「また疲れたって言ってくるよ…」「いつも疲れたってアピールされるけど、どう対応すれば…」そんな悩みを抱えていませんか?
20年以上、夫婦関係の修復に携わってきた私のもとにも、妻の「疲れた」という言葉への対応に困っているという相談が数多く寄せられます。実は、この「疲れた」というアピールは、夫婦の絆を深めるチャンスでもあるのです。
私は1万組を超える夫婦のカウンセリングを行ってきましたが、妻の「疲れた」という言葉への対応次第で、夫婦関係が大きく改善するケースを何度も目にしてきました。
この記事では、妻の「疲れた」というアピールにどう向き合えばよいのか、具体的な対応方法から、その背景にある気持ちの理解まで、実践的な方法をご紹介します。
▼この記事でわかること
- 妻の「疲れた」アピールへの具体的な対応方法
- 「疲れた」と言う本当の理由
- 夫婦関係を改善するためのコミュニケーション方法
- 妻の疲れを実際に軽減する具体的な方法
1.妻の「疲れた」アピールへの上手な対応方法
「疲れた」という妻の言葉を聞いて、「また始まった」と思ってしまう夫は少なくありません。しかし、この一言への対応が、その後の夫婦関係を大きく左右することがあります。
私がカウンセリングで実際に提案し、多くの夫婦の関係改善に効果があった対応方法を、4つのステップでご説明します。
- 【Step1】妻の訴えを丁寧に聴く
- 【Step2】共感と理解を示す
- 【Step3】具体的なサポートを提案する
- 【Step4】行動で示す
それでは、それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
1-1.【Step1】妻の訴えを丁寧に聴く
「疲れた」という妻の言葉を聞いたとき、まず大切なのはその言葉をしっかりと受け止めることです。「自分だって疲れているのに」と思ってしまいがちですが、まずはその気持ちを脇に置いて、妻の話に耳を傾けましょう。
具体的には、次のような声かけから始めてみてください。

「どんなところが特に疲れる?」

「今日は大変だったの?」

「具体的にどんなことが大変だった?」
このとき大切なのは、スマートフォンを見ながらではなく、妻の方を向いて、目を合わせながら話を聞くということです。たとえ数分でも、妻に向き合う時間を作ることで、妻は「話を聞いてもらえている」と実感することができます。
私のカウンセリングでは、ある夫が「妻の話を本気で聞くようになっただけで、妻の表情が明るくなった」と報告してくれたことがあります。このように、丁寧に話を聞くことは、想像以上に大きな効果をもたらします。
また、話を聞くときは、妻の言葉を遮らないことも重要です。「でも」「だって」と反論したくなる気持ちをグッとこらえ、まずは最後まで話を聞くようにしましょう。話を遮られることで、妻はさらに疲れやストレスを感じてしまうことがあるからです。
1-2.【Step2】共感と理解を示す
妻の話を丁寧に聞いたら、次は共感と理解を示していきます。ただ黙って聞くだけでは、妻の心は癒されません。適切な言葉で共感を示すことで、妻は「わかってもらえている」と感じることができます。
共感を示す際は、このような声かけが効果的です。

「それは本当に大変だったね」

「そんなに頑張ってくれてありがとう」

「毎日そんなに大変なことを一人で抱えていたんだね」
大切なのは、妻の気持ちに寄り添う言葉を選ぶことです。「俺だって疲れてるよ」「仕事の方が大変だよ」といった言葉は、妻の気持ちを否定することになってしまいます。お互いの大変さを比較するのではなく、まずは妻の気持ちに共感することを心がけましょう。
私のカウンセリングでは、ある妻がこう話してくれました。「主人が『大変だったね』と言ってくれただけで、涙が出るほど嬉しかった」と。この一言で、それまでの疲れが癒された、と。このように、共感の言葉には大きな力があるのです。
1-3.【Step3】具体的なサポートを提案する
共感と理解を示したら、次は具体的なサポートを提案しましょう。「何か手伝おうか?」という漠然とした提案では、かえって妻の負担を増やしてしまうことがあります。なぜなら、「何をお願いしていいのか」を考えること自体が、妻にとって新たな仕事になってしまうからです。
そのため、具体的なサポートを自分から提案することが重要です。例えば、このような提案が効果的です。

「明日の夕食の準備は僕がやるよ」

「週末は子どもを公園に連れて行くから、その間ゆっくり休んでいいよ」

「今週末は家事を全部任せてよ」
ポイントは、「いつ」「何を」するのかを明確にすることです。漠然とした約束ではなく、実現可能な具体的な提案をすることで、妻は安心感を得ることができます。また、提案する際は、妻の予定や希望も確認しながら進めましょう。
以前、あるご夫婦がこんな体験を話してくれました。夫が「土曜の午前中は僕が子どもの面倒を見るから、好きなように過ごしていいよ」と具体的に提案したところ、妻は久しぶりに友人とランチに行くことができ、その後の家事育児も前向きに取り組めるようになったそうです。
1-4.【Step4】行動で示す
サポートを提案したら、最も重要なのは実際に行動に移すことです。約束したことを実行できなければ、かえって妻の不信感を招いてしまいます。妻の「疲れた」という言葉への対応は、この行動で示す段階が最も大切なのです。
行動で示す際は、継続できる範囲から始めることが重要です。例えば、次のような行動から始めてみましょう。毎日の食器洗いを担当する、子どもの着替えを手伝う、洗濯物を取り込んで畳むなど、具体的な一つの家事から始めるのです。
継続的な行動によって、妻の様子は大きく変わっていきます。あるご夫婦の例をご紹介しましょう。夫が「食器洗いは毎日必ず自分がやる」と決めて実行したところ、妻から「少し余裕ができた」という言葉が聞かれるようになりました。小さな行動の積み重ねが、妻の心と体の疲れを確実に軽減していったのです。
しかし、ここで注意したいのが、完璧を目指さないということです。初めは上手くいかないことも多いでしょう。食器を洗っても、油汚れが残っているかもしれません。洗濯物を畳んでも、きれいに折れないかもしれません。そんなとき、多くの夫は「自分には向いていない」と諦めがちです。
でも、それは違います。大切なのは、たとえ完璧でなくても続けることです。妻が本当に求めているのは、完璧な家事ではなく、夫の気持ちと行動なのです。できないことを気にするのではなく、「これならできる」という行動を着実に続けていくことで、必ず妻は変化を感じ取ってくれます。
ここまでご紹介した4つのステップは、一朝一夕に完璧にできるものではありません。しかし、これらのステップを意識しながら、できることから少しずつ実践していくことで、必ず夫婦関係は良い方向に向かっていきます。では次に、なぜ妻は「疲れた」と繰り返し言うのか、その本当の理由について考えていきましょう。
2.「疲れた」アピールの裏にある本当の気持ち
先ほどご紹介した4つのステップは、妻の「疲れた」という言葉に対する具体的な対応方法でした。しかし、より良い夫婦関係を築くためには、なぜ妻がそのような言葉を繰り返すのか、その背景にある本当の気持ちを理解することが大切です。
2-1.なぜ妻は「疲れた」を繰り返すのか
「疲れた」という言葉は、多くの場合、単なる身体的な疲労以上の意味を持っています。20年以上のカウンセリング経験から、妻が「疲れた」と繰り返し口にする理由には、いくつかの深い心理が隠されていることがわかっています。
例えば、こんな出来事がありました。ある妻は毎日のように「疲れた」と口にしていました。しかし、カウンセリングを重ねていく中で、実は「自分の頑張りを夫に気づいてほしい」「もっと理解してほしい」という切実な思いが、その言葉の裏に隠されていたことがわかったのです。
身体的な疲れはもちろんありますが、それ以上に精神的な疲労や孤独感、理解されていない不安が、「疲れた」という言葉となって表れているのです。
2-2.妻が本当に求めているもの
では、「疲れた」と言う妻が本当に求めているものは何でしょうか。多くの場合、それは次の三つに集約されます。
- 承認:家事や育児、仕事など、日々の努力を認めてほしい、価値ある存在として認めてほしいという思い
- 共感:自分の大変さや苦労を理解してほしい、気持ちに寄り添ってほしいという願い
- 協力:具体的なサポートを通じて、二人三脚で人生を歩んでいきたいという思い
あるカウンセリングでこう語ってくれた方がいらっしゃいました。

「『疲れた』と言うのは、助けてほしいというSOSなんです。でも、それ以上に、主人に私の気持ちを分かってほしいんです」
と。この言葉は、多くの妻の心情を代弁しているように思います。
2-3.夫が陥りやすい誤解と対応の落とし穴
しかし、妻の「疲れた」という言葉に対して、夫は様々な誤解をしがちです。この誤解が、かえって夫婦関係を悪化させてしまうことがあります。
よくある誤解の一つは、「文句を言っているだけだ」という解釈です。しかし、これは大きな間違いです。先ほどお伝えしたように、それは助けを求める声であり、理解を求める表現なのです。
もう一つの落とし穴は、すぐに解決策を提示しようとすることです。「じゃあ家事代行サービスを使えば?」「パートを辞めれば?」といった提案は、時として逆効果になります。なぜなら、そのような提案は、妻の気持ちに寄り添わないまま、表面的な解決を図ろうとしているからです。
このような誤解を避け、妻の本当の気持ちを理解することが、夫婦関係改善の第一歩となります。では次に、この「疲れた」という状況を、夫婦の絆を深めるチャンスに変えていく方法についてお話ししていきましょう。
3.この機会を夫婦関係改善のチャンスに変える
妻の「疲れた」という言葉の背景には、様々な思いが隠されていることがわかりました。実は、このような状況は夫婦の絆を深める絶好のチャンスでもあるのです。ここからは、この機会を活かして夫婦関係を改善していく具体的な方法をご紹介します。
3-1.お互いの気持ちを理解し合うための対話術
夫婦関係を改善する第一歩は、お互いの気持ちを理解し合うことです。そのためには、効果的な対話の方法を身につけることが重要です。
まず大切なのは、「指摘し合い」ではなく「分かち合い」の対話を心がけることです。例えば、こんな会話の仕方が効果的です。

「最近、僕の対応で気になることある?」

「今の生活の中で、特に大変だと感じることは?」

「二人でどうしたら今の状況が良くなると思う?」
このような質問から対話を始めることで、お互いの本音が自然と出やすくなります。あるご夫婦は、この方法を実践することで、それまで言えなかった気持ちを伝え合えるようになったと話してくれました。
3-2.日常的な気遣いと感謝の伝え方
対話と共に大切なのが、日常的な気遣いと感謝の気持ちを伝えることです。「言わなくても分かるはず」という考えは、最大の落とし穴です。感謝の気持ちは、必ず言葉にして伝えましょう。

「今日もありがとう」

「子どもたちのために頑張ってくれてありがとう」

「いつも家のことを考えてくれて嬉しいよ」
このような言葉を、具体的な場面で伝えていくことが重要です。ある夫は「妻の仕事から帰宅後の家事を見て、『疲れているのに家事してくれてありがとう』と伝えるようにしたら、妻の表情が明るくなった」と話してくれました。
3-3.二人で作る新しい生活リズム
そして最も大切なのが、二人で新しい生活リズムを作ることです。これまでの生活パターンを見直し、お互いが心地よく過ごせる新しいリズムを作っていきましょう。
具体的には、家事の分担を決め直したり、休日の過ごし方を話し合ったり、お互いの自由な時間を確保する方法を考えたりすることです。このとき重要なのは、一方的な押し付けではなく、二人で相談しながら決めていくことです。
カウンセリングでお会いしたあるご夫婦は、「土曜の午前中は夫が掃除と洗濯を担当し、午後は妻が自由に過ごせる時間にする」という新しいルールを作りました。その結果、妻の「疲れた」という言葉が減っただけでなく、夫婦で過ごす時間も増え、関係が改善していったそうです。
このように、生活リズムの見直しは、単なる家事分担の変更以上の効果をもたらします。では次に、より具体的な、妻の疲れを実際に軽減する方法についてお話ししていきましょう。
4.妻の疲れを軽減する具体的な方法
これまで、妻の「疲れた」という言葉への対応方法や、その背景にある気持ち、そして夫婦関係を改善するための方法についてお話ししてきました。ここからは、より実践的な、妻の疲れを具体的に軽減するための方法についてご説明します。
4-1.家事・育児の分担を見直す
家事・育児の分担を見直すとき、最も大切なのは「誰が、何を、いつやるのか」を明確にすることです。「できるときにやる」という曖昧な約束は、かえって妻の負担を増やしてしまいます。
分担を決める際は、お互いの得意不得意や、仕事の状況なども考慮しましょう。例えば、夫が料理は苦手でも、食器洗いなら毎日できるかもしれません。また、朝型の人は朝の支度を、夜型の人は夜の片付けを担当するなど、それぞれのリズムに合わせた分担を考えることも効果的です。
あるご夫婦は、夫が「平日の夜は必ず食器洗いと子どものお風呂を担当する」と決めて実行したところ、妻の夜の時間に余裕が生まれ、疲労感が大きく軽減されたそうです。このように、具体的な分担を決めて実行することで、確実に妻の負担を減らすことができます。
4-2.妻のための時間を確保する
妻の疲れを軽減するために、もう一つ重要なのが「妻のための時間」を確保することです。家事や育児に追われる毎日の中で、自分の時間を持てないことが、大きなストレスとなっているケースが多いのです。
この「妻のための時間」は、決して贅沢なものではありません。例えば、週末の午前中に2時間だけ、好きな場所でゆっくりコーヒーを飲む時間。あるいは、平日の夜に30分でも、自分の趣味に使える時間。そんな小さな余裕が、妻の心と体の疲れを大きく癒すことがあります。
私のカウンセリングでも、「週に一度、決まった時間を自分のために使えるようになっただけで、心にゆとりができた」という妻の声をよく聞きます。大切なのは、その時間を「確実に」「定期的に」確保することです。突発的な用事で中止になってしまわないよう、家族で約束として共有しておくことをおすすめします。
4-3.外部サービスの活用を検討する
妻の時間を確保するためのもう一つの方法として、外部サービスの活用を考えてみましょう。「家事は自分でやるべき」という考えにとらわれすぎて、必要以上に頑張りすぎている妻も少なくありません。
例えば、掃除や料理の宅配サービス、ベビーシッター、一時保育など、今は様々なサービスが充実しています。こういったサービスを上手に活用することで、妻の負担を大きく減らすことができます。
特に、共働きの場合は積極的な検討をおすすめします。カウンセリングでお会いしたあるご夫婦は、週に1回の家事代行サービスを利用し始めたことで、休日を家族で過ごす時間が増え、夫婦関係が改善したと話してくれました。サービスの利用は決して「手抜き」ではなく、より大切なことに時間を使うための賢い選択なのです。
おわりに
妻の「疲れた」という言葉は、夫婦関係を見直すきっかけとなる大切なサインです。この記事でご紹介した方法は、すぐには完璧にできないかもしれません。しかし、できることから少しずつ始めていけば、必ず変化は生まれます。
大切なのは、妻の言葉に込められた本当の気持ちを理解し、具体的な行動を起こすことです。そして、その過程で生まれる小さな変化を、夫婦で喜び合うことです。
最後に、カウンセリングでよく出会う場面をご紹介します。ある夫が妻の「疲れた」という言葉を真摯に受け止め、少しずつ行動を変えていったところ、半年後には妻からこんな言葉が聞かれるようになりました。「主人が変わってくれて、毎日が楽しいの」と。
夫婦関係は、二人の小さな努力の積み重ねで、必ず良い方向に変えていくことができます。この記事が、あなたの夫婦関係を改善するための第一歩となれば幸いです。
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