ギャンブルが原因でも離婚したくない方へ|謝るより先にやるべき、信頼を取り戻す行動の順番

ギャンブルが原因で、配偶者から離婚したいと言われてしまった。今まさにそんな状況にいて、どうしていいか分からないままこのページを開いたのではないでしょうか。

借金やうそが明るみに出て、家族を失うかもしれない怖さと、自分への情けなさで、夜も眠れない方も多いと思います。謝っても信じてもらえず、何を言っても裏目に出てしまう。そんな苦しさを抱えているかもしれません。

最初に結論をお伝えします。ギャンブルが原因で離婚を切り出されても、まだ離婚を避ける道は残されています。ただし、そのためには、やみくもに謝るよりも先に、やるべきことの順番を知っておく必要があります。

私は夫婦関係修復コーチとして20年以上、1万組を超える夫婦の関係修復をサポートしてきました。その中には、ギャンブルや借金をきっかけに離婚寸前まで追いつめられながら、1年から1年半ほどかけて家族との暮らしを取り戻した方がたくさんいます。

この記事では、配偶者の協力が得られない今の状態でも、あなた一人から始められる具体的な方法を、順番にお伝えしていきます。

この記事で分かること
  • 離婚したいと言われても、すぐに応じなくてよい理由
  • 離婚届を勝手に出されないための手続き
  • 離婚を言われた直後にやってはいけないこと
  • 配偶者が離婚を考えるほど追いつめられている本当の理由
  • ギャンブルをやめるために頼れる相談先
  • 一人から始めて、信頼を取り戻していくための具体的な歩み方

目次

1.ギャンブルが原因で離婚を切り出されても、まだ離婚を避ける道は残されている

離婚したいと言われた直後は、頭が真っ白になり、もう終わりだと感じてしまうものです。しかし、法律の面から見ても、夫婦関係の面から見ても、ここからできることはまだあります。まずは、あなたが今いちばん知りたい、離婚は避けられるのかという点からお答えしていきます。

1-1.離婚したいと言われても、すぐに応じる必要はない

配偶者から離婚したいと言われても、あなたがそれにすぐ応じる必要はありません。日本の離婚は、夫婦二人が話し合って合意し、離婚届を出す協議離婚が基本です。

つまり、あなたが離婚に同意しない限り、話し合いだけで離婚が決まることはありません。相手がどれだけ強く離婚を望んでいても、あなたの同意なしに離婚届を出すことは、法律上認められていないのです。

ただし、離婚を拒むこと自体が目的ではありません。拒み続けるだけでは、配偶者の気持ちはさらに離れてしまいます。すぐに応じなくてよいのは、あなたが変わっていく姿を見てもらうための、やり直すための時間を確保するためです。

たとえば、離婚届を目の前に出されて、今すぐ書いてと迫られたとします。そんなときは、次のように落ち着いて伝えてください。

「本当にごめん。離婚したいと思わせるほど苦しめたことは分かってる。でも、今すぐには書けない。少しだけ時間がほしい」

感情的に言い返したり、泣きついたりせず、短く正直に気持ちを伝えることがポイントです。

1-2.ギャンブルや借金が原因でも、話し合いで離婚を止められる理由

では、なぜギャンブルや借金が原因でも、まだ離婚を止められるのでしょうか。その理由は、次の2つです。

話し合いで離婚を止められる2つの理由
  1. あなたの合意がなければ、離婚は簡単には成立しない
  2. 配偶者の心には、変わってほしいという願いが残っている

それぞれ詳しく見ていきます。

あなたの合意がなければ、離婚は簡単には成立しない

離婚には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚という3つの進み方があります。このうち協議離婚と調停離婚は話し合いで決めるものなので、あなたが合意しなければ離婚は成立しません。

違いをまとめると、次のようになります。

▼離婚の3つの進み方とあなたの同意の関係
協議離婚 調停離婚 裁判離婚
決める場所 夫婦の話し合い 家庭裁判所
(調停委員が間に入る)
家庭裁判所
(裁判官が判断する)
あなたの同意 必要 必要 なくても判断される
あなたが同意しない場合 離婚は成立しない 離婚は成立しない 法律で決められた離婚の理由があると判断されれば、離婚が認められることがある
※離婚を求める側は、原則として裁判の前に調停を行う必要があります
※裁判での判断は、それぞれの事情によって変わります

裁判で離婚を求める場合は、法律で決められた離婚の理由が必要です。ギャンブルや借金があったという事実だけで、すぐに裁判で離婚が認められるわけではありません。つまり、法律の仕組みの上でも、あなたには行動を変えていくための時間が残されているのです。

配偶者の心には、変わってほしいという願いが残っている

もう一つの理由は、配偶者の心の状態です。私がこれまで見てきた中でも、離婚を口にする人の多くは、心の奥で、本当は変わってほしいという最後の願いを抱えています。

何度言っても変わらなかったからこそ、離婚という強い言葉でしか伝えられなくなっているのです。その言葉の裏にある願いに応えることができれば、配偶者の気持ちが動く余地は残っています。

ある男性は、パチンコで作った借金が発覚し、妻から離婚を告げられました。それでも、その日から隠していたことをすべて話し、行動で示し続けたことで、1年ほどたったころ、妻のほうから離婚の話をしなくなったそうです。

もちろん、何もしなければ配偶者の決意は固まっていきます。話し合いで離婚を止められるのは、あなたが今日から行動を変えた場合に限られるということを、心に留めておいてください。

1-3.離婚届を勝手に出されないために、今日できる手続き

離婚届を勝手に出されるのを防ぐには、離婚届不受理申出をしておくことです。これを出しておくと、あなた自身が役所に来て届け出ない限り、離婚届が受け付けられなくなります。

この手続きが必要なのは、追いつめられた配偶者が、あなたのサインを勝手に書いて離婚届を出してしまうことも、現実には起こりえるからです。役所の窓口では、届け出た書類が本人の意思で書かれたものかどうかまでは、細かく確認されないことが多いのです。

申出は、本籍地か住んでいる地域の市区町村役場で行います。原則として本人が窓口へ行き、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類を持っていけば、その日のうちに手続きができます。取り下げるまで効果が続くので、何度も出し直す必要はありません。

もし、配偶者に求められて、すでに離婚届にサインしてしまっている場合は、なおさら急いでください。サイン済みの離婚届が配偶者の手元にあれば、いつ提出されてもおかしくありません。提出される前に申出を済ませておけば、その離婚届は受け付けられなくなります。

ただし、注意してほしいことがあります。この手続きは、あくまで知らないうちに離婚が成立してしまうのを防ぐための守りの一手です。配偶者に向かって不受理申出を出したから離婚はできないよと告げるような使い方は、相手の怒りをあおるだけなので禁物です。

手続きの細かな流れや必要なものについては、(内部リンク:離婚届不受理申出のやり方と注意点)で詳しく解説しています。

手続きを済ませたら、あとは静かに、自分の行動を変えることに力を注いでください。書類で時間を守り、その時間を信頼の回復に使う。この順番が大切です。

1-4.裁判で離婚が認められやすくなる3つの状態

ここまで読んで、それなら拒み続ければ大丈夫だと思った方もいるかもしれません。しかし、状況によっては、あなたが拒んでも裁判で離婚が認められることがあります。ギャンブルが関係するケースで、特に気をつけておきたいのは次の3つの状態です。

裁判で離婚が認められやすくなる3つの状態
  1. ギャンブルや借金をくり返し、家計を苦しめ続けている
  2. 何度約束しても破り、改善する様子が見られない
  3. 別居が長く続き、夫婦としての関係が壊れている

それぞれ詳しく見ていきます。

ギャンブルや借金をくり返し、家計を苦しめ続けている

生活費をギャンブルに使い込んだり、家族に隠して借金をくり返したりして、家族の暮らしが成り立たなくなっている場合は、夫婦を続けるのが難しい重大な理由があると判断されやすくなります。生活費を渡さない状態が続けば、家族を見捨てたと受け取られるおそれもあります。

何度約束しても破り、改善する様子が見られない

一度の失敗ではなく、もうやらないと約束しては破ることがくり返されている場合、配偶者の信頼が完全に失われたと判断されやすくなります。裁判では、あなたが今後変わるつもりかどうかよりも、これまで実際にどう行動してきたかが重く見られます。

別居が長く続き、夫婦としての関係が壊れている

配偶者が家を出て別居が長く続くと、それだけで夫婦関係はもう元に戻らないと判断されやすくなります。話し合いが進まないまま時間だけが過ぎるのは、離婚を避けたい側にとって不利に働くのです。

この3つを見ると分かるとおり、裁判で問われるのは、あなたの気持ちではなく行動です。逆に言えば、今日から行動を変えていけば、この3つの状態から抜け出していくことができます。離婚を避ける道は、法律の知識ではなく、あなた自身の変化の中にあるのです。

2.離婚を言われた直後にやってはいけない4つのこと

離婚を避ける道が残されていると分かっても、最初の対応をまちがえると、その道は一気に細くなってしまいます。離婚を言われた直後の数日から数週間は、その後の流れを大きく左右する大切な時期です。

この時期に多くの方がついやってしまいがちなのが、次の4つの行動です。

離婚を言われた直後にやってはいけない4つのこと
  1. もう二度とやらないと口先だけで約束する
  2. 借金や使った金額を少なく伝える
  3. 相手の怒りに言い返したり、言い訳をしたりする
  4. 話し合いをしつこく迫り、答えを急がせる

どれも、焦りや怖さから思わずやってしまいがちなものです。順番に詳しく見ていきます。

2-1.もう二度とやらないと口先だけで約束する

1つ目は、もう二度とギャンブルはしないと、口先だけで約束してしまうことです。離婚を言われて焦ると、何とか相手を安心させたくて、つい強い言葉で誓いたくなるものです。

しかし、配偶者にとってその言葉は、これまで何度も聞いてきたものかもしれません。約束しては破られることをくり返してきた相手にとって、あなたの誓いの言葉は、もはや信じられる材料ではなくなっています。

むしろ、強く誓えば誓うほど、またその場しのぎを言っていると受け取られ、怒りに火をつけてしまうこともあります。言葉が軽く聞こえてしまうのは、あなたが今までその言葉を行動で裏づけてこなかったからです。

では、どう伝えればよいのでしょうか。たとえば、次のような違いがあります。

「もう絶対にやらない。今度こそ信じてくれ」

「今まで何回も約束を破ってきたから、言葉だけじゃ信じられないよね。だから、これから何をするかを見ててほしい」

前者は相手に信じることを求めていますが、後者は信じられない相手の気持ちを受け止めています。具体的に何をするかについては、この記事の後半で詳しくお伝えしていきます。

2-2.借金や使った金額を少なく伝える

2つ目は、借金の額やギャンブルに使った金額を、実際よりも少なく伝えてしまうことです。本当のことを全部言ったら、今度こそ見捨てられるのではないかという怖さから、つい小さく言ってしまう方は少なくありません。

けれども、少なく伝えた借金は、あとから必ず明るみに出ます。督促の電話や郵便物、カードの明細などから、隠していた分が少しずつ見つかっていくのです。

そうなると、配偶者は、借金があったこと以上に、この期に及んでまだうそをついていたことに深く傷つきます。一度目の発覚よりも、二度目の発覚のほうが、信頼に与えるダメージははるかに大きくなります。

ある女性は、ネットのギャンブルで作った借金の一部だけを夫に打ち明けました。ところが数か月後、別のカード会社からの通知で残りの借金が分かり、夫からは、もう何を言われても信じられないと言われてしまったそうです。

打ち明けるのが怖いのは当然です。それでも、借金は一度で全部見せることが、信頼を取り戻すための最低条件だと考えてください。

2-3.相手の怒りに言い返したり、言い訳をしたりする

3つ目は、配偶者の怒りに対して、言い返したり言い訳をしたりすることです。責められ続けると、誰でも自分を守りたくなります。

たとえば、次のような言葉が口をついて出てしまうことがあります。

「ストレスがたまってたんだから、しかたないだろ」

「そっちだって、お金の使い方に文句言えないじゃん」

こうした言葉は、あなたにとっては事情の説明のつもりでも、配偶者には、反省していない証拠として受け取られます。話し合いは責任のなすりつけ合いになり、離婚の決意をさらに強めてしまうのです。

配偶者の怒りは、それだけ深く傷ついてきたことの表れです。怒りをぶつけられたときは、反論したい気持ちをぐっとこらえて、まずは受け止めることを優先してください。

「そう思わせてしまったのは、俺のせいだよね。本当にごめん」

このように短く受け止めるだけで、相手の怒りがそれ以上ふくらむのを防ぐことができます。言いたいことがあったとしても、今はそれを伝える時期ではありません。

2-4.話し合いをしつこく迫り、答えを急がせる

4つ目は、話し合いをしつこく迫り、配偶者に答えを急がせることです。一刻も早く離婚を取り下げてほしいという焦りから、毎日のように話し合おうと持ちかけてしまう方がいます。

しかし、傷ついている配偶者にとって、それは心を休める時間を奪われることと同じです。答えを急がせるほど相手は追いつめられ、この苦しさから早く逃れるために、かえって離婚を急いでしまうことがあります。

特に、どうすれば許してくれるの、いつまで待てばいいのといった問いかけは、相手に答えを出す責任を押しつけることになります。今のあなたに必要なのは、答えをもらうことではなく、相手が安心して考えられる時間を差し出すことです。

では、焦る気持ちをどこに向ければよいのでしょうか。答えを求める代わりに、離婚を言われてから最初の1週間は、次のことに力を注いでください。

離婚を言われてから1週間でやることチェックリスト
  • 離婚届不受理申出を済ませる
  • 精神保健福祉センターか保健所に電話する
  • 借金とギャンブルに使ったお金をすべて書き出す
  • 毎日の暮らしの中で、これまで以上に誠実にふるまう

どれも配偶者の協力がなくてもできることです。一つずつ確認していきます。

離婚届不受理申出を済ませる

まずは、知らないうちに離婚が成立してしまうのを防ぎます。手続きの方法は、1-3でお伝えしたとおりです。

精神保健福祉センターか保健所に電話する

ギャンブルの問題を一人で抱えず、専門の相談先につながる最初の一歩です。どんな相談先があるかは、4-3で詳しくお伝えします。

借金とギャンブルに使ったお金をすべて書き出す

配偶者に正直に見せるための準備です。見せ方や管理の仕方は、5-3で詳しくお伝えします。

毎日の暮らしの中で、これまで以上に誠実にふるまう

話し合いを迫らない代わりに、あいさつや家事、子どもの世話を丁寧に続けます。言葉ではなく行動を静かに積み重ねていく姿こそが、やがて配偶者の心を動かしていきます。

3.配偶者が離婚を考えるほど追いつめられている本当の理由

やってはいけないことが分かったら、次は配偶者の心の中に目を向けてみてください。配偶者を離婚まで追いつめているのは、お金を失ったこと以上に、うそをつかれ続けたこと、家族の生活と子どもの将来が壊される恐怖、そして期待しては裏切られるくり返しの3つです。

この理由を正しく理解できていないと、どれだけ行動を変えても、相手の心にはなかなか届きません。一つずつ見ていきます。

3-1.お金を失ったこと以上に、うそをつかれ続けたことに傷ついている

配偶者がいちばん深く傷ついているのは、お金を失ったことよりも、うそをつかれ続けたことです。多くの方は、配偶者が怒っているのはお金のせいだと考えますが、私がこれまで多くの夫婦を見てきた中で感じるのは、その奥にある信頼の傷の深さです。

ギャンブルの問題には、たいていうそがついて回ります。仕事で遅くなると言ってパチンコ店にいた、飲み会だと言って競馬に行っていた、生活費が足りないのをごまかしていた。こうした小さなうその積み重ねが、ある日一気に明るみに出るのです。

そのとき配偶者は、お金の問題以上に、今まで信じてきた日々は何だったのかという思いに打ちのめされます。あなたと過ごしてきた時間そのものを、疑わなければならなくなるからです。

だからこそ、借金を返しさえすれば元に戻れるとは考えないでください。配偶者が本当に取り戻したいのは、あなたの言葉を信じられる安心感です。

この安心感は、お金のように一度に返せるものではありません。うそのない日々を、時間をかけて一日ずつ積み重ねていくことでしか、取り戻すことはできないのです。

3-2.家族の生活と子どもの将来が壊される恐怖を抱えている

もう一つ、配偶者を追いつめているのが、家族の生活と子どもの将来が壊されてしまうのではないかという恐怖です。

ギャンブルの問題は、本人だけの問題ではありません。厚生労働省と久里浜医療センターが2024年10月に公表した実態調査では、公的な相談機関を利用した家族のうち、本人のギャンブルによって借金の肩代わりをした人が63.9%にのぼりました。家族向けの自助グループの利用者では、その割合は77.8%でした。

つまり、ギャンブルの問題を抱える人の家族の多くが、自分のお金や生活を削って、借金の穴うめをしているのです。あなたの配偶者も、同じような負担を背負ってきたかもしれません。

さらに、子どもがいる場合、配偶者の心配は自分だけのことにとどまりません。教育費は用意できるのか、この先も家に住み続けられるのか、子どもに同じ苦労をさせてしまうのではないか。そうした不安が、毎日頭から離れなくなります。

こうした状況の中で、配偶者が離婚を考えるのは、あなたを嫌いになったからとは限りません。家族を守るためには、もう離れるしかないと思いつめている場合も多いのです。そのことを理解しておくと、相手の厳しい言葉の受け止め方も変わってくるはずです。

3-3.何度も期待しては裏切られ、心が限界に達している

そして、配偶者の心を最も深く疲れさせているのが、期待しては裏切られるというくり返しです。

最初にギャンブルや借金が分かったとき、配偶者はきっと、あなたを信じようとしたはずです。今度こそやめてくれると期待し、責めたい気持ちをおさえて、もう一度だけチャンスをくれたのかもしれません。

ところが、その期待が裏切られるたびに、配偶者の心は少しずつすり減っていきます。期待するから傷つくのだと感じるようになり、やがて、もう何も期待しないことで自分を守ろうとし始めるのです。

離婚という言葉は、多くの場合、そうした心の限界から出てきます。これ以上傷つきたくないという、配偶者の悲鳴のようなものだと受け止めてください。

だからこそ、あなたが今何を言っても、すぐには信じてもらえません。それは当然のことであり、あなたが見捨てられたという意味ではありません。すり減った心が回復するには時間がかかります。私の経験から言っても、信頼が戻るまでには、少なくとも1年ほどかかると考えておくのが現実的です。

4.ギャンブルは意志の弱さではなく、治療が必要な問題だと知る

配偶者の心の傷の深さを知ると、一刻も早くギャンブルをやめなければと強く思うはずです。ここで知っておいてほしいのは、ギャンブルの問題は意志の弱さではなく、治療や支援が必要な状態であり、専門の相談先を頼ることが回復の近道だということです。

決意だけでやめられるのであれば、ここまで追いつめられてはいなかったかもしれません。ここでは、ギャンブルの問題を正しく理解し、本当にやめるための土台を作っていきます。

4-1.ギャンブル等依存症は、誰にでも起こりうる心の病気

消費者庁は、ギャンブル等依存症を、ギャンブルにのめり込んで自分でコントロールできなくなる精神疾患の一つとして説明しています。お金の問題だけでなく、家庭の不和にもつながることがあるとされています。

また、厚生労働省と久里浜医療センターが2024年10月に公表した全国調査では、成人の1.7%が、過去1年の間にギャンブル等依存が疑われる状態にあると推計されています。決して、ごく一部の特別な人だけの問題ではないのです。

こう聞くと、自分は依存症なんかじゃないと感じる方もいると思います。実際、私のもとに相談に来られる方の多くも、最初は、少しやりすぎただけだと考えていました。そこで、今の自分の状態を確かめるために、次のチェックリストを見てください。

ギャンブルの問題に気づくためのセルフチェックリスト
  • やめようと思っても、やめられない
  • 負けた分を取り返そうとして、また賭けてしまう
  • 家族にうそをついてまで続けてしまう
  • ギャンブルのために借金をしている

それぞれ、どんな状態を指すのかを見ていきます。

やめようと思っても、やめられない

今日は行かないと決めていたのに、気づけば店にいた。そんな経験がくり返しあるなら、自分の意思でコントロールできなくなっているサインです。

負けた分を取り返そうとして、また賭けてしまう

負けたときに、次で取り返せばいいと考えて賭け続けてしまうのは、ギャンブルの問題を抱える人によく見られる状態です。取り返そうとするほど、損は大きくなっていきます。

家族にうそをついてまで続けてしまう

行き先や使ったお金についてうそをつくのは、心のどこかで、やめるべきだと分かっている証拠でもあります。それでも続けてしまうなら、問題は深くなっています。

ギャンブルのために借金をしている

自分のお金の範囲を超えて、借金をしてまで賭けている場合は、生活そのものが壊れ始めている状態です。

このチェックリストは診断ではなく、あくまで目安です。それでも、1つでも当てはまるなら、あなたの性格がだらしないからではなく、治療や支援が必要な状態になっている可能性があります。

病気だと認めることは、決して負けではありません。むしろ、意志の力だけで何とかしようとするのをやめたときから、本当の回復が始まります。

4-2.自分の力だけでやめられないのは、脳のしくみが関係している

自分の力だけでギャンブルをやめられないのは、勝ったときの快感を脳が覚えてしまうこと、その刺激に脳が慣れていくこと、負けを取り返そうとする考えが強まることが重なっているからです。一つずつ見ていきます。

人の脳には、うれしいことや気持ちよいことがあると、また同じことをしたいと感じさせるしくみがあります。ギャンブルで勝ったときの強い興奮は、このしくみを大きく動かします。

ギャンブルをくり返すうちに、脳はその刺激に慣れていきます。すると、以前と同じ金額では満足できなくなり、より大きな金額や、より長い時間をかけなければ、気持ちが満たされなくなっていくのです。

さらに、負けたときには、次こそ取り返せるはずだという考えが強く働きます。冷静に考えれば損をするだけだと分かっていても、脳がそうした判断をしにくい状態になっているのです。

ここで大切なのは、脳のしくみのせいだから自分は悪くない、と考えないことです。やめられないのは脳のしくみが関係していますが、回復に取り組む責任はあなたにあります。

意志の弱さを責め続けるのではなく、しくみを知ったうえで、やめられる環境や方法を整えていく。その考え方に切りかえることが、回復への第一歩になります。

4-3.一人で抱え込まずに、公的な相談先を頼る

脳のしくみが関係している以上、一人で何とかしようとしても限界があります。だからこそ、専門の相談先を頼ることが欠かせません。

同じ実態調査では、ギャンブルの問題に気づいてから、病院や相談機関を利用するまでに、平均で3.5年かかっていたことも分かっています。多くの人が、自分で何とかできると思っているうちに、問題を大きくしてしまっているのです。

あなたは今、離婚を言われるほどの状況にいます。これ以上、相談を先のばしにする理由はありません。ギャンブルをやめたいと思ったときに頼れる主な相談先は、次の4つです。

ギャンブルをやめたいときに頼れる4つの相談先
  • 精神保健福祉センターや保健所
  • ギャンブル等依存症の専門医療機関
  • 同じ悩みを持つ人が集まる自助グループ
  • 借金の相談ができる法テラスや消費生活センター

それぞれの特徴を見ていきます。

精神保健福祉センターや保健所

各都道府県や政令指定都市にある精神保健福祉センターや、身近な保健所では、ギャンブルの問題について無料で相談できます。どこに行けばよいか分からないときは、まずここに電話するのがいちばんの近道です。

ギャンブル等依存症の専門医療機関

ギャンブル等依存症の治療を行っている専門の医療機関もあります。どの病院が対応しているか分からない場合は、精神保健福祉センターで、住んでいる地域の医療機関を紹介してもらうこともできます。

同じ悩みを持つ人が集まる自助グループ

自助グループでは、同じようにギャンブルで苦しんできた人たちが集まり、自分の体験を正直に話し合います。一人では続けにくいやめる努力も、仲間がいることで支え合いながら続けやすくなります。

借金の相談ができる法テラスや消費生活センター

ギャンブルで借金を抱えている場合は、法テラスや消費生活センターでも相談ができます。借金の整理の仕方について、専門家から助言を受けることができます。

また、精神保健福祉センターや保健所では、家族からの相談も受け付けています。家族向けの自助グループもあり、あなたの配偶者も、同じ立場の人と気持ちを分かち合える場所を持つことができます。

ただし、配偶者に相談に行ってほしいと求めるのは逆効果です。伝えるなら、パンフレットやメモをそっと渡す程度にとどめてください。

「家族向けの相談もあるみたいだから、置いておくね。行かなくても全然いいから」

行くかどうかを決めるのは、あくまで配偶者です。自助グループの具体的な内容については、(内部リンク:ギャンブルをやめたい人のための自助グループの選び方)で詳しく解説しています。

こうした場所に自分から足を運ぶことは、配偶者に口で約束するよりも、はるかに強いメッセージになります。相談先を頼ることは、決して恥ずかしいことではなく、家族を守るための勇気ある行動なのです。

5.配偶者の協力がなくても一人で始められる回復の5ステップ

相談先を頼る大切さが分かったところで、ここからは、あなたが実際に何をしていけばよいのかを具体的にお伝えしていきます。今の配偶者は、あなたに協力する気持ちの余裕がないかもしれません。それでも大丈夫です。これからお伝えする5つのステップは、どれもあなた一人から始められることばかりです。

一人で始められる回復の5ステップ
  • 【Step1】ギャンブルの問題とこれまでのうそを正直に認める
  • 【Step2】専門の相談機関や自助グループに自分から足を運ぶ
  • 【Step3】借金と家計のすべてを配偶者に見せる
  • 【Step4】貸付自粛制度を使って、お金を借りられない仕組みを作る
  • 【Step5】ギャンブルに使っていた時間を別の過ごし方に置きかえる

順番に詳しく見ていきます。

5-1.【Step1】ギャンブルの問題とこれまでのうそを正直に認める

最初のステップは、ギャンブルの問題と、これまでついてきたうそを、正直に認めることです。これは配偶者に向けてである前に、まず自分自身に向けて行うものです。

ギャンブルの問題を抱える人の多くは、心のどこかで、自分はまだ大丈夫、そこまでひどくないと思っています。この思いが残っている限り、行動は本気になりきれず、やがて同じことをくり返してしまいます。

そこでおすすめしたいのが、これまでのことを紙に書き出してみることです。いつごろからギャンブルを始めたのか、どんなうそをついてきたのか、家族にどんな影響が出たのか。思い出せる範囲で、ありのままに書いていきます。

書いているうちに、目をそむけたくなるかもしれません。けれども、自分がしてきたことを言葉にして見つめることで、初めて配偶者の苦しみの大きさが実感として分かるようになります。

この書き出しは、後で配偶者に謝るときや、相談機関で話をするときにも役立ちます。自分の問題を正直に認めることは、回復のすべての土台になるのです。

5-2.【Step2】専門の相談機関や自助グループに自分から足を運ぶ

自分の問題を認めることができたら、次は、4-3で紹介した相談先に自分から足を運んでください。最初の一歩としては、精神保健福祉センターや保健所に電話をかけるのがいちばん手軽です。自助グループで、何年もギャンブルをやめ続けている人の話を聞くことは、自分も変われるという希望にもつながります。

ここで大切なのは、配偶者に言われたから行くのではなく、自分の意思で行くことです。行ったことを報告するときも、行ってきたから許してほしいという態度ではなく、事実だけを短く伝えるようにしてください。

「今日、保健所に相談してきた。来週から自助グループにも通ってみる」

このように淡々と伝えるだけで十分です。配偶者は返事をしないかもしれませんが、あなたが自分から動き始めたという事実は、確実に相手の心に届いています。

5-3.【Step3】借金と家計のすべてを配偶者に見せる

3つ目のステップは、借金と家計のすべてを配偶者に見せることです。ギャンブルの問題を抱える人の多くは、借金や家計の苦しさという問題も同時に抱えています。ギャンブルをやめるだけでは、配偶者の不安は消えません。

まずは、借金の全体を一覧にしてください。カード会社や消費者金融からの明細、督促状なども集めて、次のシートに一つ残らず書き出します。

▼借金の整理シート
借入先 借りた時期 残りの金額 毎月の返済額 返済日 配偶者に伝えたか
例:〇〇カード 〇年〇月 〇万円 〇万円 毎月〇日 □ 伝えた
□ 伝えた
□ 伝えた
□ 伝えた
合計
※小さな借金や、友人・家族から借りたお金も一つ残らず書き出してください
※配偶者に伝えたかどうかの欄が、すべて埋まることを目指します

書き終えたら、そのシートを配偶者に見せて、今後の管理の仕方を相談します。たとえば、給料が入る口座の通帳やカードを配偶者に預ける、使ったお金はレシートとともに毎日報告する、といった方法があります。配偶者が管理を引き受けたくないと言う場合は、毎月の家計と返済の状況を、自分から紙にまとめて見せ続けるだけでもかまいません。

お金を自由に使えなくなるのは、不便で窮屈に感じるかもしれません。ですが、お金の流れがすべて見えるようになることは、配偶者にとって何よりの安心材料になります。隠すものが何もないという状態そのものが、信頼を取り戻す力になるのです。

ここで気をつけてほしいのが、親や兄弟に借金の肩代わりを頼んで、配偶者に知られる前に片づけてしまおうとすることです。一見、家族に迷惑をかけない方法に思えますが、私はおすすめしません。

誰かが肩代わりしてくれると、借金の重みを自分で感じられなくなり、またギャンブルに手を出しやすくなるからです。しかも、配偶者に隠して片づけたことが後で分かれば、それは新しい隠しごとになってしまいます。

借金は、時間がかかっても自分の力で返していく。その姿を見せ続けることこそが、配偶者の信頼につながります。返していくのが難しい場合は、4-3で紹介した法テラスや消費生活センターを頼ってください。

5-4.【Step4】貸付自粛制度を使って、お金を借りられない仕組みを作る

お金の流れを見えるようにしたら、4つ目のステップとして、そもそもお金を借りられない仕組みを作ってください。どれだけ強く決意していても、ギャンブルをしたい気持ちが高まったとき、すぐにお金を借りられる状態では、また同じことをくり返してしまうおそれがあるからです。

そのために使えるのが、金融庁も案内している貸付自粛制度です。貸付自粛制度とは、ギャンブルや浪費でお金を借りすぎてしまうのを防ぐため、本人が自分から申告することで、自分にお金を貸さないでほしいという情報を登録してもらう制度です。

登録された情報は、JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センターという3つの信用情報機関に登録され、一定期間、貸金業者などが審査のときに確認できるようになります。自分の意思だけに頼らず、仕組みで自分を守ることができるのです。

あわせて、クレジットカードのキャッシング枠をなくしたり、ギャンブルに使っていたネットの口座やアプリを解約したりしておくと、さらに効果が高まります。

こうした手続きを済ませたら、配偶者にも伝えてください。口で約束するのではなく、具体的な仕組みを作ったことを伝えるほうが、相手にとってはずっと信じやすいものです。

5-5.【Step5】ギャンブルに使っていた時間を別の過ごし方に置きかえる

最後のステップは、ギャンブルに使っていた時間を、別の過ごし方に置きかえることです。ギャンブルをやめると、これまでその時間に使っていたぶん、ぽっかりと心に穴があいたように感じることがあります。

この空いた時間を何もせずに過ごしていると、退屈さや不安から、またギャンブルのことを考えてしまいやすくなります。だからこそ、あらかじめ別の過ごし方を用意しておくことが大切です。

たとえば、仕事帰りにパチンコ店に寄る習慣があった人なら、まっすぐ帰宅して子どもの宿題を見たり、お風呂に入れたりする時間に置きかえることができます。休日に競馬場へ行っていた人なら、家族と公園に行ったり、一人で運動をしたりする時間にするのもよい方法です。

特におすすめなのは、家族のために使う時間を増やすことです。ただし、配偶者に一緒に過ごそうと求める必要はありません。家事を引き受ける、子どもと遊ぶなど、あなた一人でできることから始めてください。

子どもと過ごすときには、気をつけてほしいことがあります。それは、子どもを夫婦の問題に巻き込まないことです。子どもの前で言い争う、配偶者の悪口を言う、パパとママどっちの味方なのと聞く。こうした行動は、子どもの心を深く傷つけます。

子どもを味方につけようとする行動は、配偶者から見ても、この人は何も変わっていないと映ります。子どもとの時間は、ただ一緒に笑い、話を聞くことだけに使ってください。

ギャンブルに向かっていた時間が家族との時間に変わっていく様子は、配偶者にとって、あなたが本当に変わろうとしていることを示す何よりの証拠になっていきます。

6.離婚話を保留にしてもらうための気持ちの伝え方

5つのステップで行動を変え始めたら、次に大切になるのが、配偶者への気持ちの伝え方です。離婚の話をいったん保留にしてもらうための要点は、相手の苦しみを具体的に言葉にして謝ること、許しを求めずにこれからの自分を見ていてほしいと伝えること、そのあとは行動で示し続けることの3つです。

行動がどれだけ正しくても、伝え方をまちがえると、相手の心は閉じたままになってしまいます。順番に詳しくお伝えします。

6-1.謝るときは、相手の苦しみを自分の言葉で言い表す

謝るときは、ごめんを何度も重ねるよりも、配偶者がどんな思いをしてきたのかを、自分の言葉で具体的に言い表すことが大切です。ただ謝るだけの言葉は、配偶者の心にはなかなか届かないからです。

配偶者が本当に知りたいのは、あなたが自分の苦しみをどこまで分かっているのかということです。具体的に言葉にしてもらえて初めて、この人は分かってくれたのかもしれないと感じられるのです。

ここで役立つのが、5-1で書き出したこれまでのことです。自分のうそや行動が、配偶者にどんな負担や不安を与えてきたのかを思い出しながら、伝える言葉を考えてみてください。

「毎月、生活費が足りないのをやりくりしてくれてたのに、そのお金をパチンコに使ってた。遅くまで仕事って言ってたのもうそだった。ずっと一人で不安を抱えさせて、本当にごめん」

このように、相手が味わってきた苦しみを具体的に言葉にすると、配偶者の受け止め方は大きく変わります。

ただし、謝る場面で、言い訳や自分のつらさを付け加えるのは避けてください。謝罪の言葉は、配偶者の苦しみだけに向けるものです。

6-2.許してほしいではなく、これからの自分を見ていてほしいと伝える

心から謝ったあとに、つい言いたくなるのが、許してほしいという言葉です。けれども、今の配偶者にとって、その言葉は重い負担になります。

許してほしいと言われると、配偶者は、許すか許さないかを今すぐ決めなければならない立場に置かれます。すり減った心のままで、そんな大きな決断はできません。その結果、許せないという答えを選んでしまうことが多いのです。

そこで伝えてほしいのが、これからの自分を見ていてほしいという言葉です。

「今すぐ許してもらえるとは思ってない。信じられないのも当然だと思う。だから、離婚のことを決める前に、これからの俺を少しだけ見ていてほしい」

この伝え方なら、配偶者は、今すぐ答えを出す必要がなくなります。見ているだけでよいのなら、と気持ちに少し余裕が生まれ、離婚の話をいったん保留にしてくれる可能性が高まります。

もちろん、それでも考える時間はほしくないと言われることもあります。その場合も、相手の気持ちを否定せず、分かった、とだけ答えて、行動を続けてください。

6-3.相手の答えを待つ間は、言葉ではなく行動で誠意を示し続ける

気持ちを伝え終えたら、あとは配偶者の答えを待つ時間に入ります。この時期に大切なのは、同じ話をくり返すことではなく、5章のステップを、誰かに認められなくても毎日こつこつ続けることです。

もし配偶者がすでに実家に帰っているなど、別居している場合は、行動を直接見てもらうことができません。その場合は、数日から1週間に1回ほど、短いメッセージで近況を伝えるのがよいと私は考えています。

「今週も自助グループに2回行ってきた。返済も予定どおり済ませたよ。返事はいらないから、体に気をつけて」

このように、事実だけを短く伝え、返事を求めないことがポイントです。長い文章で気持ちを訴えたり、毎日連絡したりすると、配偶者は追いつめられてしまいます。会いたい気持ちが強くても、実家に押しかけるのはやめてください。

また、別居中であっても、夫婦には生活費を分け合う責任があります。配偶者や子どもの生活費を送り続けることは、あなたが家族を大切に思っていることを示す、何よりの行動になります。別居中の関わり方については、(内部リンク:別居中の夫婦関係を修復するための連絡の取り方)でも詳しく解説しています。

同居していても、別居していても、配偶者は、あなたの言葉ではなく、言葉と行動が一致しているかどうかを見ています。何週間、何か月と続いたときに初めて、配偶者の心の中で、この人は今度こそ本気かもしれないという思いが生まれてくるのです。

7.信頼を少しずつ取り戻していく1年間の歩み方

ここまで、行動と伝え方についてお伝えしてきました。とはいえ、信頼は一気には戻りません。私の経験では、1年から1年半ほどかけて、段階的に家族の暮らしが戻ってくる流れが多く見られます。

時期ごとの目安をまとめると、次のようになります。

▼信頼を取り戻していく時期ごとの目安
時期 配偶者によく見られる様子 あなたが続けること やってはいけないこと
最初の3か月 返事がない、目を合わせない、きつい言葉が続く ・相談機関や自助グループに通う
・お金の流れを見せる
・家族のための時間を増やす
見返りを求める、答えを急がせる
半年ごろ 世間話や子どもの話をしてくれるようになり、笑顔が少しずつ戻る これまでと同じ行動を変わらずに続ける もう大丈夫だよねと確かめる
1年ごろ 離婚の話が出なくなり、少しずつ頼ってくれるようになる お金の報告と相談機関への通いを続ける 気がゆるみ、報告を省く
1年半ごろ 家族で出かけるなど、以前の暮らしが戻ってくる お金を借りられない仕組みを保ち続ける もう平気だと思い、仕組みを外す
※あくまで目安であり、夫婦の状況によって前後します
※途中でギャンブルをしてしまった場合の向き合い方は、7-3で解説しています

こうした時間の目安を知っておくと、途中で心が折れにくくなります。ここからは、時期ごとの歩み方と、途中でつまずいたときの向き合い方を詳しくお伝えします。

7-1.最初の3か月は、相手の冷たい態度を受け止めながら行動を続ける

行動を変え始めてから最初の3か月ほどは、配偶者の態度はほとんど変わらないと考えておいてください。話しかけても返事がない、目を合わせてくれない、きつい言葉をぶつけられる。そうした日々が続くことも珍しくありません。

これは、あなたの努力がむだになっているという意味ではありません。配偶者は、あなたの変化が本物なのか、また一時的なものなのかを、じっと見きわめている段階にいるのです。

この時期に最も多い失敗は、こんなに頑張っているのにと、相手に見返りを求めてしまうことです。見返りを求めた瞬間、あなたの行動は、許してもらうための取引に変わってしまいます。

冷たい態度を向けられたときは、それだけ深く傷つけてきたのだと受け止めて、淡々と行動を続けてください。

とはいえ、冷たい日々が続くと、自分なんていないほうがいいのではないかと、必要以上に自分を責めてしまう方もいます。自分のしたことに向き合うのは大切ですが、責め続けても回復は進みません。

つらくなったときは、自助グループの仲間や相談機関の担当者に気持ちを聞いてもらってください。気持ちが深く沈み、眠れない、何も手につかないといった日が続く場合は、早めに医療機関や相談機関に打ち明けることが大切です。あなた自身の心を守ることも、家族を取り戻すための大切な準備なのです。

7-2.半年を過ぎたころから、会話と笑顔が少しずつ戻り始める

冷たい時期を乗りこえて行動を続けていると、半年を過ぎたころから、少しずつ変化が見え始めることが多くなります。

たとえば、最初は用件だけだった会話に、ちょっとした世間話がまじるようになります。夕食の席で、子どもの話に配偶者が笑う場面が増えたり、あなたの話にも短く返事をしてくれるようになったりします。

こうした小さな変化は、配偶者の心の氷が少しずつとけ始めている合図です。けれども、ここで焦って、もう大丈夫だよね、離婚はなしでいいよね、と確かめたくなる気持ちはぐっとこらえてください。

まだ配偶者の心は回復の途中にいます。答えを急がせると、せっかくとけかけた心が、また固く閉じてしまうことがあります。

小さな変化に気づいたら、心の中で喜ぶだけにとどめ、これまでと同じように行動を続けてください。変化を急がず、今の歩みを続けることが、信頼の回復を確かなものにしていきます。

7-3.もしギャンブルをしてしまったら、隠さずにすぐ打ち明ける

回復の途中でギャンブルをしてしまったら、隠さずに、できるだけ早く自分から配偶者に打ち明けてください。隠していたことがあとで分かれば、配偶者は、またうそをつかれたと感じ、これまで積み重ねてきた信頼が一気に崩れてしまうからです。

ギャンブルの問題は、脳のしくみが関係しているため、どれだけ気をつけていても、つい手を出してしまうことがあります。これは回復の道のりの中で起こりうることであり、それだけですべてが終わるわけではありません。

本当に怖いのは、ギャンブルをしてしまったこと以上に、それを隠してしまうことです。だからこそ、隠すことだけは絶対にしないと心に決めておいてください。

「実は、昨日パチンコに行ってしまった。隠したくないから、正直に話す。相談機関にもすぐに連絡して、どうすればいいか話してくる」

打ち明けたあとは、相談機関や自助グループにもすぐに報告し、なぜ手を出してしまったのかを一緒に振り返ってください。正直に打ち明けて立て直そうとする姿は、配偶者にとって、あなたが変わったことを示す大切な証拠にもなるのです。

7-4.1年半かけて家族との暮らしを取り戻した夫の実例

ここで、実際に1年半ほどかけて家族との暮らしを取り戻した方の例をご紹介します。30代後半の会社員の男性で、妻と小学生の子ども2人の4人家族でした。

この男性は、パチンコとスロットで作った借金を妻に隠していましたが、カード会社からの通知で発覚しました。それまでにも何度か、もうやめると約束しては破ってきたため、妻から離婚届を渡され、もう無理だと告げられたのです。

妻には内緒で私のもとに相談に来られた男性は、まず保健所に相談し、自助グループに通い始めました。借金の一覧を作って妻に見せ、給料が入る口座のカードを預けたうえで、貸付自粛制度にも登録しました。仕事帰りのパチンコ店通いは、子どもの宿題を見る時間に変えたそうです。

最初の3か月、妻はほとんど口をきいてくれませんでした。それでも男性は見返りを求めず、行動を続けました。半年ほどたつと、妻が子どもの話をしてくれるようになり、家族で食卓を囲む時間にも少しずつ笑顔が戻ってきました。

1年ほどたったころ、妻は、しまっておいた離婚届を男性の前で破り捨てたそうです。そして1年半がたつころには、家族4人で旅行に出かけられるまでに関係が戻りました。

この男性が変われたのは、妻の協力を待たずに、自分一人で動き始めたからです。妻に信じてもらえない時期も、言葉ではなく行動で示し続けたことが、家族との暮らしを取り戻す力になりました。

8.それでも離婚を求められたときに知っておきたいこと

ここまでお伝えしたことを続けても、配偶者の決意が固く、話し合いでは離婚の話が収まらないこともあります。そうなったときに慌てず、修復への道を残しておくために、知っておきたいことをお伝えします。

8-1.離婚調停を申し立てられたら、修復したい気持ちを伝える場にする

配偶者から離婚調停を申し立てられても、あなたが離婚に合意しなければ、調停で離婚が成立することはありません。調停を申し立てられたと知ると、もう終わりだと感じてしまうかもしれませんが、そうではないのです。

裁判所によると、夫婦の話し合いがまとまらない場合や話し合いができない場合には、家庭裁判所の調停手続を利用でき、離婚調停では、離婚そのものだけでなく、親権や面会交流、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料についても話し合うことができるとされています。

調停では、調停委員という第三者が間に入り、夫婦それぞれから話を聞いてくれます。

大切なのは、調停を配偶者と争う場ではなく、修復したい気持ちを伝える場として使うことです。配偶者を責めたり、自分の正しさを主張したりするのではなく、ギャンブルの問題を認めていること、相談機関に通っていること、お金の管理を見直したことなどを、事実として落ち着いて伝えてください。

具体的な行動の積み重ねは、調停委員にとっても、あなたが本気で変わろうとしていることを判断する大切な材料になります。

8-2.夫婦関係調整調停という、やり直すための話し合いの場もある

家庭裁判所の調停には、離婚のためのものだけでなく、夫婦関係調整調停、いわゆる円満調停という、やり直すための話し合いの場もあります。

円満調停は、夫婦関係がうまくいかなくなったときに、どうすれば関係を立て直せるかを話し合う手続きです。配偶者が話し合いに応じてくれない場合でも、調停委員が間に入ることで、お互いの気持ちを落ち着いて伝え合える機会が生まれます。

ただし、円満調停を申し立てるタイミングには注意が必要です。配偶者がまだ家で一緒に暮らしていて、少しずつでも会話ができているなら、家庭裁判所を通すことで、かえって相手を追いつめてしまうことがあります。

円満調停は、配偶者が家を出てしまい連絡も取れない場合など、夫婦だけでは話し合いの機会がまったく持てなくなったときの選択肢として考えておいてください。法律の手続きはあくまで話し合いの場を作るための道具であり、関係を立て直す力は、あなた自身の行動の中にあります。

8-3.一人で悩み続けず、夫婦関係の専門家の力を借りる

調停などの手続きを使う場合でも使わない場合でも、関係を立て直していく道のりで大切なのは、一人で抱え込まないことです。ギャンブルが原因で離婚を切り出されると、家族には言えない、友人にも知られたくないという思いから、苦しさを一人で抱え込んでしまう方がとても多くいます。

けれども、一人で考え続けていると、どうしても視野がせまくなり、配偶者の気持ちを読みちがえたり、焦ってやってはいけない行動を取ったりしやすくなります。

ギャンブルの問題は公的な相談機関や自助グループへ、法律の問題は弁護士へと、それぞれの専門家を頼ってください。そのうえで、配偶者との関係をどう立て直していくかについては、夫婦関係の専門家の力を借りるという方法もあります。

私のカウンセリングでも、配偶者には内緒で、悩んでいる方が一人で相談に来られるのが基本です。夫婦で一緒に来る必要はありません。

これまで多くの夫婦を見てきた中で、私は、夫婦のどちらか一人が変わることで、関係全体が変わっていく姿を何度も目にしてきました。相手が変わるのを待つのではなく、あなたが先に変わる。その一歩を支えてくれる存在がいることで、途中で心が折れずに歩み続けることができるのです。

8-4.ギャンブルと離婚についてよくある3つの質問

最後に、ギャンブルが原因で離婚を切り出された方から、よくいただく質問にお答えしておきます。

ギャンブルをやめれば、離婚は避けられますか?
ギャンブルをやめることは欠かせない条件ですが、それだけで離婚が避けられるわけではありません。配偶者が求めているのは、うそのない暮らしと、お金の流れが見える安心感です。相談機関に通い、借金と家計をすべて見せ、それを1年ほど続けることで、信頼は少しずつ戻っていきます。
ギャンブルの借金は、離婚するときに配偶者も返さなければならないのですか?
ギャンブルのために一人で作った借金は、原則として借りた本人が返すものです。配偶者が連帯保証人になっていない限り、配偶者に返す義務はありません。ただし、状況によって判断が変わることもあるため、詳しくは法テラスや弁護士に相談してください。
ギャンブルが原因の場合、慰謝料を請求されることはありますか?
ギャンブルや借金によって夫婦関係が壊れたと判断されれば、慰謝料を請求される可能性はあります。ただし、認められるかどうかや金額は、ギャンブルの程度や家計への影響など、それぞれの事情によって大きく変わります。不安な場合は、早めに弁護士に相談してください。

まとめ

ギャンブルが原因で離婚を切り出されても、まだ離婚を避ける道は残されています。最後に、この記事でお伝えした大切なポイントをふり返ります。

この記事の大切なポイント
  • 離婚したいと言われても、すぐに応じる必要はない
  • 離婚届不受理申出で、勝手に離婚が成立するのを防げる
  • 口先だけの約束や言い訳、答えを急がせることは逆効果になる
  • 配偶者は、お金以上に、うそをつかれ続けたことに深く傷ついている
  • ギャンブルは意志の弱さではなく、治療や支援が必要な問題である
  • 相談機関に通い、お金の流れを見せ、借りられない仕組みを作る
  • 許してほしいではなく、これからの自分を見ていてほしいと伝える
  • 信頼の回復には1年ほどかかると考え、行動を続ける

今の配偶者は、あなたの言葉を信じられない状態にあるかもしれません。それは、これまでの日々を思えば当然のことです。けれども、言葉ではなく行動を積み重ねていけば、信頼は少しずつ、でも確実に戻ってきます。

配偶者の協力を待つ必要はありません。今日、相談機関に電話をかけること。借金の一覧を作ること。仕事帰りにまっすぐ家に帰ること。どれも、あなた一人から始められることばかりです。

人は誰でも変われます。あなたが先に変わることで、夫婦の関係は必ず変えていくことができます。1年後、家族と笑って食卓を囲んでいる自分の姿を思い浮かべながら、今日の一歩を踏み出してください。

【夫婦関係修復カウンセリング2万名突破記念】

動画を視聴すると、こんなことが知れます▼

  • なぜ多くの夫婦が問題を解決できずにいるのか?その本当の理由
  • 友人や家族に相談しても解決しない理由と、本当に必要なこととは
  • 離婚原因の上位12項目のうち、解決可能な問題と解決できない問題の見分け方
  • 夫婦関係修復に必要な「あり方」を決める方法
  • 本物の自分と偽物の自分を見極め、パートナーから愛される自分になる秘訣
  • パートナーの頭の中の雑念や不安を取り除く具体的なアプローチ
  • 相手をリラックスさせ、前向きな気持ちにさせるコミュニケーション術
  • 見返りを求めない行動が、なぜ関係修復に絶大な効果をもたらすのか
  • パートナーがあなたの優しさや思いやりに気づいてくれるようになる方法
  • 「まずは自分から理解する」ことで相手の心を開く実践法
  • 夫婦ノートの正しい作り方と、それを成功させるために必要な前提条件
  • 相手を変えようとせずに、関係を劇的に改善する考え方
  • etc...

これらの中のたった1つでも、あなたの夫婦関係を劇的に変え、人生を180度好転させるほどのパワーがあります。

「もう一度、結婚当初のような深い絆を取り戻したい」「パートナーとの関係を根本から修復したい」と本気で願うなら、教材を受け取りたいメールアドレスを下記緑色のボタンよりお知らせください!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です