離婚したいと言われた後に優しくするべきか──修復できた人が手放した行動と正しい距離感

パートナーから突然、離婚を切り出された瞬間、多くの方は頭が真っ白になります。

数日が経ち、少し落ち着いてきたとき、今度は別の問いが頭を占めるようになります。これからどう接すればいいのか、優しくした方がいいのか、それとも距離を置くべきなのかという迷いです。

すでに懇願したり、感情的になってしまった方もいるかもしれません。必死だったからこそ、そうなってしまったのだと思います。ただ、それは今から取り戻せます。正しいアプローチに切り替えることで、状況が変わっていく可能性は十分にあります。

厚生労働省の人口動態統計によると、2024年の離婚件数は18万9,952組にのぼります。毎年これほど多くの夫婦が別れを選ぶ一方で、一度は離婚の危機を迎えながら関係を修復して歩み直した夫婦も確かに存在します。

私はこれまで20年以上にわたり、1万組を超える夫婦の関係修復をサポートしてきました。その経験の中で確信していることがあります。優しくするべきかという問いへの答えは条件付きでYESです。

ここでいう正しい優しさとは、相手を引き止めることを目的にした行動ではなく、自分自身を整えるための行動のことです。間違った優しさは修復の可能性をかえって遠ざけてしまいます

この記事では、正しい優しさとは何か、相手の心理をどう読むか、そして一人からでも始められる具体的な行動を順番にお伝えしていきます。

この記事で分かることは以下の通りです。

この記事で分かること
  • 優しくするべきかという問いへの答えと、正しい優しさの定義
  • 「離婚したい」という言葉の裏にある相手の本音と心理
  • 今すぐやめるべきNG行動の具体例
  • 一人から始められる、正しい距離感と関わり方
  • 修復に向けた長期的な歩み方と実際に関係が戻った事例

目次

1. 「離婚したいと言われた」後、優しくするのは正解か?

この章での結論を先にお伝えします。優しくすること自体は正解です。ただし、効果が出る優しさには条件があります。その条件とは、相手を引き止めようとする優しさではなく、自分自身を整えるための優しさであることです。

この条件を外すと、どれだけ丁寧に接しても逆効果になります。その理由と実践の仕方を次から詳しく説明します。

1-1. 「優しくする=復縁できる」ではない理由

カウンセリングでよく耳にする言葉があります。先週から優しく接するようにしました、ご飯も毎日作って文句も言わないようにしています、でも相手は何も変わっていなくて……というものです。

一生懸命優しくしているのに、手応えがまったく感じられない。なぜこうなるのでしょうか。

理由はシンプルです。相手が欲しいものと、あなたが提供しているものがずれているからです。

「離婚したい」と言う側の多くは、疲れ果てているか、気持ちが離れているか、あるいはその両方の状態にあります。そのような相手に急に家事を増やしたり、機嫌よく振る舞ったりしても、変わったなとはなかなか感じてもらえません。

なぜなら相手は、あなたの行動の変化ではなく、本質の変化を待っているからです。ご飯を作ることより、なぜ今まで関係がうまくいかなかったのかへの気づきと変化の方が、相手の心には届きます。

優しくすること自体は間違いではありません。ただ、行動だけを変えても関係は修復しません。大切なのは、その優しさが相手に何を伝えているかです。

1-2. 効果が出る優しさ・逆効果になる優しさの違い

では、効果が出る優しさと逆効果になる優しさは、具体的にどう違うのでしょうか。行動レベルで対比すると、次の通りです。

▼効果的な優しさと逆効果になる優しさの比較
効果的な優しさ 逆効果になる優しさ
口うるさく言っていたことをやめる 急に別人のように振る舞う
話しかけてきたとき落ち着いて聞く 変わったと思わない?と確認する
見返りを求めず穏やかな一言を続ける 毎日好物を作って気を引こうとする
少しずつ静かに変化を続ける 1週間だけ変わって元に戻る
※同じ行動に見えても、目的と続け方で結果は大きく変わります

具体的なイメージとして、夫が帰宅したとき、以前ならついこぼしていた不満の一言を、ただのおかえり、ご飯あるよに変える。要求も不満も乗せない、穏やかな一言がその入り口です。

効果的な優しさとは、相手を追いかけるためではなく、自分自身を整えるために行動することから生まれます。その違いを理解することが、修復への第一歩です。

1-3. 相手に「追いかけられている」と感じさせると何が起きるか

優しくしすぎることには、もう一つ気をつけるべき落とし穴があります。相手に追いかけられているという感覚を与えてしまうことです。

人は、誰かから強く求められると、本能的に距離を取ろうとする傾向があります。「離婚したい」と思うほど疲れている相手に対して、毎日連絡を入れたり、常に相手の様子をうかがうような行動をとったりすると、相手が感じる息苦しさはさらに増してしまいます

カウンセリングで出会った、ある40代女性の例をお伝えします。夫から離婚を告げられた彼女は、毎朝おはようのメッセージを送り続け、食事も毎日用意していました。最初は無視していた夫の反応が、やがてもう本当に無理だという言葉に変わっていきました。

追いかけることで、修復のチャンスを自ら狭めてしまっていたのです。

大切なのは、優しさをアピールするのではなく、相手が戻りたいと思える空間を静かに作ることです。

2. 離婚したいと言う側の心理を正しく理解する

正しい優しさを実践するには、相手が今どういう状態にあるのかを理解することが先決です。

2-1. 「離婚したい」という言葉の裏にある本音

「離婚したい」という言葉を告げる側の心理は、実は一つではありません。20年以上のカウンセリング経験の中で見えてきたのは、大きく3つのパターンです。

「離婚したい」の言葉の裏にある3つのパターン
  1. 限界まで疲れ果てて、とにかく楽になりたい
  2. 愛情が冷め、夫婦としての関係に意味を感じられない
  3. 相手の反応を確かめたい(試し行動)

それぞれについて、順番に説明します。

1つ目:限界まで疲れ果てて、とにかく楽になりたい

疲弊型とは、長期間のストレスが積み重なり、もうこれ以上続けられないという限界から離婚を告げる状態です。愛情がなくなったというより、このままの関係が続くことへの限界が本音です。

このパターンに当てはまりやすいサインとしては、最近ため息が増えた、週末でも家に帰りたがらない、会話が生活上の連絡だけになったという状態があります。相手が楽になれる空間を作ることが、最初の一手です。

2つ目:愛情が冷め、夫婦としての関係に意味を感じられない

離れ型とは、相手の中で気持ちが少しずつ離れていき、もう戻れないという感覚になっている状態です。ただし、気持ちが冷めているからといって修復不可能なわけではありません。長い時間をかけて失われた信頼は、長い時間をかけて取り戻せます。

このパターンのサインとしては、以前は一緒に決めていたことを一人で済ませるようになった、話しかけても反応が淡々としているといった変化が見られることが多いです。

3つ目:相手の反応を確かめたい(試し行動)

試し行動型とは、離婚したいという言葉であなたがどう反応するかを確かめようとしている状態です。本当に愛されているのか、大切に思われているのかを知りたくて、極端な言葉を使ってしまうことがあります。

このパターンは、離婚を告げながらも普段の生活をそれほど変えていない場合に当てはまりやすいです。パニックになって懇願したり、怒り返したりすると、かえって相手の不安を深めてしまいます。

2-2. 愛情が冷めたのか、疲れ果てたのか──見極め方

疲弊型・離れ型・試し行動のどれに当てはまるかを見極めることは、今後の対応を考えるうえで非常に重要です。ただし、相手に直接なぜ離婚したいのかと聞いても、本人自身が整理できていないことも多くあります。

おおまかな目安として、仕事や育児の負担が急増した時期と重なる場合は疲弊型の可能性が高く、特に大きな出来事なく突然告げられた場合は離れ型が考えられます。告げながらも日常生活をほぼ変えていない場合は試し行動型の可能性があります。

以下の表で、自分の状況に近いものを確認してみてください。

▼「離婚したい」の背景を見極めるセルフ診断
観察ポイント 当てはまる 背景の可能性
仕事や育児が急増した時期と重なる はい 疲弊型
特に大きな出来事なく、ある日突然告げられた はい 離れ型
告げた後も日常生活をほぼ変えていない はい 試し行動型
別居・弁護士相談など具体的な行動をとっている はい 本気度が高い
※複数当てはまる場合は、最も強く感じるものを優先して判断してください

どちらのパターンかによって、修復のアプローチは変わります。疲弊型には相手が楽になれる空間を作ることが先決であり、離れ型には少しずつ関係を再構築することが重要になります。どちらの場合も、焦って結論を出そうとしないことが大前提です。

2-3. 試し行動のケースと、本気で終わらせたいケースの違い

前の診断表でも確認できますが、別居・弁護士相談・荷物整理といった具体的な行動が伴っているほど、本気度は高いと考えられます。

ただし、いずれのケースであっても今すぐパニックになる必要はありません。本気で終わらせたいと思っていた相手の気持ちが変わったケースを、私は数多く見てきました。大切なのは「もう終わりだ」と決めつけずに、今自分にできることを着実に続けることです。

3. 今すぐやめるべきNG行動リスト

修復を望みながらも、やってしまいがちな行動が可能性を狭めていることがあります。今すぐやめるべきNG行動は次の3つです。

今すぐやめるべきNG行動3つ
  1. 懇願・謝り続ける行動がなぜ逆効果なのか
  2. 過度な連絡・監視・尽くしすぎが招くもの
  3. 感情をぶつける・過去を蒸し返す言動の影響

それぞれ、なぜ逆効果になるのかを説明します。

3-1. 懇願・謝り続ける行動がなぜ逆効果なのか

懇願・謝り続けることが逆効果な理由は、相手へのプレッシャーを強め続けることで、逃げたい気持ちをさらに大きくするからです。

疲れているか気持ちが離れている相手にとって、強く求められることはプレッシャー以外の何ものでもありません。懇願が繰り返されるほど、相手の中でこの関係から距離を置きたいという気持ちが強くなっていきます。

また、謝ることで許してもらおうとする態度が透けて見えると、相手はまた同じことを繰り返すだろうと感じます。謝罪の言葉より、実際に何がどう変わったかが伝わらないと、相手の気持ちは動きません。

謝罪のタイミングと回数を間違えると、修復の可能性は急速に下がります。本当に伝えたいことがあるなら、冷静な状態で、一度だけ、誠実な言葉で伝えることが大切です。

3-2. 過度な連絡・監視・尽くしすぎが招くもの

過度な連絡・監視・尽くしすぎが逆効果な理由は、相手に息苦しさを感じさせ、距離を置きたいという気持ちを強化するからです。

毎日のメッセージ、頻繁な電話、相手の行動を把握しようとする言動は、相手からすると監視されているという感覚になります。これは修復を目指す場合に最も避けるべき状態の一つです。

尽くしすぎも同様です。相手が求めていない状況で家事を過度に行ったり、毎日好物を作って気を引こうとしたりすると、相手は重いと感じます。一緒にいることへの息苦しさが増すほど、距離を置きたいという気持ちはより強固になっていきます

必要なのは、適切な距離感を保ちながら、相手が戻ってきたいと感じられる関係をゆっくり作り直すことです。

3-3. 感情をぶつける・過去を蒸し返す言動の影響

感情をぶつけたり過去を蒸し返したりすることが逆効果な理由は、相手にこの人とは話し合いができないという印象を与え、修復の芽を摘むからです。

感情をぶつけることで、相手はますます一緒にいると消耗するという感覚を強めます。関係修復には穏やかな対話の積み重ねが必要なため、感情的な場面が増えるほどその可能性は遠ざかります。

過去の出来事を蒸し返すことも同様です。今の問題を解決するためには過去を整理することが必要な場合もあります。ただ、タイミングと方法を誤ると、相手はますます関係を終わらせたいという気持ちに傾いていきます。

感情的になってしまいそうなときは、その場での反応を保留することが最善です。今すぐ返答しなければという焦りを手放し、自分の気持ちが落ち着いてから向き合う習慣が、関係修復への大切な土台になります。

以下のチェックシートで、今の自分の行動を振り返ってみてください。

▼今すぐ確認したいNG行動チェックシート
NG行動 相手に与える印象
懇願・謝り続ける また繰り返す・プレッシャーを感じる
毎日連絡する・監視する 息苦しい・逃げ出したい
過度に尽くす・気を引く行動 重い・一緒にいると疲れる
感情をぶつける 話し合いができない・消耗する
過去の出来事を蒸し返す 終わりにしたい気持ちが強まる
※1つでも当てはまる行動があれば、今日から少しずつ意識して手放していくことが大切です

4. 一人から始められる「正しい優しさ」の実践法

もしNG行動に心当たりがある方も、焦らないでください。今からアプローチを切り替えれば、その影響は十分に挽回できます。ここからは、相手の協力がなくても、あなた一人から今日始められる実践をお伝えします。

4-1. 相手を追いかけない、でも存在を消さない距離感

修復において最も難しいのが、距離感のバランスです。追いかけすぎてはいけないと分かっていても、完全に存在を消してしまうと、相手にもうどうでもいいのかなと感じさせてしまいます。

理想的な距離感とは、相手がいつでも話しかけられる空気があると感じられる状態を、静かに保つことです。

具体的には、毎日連絡することはやめます。ただ、生活上で必要なやりとりは普通に続けます。今日は私が子どもを迎えに行くねや、冷蔵庫に作り置きがあるよという短い一言で十分です。感情や期待を乗せず、ただ生活の中に自然に存在するイメージです。

大切なのは、そのやりとりに要求や確認を混ぜないことです。穏やかな一言を積み重ねた先に、相手の態度が少しずつ変わっていきます。

4-2. 見返りを求めない関わり方とは

見返りを求めない関わり方とは、相手の反応に期待せずに行動することです。言葉にすると簡単ですが、実践するのは容易ではありません。

見返りを求めてしまうと、相手の反応が冷たいときにあれだけやったのにという感情が出てきます。その気持ちが態度や言葉に出た瞬間、相手はまた求められていると感じてしまいます。

私がカウンセリングでよくお伝えするのは、意識の切り替えです。修復のためにやっているという発想から、自分がより良い人間になるためにやっているという発想に変えると、行動の質が変わります。

なぜなら、相手への期待が薄れるぶん、求める態度が自然と消えていくからです。求められないと感じると、相手は少しずつ警戒を解いていきます。そして、その穏やかな関わり方こそが、相手の心を少しずつ動かしていくのです。

4-3. 日常の中でできる小さな変化の積み重ね

関係修復は、劇的な変化ではなく、日常の小さな変化の積み重ねで進んでいきます。大きなことをしなければと焦る必要はありません。

例えば、返事が短かったなら少し丁寧な返し方にする。家事を相手に任せきりだったなら、自分の分だけでも自分でやるようにする。こういった小さな変化が、じわじわとこの人は変わってきたという印象を作っていきます。

重要なのは継続することです。1週間だけ変わって元に戻るのでは、相手の信頼はむしろ下がります。同じ行動を3ヶ月、半年と続けることで、相手の中に本当に変わったのかもしれないという気持ちが芽生えてきます。

一方が本気で変わり始めると、もう一方にも変化が波及することが多いです。この章で伝えてきた実践を、今日の行動として振り返ってみてください。

▼今日からの実践チェックシート
□ 相手への連絡を生活上の最低限にとどめた
□ 相手の反応を確認・監視しなかった
□ 相手に何も求めない時間を意識的に作った
□ 感情が高ぶりそうな場面でいったん場を離れた
□ 自分の気持ちを短く書き出す時間を持った
□ 自分の生活を丁寧に過ごすことに集中した
※すべてできなくても大丈夫です。1つでも実践できた日は、確かな一歩です

5. 関係修復に向けた長期的な歩み方

正しい優しさを日々実践しながら、長期的な視点で歩み続けることが修復の鍵です。現実的な時間軸と、その間にやるべきことをお伝えします。

5-1. 修復には時間がかかる──焦りが一番の敵

夫婦関係の修復に、即効性はありません。私がサポートしてきた事例を振り返ると、関係に変化が現れ始めるまでに最低でも数ヶ月、本格的に修復するには1年から1年半程度かかるケースが多いです。

その間に何が起きるのかをおおまかに知っておくだけで、焦りは大きく和らぎます。

▼修復の流れのおおまかなロードマップ
時期の目安 起こりやすい変化
開始〜3ヶ月 NG行動をやめ、自分を整えることに集中する時期。相手の反応はまだ冷たいことが多い
3〜6ヶ月 相手の態度が少しずつ柔らかくなる場合がある。生活上の会話が自然に増えてくることも
6ヶ月〜1年 一緒に過ごす時間が少しずつ戻ってくる。感情的なぶつかりが減っていく
1年〜1年半以降 夫婦としての関係が再構築されていく。修復の実感が生まれやすい時期
※個人差があり、すべてがこの通りに進むわけではありません

修復のペースは、あなたが決めるのではなく、相手との関係性が自然に決めていくものです。焦らず着実に変化を続けることが、修復への現実的な道筋です。

5-2. まず自分自身を整えることが、なぜ修復への近道なのか

関係修復の話をすると、相手をどう変えるかに焦点が当たりがちです。しかし20年以上の経験から言えるのは、修復に成功した夫婦のほぼ全員が、まず自分自身を変えることから始めていたということです。

なぜ自分を整えることが近道なのか。人は変えられないが、自分は変えられるからです。相手を変えようとするエネルギーを自分を整えることに使う。この転換が、結果的に相手の変化を引き出します。

自分を整えるための手順として、次の2つを実践してみてください。

感情を整えるための2つの手順
  1. 感情が高ぶりそうな場面でその場を一時的に離れる
  2. そのときの気持ちを短く書き出す

順番に説明します。

感情が高ぶりそうな場面でその場を一時的に離れる

トイレに立つ、少し外の空気を吸いに行く、それだけで反応するまでの間ができます。その数分が、感情的な言動を防ぎます。

そのときの気持ちを短く書き出す

ノートでもスマホのメモでも構いません。怒りや悲しみを文字にするだけで、感情の高ぶりが落ち着きやすくなります。自分の気持ちが見えてくると、相手への接し方も自然と穏やかになっていきます。

相手がどう出ても今日だけは感情的に反応しないという一日単位の実践を続けることで、変わってきたという印象が相手の中に積み重なっていきます。

5-3. 子どもがいる場合に考えておきたいこと

子どもがいる夫婦の場合、離婚の問題は夫婦二人だけの話では済みません。2024年の法改正により、離婚後に父母双方が親権者となる共同親権が制度化されました(法務省)。離婚後も子どもを通じた関係が続くことは、制度としても明確になっています。

だからこそ、子どもに穏やかな夫婦の姿を見せ続けることは、非常に大切な目標になります。

子どもの前で相手への不満を口にしたり、感情的な言動をとったりすることは避けてください。子どもが傷つくだけでなく、修復の可能性も遠ざかります。

子どもの話題を自然に共有するだけでも、夫婦間の橋渡しになります。今日、学校でこんなことがあったって言ってたよ、という短い一言は、感情を乗せない自然なやりとりとして機能します。こういった積み重ねが、夫婦間の雰囲気を少しずつ変えていきます。

6. 実際に修復できた夫婦に共通すること

6-1. 離婚危機から関係を取り戻した事例

私がサポートした40代女性Aさんの事例をご紹介します。

夫からもう気持ちがない、離婚したいと告げられたAさんは、最初のうちは泣いて懇願したり、毎日謝ったりを繰り返していました。しかし夫の態度はますます冷めていきました。

カウンセリングを始めてから、Aさんは行動を変えました。夫への連絡を生活上の最低限にとどめ、帰宅しても責めない・確認しないを徹底しました。それと並行して、自分自身の時間を意識的に作り、趣味や友人との時間に少しずつエネルギーを向けるようにしました。

この3ヶ月間、夫からほとんど反応はありませんでした。それでもAさんは続けました。

変化が見え始めたのはその後でした。夫が少しずつ話しかけてくるようになり、食事を一緒にとる機会が増えました。そこからさらに時間をかけ、約1年3ヶ月後に夫から離婚の話はなかったことにしようという言葉が出ました。

後にAさんはこう話してくれました。夫を変えようとするのをやめて、自分を変えることだけ考えたら気が楽になった、それが逆によかったんだと思います、と。

一方が静かに変わり始めることで空気が変わっていく。それがAさんの事例が示す、修復の現実的な姿です。

6-2. あなたが今日から踏み出せる、最初の一歩

修復の道は、一人で歩み始めることができます。相手が協力してくれなくても、あなたの変化から始められます。

最初の一歩としてお勧めするのは、今日だけは相手に何も求めない一日を過ごすことです。連絡しない、確認しない、期待しない。ただ目の前の自分の生活を丁寧に過ごす。この一日の積み重ねが、やがて大きな変化につながります。

一人で取り組む中で、同じNG行動を繰り返してしまう、感情的な反応をどうしてもやめられない、何をすれば良いかまったく見えないという状態が続くようであれば、専門家のサポートを借りることも選択肢の一つです。感情が乱れているときほど、自分一人では正しいアプローチが見えにくくなるからです。

第三者の視点が入ることで、自分では気づけなかった行動パターンが明確になります。私のカウンセリングは、パートナーには内緒で、あなた一人からご相談いただける形をとっています。夫婦二人で来る必要はありません。20年以上・1万組を超えるサポートの経験から、あなたの状況に合った具体的なアプローチをお伝えできます。

正しいアプローチを続けることで、関係が変わっていく可能性は十分にあります。その可能性を信じて、今日から一歩踏み出してみてください。

よくある質問

Q1. すでに懇願してしまいました。今からでも修復は間に合いますか?
A. 間に合います。懇願や感情的な言動をとった後でも、アプローチを切り替えることで状況は変わります。まずは連絡頻度を落とし、求めない・確認しない日々をしばらく続けることから始めてみてください。懇願を繰り返した後は相手が警戒していることも多いため、行動を増やすのではなく、静かに変わり続けることが最初の一手です。
Q2. 相手が完全に無視・無反応の場合、どう対応すればよいですか?
A. 無視されているときほど、何か行動しなければという焦りが出てきます。ただ、無反応に対して連絡や声かけを増やすことは、相手の拒絶感をさらに強めるため逆効果です。この時期は、相手への働きかけをいったん止め、自分の生活を整えることに集中する期間だと割り切ることが大切です。変化が出るまでに数ヶ月かかることも珍しくありません。
Q3. パートナーには内緒で一人だけカウンセリングに行っても意味がありますか?
A. 十分に意味があります。夫婦二人で行く必要はなく、悩んでいる一方が変わり始めることで関係全体が変化していくケースは多くあります。一人からカウンセリングを受けることで相手への関わり方が整理され、焦りや感情的な反応が自然と減っていきます。それが相手の変化を引き出すことにつながります。

まとめ

この記事でお伝えしてきたことを最後に整理します。

この記事のまとめ
  • 優しくすること自体は条件付きで正解だが、相手を追いかける優しさは逆効果
  • 「離婚したい」という言葉には、疲弊・気持ちの離れ・試し行動という3つのパターンがある
  • 懇願・過度な連絡・感情的な言動は、修復の可能性を遠ざける
  • 正しい優しさとは、見返りを求めず、適切な距離感を保ちながら自分を整えること
  • 修復には1年〜1年半程度の時間がかかることが多く、焦りは禁物
  • まず自分が変わることが、相手を変える最短ルート

離婚を切り出されても、それが即座に終わりを意味するわけではありません。すでに懇願してしまった方も、何もできていないと感じている方も、気づいた今から行動を変えれば十分です。

あなたが今日から少しずつ変わり始めることが、修復への確かな第一歩になります。

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