パートナーから「離婚したい」という言葉を突然告げられ、頭の中が真っ白になってしまった方も多いのではないでしょうか。
このまま何もしなければ本当に終わってしまう、でも追いかけたらもっと嫌われるかもしれない——そんな不安と焦りが入り混じり、夜も眠れないほど苦しい思いをしているかもしれません。
いまこの瞬間、多くの方が頭の中でぐるぐると考え続けているのが、追いかけるべきか、それとも距離を置くべきか、という問いではないでしょうか。
私はこれまで20年以上にわたり、1万組を超える夫婦の関係修復をサポートしてきました。その経験から、はっきりとお伝えできることがあります。この問いへの答えは、実はとてもシンプルです。
この記事では、その答えを明確にしながら、関係を壊さずに修復へつなげるための考え方と行動を、一人からでも始められる形でお伝えしていきます。
- 追いかける行動が関係を悪化させる理由
- 絶対にやってはいけないNG行動3つ
- パートナーの本気度の正しい見極め方
- 追いかけない代わりに今日から一人でできること
- 離婚危機から関係を修復した夫婦の実例と道筋
1. 離婚したいと言われた直後に「追いかけるべきか」の答え
まず、結論からお伝えします。追いかける行動は、多くの場合、関係修復にとって逆効果になります。
ただしこれは、何もしない・完全に放置するという意味ではありません。ここが多くの方が誤解してしまうポイントです。
大切なのは、追いかけるか引くかという二択ではなく、どのような姿勢で相手と向き合うかです。この章では、まずその土台となる考え方をお伝えします。
1-1. 追いかける行動が関係を悪化させる理由
追いかけるとは、具体的にどういった行動を指すのでしょうか。何度も連絡を送り続ける、泣きながら謝り続ける、玄関先で引き止めようとする——こうした行動のことです。
これらに共通するのは、相手の意思を無視して、自分の感情を押しつけているという点です。
パートナーが「離婚したい」と言葉にした背景には、多くの場合、長い時間をかけて積み重なった不満や疲れがあります。そのような状態の相手に感情的に迫ると、やっぱり分かってもらえない、とさらに壁を高くしてしまいます。
私がこれまで関わってきた夫婦の中でも、追いかける行動によってかえって相手の気持ちを固めてしまったケースは少なくありません。焦る気持ちはとても自然なことです。ただ、その焦りが行動となってしまう前に、一度立ち止まることが大切です。
1-2. 「距離を置く」の正しい意味と誤解
追いかけると逆効果とお伝えしました。では、距離を置くとは具体的に何を指すのでしょうか。一言で言えば、相手の感情や空間を尊重しながら、自分も落ち着いた状態で関わることです。
無視する・冷たくあしらうというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、それとはまったく異なります。
具体的には、感情的な連絡を控える、相手が一人でいたい時間を作ってあげる、そして自分自身も冷静さを取り戻す時間を持つ——こういった姿勢のことです。
これは諦めることでも、見捨てることでもありません。むしろ、相手を本当に大切に思っているからこそできる、成熟した関わり方です。
1-3. 追いかけるかどうかより先に考えるべきこと
追いかけるかどうかよりも、もっと先に考えるべきことがあります。それは、なぜパートナーが離婚を望むに至ったのか、その背景を理解することです。
日本の離婚の約9割は、裁判によらず夫婦の話し合いで決まります(法務省「協議離婚に関する実態調査」令和3年)。つまり、話し合いの質が、関係の行方を大きく左右するということです。
感情的に追いかける前に、まずは立ち止まって問いかけてみてください。パートナーは何に疲れ、何を求めているのか。その問いに向き合うことが、修復の本当の出発点になります。
では次に、修復を望むあなたが特に注意すべきNG行動をお伝えします。追いかけてしまいたい衝動を止めるためにも、ぜひ続けて読んでみてください。
2. 絶対にやってはいけないNG行動
修復したいという気持ちから、無意識にやってしまいがちな行動があります。しかし、その行動の多くが、残念ながら関係をさらに遠ざけてしまいます。
特に関係を悪化させるリスクが高いNG行動として、以下の3つを押さえておいてください。
- 感情的な連絡と謝罪の繰り返し
- 束縛・監視・第三者を巻き込む行動
- 「離婚しない」と強引に押さえ込もうとする行動
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1. 感情的な連絡と謝罪の繰り返し
何度もメッセージを送り続けたり、深夜に電話をかけ続けたりする行動は、相手をさらに追い詰めるだけです。
送る側には、伝えなければという切実な思いがあります。しかし受け取る側は、その量と感情の重さに圧倒されてしまいます。
謝罪についても同じです。謝ること自体は大切ですが、何度も繰り返されると言葉の重みが薄れていきます。また同じことを言っている、と受け取られてしまうのです。
また、お願いだから話を聞いて、もう消えたい、など相手に罪悪感を抱かせるような言葉は特に危険です。相手がこれ以上関わり続けるのは無理だと感じるきっかけになってしまいます。
2-2. 束縛・監視・第三者を巻き込む行動
感情的な連絡や謝罪の繰り返しと並んで、もう一つ多くの方がやってしまいがちな行動があります。
パートナーの行動を監視したり、離婚届を隠したり、どこにいるの、と繰り返し確認したりする行動も、修復から遠ざかる大きな要因になります。
相手が追い詰められていると感じると、逃げようとする気持ちはさらに強くなります。
また、義両親や共通の友人に仲介を頼む方もいますが、これも多くの場合は逆効果です。パートナーにとって自分のことが周囲に広まったという感覚は、プライドを傷つけ、かえって頑なになる原因になってしまうことがあります。
第三者の力を借りる場合は、感情的な仲裁を依頼するのではなく、専門的なサポートを活用する方法を、後の章でお伝えします。
2-3. 「離婚しない」と強引に押さえ込もうとする行動
もう一つ、見落としがちなNG行動があります。
絶対に離婚しない、離婚届にはサインしない、と宣言して相手の選択肢を力で奪おうとする行動も、修復にはつながりません。
なぜなら、相手がこの人とは対話できないと感じた瞬間に、話し合いの場そのものが閉じてしまうからです。
裁判所は「夫婦間の問題は、まず話し合いによる解決が適当」としています。話し合いの余地を残すためには、相手の気持ちをある程度受け止める姿勢が欠かせません。
離婚を防ぎたいなら、まず相手がこの人と話せると思える状態を作ることが先決です。強引な押さえ込みは、その入口を自ら閉じてしまう行為だと覚えておいてください。
ここまでNG行動をお伝えしました。次の章では、今の状況を冷静に見極めるために欠かせない、パートナーの本気度の判断方法をお伝えします。
3. パートナーの本気度を正しく見極める方法
本気度を見極めるポイントは、相手の言葉が感情的な爆発なのか、長い時間をかけた決意なのかという点です。この違いによって、次に取るべき行動がまったく変わってきます。それぞれのパターンを順番に見ていきましょう。
3-1. 言葉だけの宣言と本気の離婚意思の違い
ケンカのたびにもう離婚すると口にするタイプのパートナーであれば、感情的な発言である可能性があります。一方、普段はほとんど感情を出さない相手が、静かに、しかしはっきりと「離婚したい」と伝えてきた場合は、より深刻に受け止める必要があります。
自分の状況がどちらに近いかを確認するために、以下の比較表を参考にしてください。
| ▼本気度を見極める判断比較表 | ||
| 判断ポイント | 感情的な発言の場合 | 本気の離婚意思の場合 |
|---|---|---|
| 発言のタイミング | ケンカの最中・感情が高ぶったとき | 落ち着いた状況で、静かに伝えてくる |
| 具体的な準備 | 特になし | 別居の準備・荷物の整理を始めている |
| 法的な動き | 特になし | 弁護士・相談窓口への問い合わせ |
| 話の内容 | 感情論・責め合い中心 | 親権・財産分与など具体的な話 |
こうしたサインが重なるほど、パートナーが長い時間をかけて意思を固めてきた可能性があります。どうせ本気じゃないと軽く見てしまうことも、非常に危険です。真剣に伝えているのに軽く扱われたと感じると、相手はその後の対話の機会を閉じてしまうことがあります。
3-2. 本気度に応じた対応の方向性
本気度の見極め方が分かったところで、それぞれの状況においてどう動くべきかをお伝えします。
本気度が比較的低いと判断できる場合は、その日のうちに離婚の話し合いを進めようとするのは避けてください。まずお互いが落ち着ける時間と空間を作ることが優先です。
本気度が高いと感じる場合も、それだけで修復の可能性がなくなるわけではありません。感情的に引き止めようとするのではなく、相手がこの人となら話せると感じられるような関わり方に切り替えることが重要です。具体的な方法は、次の章でお伝えします。
どちらの場合も共通して言えることがあります。いまこの瞬間、焦って何かをしようとするよりも、まず自分の感情を落ち着かせることが、修復への最初の条件です。
修復は、感情が落ち着いた状態からしか始まりません。次の章では、追いかけない代わりに今日から一人でできる具体的な行動をお伝えしていきます。
4. 追いかけない代わりに、今日から一人でできること
夫婦関係の修復は、二人が同時に取り組まなければできない、と思っている方が多いのですが、それは違います。一方が先に変わることで、もう一方が少しずつ変わっていく——これが、関係修復の現実的な姿です。
この章では、追いかけない代わりに、今日から一人でできる具体的な行動をお伝えします。
4-1. まず自分の言動を見つめ直す
最初にしていただきたいのは、相手を変えようとすることではなく、自分自身の言動を振り返ることです。自分を責めるためではなく、これから何を変えるかを見つけるための振り返りです。
まず、次のチェックリストに一つずつ向き合ってみてください。
- 相手が何か話してきたとき、最後まで聞いていたか
- 不満をため込んで、ある日突然爆発させていなかったか
- 相手の頑張りや気持ちに、感謝や労いの言葉をかけていたか
相手が何か話してきたとき、最後まで聞いていたか
話の途中で否定したり、自分の意見を先に言ったりしていなかったか振り返ってみてください。相手が話すのをやめてしまった原因が、ここにある場合は少なくありません。
不満をため込んで、ある日突然爆発させていなかったか
日々の小さな不満を言葉にできずにいると、ある日一気に感情が溢れ出すことがあります。相手にとっては突然怒り出したように見えてしまい、話し合いではなくぶつかり合いになりがちです。
相手の頑張りや気持ちに、感謝や労いの言葉をかけていたか
ありがとう、お疲れさま——こうした言葉は、関係の土台を作るものです。言わなくても分かるだろうという前提が、じわじわと相手の心を遠ざけることがあります。
私が20年以上のカウンセリングの中で見てきた夫婦の多くは、一方が先に自分を見つめ直し、行動を変えたことで、相手が少しずつ動き始めていきました。まず自分が変わる——その決断が修復の出発点になります。
4-2. 相手との接触を正しく保つ方法
自分を見つめ直したうえで、次に考えるべきことが相手との接触の持ち方です。
完全に連絡を絶つ必要はありません。ただし、感情的な内容の連絡は控えてください。同居中であれば、子どものことや家のことなど日常的な短いやり取りを、淡々と続けることが大切です。
子どもを通じた短い連絡の例:
今日◯◯が熱を出してて、病院に連れて行ってきたよ。大したことなかったけど、一応知らせておこうと思って。
相手に圧力をかけず、それでいて自然に関係の糸をつなぎとめられる接触の持ち方です。同居中と別居中それぞれで、すべき接触と避けるべき接触を以下にまとめました。
| ▼状況別・接触の保ち方 | ||
| 同居中 | 別居中 | |
|---|---|---|
| すべき接触 | 子ども・家に関する短い連絡 穏やかなひと言を続ける |
子どもや手続きに関する連絡のみ 短く・簡潔に |
| 避けるべき接触 | 感情的な連絡 謝罪の繰り返し 毎回の修復の話 |
感情的な連絡 修復の要求 頻繁すぎる連絡 |
いずれの場合も、謝罪や修復の話を毎回持ち出すことは避けてください。また始まったと感じると、相手は連絡自体を避けるようになってしまいます。
4-3. 関係修復へ向けた最初の一歩
自分を見つめ直し、接触の持ち方を整えたうえで、次に取り組んでほしいのが、毎日の関わり方を少しずつ変えることです。
大きなことを一気にしようとしなくて構いません。例えば、相手が帰宅したときに穏やかにひと言声をかける。相手が何か話したそうなときに、スマホを置いて向き合う。
食事を一緒にとる機会があれば、批判も要求も持ち出さずにその時間を過ごす——まずこれだけでいいのです。
これらはどれも、今日からすぐに一人でできることです。続けることそのものが、修復への道になります。
大切なのは、変化を急がないことです。今日すぐに関係が戻ることを期待するのではなく、毎日の小さな行動を積み重ねる先に、関係が動き始める瞬間があります。
5. 離婚危機から関係を修復した夫婦の実例と道筋
関係修復にかかる期間は、多くの場合1年から1年半が目安です。では、実際にこうした取り組みを続けた夫婦は、どのように関係を取り戻していくのでしょうか。ここでは、修復までの現実的な道筋と実例をお伝えします。
5-1. 修復までにかかる現実的な時間
では、各段階でどのような状態になり、どんな行動が求められるかを、以下のロードマップに整理しました。
| ▼関係修復ロードマップ(目安) | |||
| 時期 | この時期の状態 | 取るべき行動 | 期待できる変化 |
|---|---|---|---|
| 0〜3か月 | 感情が最も不安定な時期 | 感情的行動を止める 自分の言動を振り返る |
焦りが少しずつ落ち着く |
| 3〜6か月 | 相手との距離がまだ遠い | 日常の接触を穏やかに継続 小さな行動を積み重ねる |
相手の態度が微妙に変わり始める |
| 6か月〜1年 | 対話の糸口が見え始める | 焦らず待つ 必要なら専門的サポートを活用 |
相手が少しずつ話せる状態に戻る |
| 1年〜1年半 | 関係が動き始める時期 | 変化を受け止めながら関わり続ける | 修復の見通しが立ち始める |
途中でうまくいく時期もあれば、また距離が開いてしまう時期もあります。立ち止まらずに続けることが、最終的に関係を取り戻す力になります。
5-2. 一人から始めて関係が戻った夫婦の事例
ここで、私のカウンセリングでの一事例をご紹介します。
40代の女性Aさんは、夫から気持ちがなくなった、離婚したい、と告げられ、一人でカウンセリングに訪れました。夫はカウンセリングへの参加を断っており、Aさんが一人で取り組むしかない状況でした。
Aさんはまず、自分の言動を振り返ることから始めました。夫が何か話しかけてきても否定的な返しをしていたこと、夫の仕事の苦労にほとんど関心を向けてこなかったことを、少しずつ自覚していきました。
そこから、毎日の小さな関わり方を変えていきました。夫が帰ってきたらお帰り、今日どうだった、とひと言声をかける。それだけです。最初の頃、夫の反応はほとんどありませんでした。
それでもAさんは続けました。3か月、6か月と経つうちに、夫の態度がほんの少しずつ変わり始めました。そして約1年が経った頃、夫から離婚の話は一旦やめよう、という言葉が出てきたのです。
Aさんが変わり続けたことを、夫はちゃんと感じていました。一人が変わることで、関係が動き始めることは確かにある——この事例はそのことを示しています。
5-3. 専門的なサポートという選択肢
一人で取り組んでいてもどう変わればいいか分からない、という場合は、専門的なサポートを活用することも一つの選択肢です。
ここでお伝えしておきたいのは、夫婦に関わるカウンセリングは、必ずしも二人一緒に来なければならないわけではないということです。パートナーには内緒で、一人でいらっしゃる方も多くいます。一方が変わり続けることで、関係が動いていくことは十分にあります。
また、裁判所の家事調停制度には「夫婦関係調整調停(円満)」という制度があります。これは離婚のためではなく、関係修復を目指して話し合いの場を設けるための制度です(裁判所 家事調停制度)。関係を修復したい側が一人で申し立てることができ、調停委員が間に入って双方の話を聞いてくれます。
大切なのは、一人で抱え込まないことです。今の状況を専門家の目線で一緒に整理していくことで、次の一歩が見えてきます。
よくある質問
ここでは、関係修復を望む方からよく寄せられる疑問にお答えします。
まとめ
この記事では、離婚したいと言われた後に追いかけるべきかどうかを中心に、関係修復につながる考え方と行動をお伝えしてきました。
重要なポイントを改めて確認しておきましょう。
- 追いかける行動は多くの場合逆効果。距離を置くとは放置ではなく、相手の空間を尊重すること
- 感情的な連絡、束縛、強引な引き止めは関係修復を遠ざけるNG行動
- パートナーの本気度を正しく見極め、状況に合わせた関わり方を選ぶ
- 修復は二人同時でなくてよい。まず自分が変わることから始める
- 関係修復には1年前後かかることが多いが、一人の変化が関係を動かすことは確かにある
読んで終わりにせず、今日から一つだけ始めてみてください。相手が帰ってきたときに穏やかに声をかける、感情的な連絡をする前に3分だけ立ち止まる——それだけでいいのです。
「離婚したい」という言葉を告げられた今、あなたは深く傷ついているはずです。その痛みはとても本物のものです。
ここまで読んでくださったあなたは、すでに大切な一歩を踏み出しています。感情のまま動くのではなく、どうすればいいかを落ち着いて考えようとしている——その姿勢が、関係を修復できる人に共通していることです。
一人からでも変わることができます。今日のあなたの小さな行動が、1年後の関係を変える力を持っています。




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