家に帰りたくないと言われた…愛情が消えたとは限らない理由と、1万組の修復を支えたコーチが教える今夜の返し方

夫や妻から家に帰りたくないと言われて、頭が真っ白になっていませんか。喧嘩のあとのLINEだったかもしれませんし、帰りが遅い日が続く中で、ぽつりと言われた一言だったかもしれません。

自分の存在そのものを否定されたように感じて、このまま別居や離婚に進んでしまうのではと、眠れない夜を過ごしている方も多いはずです。

けれども、安心してください。帰りたくないという言葉は、多くの場合、相手の心が疲れきっているサインです。愛情がすべてなくなったという意味ではありません。

私は夫婦関係修復コーチとして20年以上、1万組を超えるご夫婦の関係修復をサポートしてきました。実は私自身も、最初の結婚ですべてを失った経験があります。だからこそ、大切な人に背を向けられる痛みは、よく分かります。

結論からお伝えすると、言われたら、まずは責めずに受け止め、追いかけずに待つことが大切です。そのうえで、妻か夫のどちらか一方が先に変わっていけば、相手の協力がなくても関係は立て直せます。

この記事では、次の5つのことをお伝えしていきます。

この記事で分かる5つのこと
  • パートナーが家に帰りたくないと言った5つの理由
  • その言葉が一時的な感情か本気かを見分ける方法
  • 言われた直後にやってはいけない対応と今夜の返し方
  • 一人から始めて1年〜1年半で関係を修復する具体的な流れ
  • 一人で抱えきれないときに頼れる相談先

読み終えるころには、今夜相手にどう返せばいいのか、明日から何をすればいいのかが、はっきりと分かるようになっているはずです。

目次

1.「家に帰りたくない」と言われたときに考えられる5つの理由

パートナーが家に帰りたくないと言う主な理由は、喧嘩の疲れ、家での居場所のなさ、家事や育児、仕事の負担、一人の時間がほしい気持ち、家庭の外への関心の5つです。

もちろん、本当の理由は相手に聞いてみないと分かりません。それでも、考えられる理由を知っておくだけで、気持ちはずいぶん落ち着きます。ここでは、カウンセリングの現場でよく見られる順に、5つの理由を見ていきます。

1-1.夫婦喧嘩や言い争いが続き、心が疲れきっている

いちばんよく見られるのが、喧嘩や言い争いが続いて、相手の心が疲れきっているケースです。

人は、嫌な思いをくり返した場所を、自然と避けたくなるものです。家で言い争いが続くと、相手の頭の中では、家が休む場所ではなく、責められる場所に変わってしまいます。

そうなると、仕事が終わって家に向かうだけで、気持ちが重くなります。玄関の前で深呼吸をしてからでないと、ドアを開けられない人もいるほどです。

ここで知っておいてほしいのは、喧嘩の中身でどちらが正しかったかは、あまり関係がないということです。たとえあなたの言い分が正しくても、言い争いが続いた家の空気そのものが、相手を疲れさせているのです。

例えば、家計や家事のことで注意をしたつもりが、毎晩のように言い合いになっていたとします。あなたにとっては大事な話し合いでも、相手にとっては、帰るたびに責められる時間になっていたのかもしれません。

ただ、この理由には希望もあります。喧嘩が原因なら、家の空気を変えることで、相手の気持ちは戻りやすいからです。その方法は、このあと詳しくお伝えします。

1-2.家の中に自分の居場所がないと感じている

次に多いのが、家の中に自分の居場所がないと感じているケースです。

居場所がないというのは、部屋がないという意味ではありません。家族の中で、自分が必要とされていない、自分がいてもいなくても同じだと感じている状態です。

例えば、子どもが生まれてから、会話がすべて子ども中心になった家庭があります。帰っても、おかえりの一言がなく、家族はテレビやスマホを見ていて、誰も顔を上げない。こうした日が続くと、人は自分が何のためにここにいるのか、分からなくなっていきます。

やっかいなのは、言われた側がこのことに気づきにくい点です。あなたは家事も育児も一生懸命やってきたはずです。だからこそ、なぜ帰りたくないのかが分からず、苦しくなるのだと思います。

けれども、居場所は、迎え方や声のかけ方ひとつで作り直すことができます。相手を責める必要も、自分を責める必要もありません。ほんの少し向き合い方を変えるだけで、家の居心地は大きく変わります。

1-3.家事や育児、仕事の負担で余裕をなくしている

さらに、家事や育児、仕事の負担が重なって、心に余裕がなくなっているケースもあります。

総務省統計局の令和3年社会生活基本調査によると、家事や育児、介護、買い物などを合わせた1日あたりの家事関連時間は、男性が51分、女性が3時間24分で、その差は2時間33分でした。

出典:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の概要」

もちろん、この数字だけで、それぞれの家庭の事情は分かりません。ただ、多くの家庭で、どちらか一方に負担がかたよりやすいことは見えてきます。

妻が帰りたくないと言う場合、家は休む場所ではなく、仕事のあとに始まるもう一つの仕事場になっていることがあります。帰った瞬間から、ごはん、洗濯、子どもの世話が待っているからです。

一方で、夫が言う場合は、仕事で心がすり減り、家でも気が休まらない状態になっていることがよくあります。家に帰っても、すぐに話しかけられたり、頼みごとをされたりして、ひと息つく時間がないのです。

どちらの場合も、相手が避けたいのは、あなた自身というより、休めない状態のほうです。そう考えると、少し見え方が変わってくるのではないでしょうか。

1-4.一人になって気持ちを落ち着ける時間がほしい

少し意外に思うかもしれませんが、ただ一人になる時間がほしいだけ、というケースも少なくありません。

人によって、気持ちの立て直し方はちがいます。話して整理する人もいれば、一人で静かにすることで、ようやく落ち着ける人もいます。

特に、大きな喧嘩のあとや、仕事で強いストレスを抱えているときは、誰とも話したくない時間が必要になります。家にいると話しかけられてしまうので、帰りたくないという言葉になって出てくるのです。

例えば、喧嘩のあと、夫から次のようなLINEが届いたとします。

「少し一人で考えたいから、今日は帰りたくない」

このとき夫が求めているのは、あなたから離れることではなく、頭を冷やす時間なのかもしれません。このタイプの場合、追いかけるほど相手は逃げたくなり、そっとしておくほど早く戻ってきます。

1-5.家庭の外に気持ちが向き始めている

最後に、家庭の外に気持ちが向き始めているケースです。読むのがつらいかもしれませんが、大事なことなので正直にお伝えしておきます。

外に向く気持ちの先は、さまざまです。仕事に打ちこんでいる場合もあれば、趣味や友人との時間に楽しさを感じている場合もあります。中には、異性に気持ちが向いているケースもあります。

ただ、帰りたくないと言われたからといって、すぐに浮気を疑う必要はありません。ここまでお伝えした4つの理由のほうが、ずっとよく見られるからです。

それでも浮気が心配になったときは、今すぐ相手のスマホを見たり、問い詰めたりするのは避けてください。疑われていると感じた相手は、ますます家に帰りたくなくなってしまいます。

まずは自分の気持ちを落ち着かせ、第2章でお伝えする方法で、相手の行動の変化を静かに見ていくことから始めてください。確かめるかどうかを決めるのは、そのあとでも遅くありません。

知っておいてほしいのは、外に向いた気持ちの多くは、家の居心地の悪さから生まれているということです。家が安心できる場所に変われば、外に向いた気持ちが少しずつ戻ってくることは、決してめずらしくありません。

参考:(浮気・不倫の悩みに関する別記事への内部リンク)

1-6.あなたの家はどれに近い?理由別の見分け方早見表

ここまで5つの理由を見てきましたが、実際には、いくつかの理由が重なっていることも少なくありません。

そこで、相手の様子からどの理由に近いかを見分け、最初に何を優先すればいいかを、表にまとめました。

▼帰りたくない理由別の見分け方と最初の対応
理由 よく見られる相手の様子 最初に優先したい対応
喧嘩や言い争いの疲れ ・言い合いのあとに言われた
・家での会話を避けている
・責める言葉を止める
・言い返さずに受け止める
家に居場所がない ・家族の輪に入ってこない
・帰ってもすぐ自室にこもる
・おかえりの一言を欠かさない
・小さなお礼を伝える
家事や育児、仕事の負担 ・疲れた、が口ぐせになっている
・休日もぐったりしている
・帰宅直後の頼みごとを控える
・負担を少しでも軽くする
一人の時間がほしい ・一人で考えたい、と言う
・時間がたつと普段どおりに戻る
・連絡を控えてそっとしておく
・一人の時間を守る
家庭の外に気持ちが向いている ・帰宅時間や休日の予定が急に変わった
・スマホを手放さなくなった
・問い詰めずに様子を見る
・家の居心地を先に整える
※複数の理由に当てはまる場合は、いちばん強く当てはまるものから取り組んでください

どの理由に当てはまっても、最初の対応に共通しているのは、相手を責めず、家を少しでも休める場所に近づけることです。

当てはまる理由の見当がついたら、次は、相手がどのくらい本気でその言葉を口にしたのかを見ていきます。

2.「家に帰りたくない」という言葉に込められた本心を見極める方法

相手が本気で言ったのかどうかは、言葉よりも、言ったあとの行動で判断します。本心を正しくつかめれば、あせって間違った行動をとることも防げます。

ただし、帰りたくないという言葉だけでなく、日ごろから暴言や威圧、暴力がある場合は話が別です。身の危険を感じるときは、話し合いより安全を優先してください。相談先は、この記事の後半でご紹介します。

2-1.一時的な感情なのか本気なのかを見分ける3つのサイン

本気かどうかは、次の3つのサインからある程度見分けることができます。

一時的な感情か本気かを見分ける3つのサイン
  1. 言ったあとも家に帰ってきているか
  2. 生活上の連絡には応じているか
  3. 帰りたくない理由を少しでも口にしているか

それぞれのサインについて、詳しく見ていきます。

言ったあとも家に帰ってきているか

帰りたくないと言いながらも、遅くなってでも家に帰ってきているなら、一時的な感情である可能性が高いです。本当に家族から離れたいと思っている人は、言葉より先に、行動で家から離れていくことが多いからです。

もし帰ってこない日が出てきているなら、今は帰宅を求めるより、帰ってきやすい空気をつくることを優先してください。帰ってきた日に責めないことが、次の帰宅につながります。

生活上の連絡には応じているか

子どもの送り迎えや、帰る時間の連絡などに、そっけなくても返事があるなら、家族とのつながりはまだ保たれています。

生活のことまで返事がなくなっている場合は、心の疲れがかなり深いと考えてください。その場合は、連絡を用件だけの短いものに絞り、相手の負担を軽くしていきます。

帰りたくない理由を少しでも口にしているか

疲れた、もう言い合いはしたくない、など、理由をほんの少しでも口にしているなら、相手が状況を変えてほしいと思っているサインです。まだあなたに分かってほしい気持ちが残っているからこそ、理由を口にするのです。

理由をまったく話さない場合も、あきらめる必要はありません。今は話せるほど心に余裕がないだけかもしれません。第1章の早見表を手がかりに、考えられる理由から手を打っていくことができます。

ここまでの3つのサインを合わせて考えると、3つとも当てはまる場合は、今は心が疲れているだけの可能性が高いでしょう。当てはまらないものが多い場合でも、関係が終わったわけではありません。修復には少し時間がかかる、という目安だと考えてください。

参考:(離婚したいと言われたときの対応に関する別記事への内部リンク)

2-2.相手の言葉よりも日々の行動の変化に目を向ける

3つのサインを確かめたら、次は、もう少し長い目で相手の様子を見ていきます。本心を見極めるとき、言葉以上に頼りになるのが、日々の行動の変化です。

人は、疲れているときや怒っているときほど、本心より強い言葉を使ってしまいます。けれども、行動にはその人の本当の気持ちが出やすいのです。

見てほしいのは、帰る時間、休日の過ごし方、子どもへの接し方、あなたとの会話の量などです。数か月前と比べて、どのくらい変わってきているかに目を向けてください。

例えば、帰りたくないと言いながらも、子どもの運動会には必ず来て、一緒にお弁当を食べている夫がいたとします。この場合、家族を大切に思う気持ちは、まだしっかり残っていると考えられます。

気づいたことは、簡単にメモしておくのもおすすめです。相手を責める材料にするためではありません。不安な気持ちに飲みこまれず、相手の変化を落ち着いて見るためです。

2-3.言葉だけで「愛情がなくなった」と決めつけてはいけない理由

このように行動を見ていくと、言葉だけでは分からなかった相手の気持ちが見えてきます。だからこそ、帰りたくないと言われただけで、もう愛されていないと決めつけるのは早すぎるのです。

理由の一つは、帰りたくないと別れたいは、まったく別の言葉だからです。相手が離れたいのは、あなたではなく、今の家の空気や休めない状態であることが多いのです。

もう一つの理由は、相手がわざわざ言葉にして伝えてきたという事実にあります。本当に気持ちが冷めきった人は、多くの場合、何も言わずに離れていきます。

伝えてきたということは、どこかで今の状態を分かってほしい、変わってほしいと思っている証でもあります。つらい言葉ではありますが、相手が出してくれたSOSだと受け止めることもできるのです。

私は、この言葉を言われた今こそ、関係を立て直す大きなチャンスだと考えています。問題が見えた今だからこそ、手を打つことができるからです。

3.「家に帰りたくない」と言われた直後にやってはいけない4つの対応

家に帰りたくないと言われた直後に避けたいのは、感情的に問い詰めること、連絡で帰宅を迫ること、謝り続けること、子どもや親を巻き込むことの4つです。

どれも、追いつめられた人がついやってしまうことばかりです。けれども、相手の帰りたくない気持ちをさらに強めてしまいます。思い当たるものがあっても、今日から避ければ大丈夫です。

3-1.感情的に問い詰めたり責めたりする

言われた直後に避けたい1つ目の対応は、感情的に問い詰めたり、責めたりすることです。

ひどい言葉を言われれば、言い返したくなるのは当然です。けれども、ここで責めてしまうと、相手の中で、やっぱり家は責められる場所だという思いが強くなってしまいます。

例えば、こんな言葉を返してしまうケースがよくあります。

「なんでそんなこと言うの?じゃあもう帰ってこなくていいよ」

勢いで言ってしまった一言でも、相手には本心として届きます。売り言葉に買い言葉で、帰りたくない気持ちをさらに強めてしまうのです。

怒りや悲しみがこみ上げてきたら、まずはスマホを置いてください。お茶を一杯飲む、外の空気を吸うなど、少し時間を置くだけでも、言葉の選び方はずいぶん変わります。

3-2.何度も電話やLINEを送って帰宅を迫る

言われた直後に避けたい2つ目の対応は、何度も電話やLINEを送って、帰ってくるように迫ることです。

相手が一人になりたいと思っているときに連絡が続くと、追いつめられているように感じてしまいます。帰宅を迫る連絡は逆効果です。追えば追うほど、相手は遠ざかっていきます。

不安なときほど返事がほしくなり、つい次のようなメッセージを何通も送ってしまう方は少なくありません。

「今どこ?」「早く帰ってきて」「なんで返事くれないの?」

これでは、相手はスマホを見るのもつらくなり、通知を切ってしまうかもしれません。

連絡は、気持ちを受け止める短いメッセージを1通だけにして、あとは待つ。これがいちばんの近道です。どんな言葉を送ればいいかは、次の章で具体的にお伝えします。

3-3.自分だけが悪いと思い込んで謝り続ける

言われた直後に避けたい3つ目の対応は、自分だけが悪いと思い込んで、謝り続けることです。

何度も謝られると、相手は重さを感じてしまいます。謝られるたびに許さなければいけない気がして、かえって家に帰りづらくなることもあるのです。

相手を責めるのとは反対に、すべて私が悪かったと、自分を責めてしまう人も多くいます。まじめで、相手を大切に思っている人ほど、こうなりやすいのです。

また、謝っても行動が変わらなければ、言葉の重みはだんだん薄れていきます。謝ることよりも、少しずつでも行動を変えていくことのほうが、ずっと相手の心に届きます。

自分を変えようとする気持ちは、とても大切です。ただ、それは自分を責めることとはちがいます。帰りたくないと言われたからといって、あなたの価値まで否定されたわけではありません。

3-4.子どもや親を巻き込んで相手を説得しようとする

言われた直後に避けたい4つ目の対応は、子どもや親を巻き込んで、相手を説得しようとすることです。周りの人を説得役にすると、相手は家族ぐるみで責められていると感じ、ますます家に居づらくなります。

例えば、子どもにこんなふうに頼んでしまうケースがあります。

「パパに早く帰ってきてって電話してくれる?」

子どもは、親同士の問題を自分が何とかしなければと感じて、心に大きな負担を抱えてしまいます。義両親に説得をお願いするのも同じで、相手をさらに追いつめる結果になりがちです。

子どもに様子を聞かれたときも、くわしい事情まで話す必要はありません。パパは今お仕事でちょっと疲れているんだよ、のように、子どもが不安にならない伝え方を心がけ、子どもの前で相手を悪く言わないことが大切です。

もちろん、誰かに相談すること自体は悪いことではありません。気持ちを聞いてくれる友人や、夫婦の問題にくわしい専門家に話を聞いてもらうのは、あなたの心を守るためにも役立ちます。大切なのは、相談相手を説得役にしないことです。

3-5.すでにやってしまった場合の立て直し方

ここまで読んで、もう問い詰めてしまった、何通もLINEを送ってしまったと、胸が苦しくなった方もいるかもしれません。けれども、それで手遅れになるわけではありません。

大切なのは、やってしまったことを、短い一言で一度だけ認めることです。例えば、次のようなLINEを1通だけ送ります。

「昨日は責めるようなことばかり言ってごめん。あなたの気持ちを考えられてなかった。しばらくはこっちからの連絡は控えるね。ゆっくり休んで」

この一通で、相手を追いつめていたことに気づいたと伝わります。連絡を控えると自分から伝えることで、相手もほっとできます。お詫びは、この一度だけで十分です。

ここから先は、言葉ではなく行動で示す時間です。帰ってきたら穏やかに迎え、連絡は用件だけにする。これを続けるうちに、相手はあなたの変化に少しずつ気づいていきます。

人は、一度の失敗よりも、そのあとの態度を見ています。やってしまったことに気づけた今が、立て直しのスタートです。

4.今夜からできる「帰りたくない」と言われたときの返し方

帰りたくないと言われたときの返し方は、どんな場面でも、受け止める、責めない、答えを急がせない、の3つが基本です。

言われた直後の返し方ひとつで、相手の受け止め方は大きく変わります。ここでは、この3つの基本をもとに、今夜からすぐに使える返し方を場面ごとにお伝えします。

4-1.相手の気持ちを受け止めるLINEの返信例

LINEで帰りたくないと言われたときは、まず相手の気持ちを受け止める返事を送ります。例えば、次のような文です。

「そっか、そこまで疲れてたんだね。気づけなくてごめん。無理に帰ってとは言わないから、ゆっくり休んでね。話せるときが来たら聞かせてほしい」

この返事には、3つの役割があります。1つ目は、「そこまで疲れてたんだね」と、相手の気持ちをそのまま受け止めることです。理由を聞き出す前に、まず受け止めることで、相手はほっとします。

2つ目は、「気づけなくてごめん」という短い一言です。すべて自分が悪いと謝るのではなく、気づけなかったことだけを伝えます。これくらいの軽さが、相手にとってちょうどよいのです。

3つ目は、帰るかどうかを相手にまかせ、「話せるときが来たら聞かせてほしい」と扉を開けておくことです。答えを急がせないことで、相手は自分のペースで戻ってきやすくなります。

送ったあとは、返事がなくても追いかけないでください。返事がないことも、相手が気持ちを整理している途中のサインです。

LINE以外の場面で言われた場合も、考え方は同じです。場面ごとの返し方を、表にまとめました。

▼LINE以外で言われたときの返し方
言われた場面 かける言葉の例 避けたい言葉
面と向かって静かに言われた 「そう思うくらい、しんどかったんだね」 「どういう意味?」
喧嘩の最中に言われた 「今は少し時間を置こうか」 「じゃあ帰ってこなくていい」
電話で言われた 「わかった。無理しないでね」 「今どこにいるの?」
※どの場面でも、相手の気持ちを受け止め、答えを急がせないことが共通のポイントです

4-2.関係をこじらせてしまうNGな返信例

反対に、関係をこじらせてしまう返事もあります。例えば、次のような文です。

「どういう意味?私が悪いってこと?子どもたちのことも考えてよ。ちゃんと説明して」

この返事には、問い詰め、相手を悪者にする言葉、説明を求める言葉が、すべて入っています。言った側は気持ちを伝えたつもりでも、受け取った相手は、また責められたと感じてしまいます。

特に、子どものことも考えて、という言葉には注意が必要です。言いたくなる気持ちは分かりますが、相手は罪悪感で責められていると感じ、心をますます閉ざしてしまいます。

また、思いをすべて伝えようとして、長い文を送ってしまうのもよくあるパターンです。長い文は、読むだけで相手の心を重くします。気持ちを受け止める返事は、短いほど相手に届くと覚えておいてください。

4-3.冷たい返事やきつい返事が届いたときの返し方

とはいえ、受け止める返事を送っても、冷たい返事やきつい返事が返ってくることもあります。今さら何、もう遅い、といった言葉に、心が折れそうになるかもしれません。

けれども、これはめずらしいことではありません。たまっていた気持ちを、ようやく外に出せたからこそ、きつい言葉になって返ってくることが多いのです。

ここで言い返したり、言い訳をしたりすると、また言い争いに戻ってしまいます。返事は、次のように短く受け止めるだけで十分です。

「わかった。話してくれてありがとう」

相手の言葉に納得できない部分があっても、今は反論しないでください。気持ちを話してくれたことにお礼を伝えるだけで、相手は、この人には本音を言っても大丈夫なのかもしれない、と感じ始めます。

返事をするのもつらいときは、無理に返さず、時間を置いてもかまいません。ただし、相手からの言葉が人格を否定するような暴言にまで及び、それが続く場合は、第7章でご紹介する相談先も考えてください。

4-4.生活上の連絡と気持ちの話し合いを分けて考える

ここまでは、気持ちに関わるLINEのやり取りについてお伝えしてきました。けれども、帰りたくないと言われたあとも、子どもの送り迎えやお金のことなど、どうしても連絡が必要な場面があります。

そのときは、生活上の連絡と気持ちの話し合いを、はっきり分けて考えることが大切です。例えば、生活上の連絡は、次のように短く、用件だけを伝えます。

「明日の保育園のお迎え、18時でお願いできる?」

ここに、「どうせ帰ってこないんでしょ」といった気持ちの言葉を混ぜないことがポイントです。用件の中に不満がまじると、相手は連絡そのものを避けたくなってしまいます。

用件だけのやりとりがスムーズに続くと、相手は、この人とのやりとりは楽だと感じるようになります。この小さな安心の積み重ねが、関係を立て直すための土台になっていきます。

気持ちの話し合いは、相手が落ち着いて、話を聞ける状態になってからで十分です。今はまず、連絡がとりやすい関係を守ることを優先してください。

4-5.相手が帰宅したときにかける最初のひと言

連絡の仕方が整ったら、次は、相手が家に帰ってきたときの迎え方です。最初にかけるひと言は、とてもシンプルで構いません。

「おかえり。ごはん温めようか?」

このくらいの、いつもどおりの声かけがいちばんです。「どこに行ってたの?」「なんであんなこと言ったの?」といった質問は、この場ではぐっとこらえてください。

人は、家に入った最初の数秒で、その日の家の空気を感じとります。帰ってきた瞬間にほっとできるかどうかが、また帰りたいと思えるかを左右します。

無理に明るくふるまう必要はありません。ぎこちなくても、おかえりの一言と、責めない表情があれば十分です。言葉が出てこない日は、おかえりだけでも構いません。

例えば、喧嘩が続いていたある妻は、夫が帰ってきたときに、ただ顔を上げて「おかえり」と言うことから始めました。最初は返事もありませんでしたが、続けるうちに、夫のほうから「ただいま」と返ってくる日が出てきたそうです。

小さな変化に見えるかもしれませんが、こうした迎え方の積み重ねが、家の空気を少しずつ変えていきます。

5.パートナーの協力がなくても一人から始められる関係修復の5ステップ

ここまでで、相手の気持ちの受け止め方と、今夜からの返し方をお伝えしてきました。ここからは、関係そのものを立て直すための方法に入っていきます。

夫婦関係の修復というと、二人で話し合わなければ始まらないと思われがちです。けれども実際は、どちらか一人が先に変わることで、関係は動き始めます。

相手の協力がなくても、あなた一人で今日から取り組める修復の流れは、次の5つのステップです。

一人から始められる関係修復の5ステップ
  1. ステップ1:まずは自分の心を落ち着かせて立て直す
  2. ステップ2:これまでの夫婦のやり取りを振り返る
  3. ステップ3:家の空気をやわらかく変えていく
  4. ステップ4:責めない会話を少しずつ増やしていく
  5. ステップ5:相手が本音を話せるタイミングをつくる

修復には、多くの場合1年から1年半ほどかかります。その間の変化の目安は5-6でご紹介しますので、まずはそれぞれのステップを詳しく見ていきます。

5-1.ステップ1:まずは自分の心を落ち着かせて立て直す

最初のステップは、相手ではなく、あなた自身の心を落ち着かせることです。

帰りたくないと言われた直後は、不安や悲しみ、怒りで頭がいっぱいになっているはずです。この状態のまま動くと、問い詰めたり、何度も連絡したりと、前の章でお伝えしたNGな行動をとってしまいやすくなります。

関係を立て直すうえで、感情をコントロールする力はとても大切です。相手の言葉や態度に一喜一憂せず、落ち着いて向き合えるようになると、相手もあなたのそばで安心できるようになるからです。

具体的には、まず睡眠と食事をできるだけ整えてください。心が弱っているときほど、体を休めることが立て直しの近道になります。

不安でいっぱいになったときは、頭に浮かんだ気持ちを、そのまま紙に書き出してみるのもおすすめです。書くことで気持ちが外に出て、少しずつ冷静さが戻ってきます。

一人で抱えきれないときは、信頼できる友人や専門家に話を聞いてもらうのもよい方法です。あなたが落ち着きを取り戻すことが、すべてのステップの土台になります。

5-2.ステップ2:これまでの夫婦のやり取りを振り返る

心が少し落ち着いてきたら、次は、これまでの夫婦のやり取りを振り返ります。

ここでの目的は、自分を責めることではありません。自分に変えられることを見つけるためです。紙とペンを用意して、次の3つの質問に答えを書き出してみてください。

夫婦のやり取りを振り返る3つの質問
  1. 相手が帰ってきた直後、最初に何を言っていたか
  2. 相手の話を最後まで聞けていたか
  3. 最近、相手にお礼やねぎらいを伝えたのはいつか

それぞれの質問について、答えるときのポイントをお伝えします。

相手が帰ってきた直後、最初に何を言っていたか

帰ってきた直後の言葉は、相手がその日の家の空気を感じる最初の一言です。注意や頼みごと、不満から始まっていなかったかを思い出してください。

もし思い当たるなら、そこを変えるだけで、家の印象は大きく変わります。第4章でお伝えしたおかえりの迎え方は、まさにこの部分を変えるためのものです。

相手の話を最後まで聞けていたか

相手が話し始めたとき、途中でさえぎったり、すぐに意見を言ったりしていなかったかをふり返ります。話を最後まで聞いてもらえないと、人は話すこと自体をあきらめてしまいます。

例えば、ある夫は振り返ってみて、妻が話しかけてくるたびに、またその話?と返していたことに気づきました。本人にとっては何気ない口ぐせでも、妻にとっては、話すたびに突き放される言葉になっていたのです。

最近、相手にお礼やねぎらいを伝えたのはいつか

すぐに思い出せないなら、感謝の言葉が足りていなかったのかもしれません。家事や仕事を当たり前だと受け取られ続けると、人は自分がこの家に必要とされていないと感じやすくなります。

この答えは、ステップ4で取り組む責めない会話の出発点になります。

3つの質問に答えてみると、多くの方が、自分では気づいていなかった口ぐせや態度に気づきます。気づけたということは、そこを変えればいいということです。これが、関係を立て直すための大きな手がかりになります。

5-3.ステップ3:家の空気をやわらかく変えていく

変えるべきことが見えてきたら、次は家の空気をやわらかく変えていきます。

相手が帰りたくないと感じたのは、家が休める場所ではなくなっていたからでした。だからこそ、家をもう一度、ほっとできる場所に戻していくことが大切です。

まずは、第4章でお伝えしたおかえりの迎え方を、毎日続けてください。そのうえで、相手が帰ってきてすぐに用事を頼んだり、不満を伝えたりするのは、できるだけ控えます。

相手が一人になる時間をほしがっているなら、その時間を守ってあげることも、家の居心地をよくする大切なポイントです。家にいても気をつかわなくていいと感じられると、相手は少しずつ家に戻ってきやすくなります。

家事や育児の負担が原因になっていそうな場合は、負担を少し軽くする工夫も効果的です。例えば、あなたが夫の立場なら、言われる前にお風呂の掃除や子どもの寝かしつけを引き受けてみてください。

あなたが妻の立場なら、夫が帰ってきてすぐは話しかけず、ひと息つく時間をつくってみてください。こうした小さな変化が、家の空気を変えていきます。

5-4.ステップ4:責めない会話を少しずつ増やしていく

家の空気がやわらいできたら、責めない会話を少しずつ増やしていきます。

いきなり大事な話をしようとすると、相手は身がまえてしまいます。まずは、天気や子どもの話、ちょっとしたお礼など、答えやすい軽い会話から始めることが大切です。

中でも効果が大きいのが、感謝の言葉です。例えば、次のような一言です。

「ゴミ出してくれてありがとう。朝バタバタしてたから助かった」

当たり前になっていることにこそ、言葉にしてお礼を伝えてみてください。感謝されると、人は自分がこの家に必要とされていると感じられます。これは、第1章でお伝えした居場所のなさを埋めることにもつながります。

ここでよくある失敗は、すぐに相手の反応を求めてしまうことです。お礼を言っても返事がなかったり、そっけなかったりする時期は、しばらく続くかもしれません。

それでも、あなたの言葉はちゃんと相手に届いています。相手の態度が変わるまでには時間がかかるものだと考えて、あきらめずに続けてください。

5-5.ステップ5:相手が本音を話せるタイミングをつくる

最後のステップは、相手が本音を話せるタイミングをつくることです。ステップ1から4を続けて、相手の表情がやわらぐなどの小さな変化が見えてから、本音を聞くようにしてください。

話を切り出すのは、夜遅い時間や、疲れているときは避けてください。休日の昼間や、車で出かけているときなど、相手がゆったりしているときがおすすめです。向かい合うより、横に並んでいるときのほうが、人は本音を話しやすくなります。

切り出し方は、例えば次のような言葉です。

「前に帰りたくないって言ってたこと、責めるつもりはないんだ。何がしんどかったのか、よかったら聞かせてほしい」

相手が話し始めたら、途中で言い訳をしたり、反論したりせずに、最後まで聞いてください。話をさえぎらずに聞いてもらえたという体験が、相手の心を開くいちばんの力になります。

話を聞き終えたら、相手の言葉をくり返して、そう感じていたんだね、と受け止めます。そのうえで、すべてを一度に変えると約束するのではなく、家事を一つ引き受けるなど、まず一つだけ変えて行動で示してください。大きな約束より、小さな実行のほうが信頼を取り戻す力になります。

話の中で、相手から離婚という言葉が出ることもあるかもしれません。そのときも、あわてて反論したり、泣いて引き止めたりしないでください。そう思うほどつらかった気持ちを受け止め、すぐに答えは出さずに、もう少し時間がほしいと伝えるだけで十分です。

一度で全部を話してくれなくても大丈夫です。少しでも本音を聞けたなら、それは関係が確かに前に進んでいる証です。

5-6.修復までの1年〜1年半で起こる変化の目安

5つのステップを進めていくと、関係はどのように変わっていくのでしょうか。これまでのカウンセリングで見てきた、多くの夫婦に共通する変化の流れを、表にまとめました。

▼関係修復までの変化の目安
時期 相手の様子の目安 この時期に続けること
0〜3か月 ・態度はほとんど変わらない
・そっけない返事が続く
・責めずに迎える
・自分の心を立て直す
3〜6か月 ・帰宅が少し早まる日が出てくる
・表情がやわらぐ
・家の空気を整え続ける
・小さなお礼を伝える
6〜12か月 ・日常の会話が増えてくる
・相手から話しかけてくる
・責めない会話を増やす
・本音を聞くタイミングをはかる
12〜18か月 ・本音を話してくれる
・自分から早く帰るようになる
・聞いた本音を行動で示す
・二人で今後の話をする
※進み方には個人差があります

表のとおり、最初の数か月は、相手の態度がほとんど変わらないことが多いです。ここで、やっても意味がないとあきらめてしまう方が少なくありません。

けれども、変化が見えない最初の数か月こそ、いちばん大切な時期です。目に見えないところで、相手の中では、家に対する印象が少しずつ変わり始めています。

途中で相手の態度が一時的に冷たくなる日があっても、それは後戻りではありません。あせらず続けていけば、関係は確かに前に進んでいきます。

6.「家に帰りたくない」と言われてから1年半で関係を修復した夫婦の事例

ここまでお伝えした5つのステップを、実際にどのように進めていけばいいのか、イメージがわきにくい方もいると思います。

そこで、夫から帰りたくないと言われた妻が、一人で行動を変え始め、1年半かけて関係を立て直した事例をご紹介します。

6-1.夫から「家に帰りたくない」と言われた40代妻のケース

ご相談に来られたのは、40代の妻Aさんです。同じく40代の夫と、小学生の子ども2人の4人家族で、夫婦ともに働いていました。

Aさんは、毎日の家事と育児に追われる中で、夫が家のことに協力してくれないことに、強い不満を持っていました。夫が帰ってくると、つい家計や家事の分担について注意してしまい、言い合いになる日が続いていたそうです。

そんなある日、言い争いをした翌日に、夫からLINEが届きました。

「正直、もう家に帰りたくない」

Aさんは、離婚を切り出されるのではないかと、頭が真っ白になったといいます。そして、夫には内緒で、私のカウンセリングに来られました。

最初のころのAさんは、悪いのは協力してくれない夫のほうだと話していました。けれども、話を聞いていくうちに、自分の言葉が夫を追いつめていたかもしれないと、少しずつ気づいていったのです。

6-2.一人で行動を変え始めた最初の3か月

Aさんがまず取り組んだのは、夫を問い詰めないことでした。LINEには「疲れてたんだね。ゆっくり休んで」と短く返し、それ以上は連絡しないようにしました。

同時に、自分の気持ちを落ち着かせるために、不安になるたびに気持ちを紙に書き出すことを続けました。これまでの夫とのやり取りを振り返ると、夫が帰ってきた直後に、注意や頼みごとばかりしていたことにも気づいたそうです。

そこでAさんは、夫が帰ってきたら「おかえり」とだけ言って、しばらくは話しかけないようにしました。家計や家事についての注意も、いったんやめることにしたのです。

最初の3か月、夫の態度はほとんど変わりませんでした。帰りは遅いままで、話しかけても返事はそっけなかったそうです。Aさんは、何度もくじけそうになったと話していました。

それでも、Aさんは責めずに迎えることを続けました。この時期にあきらめなかったことが、のちの変化につながっていきます。

6-3.夫が自分から早く帰るようになるまでの1年半の変化

半年ほどたったころ、最初の変化が起きました。週に何日か、夫が夕飯の時間に帰ってくるようになったのです。Aさんは、ありがとうと伝えるだけで、それ以上は何も言いませんでした。

その後は、ゴミ出しや子どもの宿題を見てくれたことに、Aさんが小さなお礼を伝えるようにしていきました。すると、夫のほうから、子どもの話をしてくる日が少しずつ増えていったそうです。

1年ほどたったある休日、子どもたちを習いごとに送った帰りの車の中で、Aさんは夫に、前に帰りたくないと言っていたときのことを聞いてみました。

すると夫は、家に帰るといつも責められている気がして、自分の居場所がないように感じていたと、初めて本音を話してくれたのです。

Aさんは、言い訳をせずに最後まで聞き、「気づけなくてごめんね」と伝えました。この日をきっかけに、夫婦で家事の分担についても、落ち着いて話し合えるようになりました。

そして1年半がたつころには、夫が自分から早く帰ってくるようになり、休日には家族で出かけることも増えていきました。Aさんは、夫が変わるのを待つのではなく、自分が先に変わったことで、家族の空気が変わったと話してくれました。

6-4.この事例から分かる3つのポイント

Aさんの事例には、あなたがこれから関係を立て直すうえで役立つポイントが詰まっています。特に大切なのは、次の3つです。

この事例から分かる3つのポイント
  1. 相手が変わるのを待たずに自分から変わった
  2. 変化がない時期もあきらめずに続けた
  3. 本音を聞いたときに言い訳をしなかった

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきます。

相手が変わるのを待たずに自分から変わった

Aさんは最初、悪いのは夫だと考えていました。けれども、夫が変わるのを待っていたら、関係はそのままだったはずです。

自分の言葉や迎え方を先に変えたことで、夫にとって家が少しずつ休める場所に戻っていきました。相手を変えることはできませんが、自分を変えることは今日からできます。

変化がない時期もあきらめずに続けた

多くの方がくじけてしまう最初の3か月を、Aさんは続けることができました。それは、変化がないのは当たり前だと知っていたからです。5-6の表のとおり、目に見える変化が出てくるまでには時間がかかります。

本音を聞いたときに言い訳をしなかった

1年ほどたって夫が本音を話したとき、Aさんは言い訳をせず、最後まで聞きました。ここで反論していたら、夫は二度と本音を話さなかったかもしれません。

聞いてもらえたという体験が、夫婦が落ち着いて話し合える関係への入り口になったのです。

この3つのポイントは、妻から帰りたくないと言われた夫の立場でも、まったく同じように使えます。立場がどちらであっても、一人が先に変わり続けることで、相手の心は少しずつ戻ってきます。

7.一人で抱えきれないときに頼れる相談先

一人で抱えきれないときは、状況に合わせて相談先を選ぶことが大切です。一人で修復を進めたいときは夫婦カウンセリング、二人での話し合いがどうしても進まないときは家庭裁判所の円満調停が選択肢になります。

身の安全が脅かされているときは、公的なDV相談窓口に相談してください。ここでは、この3つの相談先について順番にご紹介します。

7-1.パートナーに内緒で相談できる夫婦カウンセリング

一つ目は、夫婦カウンセリングです。

夫婦カウンセリングというと、夫婦二人で行くものだと思われがちです。けれども私のカウンセリングは、悩んでいる妻か夫のどちらか一方だけが、パートナーには内緒で来られる形をとっています。

夫婦関係は、どちらか一人が先に変わることで動き始めます。だからこそ、相手に知られずに、自分の向き合い方を見直せる場が役に立つのです。

利用を考えてほしいのは、一人で続けていて心が折れそうなとき、何を変えればいいのか分からないとき、相手の冷たい反応にどう返せばいいのか迷うときです。こうした迷いを抱えたまま進むと、途中であきらめてしまいやすくなります。

カウンセリングでは、まずあなたの夫婦の状況を一緒に整理します。そのうえで、あなたの家に合った言葉のかけ方や行動を具体的に決め、1年から1年半の修復の道のりを、途中で折れないように支えていきます。

夫婦の問題にくわしい専門家と一緒に進めることで、遠回りせずに関係を立て直していくことができます。

7-2.関係修復を目的とした家庭裁判所の円満調停

二つ目は、家庭裁判所の円満調停です。

正式には、夫婦関係調整調停(円満)と呼ばれる手続きです。裁判所というと離婚のための場所というイメージがありますが、この調停は、夫婦関係を元に戻すための話し合いの場として用意されています。

調停では、夫婦それぞれから話を聞き、関係がうまくいかなくなった原因や、関係をよくするためにどんな努力が必要かを一緒に考えていきます。離婚したほうがいいのか迷っている場合でも、利用できるとされています。

申し立て先は、相手が住んでいる地域の家庭裁判所か、夫婦で話し合って決めた家庭裁判所です。費用は、収入印紙1,200円と連絡用の郵便切手が必要です。切手の金額は裁判所によって異なるため、申し立てる家庭裁判所で確認してください。

出典:裁判所「夫婦関係調整調停(円満)」

ただし、調停は相手にも家庭裁判所から連絡が届く手続きです。相手が、大ごとにされたと感じてしまう可能性もあります。

そのため、まずはこの記事でお伝えした一人でできるステップに取り組み、それでも二人での話し合いがどうしても進まないときの選択肢として考えておくのがよいと思います。

参考:(離婚調停に関する別記事への内部リンク)

7-3.暴言や暴力に悩んでいる場合の公的な相談窓口

三つ目は、暴言や暴力に悩んでいる場合の公的な相談窓口です。

帰りたくないと言われたことに加えて、日ごろから怒鳴られる、物を投げられる、人格を否定する言葉を浴びせられるといったことはないでしょうか。

このような場合は、ふつうの夫婦喧嘩とは分けて考える必要があります。一人で抱えこまず、公的な窓口に相談してください。

内閣府の案内によると、DV相談ナビの全国共通番号である#8008(はれれば)に電話をかけると、最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。受付時間は相談機関によって異なり、通話料がかかります。

電話での相談に抵抗がある場合は、内閣府のDV相談プラスも利用できます。電話相談は24時間受け付けているほか、チャットでの相談もできます。

出典:内閣府男女共同参画局「DV相談ナビについて」「DV相談について」

関係を修復したいという気持ちは、とても大切なものです。けれども、それはあなたの安全があってこそです。危険を感じたときは、迷わず110番してください。

8.「家に帰りたくない」と言われた人からよくある質問

最後に、家に帰りたくないと言われた方から、特によくいただく質問にお答えします。

Q1:帰りたくないと言われたあと、本当に帰ってこなくなりました。もう手遅れでしょうか?

A:手遅れではありません。相手が帰ってこなくなったのは、それだけ心が疲れきっているサインで、家を離れることで気持ちを落ち着かせようとしているのかもしれません。

この時期の連絡は、子どものことやお金のことなど、用件があるときだけ短く送るのが基本です。気持ちを伝える連絡は、相手から反応が返ってくるまで控えめにしてください。

連絡がとりやすい関係を守りながら、この記事でお伝えした5つのステップに取り組んでいけば、関係を立て直せる可能性は十分にあります。

参考:(別居中の連絡に関する別記事への内部リンク)

Q2:家に帰りたくないと言われたのは、離婚の前兆ですか?

A:必ずしも離婚の前兆ではありません。帰りたくないと別れたいは別の言葉で、多くの場合、相手が離れたいのはあなたではなく、休めない家の状態です。

言ったあとも家に帰ってきている、生活上の連絡に応じている、理由を少しでも口にしている。この3つに当てはまるなら、一時的な感情である可能性が高いと考えられます。

帰らない日が続き、連絡も途絶えがちになっている場合は、心の疲れがかなり深い状態です。それでも、あなたが先に変わることで、関係を立て直していくことはできます。

Q3:相手がまったく変わろうとしません。自分だけが変わる意味はありますか?

A:意味は大いにあります。人の態度は、まわりの人の接し方によって変わっていくものだからです。あなたが責めずに迎え続ければ、相手にとって家は少しずつ、ほっとできる場所に戻っていきます。

もちろん、相手の態度が変わるまでには時間がかかります。事例でご紹介したAさんのように、最初の数か月はほとんど変化を感じられないことも多いです。それでも続けた先に、関係が変わる日はやってきます。

まとめ

夫や妻から家に帰りたくないと言われると、自分の存在まで否定されたように感じてしまいます。けれども、その言葉の裏にあるのは、多くの場合、喧嘩の疲れや居場所のなさ、休めない毎日です。愛情がすべてなくなったわけではありません。

まず今夜は、相手の気持ちを受け止める短いLINEを1通だけ送ってください。そのあとは、返事がなくても追いかけずに待ちます。すでに責めてしまった場合は、短いお詫びを一度だけ伝えれば十分です。

明日からの1週間は、相手が帰ってきたらおかえりと迎え、連絡は用件だけにします。そして、5-2の3つの質問に答えて、これまでのやり取りを振り返ってみてください。

そこから先は、家の空気をやわらかく変え、責めない会話を少しずつ増やし、相手が本音を話せるタイミングをつくっていきます。どのステップも、相手の協力がなくても、あなた一人から始めることができます。

関係が元に戻るまでには、多くの場合1年から1年半ほどかかります。それでも、あなたが先に変わることで、家はもう一度、相手が帰りたいと思える場所になります。

帰りたくないという言葉は、関係を立て直すためのきっかけにもなります。今日から、できることを一つずつ始めてみてください。あなたの家に、また家族の笑顔が戻る日は、きっとやってきます。

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