静かに距離が広がっていきます。離婚を切り出すのは、その距離がどうにもならないほど大きくなったと感じたときです。
ここで大切なのは、相手を責めるのでも、自分を責めすぎるのでもなく、相手が一人でつらさを抱えてきたことを理解しようとする姿勢です。人は、自分の気持ちを本当に分かってもらえたと感じたとき、はじめて心を開き直すことができます。
例えば、ある夫は、妻から離婚を切り出されたとき、理由にまったく心当たりがありませんでした。ところが、少し時間がたってから振り返ると、妻が育児の大変さを話そうとするたびに、仕事の疲れを理由に聞き流していたことに気づいたのです。こうした気づきこそが、関係修復の出発点になります。
3-2.「離婚したい」が最終決定とは限らない理由
相手の気持ちを理解しようとすると、もう本気で嫌われているのではと怖くなるかもしれません。けれども、離婚したいという言葉が、そのまま最終決定とは限りません。
その理由の一つは、離婚したいという言葉の裏に、分かってほしいという気持ちが隠れていることが多いからです。これまで何度伝えても届かなかった思いを、最も強い言葉でぶつけている場合もあります。言葉の強さは、それだけ苦しかったことの表れでもあるのです。
二つ目の理由は、人の気持ちは変わるということです。離婚を切り出した時点では、相手の心は離れているかもしれません。しかし、あなたの接し方が変われば、相手の受け止め方も少しずつ変わっていきます。私はこの仕事を続ける中で、離婚寸前から関係を取り戻した夫婦を何組も見てきました。
三つ目の理由は、1-1でお伝えした通り、二人の合意がなければ話し合いによる離婚は成立しないため、関係を立て直すための時間が残されていることです。
ただし、相手の言葉を軽く受け止めてよいという意味ではありません。相手が本気で悩んでいることは事実として受け止めたうえで、それでもまだ終わりではないと考えてください。言葉の重さは受け止めつつ、希望は手放さない。この両方を持つことが、修復への道を開いていきます。
3-3.修復の可能性が残っている夫婦に見られる3つのサイン
では、修復の可能性が残っているかどうかは、どこで見分ければいいのでしょうか。私がこれまで多くの夫婦を見てきた中で、関係を立て直せた夫婦には、共通して見られるサインがあります。
- 必要な会話や連絡がまだ続いている
- 離婚したい理由や不満を話してくれる
- 家族としての役割や習慣を続けている
それでは、それぞれのサインについて詳しく見ていきます。
必要な会話や連絡がまだ続いている
離婚を切り出されたあとも、子どもの予定や生活のことなど、必要な会話や連絡が続いているなら、それは大切なサインです。相手が完全に心を閉ざしているなら、会話そのものを避けるようになるからです。
たとえ短いやり取りでも、返事が返ってくるということは、相手の中にまだあなたとつながる気持ちが残っているということです。このやり取りを穏やかで心地よいものにしていくことが、関係を立て直す土台になります。
注意したいのは、会話が続いていることに安心して、すぐに夫婦関係の話を持ち出してしまうことです。せっかくのつながりを重くしないよう、今は日常の何気ない会話を大切にしてください。
離婚したい理由や不満を話してくれる
相手が離婚したい理由や不満を話してくれるなら、それも修復の可能性があるサインです。本当にどうでもいい相手には、人はわざわざ不満を伝えようとはしません。
不満を口にするということは、まだあなたに分かってほしい、変わってほしいという気持ちがどこかに残っているということです。耳が痛い言葉であっても、関係を立て直すための大切なヒントだと受け止めてください。
相手の不満に言い返したり、言い訳をしたりすると、相手はやはり話しても無駄だと感じ、口を閉ざしてしまいます。まずは最後まで聞くことを大切にしてください。
家族としての役割や習慣を続けている
同じ家で暮らし続けている、子どもの行事には一緒に参加している、食事を用意してくれる。このように、家族としての役割や習慣を続けているなら、相手の心には家族を大切に思う気持ちが残っています。
本当に関係を終わらせると決めている人は、少しずつ家族としての役割から手を引いていくものです。役割を続けているのは、迷いや、家族を壊したくないという思いがある表れでもあります。
こうした相手の行動を当たり前と思わず、ありがとうの気持ちを言葉で伝えてみてください。小さな感謝の積み重ねが、相手の気持ちを少しずつやわらげていきます。
ここまで3つのサインを見てきましたが、今はほとんど当てはまらなかったという人も、すぐにあきらめる必要はありません。あなたの接し方しだいで、これらのサインはこれから少しずつ戻ってくることがあります。
一方で、相手から暴言や威圧的な態度、暴力を受けている場合は、関係修復よりも、あなた自身の安全を守ることを最優先にしてください。その場合の相談先については、後ほど詳しくお伝えします。
4.相手が話し合いに応じなくても大丈夫!一人から始める関係修復の5ステップ
相手の気持ちと修復の可能性が見えてきたら、いよいよ関係を立て直すための行動に移ります。とはいえ、相手が話し合いに応じてくれないと、何もできないと感じてしまうかもしれません。
でも、大丈夫です。夫婦の関係は、どちらか一人が変わるだけでも確かに動き始めます。相手が変わるのを待たず、あなたが先に一歩を踏み出すことが、もう一度笑い合える夫婦に戻るためのいちばん確かな道です。
ここでは、私がこれまで多くの夫婦と取り組んできた5つのステップを、順番にお伝えします。
- ステップ1:最初の数週間は穏やかに過ごすことだけに集中する
- ステップ2:相手を責めずに自分のふるまいを振り返る
- ステップ3:毎日の小さな言葉と態度を少しずつ変えていく
- ステップ4:相手が安心できる距離感を保ち続ける
- ステップ5:時期を見て「離婚したくない」という気持ちを伝える
なお、夫婦関係の修復には、多くの場合、少なくとも1年ほどの時間がかかります。長い年月をかけて広がった心の距離は、すぐには縮まらないからです。焦らず、一歩ずつ進めていくことを前提に読んでください。
4-1.ステップ1:最初の数週間は穏やかに過ごすことだけに集中する
最初のステップは、最初の数週間は穏やかに過ごすことだけに集中することです。何か特別なことをしようとするより、まずは家の中の空気を落ち着かせることが先です。
離婚を切り出した直後の相手は、あなたがどう反応するかを身構えて見ています。責められるのではないか、引き止められるのではないかと緊張している状態です。そこへ穏やかな態度で接すると、相手の緊張が少しずつほぐれていきます。
具体的には、いつも通りのあいさつをする、食事や家事を淡々とこなす、相手の予定に口を出さないといった、ごく普通の生活を続けます。夫婦の今後についての話は、この期間はこちらからは持ち出しません。
子どもがいる場合は、子どもの前で言い争ったり、相手の悪口を言ったりしないことも大切です。子どもは親の様子に敏感で、家の空気が変わるとすぐに気づきます。様子がおかしいと聞かれたときは、子どもを安心させる言葉を返してください。
「パパとママ、ちょっと大事な話をしてるんだ。でも、あなたのことが大好きなのは変わらないからね」
子どもに夫婦の事情を詳しく話したり、どちらの味方か選ばせたりするのは避けてください。子どもが安心して過ごせる家であることは、相手にとっても、この家族を大切にしたいと感じるきっかけになります。
よくある失敗は、穏やかにふるまいながらも、相手の反応を一つひとつ気にしてしまうことです。返事がそっけなくても、表情が硬くても、一喜一憂しないでください。この時期の目的は相手を変えることではなく、あなたが落ち着いた存在でいることです。
また、この時期は自分の生活リズムを整えることも大切です。きちんと眠り、食べ、できる範囲で外の空気を吸う。あなたの心が安定してこそ、次のステップに進む力がわいてきます。
4-2.ステップ2:相手を責めずに自分のふるまいを振り返る
家の中の空気が少し落ち着いてきたら、次は自分のふるまいを振り返ります。ここで大切なのは、相手を責める材料を探すのではなく、自分がどう関わってきたかに目を向けることです。
なぜなら、相手を変えることはできなくても、自分を変えることはできるからです。夫婦の関係は、二人のやり取りの積み重ねでできています。あなたのふるまいが変われば相手の反応も変わり、関係そのものが動き始めます。
振り返るときは、次の3つの質問を自分に投げかけてみてください。
- 相手の話を最後まで聞けていたか
- 相手への感謝を言葉にしていたか
- 相手から言われた不満を受け止めていたか
それでは、それぞれの質問について見ていきます。
相手の話を最後まで聞けていたか
相手が話しているときに、途中で自分の意見を言ったり、スマホを見ながら聞き流したりしていなかったかを思い出してください。特に、相手が悩みや疲れを打ち明けてきた場面を振り返ると、気づきが得やすくなります。
相手への感謝を言葉にしていたか
家事や仕事、子育てなど、相手がしてくれていることを当たり前だと思っていなかったかを振り返ります。最後にありがとうと伝えたのはいつだったか、思い出してみてください。
相手から言われた不満を受け止めていたか
これまでに相手から言われた不満を書き出し、そのとき自分が言い返したり、聞き流したりしていなかったかを確かめます。何度も言われていた不満ほど、相手にとって大切だった可能性があります。
3つの質問の答えは、次のワークシートに書き込んでみてください。頭の中で考えるだけでなく、書き出すことで、明日から変えることがはっきり見えてきます。
| ▼自分のふるまい振り返りワークシート | ||
| 振り返りの質問 | 思い当たる場面 | 明日から変えること |
|---|---|---|
| 記入例:相手の話を最後まで聞けていたか | 疲れたと話しかけられても、テレビを見ながら返事をしていた | 話しかけられたら手を止め、相手の顔を見て聞く |
| 相手の話を最後まで聞けていたか | ||
| 相手への感謝を言葉にしていたか | ||
| 相手から言われた不満を受け止めていたか | ||
右の列に書いた内容が、次のステップ3で毎日続けていく行動になります。最初から完璧に埋めようとせず、思いついたところから少しずつ書き足してください。
もちろん、相手にも悪いところがあったと感じることもあるはずです。それでも今は、自分が変えられる部分に集中してください。そのほうが、ずっと早く状況が動き出します。
注意してほしいのは、振り返りが自分を責める作業にならないようにすることです。全部自分が悪かったと落ち込む必要はありません。責めるためではなく、これからを変えるために振り返る。この気持ちで取り組んでください。
4-3.ステップ3:毎日の小さな言葉と態度を少しずつ変えていく
振り返りで気づいたことは、毎日の小さな言葉と態度に少しずつ反映していきます。大きく変わろうとする必要はありません。小さな変化を毎日続けることが、相手の心を動かす一番の近道です。
人は、一度の大きな出来事よりも、毎日の小さな積み重ねで相手への印象を決めていきます。どれだけ立派な言葉で反省を伝えても、日々の態度が変わらなければ相手には届きません。逆に、小さな変化でも続いていれば、相手は少しずつ気づいていきます。
始めやすいのは、ありがとうを伝えることです。ゴミを出してくれた、子どもを見てくれたといった当たり前に思えることにも、短く感謝を伝えます。
「ゴミ出してくれたんだ、ありがとう」
あわせて、相手が話しかけてきたときはスマホから目を離し、うなずきながら最後まで聞くことも大切です。話を聞いてもらえたという実感は、相手の心を少しずつほぐしていきます。
一度にたくさんのことを変えようとすると、長続きしません。まずは一つか二つに絞り、それが自然にできるようになったら、少しずつ増やしていってください。
よくある失敗は、変化に気づいてもらおうとして、アピールしてしまうことです。「最近がんばってるでしょ」と伝えたくなる気持ちは分かりますが、相手からすると見返りを求められているように感じます。相手が気づくまで、静かに続けることが大切です。
4-4.ステップ4:相手が安心できる距離感を保ち続ける
言葉と態度を変えていく中で、同時に意識してほしいのが距離感です。相手が安心できる距離を保ち続けることが、関係を立て直すうえでとても大切になります。
離婚を考えている相手は、あなたに近づかれることに、まだ警戒心を持っています。そこで急に距離を縮めようとすると、相手は息苦しさを感じ、かえって離れていってしまいます。近づきすぎず、離れすぎず、相手のペースに合わせることがポイントです。
具体的には、相手が一人で過ごしたいときはそっとしておく、予定や行き先をしつこく聞かない、スキンシップを無理に求めないといったことです。その一方で、あいさつや感謝、必要な会話はきちんと続け、心のつながりは切らさないようにします。
相手が別居している場合も同じです。連絡は必要なことを短く伝える程度にとどめ、相手から連絡が来たときは、責めずに穏やかに返します。会いたい気持ちを押しつけないことが、相手の安心につながります。
よくある失敗は、相手の態度が少しやわらいだときに、うれしくなって一気に距離を詰めてしまうことです。せっかく戻りかけた信頼が、また遠のいてしまいます。相手から近づいてくるのを待つくらいの気持ちでいてください。
4-5.ステップ5:時期を見て「離婚したくない」という気持ちを伝える
離婚したくないという気持ちは、相手の態度がやわらいだ状態がしばらく続いてから、返事を求めずに短く伝えます。伝えてよい時期の目安は、相手が笑顔を見せる、一緒に食事をする、雑談が自然にできる、という3つの状態が続いていることです。
これまでのステップを何か月も続けていくと、こうした変化が少しずつ見えてきます。それでも、変化が続いているのを確かめてから伝えるのは、相手の気持ちが落ち着く前に伝えると、また引き止められていると受け取られてしまうからです。
伝えるときは、責める言葉や条件をつけず、自分の気持ちと反省、そしてこれからの思いを短く伝えます。
「この1年、自分のことをたくさん振り返ってた。つらい思いをさせてきたこと、本当にごめんね。やっぱり私は、これからもあなたと一緒にいたいと思ってる。答えは急がなくていいから、気持ちだけ知っておいてほしい」
大切なのは、その場で返事を求めないことです。相手にも、気持ちを整理する時間が必要です。すぐに良い返事がもらえなくても、それで終わりではありません。
相手がまだ迷っているようなら、無理に答えを引き出そうとせず、これまで通り穏やかな毎日を続けてください。気持ちを伝えたことで、相手の中にも関係を考え直すきっかけが生まれています。
4-6.妻が一人で始めて1年かけて夫婦関係を取り戻した事例
ここまでのステップが実際にどのように進んでいくのか、私がサポートしたある妻の事例でご紹介します。
美香さん(仮名・30代後半)は、夫と小学生の子ども二人の四人暮らしでした。ある夜、夫から突然「もう一緒にいるのがつらい。離婚したい」と告げられました。美香さんはパニックになり、泣きながら何度も理由を問い詰めてしまいました。
その後、夫は話し合いを拒み、家の中では必要なこと以外話さなくなりました。美香さんは夫には内緒で私のもとへ相談に来て、一人で関係修復に取り組むことを決めました。
最初の数か月は、問い詰めてしまったことを一度だけ謝り、あとは穏やかに過ごすことに集中しました。振り返りの中では、夫の家事や子育てのやり方に口を出し、ダメ出しばかりしていたことに気づきました。そこで、口出しをやめ、ありがとうを伝えることを毎日続けました。
半年ほどたつと、夫から子どもの話をしてくるようになり、家族で食卓を囲む日も増えていきました。そして1年がたった頃、美香さんは離婚したくないという気持ちを静かに伝えました。
夫はすぐには答えませんでした。それでも美香さんが穏やかな毎日を続けていると、数か月後、夫のほうから「もう一度やり直してみたい」と言ってくれたのです。
この事例から分かるのは、最初にNG行動をしてしまっても、そこから行動を変えれば関係は立て直せるということです。そして、相手が変わる前に、自分が先に変わり続けたことが、夫の心を動かした一番の理由でした。
5.一人で抱え込まないために知っておきたい4つの相談先
ここまで、一人から始める関係修復のステップをお伝えしてきました。ただ、離婚を切り出されたつらさを、ずっと一人で抱え続ける必要はありません。
ここでは、状況に応じて頼ってほしい4つの相談先をご紹介します。まずは次の表で、今の自分に合う相談先を確かめてください。
| ▼状況別に選ぶ相談先の早見表 | ||
| 今の状況 | 頼る相談先 | そこでできること |
|---|---|---|
| 夫婦関係を修復したいが、何をすればいいか迷っている | 夫婦関係にくわしいカウンセラー | 相手に内緒で一人で相談し、今やるべきことを一緒に整理できる |
| 二人では話し合えない、話し合いを拒まれている | 家庭裁判所の円満調停 | 第三者を交えて、関係修復に向けた話し合いができる |
| 暴言や威圧、暴力があり、相手に恐怖を感じる | ・配偶者暴力相談支援センター ・DV相談ナビ(#8008) ・緊急時は110番 |
自分と子どもの安全を守るための相談や支援が受けられる |
| 眠れない、食べられない状態が続いている | ・厚生労働省が紹介する心の相談窓口 ・医療機関 |
電話やSNSで気持ちを聞いてもらえる、心の不調を相談できる |
当てはまる状況が見つかったら、その相談先を紹介している小見出しから読んでいただいて構いません。
5-1.夫婦関係を修復したいならカウンセラーに一人で相談する
夫婦関係を修復したいと考えているなら、まず頼ってほしいのが、夫婦関係の悩みにくわしいカウンセラーです。相手に内緒で、あなた一人で相談することができます。
一人で関係修復に取り組んでいると、このやり方で合っているのか、今は気持ちを伝えてもいい時期なのかと、迷う場面がたくさん出てきます。自分だけで判断していると、どうしても今までと同じやり方をくり返しがちです。今までと同じやり方では、同じ結果しか生まれません。
カウンセラーに相談すると、あなたの夫婦の状況に合わせて、今何をすればいいのか、何を避けるべきかを一緒に整理できます。相手の言葉の裏にある本音や、自分では気づきにくいふるまいのくせにも気づきやすくなります。
私のところに相談に来る方も、多くは夫か妻のどちらか一人です。相手に知られずに一人で通いながら少しずつ自分のふるまいを変え、関係を立て直していった方がたくさんいます。夫婦で一緒に行かなければ意味がない、ということはありません。
相談の前には、相手から言われた言葉、その前後にあった出来事、そして自分がどうしたいのかを、簡単にメモしておくと安心です。うまくまとまっていなくても構いません。メモがあるだけで、パニックの中でも自分の状況を伝えやすくなります。
カウンセラーを選ぶときは、話を聞くだけでなく、具体的な行動まで一緒に考えてくれるかどうかを大切にしてください。また、相手を悪者にして離婚をすすめるのではなく、関係修復を応援してくれるかどうかも確かめておくと安心です。
5-2.二人では話し合えないときは家庭裁判所の円満調停も選べる
相手が話し合いに応じてくれない、二人だけだとどうしても感情的になってしまう。そのような場合は、家庭裁判所の夫婦関係調整調停(円満)を利用する方法があります。円満調停は関係の修復を目指す話し合いで、離婚の条件などを話し合う離婚調停とは目的が違います。
裁判所の案内によると、円満調停は、夫婦関係が円満でなくなったときに、関係を元に戻すための話し合いをする手続きです。調停では夫婦の両方から事情を聞き、関係が悪くなった原因や、改善するための努力について話し合います。離婚したほうがよいか迷っている段階でも利用できます。
裁判所というと、離婚のための場所という印象があるかもしれません。けれども、このように関係を修復するための話し合いの場も用意されています。第三者が間に入ることで、二人きりでは言えなかった気持ちを落ち着いて伝えやすくなります。
ただし、調停を申し立てると、相手には裁判所から連絡が届きます。相手の気持ちがまだかたいうちに申し立てると、追い詰められたと感じさせてしまうこともあります。私としては、まずは一人で変わる取り組みを続け、それでも話し合いの場が必要なときに利用することをおすすめします。
なお、相手が家を出てしまい、生活費のことで困っている場合は、婚姻費用の分担請求調停という手続きもあります。生活の不安を減らすことは、落ち着いて関係修復に取り組むための土台にもなります。
5-3.暴言や威圧があるときは修復より自分の安全を優先する
ここまで関係修復をおすすめしてきましたが、すべての夫婦に当てはまるわけではありません。相手から暴言や威圧、暴力を受けているなら、修復よりもあなたの安全が最優先です。
内閣府の男女共同参画白書(令和8年版)によると、結婚したことがある人のうち25.1%が、配偶者から暴力を受けた経験があると答えています。女性では27.5%、男性では22.0%で、夫と妻のどちらにも起こりうる問題です。
また、同じ白書では、配偶者からの暴力に関する相談の約7割が、精神的な暴力を含む内容だったとされています。殴る、けるといった体への暴力だけでなく、怒鳴る、人格を否定する、行動やお金を厳しく制限するといった言動も、一人で抱え込まずに相談してよい悩みです。
相手の言動に恐怖を感じているなら、無理に穏やかにふるまって関係を修復しようとする必要はありません。全国の配偶者暴力相談支援センター(2026年3月現在で325か所)で相談できるほか、DV相談ナビ(#8008)に電話すると、近くの相談窓口につながります。
身の危険を感じたときは、ためらわずに110番してください。まずは自分と子どもの身を守ることを、何よりも先に考えてください。
自分が受けていることがDVにあたるのか分からない、という段階でも相談して構いません。自分の安全を守ることは、わがままでも逃げでもありません。
5-4.眠れない・食べられない状態が続くなら心の相談窓口を頼る
離婚を切り出されてしばらくたっても、眠れない、食事がとれない、仕事や家事が手につかない状態が続いているなら、心の相談窓口を頼ってください。
大きなショックを受けたあと、心や体が不調になるのは珍しいことではありません。ただ、その状態が長く続くと、関係修復に向き合う力もなくなってしまいます。夫婦の問題を解決することと、自分の心の健康を守ることは、分けて考えて構いません。
厚生労働省は、こころの不調や病気、医療機関、相談窓口などを紹介する情報を公開しており、「みんなのメンタルヘルス総合サイト」では心の不調について分かりやすく知ることができます。必要に応じて、心療内科や精神科などの医療機関を受診することも考えてください。
身近な人には話しにくい、誰にも相談できないというときは、厚生労働省が紹介している相談窓口を利用できます。こころの健康相談統一ダイヤルなどの電話相談のほか、LINEなどのSNSやチャットで相談できる窓口もあり、文字のほうが話しやすい人でも利用しやすくなっています。
もし、消えてしまいたい、生きているのがつらいという気持ちが少しでも浮かんだら、一人で抱えずに、すぐにこうした窓口や身近な人に連絡してください。あなたの心と体を守ることが、何よりも大切です。
6.離婚したいと言われた人からよくある質問
最後に、離婚したいと言われた方から特によくいただく質問にお答えします。
調停の場では、離婚したくない気持ちや、関係を立て直すために取り組んでいることを、落ち着いて伝えることができます。手続きや今後の見通しに不安がある場合は、弁護士に相談しておくと安心です。
ここで相手や相手の好きな人を責めると、相手はますます家庭から離れていきます。つらい気持ちは相談先で受け止めてもらいながら、家庭を安心できる場所に変えていくことに力を注いでください。
すぐに結果が出なくても、焦らなくて大丈夫です。数か月たつ頃には、相手の表情や会話に小さな変化が見えてくることが多く、その変化が次の一歩を続ける力になります。
まとめ
離婚したいと言われても、自分にできることから一つずつ始めていけば、夫婦の関係は少しずつ動き始めます。最後に、この記事でお伝えした大切なポイントを振り返っておきます。
- 今は結論を出さず、深呼吸で落ち着き、離婚届には署名しない
- 泣いてすがる、問い詰める、連絡しすぎる、周りを巻き込むといった行動は避ける
- 離婚したいという言葉は、最終決定とは限らない
- 相手が話し合いに応じなくても、一人から関係修復を始められる
- つらいときや危険を感じるときは、一人で抱え込まずに相談先を頼る
関係修復には時間がかかり、くじけそうになる日もあるかもしれません。それでも、あなたが先に変わり続けることで、相手の心は確かに動いていきます。
私はこれまで、離婚を切り出されたところから、もう一度笑い合える夫婦に戻っていった方々を何組も見てきました。人は誰でも変われますし、夫婦の関係も変えることができます。今日この記事を読んだあなたは、すでにその一歩を踏み出しています。
今夜あなたがやることは、たった一つです。何も決めずに、ゆっくり深呼吸をして体を休めてください。それだけで、明日の自分は今日より少し落ち着いて、相手と向き合えるようになります。
一人で進むのが不安なときは、いつでも頼ってください。あなたと家族が、もう一度心から笑い合える日が来ることを、心から応援しています。



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