自分の浮気未遂がパートナーに知られ、離婚したいと言われてしまった。今、あなたはそんな状況の中で、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。
体の関係はなかったのに、なぜここまで怒られるのか分からない。でも、自分が悪いことをしたのは分かっている。だからこそ、どうにかして離婚だけは避けたい。そんな思いで、夜も眠れずにいるかもしれません。
はじめにお伝えしておきます。浮気未遂で離婚を切り出されても、すぐに離婚が決まるわけではありません。そして、正しい向き合い方をすれば、夫婦関係は修復できます。
私は夫婦関係修復コーチとして20年以上、1万組を超えるご夫婦の関係修復をサポートしてきました。その中には、浮気未遂がきっかけで離婚を切り出されながら、1年〜1年半ほどかけて、以前よりも深い信頼で結ばれた夫婦がたくさんいます。
しかも、その多くは、パートナーが協力してくれない状態から、どちらか一人が先に変わることで始まっています。この記事では、相手が口をきいてくれない今の状況からでも、一人で始められる方法を中心にお伝えしていきます。
なお、パートナーの浮気未遂を知り、それでも離婚はしたくないと悩んでいる方には、記事の後半にあるよくある質問でお答えしています。
- 浮気未遂が法律上どう扱われ、すぐに離婚になるのか
- 未遂でもパートナーが深く傷つく理由
- 発覚直後にやってはいけないNG行動
- 相手の協力がなくても一人から始められる関係修復のステップ
- 信頼を取り戻すまでの1年〜1年半の現実的な流れ
1.浮気未遂で「離婚したい」と言われても、すぐに離婚が決まるわけではありません
浮気未遂だけで、すぐに離婚が成立することはありません。この章では、その理由を、浮気未遂の範囲と法律上の扱いから順番に確認していきます。今の自分の立場を正しく知ることが、落ち着いて行動するための第一歩になります。
1-1.浮気未遂とはどこまでを指すのか?LINE・アプリ・会う約束の違い
浮気未遂とは、配偶者以外の異性と、体の関係を持つ前の段階までのやり取りを指す言葉です。法律で決められた言葉ではないため、人によって指す範囲がかなり違います。
具体的には、LINEやSNSで恋人のような親密なメッセージを送り合っていた、マッチングアプリで異性とやり取りをしていた、実際に会う約束をしていた、二人きりで食事をしたがそれ以上の関係はなかった、といったケースです。
ここで大切なのは、段階によって相手が受けるショックの大きさが違うということです。メッセージだけの場合より、会う約束まで進んでいた場合のほうが、相手は本気で会うつもりだったと受け取ります。
また、あなたが未遂だと思っていても、パートナーが同じように受け止めているとは限りません。あなたにとっては何もなかった出来事でも、相手にとっては裏切られたと感じるのに十分な出来事なのです。
まずは、自分がどの段階まで進んでいたのかを、ごまかさずに整理しておいてください。後で相手と向き合うとき、ここがあいまいだと、話がこじれる原因になります。
1-2.法律上の不貞行為と浮気未遂はどう違うのか
では、浮気未遂は法律の上でどう扱われるのでしょうか。結論から言うと、体の関係がない浮気未遂は、基本的に法律上の不貞行為にはあたりません。ただし、事情によっては、離婚の理由の一つとして見られる可能性もあります。
その根拠となるのが民法です。法務省の資料でも確認できるとおり、民法770条では、裁判で離婚が認められる理由として「配偶者に不貞な行為があったとき」や「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」などが定められています。
この不貞行為とは、一般的に、配偶者以外の人と自分の意思で体の関係を持つことを指します。そのため、体の関係がない浮気未遂は、不貞行為にはあたらないと考えられているのです。
一方で、親密なやり取りが長く続いていた、何度も同じことを繰り返していた、といった事情があると、夫婦関係を続けられない重大な理由の一つとして見られる可能性があります。未遂だから法律上は何の問題もない、と言い切れるわけではありません。
ここまでの内容を、1-1で紹介した浮気未遂の段階ごとに整理すると、次のようになります。
| ▼浮気未遂の段階別の整理表 | |||
| 段階 | 相手が受けやすいショック | 法律上の不貞行為 | 離婚理由として見られる可能性 |
|---|---|---|---|
| 親密なLINE・SNSのやり取り | 心が他の人に向いたと感じる | 基本的にあたらない | やり取りが長く続いた、繰り返したなどの事情があればありうる |
| マッチングアプリでのやり取り | 自分から出会いを探していたと受け取る | 基本的にあたらない | やり取りが長く続いた、繰り返したなどの事情があればありうる |
| 会う約束をしていた | 本気で会うつもりだったと受け取り、ショックが大きくなりやすい | 基本的にあたらない | やり取りの内容や夫婦関係の状態によってはありうる |
| 二人きりで食事をした | 実際に会っていたことへの衝撃が特に大きくなりやすい | 体の関係がなければ基本的にあたらない | 会っていた回数や関係の深さによってはありうる |
※相手のショックの大きさは、段階だけでなく、隠していた期間や見つかり方によっても変わります
この記事の法律に関する説明は2026年10月時点の情報をもとにしており、家族に関する法律は見直しが続いています。自分のケースが心配な場合は、最新の情報をふまえて弁護士に一度相談しておくと安心です。
1-3.相手が離婚を望んでも、話し合いや調停なしに離婚は成立しない
では、相手が本気で離婚を望んだらどうなるのでしょうか。相手が離婚を望んでも、あなたが合意しない限り、すぐに離婚が成立することはありません。離婚には、話し合いや調停といった段階があるからです。
日本の離婚は、大きく分けて、夫婦の話し合いで決める協議離婚、家庭裁判所で話し合う調停離婚、裁判で決める裁判離婚があります。協議離婚は、夫婦の両方が離婚に合意しなければ成立しません。
話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所での調停に進みます。調停も、あくまで話し合いの場です。あなたが納得しないまま、無理やり離婚させられることはありません。
調停でもまとまらない場合、最後は裁判になります。ただ、裁判で離婚が認められるには、法律で決められた理由が必要です。浮気未遂だけでは法律上の離婚理由として認められにくいため、すぐに離婚が認められる可能性は高くないと考えられます。
調停の具体的な流れや、調停で気をつけたいことは、こちらの記事で詳しく解説しています。
(内部リンク:離婚調停の流れと離婚したくない側の注意点を解説した記事)
もし、相手が勝手に離婚届を出してしまうのではないかと心配な場合は、市区町村の役所に離婚届の不受理申出をしておく方法もあります。これは、本人の意思で出されたものではない離婚届を受け付けないようにする手続きです。
ただし、この手続きを相手を責める材料に使うのは逆効果です。あくまで、自分を守るための手段として考えてください。
ここで一つ、勘違いしてほしくないことがあります。すぐに離婚にならないというのは、修復のための時間の猶予があるということにすぎません。この時間をどう使うかで、夫婦の未来は大きく変わります。
1-4.浮気未遂で慰謝料を求められることはあるのか
法律の話の最後は、慰謝料についてです。体の関係がない浮気未遂では、不貞行為を理由とした慰謝料は、基本的に認められにくいと考えられます。ただし、やり取りの内容によっては、慰謝料が認められることもあります。
その理由は、慰謝料の中心にあるのが不貞行為だからです。裁判所の家事事件Q&Aでは、不貞行為によって離婚せざるを得なくなった場合などに、慰謝料を請求できると説明されています。また、離婚前であれば、家庭裁判所の夫婦関係調整調停の中で、離婚や慰謝料について話し合えるとされています。
一方で、親密なやり取りが度を越えていた場合などは、相手の心を深く傷つけたとして、慰謝料が認められることもあります。金額にも決まった基準はないため、具体的に請求されている場合は、弁護士に相談するのが確実です。
そして、何より気をつけてほしいのは、相手から慰謝料の話が出たときの反応です。ここで「未遂なんだから払う必要はない」と言い返すと、相手はあなたが反省していないと受け取ります。
お金の話をする前に、まずは相手の傷ついた気持ちに目を向けてください。それが、修復への本当の第一歩になります。
2.「未遂なのに」は通用しない|配偶者がここまで深く傷つく3つの理由
すぐに離婚が決まるわけではないとしても、パートナーの怒りや悲しみがおさまらないのには、はっきりとした理由があります。
相手が深く傷つくのは、体の関係があったかどうかではありません。あなたの心が他の人に向いたこと、隠れてやり取りをしていたこと、見つからなければ会っていたかもしれないという想像。この3つが、相手を苦しめているのです。
内閣府の令和4年版男女共同参画白書では、協議離婚をした人への調査をもとに、夫婦関係が破綻した原因として異性関係を挙げた人が、女性で27.8%、男性で19.8%いたことが紹介されています。異性関係の問題は、夫婦の関係を壊すほどの大きな傷になりやすいのです。
ここからは、この3つの理由を一つずつ詳しくお伝えします。
2-1.体の関係より「心が他の人に向いた」ことがつらい
1つ目の理由は、相手にとって一番つらいのが、体の関係があったかどうかよりも、あなたの心が自分以外の人に向いたことだという点です。
浮気未遂をした側は、どうしても一線は越えていないという点を大事に考えがちです。しかし、傷ついた側が見ているのは、そこではありません。
自分のことを見てくれていると思っていた相手が、別の誰かに会いたいと思い、そのために時間と気持ちを使っていた。その事実そのものが、心を深く傷つけるのです。
たとえば、浮気未遂が見つかった夫が、妻にこう言ったとします。
「会ってないし、何もしてないって言ってるだろ」
すると妻は、こう返すかもしれません。
「そういうことじゃない。ほかの人に会いたいって思った、その気持ちがいやなの」
このすれ違いこそが、関係をこじらせる大きな原因です。相手の怒りの中心にあるのは、自分は大切にされていなかったのではないかという悲しみです。まずはそのことに気づくだけでも、相手への接し方は大きく変わってきます。
2-2.隠れてやり取りしていた事実が「これまでの全部」を疑わせる
2つ目の理由は、隠れてやり取りしていたという事実が、これまでの夫婦の時間すべてを疑わせてしまうことです。
浮気未遂が見つかったとき、相手が受けるのは、異性とやり取りしていたことへのショックだけではありません。自分の知らないところで、あなたが平気な顔をして嘘をついていたことへのショックも大きいのです。
すると、相手の頭の中では、過去の出来事が次々とよみがえります。あの日、帰りが遅かったのは本当に仕事だったのか。スマホを伏せて置いていたのはなぜか。楽しかったはずの家族旅行の間も、誰かと連絡を取っていたのではないか。
こうして、今回のことだけでなく、これまでの夫婦の思い出までが信じられなくなっていきます。相手が何度も同じことを問い詰めてくるのは、あなたを責めたいからだけではなく、自分の記憶を一つずつ確かめ直したいからなのです。
ですから、問い詰められたときに「もう全部話したよ」と突き放すのは逆効果です。相手が安心できるまで、何度でも誠実に答える姿勢が、壊れた信頼を少しずつ取り戻すきっかけになります。
2-3.「もしバレなかったら会っていたはず」という想像が消えない
3つ目の理由は、もし見つからなかったら会っていたのではないか、という想像が、相手の頭から消えないことです。
浮気未遂は、相手から見ると、たまたま途中で止まっただけの浮気です。あなた自身が途中で思いとどまったのか、見つかったから止まっただけなのか。この違いは、相手にとってとても大きな意味を持ちます。
特に、会う約束まで進んでいた場合、相手は、あと少しで本当に浮気されていたと考えます。実際には起きていないことなのに、頭の中では何度もその場面を想像してしまい、苦しみ続けるのです。
このような想像は、相手が自分の意思で止められるものではありません。夜、一人になったときや、あなたがスマホを触っているのを見たときなど、ふとしたきっかけでよみがえってしまいます。
だからこそ、言葉で約束するだけでは、相手の不安は消えません。不安を小さくしていくための具体的な行動は、4章でお伝えします。
3.発覚直後にやってしまいがちな5つのNG行動
相手がなぜここまで傷ついているのかが分かると、発覚直後の自分の言動を振り返って、はっとする方も多いのではないでしょうか。
浮気未遂が見つかった直後は、あなた自身も動揺しています。そのため、離婚だけは避けたいという焦りから、かえって相手の気持ちを遠ざける行動を取ってしまいがちです。
私がこれまでサポートしてきた中でも、浮気未遂そのものより、発覚後の対応で関係をこじらせてしまったケースは少なくありません。特に多いのが、次の5つのNG行動です。
- 「会ってないから浮気じゃない」と言い訳する
- 許してもらおうと何度も謝り、返事を迫る
- 相手の不満や家庭の問題を浮気の理由にする
- 浮気相手との連絡をあいまいなまま残す
- 何事もなかったように普段通りふるまう
すでにやってしまっていても、今から気づけば大丈夫です。それでは、一つずつ詳しく見ていきます。
3-1.「会ってないから浮気じゃない」と言い訳する
1つ目のNG行動は、会っていないのだから浮気ではない、と言い訳をすることです。
これは、浮気未遂が見つかった人が最もやってしまいがちな反応です。自分を守りたい気持ちから、つい事実の正しさを主張したくなるのです。
たとえば、こんな会話です。
「LINEしてただけだよ。会ってもないのに浮気扱いされても困る」
「じゃあ、会う約束してたのは何なの?」
「それは、話の流れで言っただけだって」
あなたとしては、本当のことを説明しているつもりかもしれません。しかし、相手には、自分のしたことを小さく見せようとしているようにしか聞こえません。2章でお伝えしたとおり、相手が傷ついているのは、体の関係があったかどうかではないからです。
言い訳をすればするほど、相手は反省していない、また同じことをすると感じ、離婚の気持ちを強めてしまいます。事実を伝えることは大切ですが、それは相手が聞きたいと言ったときだけで十分です。
まずは、相手を傷つけたという一点を、言い訳抜きで受け止めることから始めてください。
3-2.許してもらおうと何度も謝り、返事を迫る
2つ目のNG行動は、早く許してもらいたくて何度も謝り、相手に返事を迫ることです。
離婚したいと言われると、一刻も早く許してもらいたくなるのは自然な気持ちです。しかし、毎日のように謝り続けたり、「どうしたら許してくれる?」と答えを求めたりすると、相手はかえって追い詰められます。
傷ついた側の心は、まだ整理がついていません。許すかどうかを考えられる段階ではないのに返事を求められると、相手は、あなたが自分の気持ちを楽にしたいだけだと感じてしまいます。
また、何度も謝られると、一つひとつの謝罪の重みが軽くなっていきます。最初の謝罪がどれだけ心からのものでも、繰り返すうちに、口先だけの言葉に聞こえてしまうのです。
大切なのは、謝罪の回数ではなく、謝罪の後のあなたの姿です。心を込めた謝罪を伝えたら、あとは相手のペースを守ってください。謝罪の具体的な伝え方は、後の4章で詳しくお伝えします。
3-3.相手の不満や家庭の問題を浮気の理由にする
3つ目のNG行動は、相手への不満や家庭の問題を、浮気未遂の理由にしてしまうことです。
問い詰められているうちに、つい本音が出てしまうことがあります。たとえば、こんな言葉です。
「最近ずっと冷たかったじゃん。家にいても居場所がなかったんだよ」
もしかすると、夫婦の間に本当にすれ違いがあったのかもしれません。会話が減っていた、さびしさを感じていた、という気持ちそのものは、決してうそではないでしょう。
しかし、このタイミングで口に出すと、相手には、浮気未遂をしたのはお前のせいだと責任を押しつけられたように聞こえます。傷ついている相手に、さらに罪悪感まで背負わせることになるのです。
夫婦のすれ違いについて話し合うことは、関係を修復するうえで、いずれ必要になります。ただし、それは相手の気持ちが落ち着き、あなたへの信頼が少し戻ってからの話です。
今は、どんな理由があっても、浮気未遂を選んだのは自分だという事実だけを受け止めてください。
3-4.浮気相手との連絡をあいまいなまま残す
4つ目のNG行動は、浮気未遂の相手との連絡を、あいまいなまま残しておくことです。もう連絡はしていないと言いながら、連絡先やアカウントが残っている状態は、相手から見ると、関係を続ける気があるのと同じです。
中には、急に連絡を断つのは相手に悪いから、と考える方もいます。しかし、今あなたが一番大切にすべきなのは、浮気未遂の相手ではなく、目の前の配偶者のはずです。
また、連絡先が残っていると、相手は隠れてまた連絡を取るのではないかと、ずっと不安を抱え続けることになります。スマホを確認したくなったり、帰りが遅いと疑ったりと、相手の心は休まりません。
関係修復を本気で望むなら、連絡を完全に断つことは避けて通れません。中途半端に残しておくことが、相手の不安を長引かせる最大の原因になります。具体的な断ち方と、その事実を相手に見せる方法は、4章でお伝えします。
3-5.何事もなかったように普段通りふるまう
最後のNG行動は、ほとぼりが冷めるのを待って、何事もなかったかのように普段通りふるまうことです。
離婚の話を出されると、その話題に触れるのが怖くなります。そのため、明るく話しかけたり、いつも通り冗談を言ったりして、元の空気に戻そうとする方がいます。
しかし、傷ついた側にとって、浮気未遂はまだ終わっていない出来事です。それなのに、あなたが平気な顔をしていると、相手は自分の苦しみを軽く見られていると感じます。中には、自分だけが苦しんでいるという孤独感から、離婚の気持ちを固めてしまう人もいます。
一方で、ずっと暗い顔で落ち込み続けるのも、相手に気をつかわせてしまいます。大切なのは、無理に明るくふるまうことでも、落ち込み続けることでもありません。反省の気持ちを持ちながら、毎日の生活を丁寧に続けることです。
最後に、ここまでの5つのNG行動が相手にどう伝わるのか、そして代わりに何をすればいいのかを、表にまとめておきます。
| ▼発覚直後のNG行動と代わりにすべき行動 | ||
| NG行動 | 相手にはこう伝わる | 代わりにすべき行動 |
|---|---|---|
| 1.会ってないから浮気じゃないと言い訳する | 反省していない、また同じことをする | 相手を傷つけたという事実を、言い訳せずに受け止める |
| 2.何度も謝り、返事を迫る | 自分の気持ちを楽にしたいだけ | 心を込めた謝罪を一度伝え、あとは相手のペースを守る |
| 3.相手の不満や家庭の問題を理由にする | 浮気未遂の責任を押しつけられた | 浮気未遂を選んだのは自分だと受け止める |
| 4.浮気相手との連絡をあいまいに残す | 関係を続ける気がある | 連絡を完全に断ち、その事実を相手に見せる |
| 5.何事もなかったようにふるまう | 自分の苦しみを軽く見られている | 反省の気持ちを持ちながら、毎日を丁寧に過ごす |
4.相手の協力がなくても大丈夫|一人から始める関係修復の5ステップ
ここまで、発覚直後にやってしまいがちな5つのNG行動を見てきました。では、こうした行動を避けたうえで、具体的に何をすればいいのでしょうか。
相手が口をきいてくれない、離婚の気持ちが変わらない。そんな状態でも、関係修復はあなた一人から始められます。相手の協力を待つのではなく、あなたが先に変わることで、相手の心が少しずつ動いていくのです。
浮気未遂から関係を修復するために、あなた一人で進められるステップは次の5つです。
- 言い訳をしない本当の謝罪を一度だけ伝える
- 浮気相手との関係を完全に断ち、その事実を見せる
- 相手が求める安心材料を自分から差し出す
- 離婚の話を急がず、相手の気持ちが落ち着くのを待つ
- 言葉ではなく毎日の行動で変化を積み重ねる
それでは、それぞれのステップについて詳しく見ていきます。
4-1.ステップ1:言い訳をしない本当の謝罪を一度だけ伝える
最初のステップは、言い訳を一切まじえない、本当の謝罪を伝えることです。3章でお伝えしたように、何度も謝ることは逆効果になります。だからこそ、心を込めた謝罪を、きちんと一度伝えることが大切なのです。
本当の謝罪には、次の3つの要素が欠かせません。
- 自分がしたことを正直に認める
- 相手の傷つきを自分の言葉で表す
- これからどうするかを伝える
自分がしたことを正直に認める
まずは、自分が何をしたのかを、ごまかさずに言葉にします。会う約束をしていたなら、その事実まで自分の口から伝えてください。相手がすでに知っていることでも、あなたが自分で認めることに意味があります。
相手の傷つきを自分の言葉で表す
次に、相手がどれだけ傷ついたかを、自分の言葉で表します。ただ「ごめん」と言うだけでは、相手は、何が悪かったのか分かっていないと感じます。相手の苦しみを理解していることが伝わって、初めて謝罪が心に届きます。
これからどうするかを伝える
最後に、これから自分がどうするのかを伝えます。浮気相手との連絡を断つことなど、具体的な行動を約束することで、謝罪がその場しのぎの言葉ではないと示せます。
この3つを入れると、たとえば次のような伝え方になります。
「隠れてほかの人とやり取りして、会う約束までしてた。本当にごめん。会ってないとか関係ないよね。信じてたあなたを裏切って、ずっと苦しい思いをさせてる。もう連絡は全部断つ。許してもらえなくても、これからの行動で見てもらえるようにする」
謝罪は、伝えるタイミングと場面も大切です。相手が激しく怒っている最中や、子どもがそばにいるとき、出かける直前などは避けてください。子どもが寝たあとなど、相手が少し落ち着いていて、二人で話せる時間を選びます。
伝える時間も、長くする必要はありません。思いを一方的に語り続けるより、短く伝えて、あとは相手の言葉を聞くほうが、謝罪の重みが伝わります。
ここで気をつけたいのは、許してほしいという言葉で締めくくらないことです。許すかどうかは、相手が決めることです。相手から怒りや厳しい言葉をぶつけられても反論せず、最後まで聞くことに徹してください。相手が気持ちを出せること自体が、心の整理の始まりになります。
謝罪は一度、あとは行動で示す。これが、浮気未遂のあとに相手の心へ届く謝罪の形です。
4-2.ステップ2:浮気相手との関係を完全に断ち、その事実を見せる
謝罪を伝えたら、次はその言葉が本気であることを形で示します。それが、浮気未遂の相手との関係を完全に断つことです。
具体的には、相手の連絡先やLINEをブロックして削除する、マッチングアプリやSNSのアカウントを退会する、やり取りの履歴も残さない、といったことです。職場の同僚など、どうしても顔を合わせる相手の場合は、仕事以外の会話をしないと決めてください。
ここで大切なのは、こっそり済ませるのではなく、その事実を配偶者に見せることです。たとえば、「今から連絡先を消すから、見ててほしい」と伝え、目の前で削除する方法があります。
ただし、相手がその場面を見たくないと言う場合もあります。そのときは無理に見せず、「消したから、確認したいときはいつでも言って」と伝えておけば十分です。見せ方も、相手の気持ちに合わせることが大切です。
よくある失敗が、最後にひと言だけ別れのあいさつを送ろうとすることです。あなたにとってはけじめのつもりでも、配偶者から見れば、隠れて連絡を取ったことに変わりありません。配偶者が知らないやり取りを、一つも作らないことを徹底してください。
それでも、浮気未遂の相手のほうから、別の方法で連絡が来てしまうことがあります。そのときは、決して返信せず、自分からすぐに配偶者へ伝えてください。
「さっき、あの人から連絡が来た。返事はしてないし、これからもしない。見たかったら見せるよ」
隠しておいて後から見つかると、相手は、また連絡を取っていたのだと受け取ります。自分から先に伝えることで、不安の種が、あなたの誠実さを示す機会に変わります。
4-3.ステップ3:相手が求める安心材料を自分から差し出す
関係を断ったあとも、相手の不安はすぐには消えません。2章でお伝えしたように、一度壊れた信頼は、目に見える安心材料があって初めて少しずつ戻っていくからです。
安心材料とは、たとえば、スマホを見たいと言われたらすぐに見せる、帰りが遅くなるときは早めに連絡する、休日の予定を前もって伝える、といったことです。どれも、相手が疑わずにすむようにするための行動です。
ポイントは、相手に言われてから渋々やるのではなく、自分から差し出すことです。「スマホはいつ見てもいいからね」と先に伝えておくだけで、相手は、隠すつもりがないのだと感じられます。
一方で、相手が求めていないことまで大げさにやる必要はありません。毎時間の報告などを一方的に続けると、相手にとっても負担になります。基本は、相手が求めていることを、相手が安心できるまで続けることです。
そして、絶対に言ってはいけないのが、「いつまで見せればいいの?」という言葉です。この一言で、それまでの積み重ねが崩れてしまいます。安心材料に期限はなく、相手が自然に確認しなくなる日まで続けるものと考えてください。
4-4.ステップ4:離婚の話を急がず、相手の気持ちが落ち着くのを待つ
ここまでのステップを進めている間も、相手から離婚の話を出されることがあるかもしれません。そんなときに大切なのが、結論を急がず、相手の気持ちが落ち着くのを待つことです。
離婚の話を出されると、つい説得したくなります。しかし、心が傷ついている最中の相手に、離婚しない理由を並べても、気持ちは動きません。むしろ、自分の苦しみを分かってもらえないと感じ、離婚の気持ちを強めてしまいます。
離婚の話が出たときは、まず相手の気持ちを受け止めてください。そのうえで、自分の気持ちは一度だけ、静かに伝えます。
「そう思わせてしまったのは、俺のせいだと思う。でも、俺は離婚したくない。今すぐ答えを出さなくていいから、これからの俺を見てほしい」
それ以降は、離婚の話題を自分から持ち出さないことが大切です。何度も話し合おうとすると、相手は追い詰められてしまいます。離婚したいと言われたときの接し方は、こちらの記事でもくわしくお伝えしています。
(内部リンク:パートナーから離婚したいと言われたときの対応を解説した記事)
夫婦関係の修復には、少なくとも1年はかかると考えてください。数週間や数か月で相手の答えが変わらなくても、それは失敗ではありません。相手の心が落ち着くまでの時間を待てるかどうかが、修復できるかどうかの分かれ道になります。
4-5.ステップ5:言葉ではなく毎日の行動で変化を積み重ねる
待つといっても、何もしないで待つわけではありません。最後のステップは、言葉ではなく、毎日の行動で変化を積み重ねていくことです。
浮気未遂のあと、相手はあなたの言葉を簡単には信じられなくなっています。もうしない、変わる、と何度言っても、相手の心にはなかなか届きません。相手が信じられるのは、あなたが実際にどう過ごしているかという事実だけなのです。
とはいえ、毎日を過ごしていると、何を意識すればいいのか分からなくなることもあります。そこで、一日の終わりに自分で振り返るためのチェックリストを用意しました。
- 約束した時間や連絡を守れたか
- 相手の話をスマホを置いて聞けたか
- 子どもの前で夫婦の問題を出さなかったか
- 行動したことを相手にアピールしなかったか
約束した時間や連絡を守れたか
帰宅時間や、遅くなるときの連絡など、相手と決めたことを守れたかを確かめます。小さな約束を守り続けることが、あなたの言葉をもう一度信じてもらうための一番の近道です。
相手の話をスマホを置いて聞けたか
相手が話しかけてきたとき、スマホやテレビから目を離して聞けたかを振り返ります。浮気未遂のあとは、あなたがスマホを触る姿そのものが、相手の不安を呼び起こします。相手を大切にしている気持ちは、聞く姿勢で伝わります。
子どもの前で夫婦の問題を出さなかったか
子どもは、親の間の空気の変化に敏感です。子どもの前で言い争ったり、相手を悪く言ったりすると、子どもを不安にさせてしまいます。
また、子どもに優しくして味方につけようとするのも逆効果です。相手には、子どもを利用していると映ります。子どもとの時間は、夫婦の問題とは切り離して、ただ丁寧に向き合ってください。
行動したことを相手にアピールしなかったか
「最近、俺がんばってるでしょ」と言ってしまうと、相手は、やっぱり許してもらうための演技だったのかと感じてしまいます。変化は、自分から言わなくても、相手はちゃんと見ています。
すぐに反応がなくても、こうした毎日の積み重ねは、確実に相手の心に残っていきます。チェックがつかない日があっても、自分を責めすぎず、次の日にまた取り組めば大丈夫です。
5.相手が話し合いに応じてくれないときの3つの選択肢
4章のステップを進めようとしても、相手がまったく話し合いに応じてくれないこともあります。謝罪の言葉すら聞いてもらえない、顔を合わせても無視される。そんな状況では、どうしていいか分からなくなってしまいます。
ですが、話し合いができなくても、打つ手がなくなったわけではありません。相手が話し合いに応じてくれないときは、手紙で気持ちを伝える、家庭裁判所の円満調停を利用する、自分一人でカウンセリングを受ける、という3つの選択肢があります。
ここからは、それぞれの選択肢について、進め方と注意点を順番にお伝えします。
5-1.手紙で気持ちを伝え、返事を求めずに待つ
1つ目の選択肢は、手紙で気持ちを伝えることです。顔を合わせると感情的になってしまう相手でも、手紙なら自分のタイミングで読むことができます。
手紙に書く内容は、4-1でお伝えした謝罪と同じです。自分がしたことを認め、相手の傷つきを自分の言葉で表し、これからどうするかを伝えます。手紙だからといって、長々と書く必要はありません。便せん1〜2枚ほどに、言い訳をまじえず短くまとめるほうが、相手の心に届きやすくなります。
最後は、「返事はいらないから、気持ちが向いたときに読んでほしい」といった言葉で締めくくってください。返事を求める手紙は、相手にとって新たな負担になってしまいます。
渡し方にも気をつかいたいところです。目の前で読むように迫るのではなく、相手が一人で読める場所にそっと置いておく方法がおすすめです。
よくある失敗は、反応がないからといって、手紙を何通も書いてしまうことです。手紙も謝罪と同じで、一度伝えたら、あとは行動で示す段階に入ります。読んでもらえたかどうかを確かめたい気持ちをぐっとこらえて、待つことが大切です。
手紙の書き出しや、避けたほうがいい言葉については、こちらの記事でくわしく解説しています。
(内部リンク:関係修復のための手紙の書き方を解説した記事)
5-2.夫婦だけで話せないときは円満調停という方法がある
2つ目の選択肢は、家庭裁判所の円満調停です。円満調停(夫婦関係調整調停〈円満〉)とは、家庭裁判所で調停委員を交えて、夫婦がやり直すために話し合う手続きのことです。調停というと離婚のためと思われがちですが、やり直すための話し合いにも使えるのです。
裁判所の家事事件Q&Aでは、夫婦関係が悪化した原因となっている異性関係などをやめて、元の円満な夫婦関係に戻りたい場合に、夫婦関係調整調停(円満)を利用できると説明されています。
さらに、離婚するかやり直すか決められていない場合でも申し立てができ、話し合いの中でどちらにするかを決めていけるとされています。今すぐ結論を出さなくても話し合える場がある、というのは大きな安心材料です。
調停では、調停委員という第三者が間に入り、夫婦それぞれの話を聞いてくれます。二人きりでは感情的になってしまう話題も、第三者がいることで落ち着いて話しやすくなるのです。
また、相手が離婚を求めて調停を申し立ててきた場合でも、調停の中でやり直したいという気持ちを伝え、話し合うことができます。裁判所の説明でも、離婚を求めて申し立てたあとに、円満にやり直す方向へ変更することも可能とされています。
ただし、注意してほしいことがあります。浮気未遂をした側から調停を申し立てると、相手には、追い詰められたように感じられることもあります。申し立ては、4章のステップを進めても話し合いがまったくできない場合の手段として考えてください。手続きの詳しい流れは、お近くの家庭裁判所で確認できます。
5-3.自分一人でカウンセリングを受けて関わり方を変える
3つ目の選択肢は、あなた一人でカウンセリングを受けることです。相手が話し合いに応じない状況でも、あなたが変わることはできます。そして、あなたの関わり方が変われば、相手の反応も変わっていきます。
浮気未遂のあとは、相手にどう接すればいいのか、何を言えばいいのか、一つひとつ迷うことばかりです。自分一人で考えていると、良かれと思った行動が、かえって相手を傷つけてしまうこともあります。
私たちのカウンセリングは、夫婦二人で来ていただく形ではなく、悩んでいる妻か夫のどちらか一方が、パートナーには内緒で受けるものです。相手を説得するためではなく、あなた自身の気持ちを整え、相手との関わり方を見直していく場所です。
実際に、相手が口もきいてくれない状態から始めた方でも、接し方を変えていくうちに、相手の態度が少しずつやわらいでいきました。誰かと一緒に進むことで気持ちに余裕が生まれ、相手の心が動くまで待つ力も身についていきます。
6.信頼回復までの道のり|1年〜1年半で夫婦が変わっていく流れ
ここまでのステップを進めていくと、夫婦の関係はどのように変わっていくのでしょうか。先が見えないままでは、途中で心が折れてしまいます。
浮気未遂からの信頼回復には、多くの場合、1年〜1年半ほどの時間がかかります。発覚から3か月ほどは相手の怒りと不信を受け止める時期、3か月〜半年は会話が少しずつ戻り始める時期、半年〜1年半は前より良い夫婦として再出発する時期です。
それぞれの時期の相手の状態と、あなたがすべきことを表にまとめると、次のようになります。今の自分がどの時期にいるのかを確かめながら読んでみてください。
| ▼信頼回復までの時期別ロードマップ | |||
| 発覚〜3か月 | 3か月〜半年 | 半年〜1年半 | |
|---|---|---|---|
| 相手の状態 | 怒りと不信がもっとも強く、気持ちが大きく揺れる | 怒りがおさまり、必要な会話が戻る。まだ様子を見ている | 心に余裕が生まれ、夫婦らしい時間が戻ってくる |
| あなたがすること | ・謝罪を一度伝える ・浮気相手との関係を断つ ・安心材料を差し出し、感情を受け止める |
・毎日の行動の積み重ねを続ける ・小さな感謝を言葉にする |
・相手の話を最後まで聞く ・夫婦のこれからを前向きに話し合う |
| 避けたいこと | 反論、言い訳、返事を迫ること | 気がゆるんで以前の態度に戻る、許してくれたかを確かめる | 相手が思い出して不安定になったときに、面倒そうな態度を取る |
| 変化のサイン | 日によって態度がやわらぐことがある | 用件以外の話をしてくる、問い詰めやスマホの確認が減る | 一緒に食事や外出をする、相手から夫婦の話をしてくれる |
※気持ちは行ったり来たりしながら進むのが自然なので、一時的に戻っても焦る必要はありません
ここからは、それぞれの時期について詳しく紹介し、最後に実際に関係を修復したご夫婦の例をお伝えします。
6-1.発覚〜3か月:相手の怒りと不信を受け止める時期
浮気未遂が見つかってから3か月ほどは、相手の怒りと不信がもっとも強い時期です。突然泣き出したり、何度も同じことを問い詰めたり、離婚という言葉を繰り返したりと、相手の気持ちは大きく揺れ動きます。
この時期にあなたがすることは、相手の感情を受け止め続けることです。4章のステップ1〜3を進めながら、反論せず、言い訳せず、相手の言葉に耳を傾けてください。
相手の態度が昨日はやわらかかったのに、今日はまた冷たい、ということもよくあります。これは、相手の心が行ったり来たりしながら、少しずつ整理されている証拠です。一日ごとの反応に一喜一憂する必要はありません。
一方で、この時期はあなた自身も心がすり減りやすいときです。罪悪感から、自分には幸せになる資格がないと責め続けてしまう方もいます。しかし、反省することと、自分を痛めつけることは違います。
あなたが心身ともに倒れてしまっては、相手を受け止め続けることはできません。眠る時間や食事をできるだけ整え、一人で抱え込まずに、信頼できる人や専門家に気持ちを話してください。眠れない日や食べられない日が続くときは、医療機関に相談することも大切です。
ここで踏みとどまれるかどうかが、その後の流れを大きく左右します。相手の怒りは、それだけあなたとの関係を大切に思っていた証でもあるのです。
6-2.3か月〜半年:会話が少しずつ戻り始める時期
3か月を過ぎた頃から、少しずつ変化が見え始めることが多くなります。相手の怒りがおさまってきて、子どものことや家のことなど、必要な会話が戻ってくる時期です。
ただし、この時期の相手は、まだあなたを信じ切ったわけではありません。様子を見ながら、本当に変わったのかを確かめている段階です。ここで気がゆるんで、以前の態度に戻ってしまうと、相手の不信は一気に元に戻ってしまいます。
この時期に大切なのは、4章のステップ5で紹介した、毎日の行動の積み重ねを続けることです。相手から話しかけられたら、丁寧に応える。小さな感謝を言葉にする。そうした当たり前のやり取りが、少しずつ夫婦の空気を変えていきます。
では、関係が本当に戻り始めているのかは、どこで分かるのでしょうか。たとえば、用件以外の何気ない話を相手からしてくる、問い詰められる回数が減る、スマホを確認されることが少なくなる、といった変化です。
こうした変化は、とても小さく、見落としてしまいがちです。しかし、小さな変化こそ、相手の心があなたに向き直り始めたサインです。手応えがないと感じたときは、こうした変化がなかったかを振り返ってみてください。
一方で、会話が戻ってきたからといって、浮気未遂の話を自分から持ち出し、「もう許してくれた?」と確かめるのは避けてください。相手が話題にしたときだけ、誠実に向き合えば十分です。
6-3.半年〜1年半:前より良い夫婦として再出発する時期
半年を過ぎ、あなたの変化が続いていると、相手の心にも少しずつ余裕が生まれてきます。一緒に食事をしたり、出かけたりする機会が増え、夫婦らしい時間が戻ってくる時期です。
この時期にあなたがすることは、相手が話してくれたときに最後まで耳を傾け、夫婦のこれからを前向きに話し合うことです。この頃になると、相手のほうから、浮気未遂のことや、それまでの夫婦の関係について話してくれることもあります。
3章で、相手への不満を浮気未遂の理由にしてはいけないとお伝えしました。しかし、信頼が戻ってきたこの時期なら、夫婦のすれ違いについて一緒に考え、これからどう過ごしていきたいかを話し合えるようになるのです。
もちろん、途中で相手が浮気未遂を思い出して、不安定になることもあります。それでも、そのたびに誠実に受け止めることで、相手の不安は少しずつ小さくなっていきます。
浮気未遂という出来事を乗り越えた夫婦は、以前よりも深く向き合える関係になれます。1年〜1年半という時間は、そのために必要な時間なのです。
6-4.浮気未遂から1年3か月で関係を修復したご夫婦の実例
最後に、私がサポートしたご夫婦の例を紹介します。40代の男性で、マッチングアプリで知り合った女性と会う約束をしていたことが、妻に見つかったケースです。
妻からはすぐに離婚したいと言われ、家の中ではほとんど口をきいてもらえない状態でした。ご本人は、会っていないのだから分かってほしいと何度も説明し、かえって妻を怒らせてしまっていました。
私のもとに来られてからは、まず言い訳をやめ、一度だけ心からの謝罪を伝えました。アプリはその場で退会し、スマホもいつでも見られるようにしました。最初の3か月は、妻の態度はほとんど変わりませんでした。
それでも、毎日の家事や子どもとの時間を自分から引き受け、帰宅時間の連絡を続けました。半年ほどたった頃、妻のほうから子どもの話をしてくれるようになり、家族で出かける日も少しずつ増えていきました。
そして、浮気未遂の発覚から1年3か月ほどたった頃、妻からこんな言葉をかけられたそうです。
「前のあなたより、今のあなたのほうがずっといい」
このご夫婦から学べるのは、相手の協力がなくても、一人が変わり続けることで夫婦の関係は変わるということです。そして、その変化には、焦らず時間をかけることが欠かせません。
7.二度と同じことを繰り返さない自分になるために
ここまで、関係を修復するための方法と流れをお伝えしてきました。しかし、本当の意味で夫婦関係を取り戻すには、もう一つ大切なことがあります。それは、二度と同じことを繰り返さない自分になることです。
相手が一番恐れているのは、またいつか同じことが起きるのではないかということです。この章では、その不安を根本から取り除くために、あなた自身と向き合う方法をお伝えします。
7-1.なぜ浮気未遂に走ったのか、自分の心と向き合う
最初に取り組んでほしいのは、自分がなぜ浮気未遂に走ったのかを、正直に振り返ることです。原因が分からないままでは、同じ状況になったとき、また同じことを繰り返してしまうかもしれません。
浮気未遂のきっかけは、人によってさまざまです。家庭でさびしさを感じていた、誰かに認めてほしかった、仕事のストレスから逃げたかった、といった気持ちが隠れていることも少なくありません。
ただ、自分の心は、ただ考えているだけではなかなか見えてきません。そこで、次の3つの質問を自分に問いかけてみてください。紙に書き出すと、より整理しやすくなります。
- 浮気未遂の前、どんな気持ちで毎日を過ごしていたか
- 異性とのやり取りで、何を満たそうとしていたか
- 同じ気持ちになったとき、ほかにどんな方法があったか
浮気未遂の前、どんな気持ちで毎日を過ごしていたか
まずは、浮気未遂に至る前の自分の状態を思い出します。疲れていた、さびしかった、イライラしていたなど、そのときの気持ちに名前をつけていくことで、自分が追い込まれていた原因が見えてきます。
異性とのやり取りで、何を満たそうとしていたか
次に、そのやり取りで自分が何を得ていたのかを考えます。たとえば、仕事も家庭もうまくいかず、自分には価値がないと感じていたときに、異性から優しい言葉をかけられてのめり込んでしまったというケースがあります。この場合、問題の根っこは異性ではなく、自分を認められない気持ちにあります。
同じ気持ちになったとき、ほかにどんな方法があったか
最後に、同じ気持ちになったとき、浮気未遂以外にどんな行動が取れたかを考えます。相手にさびしいと伝える、誰かに相談する、自分の時間を作るなど、別の道を具体的に思い描いておくことが、再発を防ぐ力になります。
ここで気をつけてほしいのは、この振り返りは、相手に言い訳をするためのものではないということです。原因が分かっても、浮気未遂を選んだのは自分だという事実は変わりません。
それでも、自分の心の弱さを知った人だけが、同じ状況になったときに別の道を選べるようになります。そしていつか相手が知りたいと言ったとき、正直に伝えることで、相手の安心にもつながっていきます。
7-2.夫婦の会話不足やすれ違いを一人から変えていく
自分の心と向き合えたら、次は夫婦の関係そのものに目を向けていきます。浮気未遂のきっかけに、夫婦の会話不足やすれ違いがあったのなら、そこを変えていくことが再発を防ぐ力になります。
たとえば、朝の「おはよう」や帰宅したときの「ただいま」を、相手の顔を見て言う。ご飯を作ってもらったら「ありがとう、おいしい」と伝える。どれも小さなことですが、夫婦の会話を取り戻す第一歩になります。
よくある失敗は、相手の反応が薄いからといって、すぐにやめてしまうことです。信頼が戻りきっていない時期は、相手も素直に応えられないことがあります。それでも続けていくうちに、相手の返事が少しずつ増えていくものです。
夫婦の会話は、どちらか一人が変わるだけでも、確実に変わっていきます。あなたが先に変わることが、夫婦のすれ違いを終わらせるきっかけになるのです。
7-3.相手に「この人となら、もう一度やっていける」と思ってもらうには
ここまでの取り組みの先にあるのが、相手に、この人となら、もう一度やっていけると思ってもらうことです。それは、許してもらうことよりも、もう一歩先にある状態です。
相手がそう感じられるのは、あなたが特別なことをしたときではありません。どんなときも約束を守る、隠しごとをしない、相手の気持ちを大切にする。そうした変わらない姿を、長い時間をかけて見せ続けたときです。
また、浮気未遂をきっかけに、あなた自身が以前よりも成長していることも大切です。自分の弱さと向き合い、夫婦の関係を自分から良くしようとする姿は、相手にとって、これまでにない安心感になります。
ある奥様は、浮気未遂から関係を修復したあと、こう話してくれたそうです。
「あのことがあったから、今の私たちがあると思う」
あなたが目指すのは、元の夫婦に戻ることではなく、前より良い夫婦になることです。そのための道は、今日のあなたの一歩から始まっています。
8.浮気未遂と離婚に悩む方からよくある質問
最後に、浮気未遂で離婚に悩む方から、特によくいただく質問にお答えします。
あなたの接し方が変わると、相手も本音を話しやすくなり、夫婦で向き合うきっかけが生まれます。苦しい気持ちは、無理に押し込めず、信頼できる人や専門家に話して整理してください。
ただし、離婚したくないことは、何でも我慢することとは違います。相手が謝罪し、浮気未遂の相手との連絡を断ち、二度としないための行動を見せているかは、しっかり見てください。夫婦だけで話せないときは、家庭裁判所で調停委員を交えてやり直しを話し合う、円満調停という方法もあります。
連絡は、子どものことや生活のことなど、必要な用件を短く丁寧に伝える程度に留めてください。そのうえで、謝罪を一度だけ伝える、浮気未遂の相手との関係を断つ、毎日の行動で変化を示すといったステップを、離れていてもできる形で続けていきます。別居中の関係修復については、こちらの記事でくわしく解説しています。
(内部リンク:別居中の関係修復の進め方を解説した記事)
大切なのは、前回と同じ謝り方や約束を繰り返さないことです。浮気未遂の前にどんな気持ちでいたのか、異性とのやり取りで何を満たそうとしていたのかを振り返り、なぜ繰り返してしまったのかという根っこと向き合ってください。
一人で向き合うのが難しいときは、専門家の力を借りることも、再発を防ぐための確かな方法です。
おわりに
浮気未遂で離婚を切り出されたとき、多くの方は、もう終わりかもしれないと感じます。しかし、この記事でお伝えしてきたとおり、浮気未遂だけですぐに離婚が決まるわけではなく、夫婦関係を修復する時間は残されています。
大切なのは、その時間をどう使うかです。最後に、あなた一人から始められる関係修復の5ステップを振り返っておきます。
- 言い訳をしない本当の謝罪を一度だけ伝える
- 浮気相手との関係を完全に断ち、その事実を見せる
- 相手が求める安心材料を自分から差し出す
- 離婚の話を急がず、相手の気持ちが落ち着くのを待つ
- 言葉ではなく毎日の行動で変化を積み重ねる
信頼の回復には、1年〜1年半ほどの時間がかかります。途中で相手の態度が変わらず、くじけそうになる日もあるでしょう。それでも、相手はあなたの変化をちゃんと見ています。
私はこれまで、浮気未遂という深い傷を乗り越え、以前よりも温かい関係を築いたご夫婦をたくさん見てきました。その多くが、どちらか一人が先に変わることから始まっています。あなた一人からでも夫婦は変われます。
もし一人で進むのが不安なときは、私たちのカウンセリングを頼ってください。パートナーに知られることなく、あなた一人で相談できます。あなたが再び、パートナーと笑い合える日を迎えられるよう、心から応援しています。




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