配偶者から、やり直す気はないとはっきり言われてしまった。その言葉を受け止めきれず、頭が真っ白になったまま、このページにたどり着いたのではないでしょうか。
勇気を出して修復を申し出たのに、断られてしまった。もう何をしても無理なのかもしれない。そう思うと、夜も眠れないほど不安になりますよね。
ですが、どうか安心してください。この言葉を言われたからといって、夫婦関係が終わると決まったわけではありません。
私は夫婦関係修復コーチとして20年以上、1万組を超えるご夫婦の関係修復をサポートしてきました。その中には、配偶者から同じ言葉を言われたところから、1年〜1年半かけて夫婦関係を立て直した方がたくさんいます。
実は、修復できた方とそうでなかった方を分けたのは、言われた直後の振る舞いと、その後に自分がどう変わったかでした。しかも、その一歩は、配偶者の協力がなくてもあなた一人から始められます。
今回は、その具体的な方法を順番にお伝えしていきます。
- やり直す気はないと言われても、夫婦関係を修復できる理由
- 配偶者がこの言葉を口にするときの心理と、本気度の見極め方
- 言われた直後にやってはいけないNG行動と、最初にとるべき対応
- 配偶者の協力がなくても一人から始められる修復のステップ
- 1年〜1年半かけて夫婦関係を修復した方の実例
不安で胸がいっぱいのときこそ、まずは落ち着いて読み進めてみてください。今日のあなたの行動が、1年後の夫婦の姿を変えていきます。
1.「やり直す気はない」と言われたら、もう夫婦関係は修復できないのか
まずは、あなたが今いちばん知りたいことからお答えします。結論から言うと、やり直す気はないと言われても、夫婦関係を修復できる可能性は十分にあります。その言葉は配偶者の今の気持ちであり、最終決定ではないからです。
この章では、その言葉の本当の意味、配偶者の心理、本気度の見極め方、そして修復よりも安全を優先すべきケースについてお伝えします。
1-1.その言葉は「今の気持ち」であり、最終決定とは限らない
やり直す気はないという言葉は、配偶者の今の気持ちを表したものです。これから先もずっと変わらない最終決定とは限りません。
なぜなら、人の気持ちは時間とともに動くものだからです。強い怒りや失望の中で出てきた言葉は、そのときの気持ちとしては本物です。けれども、相手の態度や二人の関係が変われば、気持ちも少しずつ変わっていきます。
また、夫婦は恋人どうしの別れとは違い、子どもや家計、住まいなどで生活がつながっています。毎日顔を合わせたり、子どものことで連絡を取り合ったりする機会が自然に残るため、あなたの変化を見てもらえる時間があります。
たとえば、激しい言い合いの直後に夫からこの言葉を言われた妻の方がいました。その方は追いかけるのをやめ、自分の振る舞いを見直し続けました。すると半年ほどたったころ、夫のほうから子どもの話をしてくれるようになったのです。
だからといって、言葉を軽く受け流してよいわけではありません。今の配偶者の気持ちはそのまま受け止めながら、未来はあきらめない。この2つは両立できると知っておくだけで、次に何をすればよいかが見えてきます。
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1-2.配偶者が「やり直す気はない」と口にする5つの心理
では、配偶者はどのような気持ちから、やり直す気はないと口にしたのでしょうか。私がこれまでのご相談で見てきた中で、多くの場合、次の5つの心理のどれか、またはいくつかが重なっています。
- もう傷つきたくないという気持ち
- 長い間に積み重なった不満と疲れ
- 期待させたくないという思い
- おさまっていない怒りや失望
- 離婚の気持ちが固まりつつある
それぞれ詳しく解説していきます。
もう傷つきたくないという気持ち
配偶者は、自分の心を守るために、やり直す気はないと言うことがあります。やり直そうとしても、また同じことのくり返しになるのではないかという不安があるからです。
この場合、配偶者は希望を持つこと自体をこわがっています。言葉で説得するよりも、同じことがくり返されないと時間をかけて感じてもらうことが大切です。
長い間に積み重なった不満と疲れ
一つの出来事ではなく、何年もかけて小さな不満がたまり、心がすっかり疲れてしまっているケースです。言われた側は突然に感じても、言った側はずっと前から悩んでいたということがよくあります。
このタイプでは、今は関係を考える元気そのものが残っていません。まずは配偶者の心を休ませる関わり方が必要になります。
期待させたくないという思い
あなたが何度も修復をお願いしてきた場合、これ以上期待させるのは悪いと考えて、あえて強い言葉を選ぶことがあります。冷たく聞こえても、相手なりの気づかいが含まれていることもあるのです。
このときにお願いを重ねると、配偶者はさらに強い言葉で断るしかなくなります。
おさまっていない怒りや失望
浮気や大きなうそ、心ない言葉などで深く傷ついた直後は、怒りがおさまらずに、やり直す気はないという言葉が出てきます。今は顔を見るのもつらい、という状態です。
怒りは時間がたつにつれて少しずつ落ち着いていきます。この時期は、何かを伝えるよりも、刺激しないことを優先してください。
離婚の気持ちが固まりつつある
すでに離婚後の生活を考え始めていて、気持ちがかなり固まっているケースもあります。この場合、言葉は落ち着いていて、何度聞いても同じ答えが返ってくることが多いです。
ただ、固まりつつある気持ちも、あなたが本当に変わった姿を長く見せ続けることで、ゆるんでいく可能性はあります。5章でお伝えする修復のステップは、まさにこうした状況のためのものです。
1-3.配偶者の本気度を見極めるための判断材料
配偶者の本気度は、言葉そのものよりも、言われた状況や、その後の配偶者の行動から見えてきます。ここでは、本気度を考えるときの4つの判断材料をお伝えします。
- 言われたときの状況
- 同じ言葉をくり返しているか
- 日常の会話ややりとりが続いているか
- 離婚に向けた具体的な行動があるか
順番に見ていきます。
言われたときの状況
感情的な場面で言われた言葉は、怒りがそのまま出ている可能性があります。一方、落ち着いた場面で静かに告げられた場合は、前から考えていた気持ちであることが多いです。
同じ言葉をくり返しているか
時間をおいても同じ答えをくり返す場合は、気持ちがかなり固まっていると考えられます。
日常の会話ややりとりが続いているか
子どもの話や家の用事など、必要なやりとりができているなら、関係はまだつながっています。連絡を無視されたりブロックされたりしている場合は、距離を取りたい気持ちがとても強い状態です。
離婚に向けた具体的な行動があるか
引っ越し先探しや弁護士への相談、離婚届の用意など、具体的な行動が見られるかどうかも、気持ちの固さを知る手がかりになります。
4つの判断材料を、一時的な気持ちの可能性があるサインと、気持ちが固まっているサインに分けると、次のようになります。
| 配偶者の本気度を見極める判断表 | ||
|---|---|---|
| 判断材料 | 一時的な気持ちの可能性があるサイン | 気持ちが固まっているサイン |
| 言われたときの状況 | 言い合いの最中や直後に、感情的に言われた | 落ち着いた場面で、静かに告げられた |
| 同じ言葉のくり返し | 一度だけ口にした | 時間をおいても同じ答えをくり返す |
| 日常のやりとり | 子どもや家の用事の会話が普通にできる | 連絡を無視される、ブロックされる |
| 離婚に向けた行動 | 具体的な動きは見られない | ・引っ越し先を探している ・弁護士に相談している ・離婚届を用意している |
また、あなたの浮気が原因の場合や、配偶者にほかに好きな人がいる場合は、気持ちが固まって見えやすく、修復により長い時間がかかる傾向があります。配偶者に好きな人がいる場合の向き合い方は、9章のよくある質問でくわしくお答えしています。
本気度が高いほど、追わずに時間をかけて向き合う必要がある、と考えてください。判断材料は、あきらめるためではなく、自分の接し方を決めるために使うものです。
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1-4.修復よりも自分と子どもの安全を優先すべきケース
ここまで修復の可能性についてお伝えしてきましたが、その前に必ず確認していただきたいことがあります。それは、あなたと子どもが安全に暮らせているかということです。
内閣府男女共同参画局の『男女間における暴力に関する調査(令和5年度)』では、結婚したことのある人のうち25.1%が、配偶者から暴力を受けた経験があると答えています。夫婦の間の暴力は、決してめずらしい問題ではありません。
たたく、けるなどの暴力はもちろん、物を投げる、大声でおどす、生活費を渡さない、行動を細かく見張るといったことも、心と体を傷つける行為です。子どもに手を上げる場合も同じです。
こうしたことが起きているなら、関係の修復よりも、まずは安全を守ることを最優先にしてください。各地の配偶者暴力相談支援センターや、DV相談ナビ(#8008)に相談することができます。身の危険を感じたら迷わず110番してください。
また、もしあなた自身が配偶者に暴力をふるってしまったことがあるなら、まずはその行動を止めることが修復の大前提です。配偶者がこわいと感じている間は、近づいたり話し合いを求めたりしないでください。
安全が確保されていることを確認したうえで、次の章からの内容を読み進めてください。
2.「やり直す気はない」と言われた直後にやってはいけない4つのNG行動
ここからは、言われた直後の行動についてお伝えします。私のご相談でも、修復できるかどうかはこの時期の振る舞いで大きく変わってきました。まずは、やってはいけない行動を知っておいてください。
- その場で説得や反論を続ける
- 謝罪や連絡を何度も重ねる
- 義両親や友人を巻き込んで説得してもらう
- 焦って話し合いの結論を急ぐ
一つずつ見ていきます。
2-1.その場で説得や反論を続ける
1つ目のNG行動は、言われたその場で配偶者を説得したり、反論したりすることです。説得や反論は、配偶者のやり直さない気持ちをかえって固めてしまいます。
なぜなら、配偶者は言葉を口にした瞬間、自分の気持ちを守ろうとする状態になっているからです。そこで説得されると、さらに強い言葉で自分の気持ちを証明しようとします。
たとえば、次のようなやりとりです。
「やり直す気はないから」
「待って、なんでそうなるの?私だってずっと頑張ってきたじゃない。ちゃんと話そうよ」
「そういうところが無理なんだよ」
あなたとしては、必死の思いから出た言葉だと思います。けれども配偶者には、自分の気持ちを聞いてもらえなかった、やっぱり変わっていないと映ってしまうのです。
その場では言い返したい気持ちをぐっとこらえ、受け止める返事だけにとどめてください。これが修復への最初の分かれ道になります。具体的な返し方は、3-1でお伝えします。
2-2.謝罪や連絡を何度も重ねる
続いて2つ目のNG行動は、謝罪や連絡を何度も重ねることです。謝罪の気持ちは本物でも、くり返すほど配偶者は重さや息苦しさを感じてしまいます。
言われた直後は、とにかく謝らなければ、気持ちを伝えなければと焦ってしまいますよね。ですが、長いメッセージを何度も送ったり、毎日のように謝ったりすると、相手には自分の不安を落ち着かせたいだけに見えてしまうことがあるのです。
ある夫の方は、妻に言われたその夜から、毎日長い謝罪のLINEを送り続けていました。その結果、妻からは連絡をブロックされてしまいました。
もしすでにブロックされている場合でも、別のアカウントを作ったり、共通の知人に連絡をたのんだりして接触しようとするのはやめてください。配偶者はこわさを感じ、心をさらに固く閉ざしてしまいます。
子どものことなど、どうしても必要な連絡があるときは、電話やメールなど残っている手段で用件だけを短く伝えれば十分です。ブロックは、今は距離を置きたいという配偶者からの合図だと受け止めてください。
謝罪は心を込めて一度だけ伝え、その後は変わった姿を行動で見せていってください。言葉を重ねるよりも、そのほうがずっと配偶者の心に届きます。
2-3.義両親や友人を巻き込んで説得してもらう
3つ目のNG行動は、義両親や共通の友人に頼んで、配偶者を説得してもらうことです。周りを巻き込むと、配偶者は追いつめられたと感じ、あなたへの信頼をさらに失ってしまいます。
一人では話を聞いてもらえないから、配偶者の親から話してもらおう。そう考える方は少なくありません。たとえば、義母に次のようにお願いしてしまうケースです。
「お義母さんから、もう一度考え直すように話していただけませんか」
ですが、配偶者からすると、夫婦の問題を勝手に周りに広められたと感じます。その結果、あなたへの気持ちが一気に冷めてしまうこともあります。
義両親や友人には、説得役ではなく、あなたの話を聞いてもらう相手になってもらってください。夫婦のことは、あなた自身の変化で向き合うことが、遠回りに見えていちばんの近道です。
2-4.焦って話し合いの結論を急ぐ
最後の4つ目のNG行動は、焦って話し合いの結論を急ぐことです。気持ちが離れている配偶者に今すぐ答えを求めれば、返ってくるのは今の気持ち、つまりやり直さないという答えだからです。
はっきりさせないと落ち着かない、早く答えを聞きたいという気持ちから、何度も話し合いを求めたり、期限を区切って答えを迫ったりしてしまうことがあります。ですが、急ぐほど、やり直さないという答えが固まってしまいます。
配偶者のほうが離婚を急いでいる場合も、あなたまで焦る必要はありません。離婚届を勝手に出されるのが心配なときは、役所に離婚届の不受理申出をしておけば、落ち着いて向き合う時間を持てます。
夫婦関係の修復は、1年〜1年半ほどかけて進めていくものです。今は結論を出す時期ではなく、関係を立て直す土台をつくる時期だと考えてください。
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3.言われた直後から一人で始められる最初の対応
やってはいけないことが分かったところで、次は、言われた直後から何をすればよいのかをお伝えします。
言われた直後に一人で始められる対応は、配偶者の気持ちを受け止める返事をする、距離の取り方を整える、子どもの前での振る舞いに気を配る、自分の心を落ち着かせる、の4つです。どれも配偶者の協力がなくても、今日から始められます。
3-1.まずは「わかった」と受け止める返し方
最初にしていただきたいのは、配偶者の気持ちをいったん受け止める返事をすることです。
ここで大切なのは、気持ちを受け止めることと、離婚に同意することは違うという点です。あなたは配偶者の今の気持ちを認めるだけで、夫婦の将来をあきらめるわけではありません。
たとえば、次のような返し方があります。
「わかった。そう思うくらい、つらい思いをさせてたんだね。今は無理に話そうとしないから」
もしその場で離婚の話をされたら、気持ちは受け止めたうえで、大事なことなので少し時間をかけて考えさせてほしいと伝えれば大丈夫です。その場で答えを出す必要はありません。
LINEなどの文字で言われた場合も、考え方は同じです。すぐに長文で返したくなりますが、少し時間をおいて気持ちを落ち着かせてから、受け止める言葉だけを2〜3行で返してください。理由を問いただす質問や、自分の言い分を並べるのはひかえます。
このように返されると、配偶者は自分の気持ちを否定されなかったと感じます。言い合いを覚悟していた分、拍子抜けすることもあるでしょう。この小さな驚きが、あなたへの見方を変える最初のきっかけになります。
もし、すでにその場で反論してしまっていても大丈夫です。少し時間をおいてから、さっきは気持ちを聞かずに言い返してごめん、と一言伝えれば、受け止め直すことはできます。
3-2.同居中と別居中で変わる距離の取り方
受け止める返事をしたら、次は配偶者との距離の取り方を考えます。目指すのは、一緒にいても疲れない人だと配偶者に感じてもらうことです。
ただし、同居しているか別居しているかで、気をつけることが少し違います。
- 同居中の場合
- 別居中の場合
ご自身に当てはまるほうを確認してください。
同居中の場合
同居中は、無理に話しかけず、かといって避けすぎもしない距離感が大切です。おはよう、いってらっしゃい、といったあいさつは穏やかに続け、それ以上の会話は配偶者からの反応に合わせます。
一方で、配偶者の部屋に入ったり、スマホや予定を探ったりすることはやめてください。家の中で監視されていると感じると、配偶者は家にいること自体がつらくなってしまいます。
別居中の場合
別居中は、連絡を子どものことやお金のことなど、必要な用件に絞るのが基本です。返信を求めず、短く、明るめの文面を心がけます。
「〇〇の参観日、来週の金曜だって。都合が合えば知らせてね」
このような連絡であれば、配偶者も負担を感じにくくなります。気持ちを伝える長文や、会いたいというお願いは、今はひかえてください。
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3-3.子どもの前で気をつけたい振る舞い
配偶者との距離の取り方と並んで、もう一つ気をつけたいのが、子どもの前での振る舞いです。夫婦の空気の変化に、子どもは大人が思う以上に敏感です。
まず、子どもの前で配偶者の悪口を言うことはやめてください。子どもにとっては、どちらも大切な親です。片方の悪口を聞くと、子どもは自分が責められているように感じてしまいます。
また、子どもに伝言をたのんだり、配偶者の様子を聞き出したりすることも避けてください。子どもを夫婦の間に立たせてしまうと、子どもの心に大きな負担がかかります。
もし子どもから不安そうに聞かれたら、年齢に合わせて安心させる言葉をかけてあげてください。
「パパとママ、けんかしてるの?」
「心配させてごめんね。大人どうしで考えていることがあるけど、〇〇のせいじゃないよ。パパもママも〇〇のことが大好きだからね」
あなたが子どもの前で落ち着いて過ごす姿は、配偶者の目にも入っています。子どもを大切にする姿勢は、配偶者があなたを見直すきっかけにもなります。
3-4.不安でいっぱいの自分の心を落ち着かせる方法
ここまでの対応を続けるために、何よりも大切なのが、あなた自身の心を落ち着かせることです。
なぜなら、不安でいっぱいのままだと、気づかないうちに配偶者を追いかける行動をとってしまうからです。2章でお伝えしたNG行動の多くは、不安を早く消したいという気持ちから生まれています。
心を落ち着かせるために、次の4つの方法を試してみてください。
- 不安な気持ちを紙に書き出す
- 眠ることと食べることを整える
- 配偶者のSNSや行動を追わない
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
一つずつ見ていきます。
不安な気持ちを紙に書き出す
頭の中にある不安や怒りを、そのまま紙に書き出してみてください。書き出すことで気持ちと少し距離を取れるようになり、配偶者にぶつけずに済みます。きれいな文章にする必要はありません。
眠ることと食べることを整える
心が弱っているときほど、体の調子が気持ちに大きく影響します。眠ること、食べることといった体の土台を、意識して整えてください。
眠れない、食べられない状態が続く場合は、早めに医療機関に相談することも大切です。
配偶者のSNSや行動を追わない
配偶者のSNSを何度も見たり、今どこで何をしているのかを想像し続けたりするのは、不安を大きくするだけです。見たくなったら、その時間をほかのことに使うと決めておくと、気持ちが楽になります。
信頼できる人に話を聞いてもらう
一人で抱えこむと、不安はどんどんふくらんでいきます。信頼できる友人や、夫婦の問題にくわしいカウンセラーに、あくまで話を聞いてもらう相手としてそばにいてもらうだけで、心はずいぶん軽くなります。
不安がゼロになるまで待つ必要はありません。不安があっても、落ち着いて行動できる自分でいられれば十分です。
4.配偶者の気持ちが離れてしまった原因を振り返る
心が少し落ち着いてきたら、次に取り組んでいただきたいのが、配偶者の気持ちが離れてしまった原因の振り返りです。
なぜなら、原因が分からないまま行動を変えようとしても、配偶者が本当に変わってほしかったところとずれてしまうからです。この章では、その振り返り方をお伝えします。
4-1.「やり直す気はない」と言われるまでの経緯を書き出す
まずは、やり直す気はないと言われるまでの経緯を、紙やノートに書き出してみてください。書き出すときは、次の手順で進めると整理しやすくなります。
- 結婚したころから今までを順番にたどる
- 配偶者の様子が変わった時期と出来事を書く
- 事実と自分の気持ちを分けて書く
順番に見ていきます。
1.結婚したころから今までを順番にたどる
最初に、結婚したころから今までを、年ごとや出来事ごとに順番にたどります。子どもが生まれた、引っ越した、仕事が変わったなど、大きな出来事を目印にすると思い出しやすくなります。
2.配偶者の様子が変わった時期と出来事を書く
次に、配偶者の様子が変わったと感じた時期と、そのころ二人の間で起きた出来事を書いていきます。会話が減った、笑わなくなった、帰りが遅くなったなど、小さな変化も思い出せる範囲で書き出してください。
3.事実と自分の気持ちを分けて書く
最後に、起きた事実と、そのとき自分が感じたことを分けて書きます。たとえば、子どもが生まれてから会話が減った、というのは事実です。忙しいから仕方ないと思っていた、というのは自分の気持ちです。
分けて書くことで、配偶者に何が起きていたのかを冷静に見られるようになります。
この3つの手順は、次のような表にまとめると取り組みやすくなります。1行目の記入例を参考に、ノートに同じ表を書いて埋めてみてください。
| 夫婦の経緯を振り返る整理シート | |||
|---|---|---|---|
| 時期 | 起きた出来事 | 配偶者の様子 | 自分の対応と気持ち |
| 記入例:子どもが生まれたころ | 育児が始まり、生活が大きく変わった | 疲れた顔が増え、会話が減った | 仕事を理由に育児を任せきりにしていた 仕方ないと思っていた |
ある妻の方は、この書き出しをしてみて、夫の帰宅が遅くなり始めた時期と、自分が夫の話をさえぎることが増えた時期が重なっていたことに気づきました。頭の中で考えているだけでは、見えてこなかったつながりです。
思い出したことを少しずつ書き足していくうちに、配偶者の気持ちが離れていった流れが見えてきます。
4-2.積み重なっていた不満に気づくための視点
積み重なっていた不満に気づくには、配偶者の目から見た夫婦の姿を想像することが大切です。言われた側には突然に思えても、言った側には長い時間をかけて積み重なった不満があることがほとんどだからです。
配偶者の目線に立つために役立つ視点は、次の2つです。
1つ目は、配偶者が言わなくなった言葉に目を向けることです。前はよく相談してくれたのに、しなくなった。不満を口にしていたのに、もういいよ、としか言わなくなった。こうした変化は、配偶者が少しずつあきらめていったサインです。
2つ目は、配偶者の一日を、朝起きてから寝るまで想像してみることです。家事や育児、仕事、お金の心配、実家との付き合いなど、配偶者がどんな負担を抱え、そのとき自分がどう関わっていたのかを考えてみてください。
ここで見つけた不満は、配偶者に確かめたり、謝罪の材料にしたりするためのものではありません。あなたがこれから行動を変えるときの、大切な手がかりになります。
4-3.自分を責めすぎずに振り返るための考え方
振り返りを進めていると、全部自分が悪かったのだと、自分を強く責めてしまう方がいます。ですが、自分を責めすぎることは、修復の妨げになってしまいます。
なぜなら、自分を責め続けると心が縮こまり、配偶者の顔色ばかりうかがうようになるからです。その姿は、配偶者にとってかえって重く感じられることがあります。
夫婦の問題は、どちらか一人だけが原因で起きるものではありません。二人の関わり方の中で、少しずつ形づくられてきたものです。だからこそ、あなたが関わり方を変えれば、二人の関係も変わっていきます。
振り返りの目的は、反省会をすることではなく、これから何を変えるかを見つけることです。気づいた自分の課題は、責める材料ではなく、伸びしろだと受け止めてください。
私はこれまで多くのご夫婦を見てきて、人は誰でも変われると確信しています。自分の課題に気づけたあなたは、すでに変わり始めています。
5.配偶者の協力がなくても一人から始められる夫婦関係修復の5ステップ
前の章で、配偶者の気持ちが離れた原因と、自分が変えていきたいところが見えてきたと思います。ここからは、それを実際の行動に移していく段階です。
夫婦関係の修復は、二人そろって取り組まなければできないものではありません。どちらか一人が先に変わることで、関係は動き始めます。私がサポートしてきたご夫婦の多くも、悩んでいる妻か夫の一人から修復が始まりました。
ここでは、1年〜1年半ほどかけて夫婦関係を立て直していく流れを、5つのステップに分けてお伝えします。
- 【Step1】最初の1〜2か月は「追わない」を徹底する
- 【Step2】3か月目ごろから日常の小さな行動を変える
- 【Step3】半年ごろまでに安心できる会話を少しずつ増やす
- 【Step4】半年〜1年で「変わった自分」を態度で見せ続ける
- 【Step5】1年〜1年半で、改めて夫婦の今後を話し合う
1年〜1年半と聞くと、長く感じるかもしれません。そこで、どの時期に何をして、配偶者にどんな変化が見られやすいのかを、表にまとめました。
| 夫婦関係修復の時系列スケジュール | |||
|---|---|---|---|
| 時期の目安 | ステップ | あなたがやること | 配偶者に見られやすい変化 |
| 言われた直後〜2か月 | Step1 | ・追わない ・あいさつは続ける ・自分の生活を整える |
警戒が少しずつゆるみ、家の空気が落ち着く |
| 3か月目ごろ〜 | Step2 | 振り返りで見えた行動を一つずつ変える | 変化に気づいても、反応はまだ少ない |
| 〜半年ごろ | Step3 | 軽くて短い会話を少しずつ増やす | 返事や雑談が少しずつ増える |
| 半年〜1年 | Step4 | 変わった態度を一貫して続ける | 試すような言動のあと、笑顔や相談が見られ始める |
| 1年〜1年半 | Step5 | 改めて夫婦の今後を話し合う | 配偶者のほうから話しかけたり、頼ったりする |
それでは、ステップを順番に見ていきます。
5-1.【Step1】最初の1〜2か月は「追わない」を徹底する
最初のステップは、言われてから1〜2か月ほどの間、配偶者を追わないことを徹底する期間です。
このような期間は、一般に冷却期間とも呼ばれます。具体的には、修復のお願いをしない、気持ちを伝える長い連絡をしない、配偶者の行動を探らない、ということです。2章でお伝えしたNG行動を、この期間は特に意識してひかえます。
ここで勘違いしやすいのが、追わないことと、冷たくすることは違うという点です。無視をしたり、不機嫌な態度で黙りこんだりすると、配偶者はやっぱりこの人とは無理だと感じてしまいます。あいさつや必要なやりとりは、穏やかに続けてください。
この期間の目的は、配偶者の心を休ませることです。追われない日々が続くと、配偶者は少しずつ肩の力を抜けるようになります。
たとえば、配偶者に連絡したくてたまらなくなったら、送りたい言葉をノートに書いて、送らずにとっておく方法があります。ある妻の方は、このノートが2か月で何ページにもなりました。後から読み返すと、送らなくてよかったと思える内容ばかりだったそうです。
そして、配偶者に向いていた時間と気持ちを、自分の生活を立て直すことに使ってください。仕事に集中する、体を動かす、子どもと笑って過ごす、後回しにしていた趣味を再開するなど、何でもかまいません。
配偶者のことで頭がいっぱいの人より、自分の毎日を大切にしている人のほうが、配偶者の目には落ち着いて魅力的に映ります。追わない1〜2か月は、我慢の期間ではなく、あなたが自分を取り戻し、その後の修復を支える土台をつくる期間です。
5-2.【Step2】3か月目ごろから日常の小さな行動を変える
追わない日々に少し慣れてきたら、3か月目ごろからは、日常の小さな行動を変えていきます。
変える行動は、4章の振り返りで見えてきた配偶者の不満をもとに選びます。たとえば、話をさえぎるくせがあったなら最後まで聞く、家事を任せきりにしていたなら自分から一つ引き受ける、といった具合です。
ポイントは、大きなことを一度に変えようとせず、確実に続けられる小さなことから始めることです。張り切って一気に変えると、数週間で息切れしてしまい、やっぱり続かなかったと配偶者を失望させてしまいます。
また、ありがとう、助かった、といった短い言葉を、自然なタイミングで伝えることも大切です。気持ちが離れていた時期には、こうした一言がなくなっていることが多いからです。
一方で、変わったところを配偶者にアピールすることはひかえてください。
「最近、家事やってるでしょ。俺、変わったと思わない?」
このように伝えると、配偶者は見返りを求められているように感じてしまいます。変化は言葉で知らせるものではなく、配偶者が自分で気づくものです。気づいてもらえなくても、淡々と続けることが何よりの近道になります。
5-3.【Step3】半年ごろまでに安心できる会話を少しずつ増やす
小さな行動の変化が続いてきたら、半年ごろまでを目安に、配偶者と安心して話せる会話を少しずつ増やしていきます。
ここでいう安心できる会話とは、夫婦の関係や過去の問題にはふれない、軽くて短い会話のことです。子どものこと、テレビや天気の話、食事のことなど、配偶者が気負わずに答えられる話題を選びます。
会話の中では、配偶者の話を最後まで聞き、否定せずに受け止めることを意識してください。話は短めに切り上げるくらいがちょうどよく、もっと話したいと思うところで終えるのがポイントです。
たとえば、次のような会話です。
「今日の夕飯、〇〇が好きなカレーにしたよ」
「そうなんだ」
「おかわりするって張り切ってた。ゆっくり食べてね」
一見なんでもないやりとりですが、こうした会話が続くと、配偶者はこの人と話しても責められないと感じるようになります。この安心感が積み重なることで、配偶者の心の壁は少しずつ低くなっていきます。
配偶者の反応がそっけなくても、がっかりする必要はありません。返事が返ってくること自体が、関係がつながっている証です。
5-4.【Step4】半年〜1年で「変わった自分」を態度で見せ続ける
安心できる会話が少しずつ増えてきたら、半年〜1年ほどの間は、変わった自分を態度で見せ続ける時期に入ります。
この時期に何より大切なのは、変化を一時的なものにしない一貫性です。配偶者は、あなたの変化が本物なのか、またすぐに元に戻るのではないかと、心のどこかで様子をうかがっています。
そのため、配偶者がわざと冷たい態度をとったり、以前のけんかの原因になったことを口にしたりする場面もあります。ここで感情的に言い返してしまうと、やっぱり変わっていないと思われてしまいます。
イラッとしたときは、すぐに反応せず、ひと呼吸おいてから落ち着いて返すことを心がけてください。その場を離れて気持ちを整えてから戻るのも、立派な対応です。
また、この時期は関係が良くなったり、また少し冷えたりと、波があるのが普通です。一度うまくいかない日があっても、それで全てが台無しになるわけではありません。翌日からまた変わらない態度で接すれば十分です。
半年、1年と同じ態度が続いたとき、配偶者は初めて、この人は本当に変わったのかもしれないと感じ始めます。信頼は、言葉ではなく積み重ねた時間の中で取り戻していくものです。
5-5.【Step5】1年〜1年半で、改めて夫婦の今後を話し合う
変わった態度を見せ続けて、配偶者との関係がやわらいできたら、1年〜1年半ごろを目安に、改めて夫婦の今後について話し合います。
話し合いを切り出す目安は、配偶者のほうから話しかけてくることが増えた、笑顔が見られるようになった、相談をしてくれるようになった、といった変化です。こうした変化がまだ見られない場合は、無理に話し合いを急がず、Step4を続けてください。
話し合いでは、まず配偶者の今の気持ちを聞くことから始めます。そのうえで、これまでのことへの謝罪と、これからも一緒にいたいという気持ちを、短く伝えます。
たとえば、次のような伝え方があります。
「あのとき、やり直す気はないって言わせるくらい、つらい思いをさせてたよね。本当にごめん。この1年、自分なりに変わろうとしてきた。これからも、あなたと一緒に家族をやっていきたいと思ってる。すぐに答えはいらないから、考えてみてほしい」
ここでも、すぐに答えを求めないことが大切です。まだ決められないと言われても、それは関係を断られたわけではありません。今の穏やかな関係を続けながら、配偶者の気持ちが固まるのを待てば大丈夫です。
もし、この時点で改めて断られたとしても、あなたが1年かけて積み重ねてきたことは決して無駄にはなりません。感情を落ち着かせる力や、相手の話を聞く力は、子どもとの関係や職場の人間関係にも必ず生きていきます。
私はこれまで、一度目の話し合いで断られたあとも穏やかな関わりを続け、そこから関係が戻ったご夫婦も見てきました。結果を急いで焦るより、変わった自分のまま過ごし続けることが、どんな未来にもつながる一番確かな道です。
6.配偶者の心がゆるみ始めたサインと、そのときの接し方
5つのステップを進めていくと、配偶者の様子に少しずつ変化が表れてきます。結論から言うと、サインが見えても関係の話は急がず、今の関わり方をそのまま続けることが大切です。
この章では、配偶者の心がゆるみ始めたサインと、そのサインが見えたときの接し方をお伝えします。
6-1.見逃したくない配偶者の気持ちの変化のサイン
配偶者の心がゆるみ始めると、日常の何気ない場面に小さなサインが表れます。私がこれまで見てきた中で、多くの場合に見られるサインは次のとおりです。
- 連絡の返事が早くなったり、少し長くなったりする
- 配偶者のほうから話しかけてくる
- あなたの前で笑顔を見せる
- ちょっとした相談をしてくる
それぞれ見ていきます。
連絡の返事が早くなったり、少し長くなったりする
以前はそっけなかった返事に一言が加わったり、返ってくるまでの時間が短くなったりするのは、あなたへの警戒心がうすれてきたサインです。スタンプだけだった返事に、短い言葉が添えられるようになるのもその一つです。
配偶者のほうから話しかけてくる
用件だけでなく、今日あった出来事や子どもの話を配偶者のほうからしてくるようになったら、あなたと話すことへの抵抗が小さくなっています。
あなたの前で笑顔を見せる
テレビを見て笑う、子どもとのやりとりで笑うなど、あなたがそばにいても自然に笑顔が出るようになったら、配偶者は一緒にいる時間を苦痛に感じなくなっています。
ちょっとした相談をしてくる
仕事のことや子どものことなど、小さな相談をされるようになったら、あなたへの信頼が戻り始めているサインです。相談は、相手を頼れると感じていなければできないものだからです。
ここまでの4つのサインは、一つひとつに一喜一憂せず、全体として配偶者の様子が少しずつ穏やかになっているかという流れで見ていくことが大切です。
6-2.配偶者から話しかけられたときの返し方
サインの中でも特に大切にしたいのが、配偶者から話しかけられたときです。このときは、短く自然に返し、配偶者の話を広げる返事をすることが基本です。この返し方によって、配偶者がまた話しかけたいと思えるかどうかが決まります。
気をつけたいのは、うれしい気持ちを表に出しすぎないことです。久しぶりに話しかけられると、ついはしゃいだり、会話を長引かせたりしたくなります。ですが、配偶者は大げさな反応に戸惑い、話しかけたことを後悔してしまうことがあります。
たとえば、配偶者から仕事の話をされたときは、次のように返します。
「今日、会議が長引いてさ。疲れたよ」
「そうだったんだ、お疲れさま。何かあったの?」
ここで、だったら最近もっと話そうよ、といった関係の話に持ちこむのはひかえてください。配偶者が話したいことを、話したい分だけ聞くことが、次の会話につながります。
6-3.サインが見えても焦って関係を戻そうとしない
サインが見え始めると、もう大丈夫かもしれない、早く関係を元に戻したいという気持ちがわいてきます。ですが、ここで焦らないことが、修復の中でもとても大切な分かれ道です。
なぜなら、サインが表れたばかりのころの配偶者の気持ちは、まだとても不安定だからです。サインは一度表れても、また見えなくなることがあります。そこで、やっぱりやり直せるよね、と関係の話を持ち出すと、配偶者は追いつめられたように感じて、また心を閉ざしてしまいます。
実際に、サインが見えた直後に修復の話を切り出し、関係がふり出しに戻ってしまった方もいます。その方は、配偶者の笑顔が増えたことがうれしくて、つい答えを求めてしまったのです。
サインを見ても答えを迫らないことを、どうか心に留めておいてください。サインは、あなたの行動が届き始めた証です。その行動をそのまま続け、関係の話は5-5でお伝えした時期まで待てば十分です。
7.夫婦二人だけでは話し合いが進まないときの選択肢
ここまでお伝えしてきたのは、あなた一人から始められる修復の方法です。ただ、状況によっては、夫婦二人だけでは話し合いがどうしても進まないこともあります。
そんなときに知っておくと心強い選択肢を、この章でお伝えします。
7-1.家庭裁判所の「夫婦関係調整調停(円満)」を利用する
夫婦の話し合いが進まないときの選択肢の一つが、家庭裁判所の夫婦関係調整調停(円満)です。名前のとおり、離婚ではなく、夫婦関係をよくするための話し合いの場です。
裁判所の案内によると、この調停では、夫婦それぞれから事情を聞き、関係が悪くなった原因や、改善のためにできることを一緒に考えていきます。離婚したほうがよいか迷っている場合にも利用できるとされています。
申し立てができるのは夫か妻です。申し立て先は、相手の住所地の家庭裁判所か、夫婦で合意して決めた家庭裁判所になります。費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手で、切手の金額は裁判所によって異なるため、申し立てる家庭裁判所で確認してください。
ただし、利用するタイミングには注意が必要です。言われた直後の追わない時期に申し立てると、配偶者は追いつめられたと感じることがあります。日常の関係が少し落ち着き、それでも二人だけでは話がまとまらないときに検討するのがよいでしょう。
私の考えとしては、調停はあくまで話し合いを助ける手段です。配偶者の気持ちを本当に動かすのは、日々のあなたの変化です。調停を利用する場合も、5章のステップと並行して進めていくことをおすすめします。
7-2.離婚調停を申し立てられても修復をあきらめなくていい理由
離婚調停を申し立てられても、修復をあきらめる必要はありません。調停で離婚が成立するのは、夫婦の双方が合意したときだからです。
家庭裁判所から書類が届くと、もう終わりだと感じてしまうかもしれません。ですが、調停はあくまで話し合いの場です。あなたが修復を望んでいるのであれば、その気持ちを調停の場で落ち着いて伝えることができます。
調停の場では、配偶者を責めたり、言い分に反論したりするよりも、自分の何がいけなかったのか、これからどう変わろうとしているのかを、穏やかに伝えることが大切です。その姿勢は、調停委員を通じて配偶者にも伝わります。
なお、調停で話がまとまらなかった場合、配偶者が裁判で離婚を求めることもあります。法的な見通しについて不安がある場合は、弁護士に相談しておくと安心です。
大切なのは、申し立てられたことでやけになったり、配偶者を責めたりしないことです。調停の期間も、あなたが変わった姿を見せられる時間の一つです。実際に、調停を申し立てられた後から関係を立て直したご夫婦もいます。
あわせて読みたい:離婚調停を申し立てられたときの向き合い方(内部リンク)
7-3.配偶者に知られずに一人で相談できるカウンセリングを活用する
もう一つの選択肢が、夫婦関係にくわしいカウンセラーに、あなた一人で相談することです。
一人で修復に取り組んでいると、自分のやり方が合っているのか分からなくなったり、配偶者の言動に心がゆれて、元の行動に戻ってしまったりすることがあります。そんなとき、第三者の目で自分の状況を見てもらえることは、大きな支えになります。
私のところでも、カウンセリングに来られるのは、悩んでいる妻か夫のどちらか一人です。配偶者には内緒で来られる方がほとんどで、夫婦二人そろって来ていただく必要はありません。
カウンセリングでは、配偶者の気持ちが離れた原因を一緒に整理し、あなたに合った接し方や言葉のかけ方を具体的に考えていきます。1年〜1年半という長い道のりを、一人きりで歩かなくて済むのも大きな利点です。
相談先を選ぶときは、一人だけでの相談に対応しているか、配偶者を責める方向ではなくあなた自身の変化を支えてくれるか、そして長い期間の伴走を前提にしているかを確かめると安心です。
もちろん、カウンセリングを受けなければ修復できないわけではありません。この記事でお伝えした方法を、まずはご自身で試していただくだけでも、関係は動き始めます。ただ、一人で抱えるのが苦しくなったときには、頼れる場所があることを覚えておいてください。
8.「やり直す気はない」と言われてから夫婦関係を修復した事例
ここまで、一人から始める修復の方法をお伝えしてきました。とはいえ、本当にうまくいくのだろうかと感じている方もいると思います。
そこで最後に、配偶者からやり直す気はないと言われたところから、夫婦関係を修復した方の事例を2つご紹介します。
8-1.夫に「やり直す気はない」と言われた妻が1年半で修復した事例
1つ目は、30代後半の妻の方の事例です。小学生の子どもが2人いて、夫と同居していました。
夫から離婚を切り出され、何度も謝ってやり直したいと伝えた末に、やり直す気はないとはっきり言われてしまいました。その後も説得を続けたことで、夫は家で口をきかなくなっていました。
この方はまず、説得と謝罪をやめ、2か月ほど夫を追わずに過ごしました。そのうえで経緯を書き出すと、夫の話をさえぎって否定するくせが、夫の気持ちを遠ざけていたことに気づきました。
3か月目からは、夫の話を最後まで聞くこと、ありがとうを言葉にすることを続けました。半年ごろには、子どもの話を中心に短い会話ができるようになりました。
ところが9か月ほどたったころ、夫の笑顔が増えたことがうれしくて、もうやり直せるよね、と聞いてしまいます。夫は黙りこみ、また少し距離ができてしまいました。
それでもこの方は自分を責めすぎず、翌日から再び、穏やかな態度と短い会話を続けました。1年がたつころには、夫のほうから仕事の相談をしてくるようになりました。
そして1年半ほどたったとき、改めて話し合いの場を持つと、夫から「もう一回やってみようか」という言葉が返ってきたのです。
この事例から分かるのは、途中で失敗しても、変わった態度に戻って続ければ関係は再び前に進むということです。修復は一直線ではなく、行きつ戻りつしながら進んでいくものです。
8-2.妻に「やり直す気はない」と言われた夫が1年かけて修復した事例
2つ目は、40代の夫の方の事例です。妻は子どもを連れて実家に戻り、別居が始まっていました。
別居後、妻に戻ってきてほしいと伝えたところ、やり直す気はないと言われてしまいました。この方は、仕事を優先して家のことを妻に任せきりにし、疲れると不機嫌な態度をとっていたことを、後になって振り返っています。
この方は一人でカウンセリングに通いながら、まず妻への連絡を子どものことなど必要な用件だけに絞りました。子どもと会う日も、妻の負担にならないよう時間を守り、穏やかに接することを続けました。
あわせて、イライラしたときの気持ちをノートに書き出し、感情をそのまま態度に出さない練習を重ねました。半年ほどたつと、妻からの返事に一言が添えられるようになりました。
8か月ごろには、妻のほうから子どもの進学について相談があり、二人で話す時間が増えていきました。そして1年ほどたったころ、妻から同居を考えてもいいという言葉があり、少しずつ家族での暮らしを取り戻していきました。
この事例のポイントは、別居中で会う機会が少なくても、限られたやりとりの中で変化を見せ続けたことです。距離があっても、あなたの変化は配偶者にきちんと伝わります。
9.「やり直す気はない」と言われた人からよくある質問
最後に、やり直す気はないと言われた方から、私のところによく寄せられる質問にお答えします。
大切なのは、言葉の回数そのものよりも、これからのあなたの関わり方です。今日からお願いをやめ、5章のStep1から始めてください。追われない日々が続くことで、配偶者が断る必要そのものがなくなっていきます。
私の経験では、夫婦関係がつらい時期に始まった関係は、時間がたつにつれて冷めていくことも少なくありません。そのとき、配偶者が家に戻りたいと思えるかどうかは、あなたが穏やかで安心できる存在になっているかにかかっています。
ただし、修復にはより長い時間がかかる傾向があります。一人で抱えるのがつらいときは、早めにカウンセラーなどの第三者に相談してください。
それでも状況が動かないときは、変える行動が配偶者の本当の不満とずれている可能性があります。4章の振り返りをもう一度行うか、第三者の目で見てもらうことをおすすめします。あなたが心穏やかに過ごし続けることは、子どもとあなた自身の未来にとっても大きな支えになります。
まとめ
配偶者からやり直す気はないと言われると、もう終わりだと感じてしまうものです。ですが、その言葉は今の気持ちであり、夫婦の未来を決めつけるものではありません。
最後に、この記事でお伝えした大切なポイントを振り返ります。
- やり直す気はないという言葉は、今の気持ちであり最終決定とは限らない
- 言われた直後は、説得や謝罪のくり返し、周りを巻き込むことをひかえる
- 気持ちを受け止めることと、離婚に同意することは別である
- 配偶者の気持ちが離れた原因を振り返り、自分が変えることを見つける
- まずは追わない期間を持ち、小さな行動の変化を積み重ねる
- 修復は、配偶者の協力がなくても一人から始められる
- 1年〜1年半ほどかけて、変わった自分を見せ続けることで関係は変わっていく
読み終えた今から、次の3つの行動を始めてみてください。
- 説得と連絡をやめる
- 経緯を書き出す
- 変える行動を一つだけ決める
一つずつ確認します。
1.説得と連絡をやめる
今日から、修復のお願いや気持ちを伝える連絡をやめてください。あいさつと必要な用件だけを穏やかに続けることが、すべての始まりです。
2.経緯を書き出す
4章の表を使って、やり直す気はないと言われるまでの経緯を書き出してください。一行でもかまいません。
3.変える行動を一つだけ決める
書き出して見えた課題の中から、今日から続けられる小さな行動を一つだけ決めてください。話を最後まで聞く、ありがとうを言葉にするなど、小さなことで十分です。
途中で心が折れそうになる日もあると思います。それでも私は、配偶者から強く拒まれたところから、自分が先に変わる道を選んで関係を取り戻したご夫婦をたくさん見てきました。
人は誰でも変われますし、あなたが変われば夫婦の関係も変わります。今日、追わないと決めること。それが、1年後の夫婦の笑顔につながる最初の一歩です。
一人で抱えきれないと感じたときは、いつでも相談できる場所があることを思い出してください。あなたがもう一度、家族で笑い合える日を迎えられることを、心から願っています。





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