離婚したいと言われた…食欲ないあなたへ|1万組を支えた修復コーチが教える最初にやるべきこと

パートナーから離婚したいと言われてから、食事が喉を通らなくなっていませんか。お茶碗を前にしても箸が進まず、無理に口へ運んでも味がしない。そんな自分に戸惑いながら、このページにたどり着いた方も多いと思います。

先に結論をお伝えします。離婚を切り出されて食欲がなくなるのは、強いショックに対する心と体の自然な反応です。今は無理に食べようとせず、水分と休息を守ることを優先してください。

つらい状態が長く続くときや、水分さえ取れないときは、早めに医療機関へ相談することが大切です。そして、夫婦関係の修復は、体を整えてからでも十分に間に合います。

私は夫婦関係修復コーチとして20年以上、1万組を超える夫婦の関係修復をサポートしてきました。その中で、食べられないほどの状態から心と体を立て直し、もう一度笑い合える夫婦に戻った方を数多く見てきました。

この記事では、まず食べられない今の体をどう守るかをお伝えします。そのうえで、パートナーの協力がなくても、あなた一人から始められる関係修復の方法までお伝えしていきます。

この記事で分かる5つのこと
  • 離婚したいと言われて食欲がなくなる理由
  • 食欲がないときに今日からできる食事と体のケア
  • 病院に相談したほうがいい症状の目安
  • 食べられない時期に避けたい行動と決断
  • 一人から始められる夫婦関係修復のステップと実例

今はまだ、先のことを考える余裕がないかもしれません。それでも大丈夫です。まずは、あなたの体に今何が起きているのかを知るところから始めていきます。

目次

1.離婚したいと言われて食欲がないのは心と体の自然な反応

最初にお伝えしたいのは、食べられない今の状態は、強いショックを受けた多くの人に起こる自然な反応だということです。ここでは、その理由と一緒に出やすい変化、そして自分を責めなくていい理由を順番にお伝えします。

1-1.離婚を切り出されると食欲がなくなる理由

離婚を切り出されて食欲がなくなるのは、体が壊れたからではありません。強いショックによって、体が身を守るための状態に切り替わっているためです。

人は強い不安や緊張を感じると、食べ物を消化する働きが後回しにされやすくなります。そのため、お腹がすく感覚そのものが弱くなると考えられています。

離婚したいという言葉は、これまで当たり前だった生活が崩れるかもしれないという、とても大きな不安を生みます。心が危険を感じ続けているので、体も休まらず、食べる準備ができない状態になってしまうのです。

厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」でも、ストレスが高まったりたまったりすると、体・心・行動のそれぞれに変化が現れると説明されています。食欲や体重の変化は、自分で気づける不調のサインの一つとして紹介されています。

また同じサイトでは、大きな出来事を短い期間に経験すると、自分では気づかないうちにストレスが高まることがあるとも書かれています。離婚を切り出されることは、まさにその大きな出来事にあたります。

例えば、相手の言葉や表情が頭の中で何度もよみがえり、気がつくと食事の時間が過ぎていた、という方は少なくありません。これは心が問題を解決しようと必死に働き続けているために起こることです。理由が分かるだけでも、得体の知れない不安は少し小さくなります。

1-2.眠れない・胃が痛いなど食欲不振と一緒に出やすい変化

離婚を切り出されたあとに起きる変化は、食欲だけではありません。眠れない、胃が痛い、涙が止まらないといった変化が重なることもありますが、多くの場合は心と体が一緒にショックを受け止めようとしているサインです。

体の面では、寝つけない、夜中に何度も目が覚める、胃がキリキリ痛む、胸のあたりがムカムカする、といった変化がよく見られます。だるさが抜けず、朝起き上がるのがつらいという方もいます。

心の面では、急に涙が出る、ささいなことでイライラする、仕事や家事に集中できない、といった状態が起こりやすくなります。スマホで同じことを何度も検索してしまうのも、不安が強いときによくある行動です。

カウンセリングの現場でも、こうした不調が同時に出ているという相談はとても多くあります。今の自分にどんな変化が出ているかを知っておけば、必要以上に慌てずに済みますし、あとでお伝えする受診の目安を判断するときにも役立ちます。

1-3.食べられない自分を責めなくていい理由

食べられない日が続くと、こんなことで食べられないなんて情けない、しっかりしなきゃ、と自分を責めてしまう方がいます。特に、家族のために頑張ってきた人ほど、弱っている自分を許せなくなりがちです。

けれども、自分を責める気持ちは、それ自体が新しいストレスになります。ストレスが増えれば食欲はさらに落ち、眠りも浅くなるという悪い流れにつながってしまいます。

ここで覚えておいてほしいのは、食べられないほどつらいのは、あなたが夫婦の関係を本気で大切にしてきたからだということです。どうでもいい相手の言葉なら、ここまで体に影響は出ません。

カウンセリングに来られる方の中にも、最初は自分を責める言葉ばかり口にしていた方がいます。それでも、今の状態は自然な反応なんだと受け止められたところから、少しずつ表情がやわらいでいきました。

責める気持ちを手放すことが、回復への近道になります。今日は食べられなかったとしても、それは失敗ではありません。まずは、つらい中でこの記事を読んでいる自分を、少しだけねぎらってあげてください。

2.食欲がないときに今日からできる食事と体のケア

食欲がないときのケアの基本は、少しずつ食べること、食べやすいものを選ぶこと、水分と睡眠を守ること、そして家族との食卓で無理をしないことです。どれも特別な準備はいらず、一人ですぐに始められます。ここからは、それぞれの具体的なやり方をお伝えします。

2-1.一人前を食べようとせずひと口から始める

食べられないときにまずやってほしいのは、目標をうんと小さくすることです。いつもどおり三食きちんと食べようとすると、それだけで気持ちが重くなり、食卓につくこと自体がつらくなってしまいます。

おすすめなのは、一度にたくさん食べようとせず、少しの量を何回かに分けて口にする方法です。朝はスープをひと口、昼はバナナを少し、夕方にヨーグルトをいくつか、というように、食べられるときに食べられる分だけで十分です。

よくある失敗は、体のためにと無理に一人前を詰め込み、気持ち悪くなってしまうことです。一度そうなると、食事の時間そのものが怖くなり、かえって食べられない日が長引くことがあります。

食べたあとは、量ではなく口にできたこと自体を認めてあげてください。食べられた量より、口にできたことを数えると考えるだけで、食事へのプレッシャーはぐっと軽くなります。今は回復を待つ準備の期間だと考えて大丈夫です。

2-2.食欲がなくても口にしやすい食べ物と飲み物

ひと口から始めるといっても、何を口にすればいいのか迷う方もいると思います。食欲がないときは、においが強くなく、よく噛まなくても飲み込めるものが向いています。

例えば、おかゆ、やわらかく煮たうどん、味噌汁やスープ、豆腐、茶碗蒸しなどは、胃にやさしく口に入れやすい食べ物です。温かいものを口にすると、体がほっとして少し食べられるという方もいます。

反対に、温かいものが受けつけない時期には、ゼリー、ヨーグルト、プリン、バナナなど、冷たくてつるんと食べられるものが助けになります。その日の体調に合わせて、食べやすいほうを選んでかまいません。

食事を作る気力がないときは、コンビニやスーパーで買えるものを家に置いておくと安心です。冷蔵庫を開ければ何か口にできるものがある、という状態をつくっておくだけで、食べるきっかけが増えます。

気をつけてほしいのは、空腹のままコーヒーやお酒で気持ちを紛らわせることです。胃に負担がかかりやすく、お酒は眠りも浅くしてしまいます。なお、持病がある方や食事の制限がある方は、主治医の指示を優先してください。

2-3.水分と睡眠だけは優先して守る

食事が進まない日が続くと、体力が落ち、気持ちもさらに沈みやすくなります。そんなときに体を支えてくれるのが、水分と睡眠です。

水分は、一度にたくさん飲もうとせず、少しずつこまめに口にするのがコツです。常温の水や麦茶のほか、具の少ないスープや味噌汁も水分補給になります。トイレの回数が減ったり、口が乾いたりするときは、水分が足りていないサインかもしれません。

睡眠については、眠れない夜があっても、横になって目を閉じているだけで体は少し休まります。眠らなければと焦るほど目がさえてしまうので、休めればそれでいいと考えてください。

よくあるのが、布団の中でスマホを見続け、離婚に関する情報を何時間も調べてしまうことです。不安が強くなり、ますます眠れなくなるので、寝る前はスマホを手の届かない場所に置くのがおすすめです。

食べられない日があっても、水分と休息だけは守る。この二つを守れていれば、体は回復する力を保つことができます。

2-4.子どもの前で食事が取れないときの過ごし方

子どもがいる家庭では、自分は食べられないのに、子どもの前では普通にしていなければと悩む方も多いはずです。子どもは親の様子にとても敏感なので、隠し通そうとするほど苦しくなってしまいます。

無理に笑顔で全部食べてみせる必要はありません。一緒に食卓について、スープだけでも口にしながら子どもの話を聞くだけで、子どもにとっては十分安心できる時間になります。

もし食べないことを聞かれたら、短くやさしく答えれば大丈夫です。

「ママ、ごはん食べないの?」
「ちょっとお腹の調子がよくないから、今日はスープにしておくね」
「大丈夫?」
「うん、ありがとう。それより、今日の学校の話を聞かせて」

ここではママの例を挙げましたが、パパの場合も伝え方は同じです。理由は短く、話題は子どものことに戻すのがポイントです。

注意したいのは、つらさのあまり、子どもに離婚の話をしたり、パートナーへの不満を話したりしてしまうことです。子どもは自分のせいではないかと感じたり、どちらかの味方をしなければと悩んだりしてしまいます。

子どもにとって一番大切なのは、家の中が安心できる場所であることです。あなたが完璧である必要はなく、そばにいて話を聞いてくれることが、何よりの支えになります。

2-5.パートナーと同じ食卓につくのがつらいときの過ごし方

子どもへの接し方と同じくらい悩ましいのが、パートナーとの食事の時間です。離婚を切り出した相手と向かい合うだけで胸が詰まり、ますます食べられなくなるという方は少なくありません。

そんなときは、無理に同じ時間に食べなくてもかまいません。少し時間をずらす、先に子どもと食べておくなど、今は自分が食べやすい形を選ぶことを優先してください。

ただし、相手を完全に避け続けると、家の中の空気はかえって冷えてしまいます。食卓を別にする日でも、短い言葉だけは交わしておくと、関係が固まってしまうのを防げます。

「先に食べたから、温めて食べてね」
「ありがとう」

同じ食卓につけた日も、無理に会話を盛り上げる必要はありません。沈黙が気まずいときは、子どもの話や天気の話など、離婚と関係のない話題を一言添えるだけで十分です。

よくある失敗は、顔を合わせたついでに食事の席で離婚の話を持ち出してしまうことです。食卓は話し合いの場にしないと決めておくだけで、あなたも相手も、少しだけ落ち着いて過ごせるようになります。

3.食欲がない状態はいつまで続く?病院に行く目安

ここまでのケアを続けても、なかなか食欲が戻らないこともあります。ここでは、どのくらい続いたら病院に相談したほうがいいのか、その目安と相談先の選び方をお伝えします。

なお、この章でお伝えするのは一般的な目安で、医師の診断に代わるものではありません。体調の判断に迷うときは、必ず医師に相談してください。

3-1.2週間以上続くときに確認したい心と体のサイン

食欲がないことに加えて、眠れない、楽しめないなどのサインがいくつか重なり、2週間以上続いているなら、一度専門家に相談してみる時期です。食欲不振だけでうつ病と決まるわけではありませんが、心の不調が関係していることもあるからです。

国立精神・神経医療研究センター病院のホームページでは、眠れない、食欲がない、気分が落ち込む、何をしても楽しめないといった状態が続く場合、うつ病の可能性があると説明されています。診断の目安の一つとして、複数の症状が2週間以上続くことが挙げられています。

離婚を切り出された直後の食欲不振は、心が少し落ち着くにつれて和らいでいくことが多いものです。そのうえで、次のようなサインが出ていないか、今の自分を確認してみてください。

食欲不振と一緒に確認したい5つのサイン
  • 眠れない日が続いている
  • 気分の落ち込みが一日中続く
  • 何をしても楽しめない
  • 自分を責める気持ちが止まらない
  • 考えがまとまらず集中できない

それぞれ、どんな状態を指すのかをお伝えします。

眠れない日が続いている

寝つけない、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまうといった状態です。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、うつ病は食欲低下や不眠、だるさ、頭痛などの体の症状としても現れ、体の不調が目立つために心の不調に気づきにくい場合があると紹介されています。

気分の落ち込みが一日中続く

離婚を切り出されて悲しいのは当然のことです。ただ、朝から夜まで気持ちが重いままで、少しも晴れる時間がない日が続いているなら、心がかなり疲れているサインです。

何をしても楽しめない

好きだったテレビや趣味に興味がわかない、子どもの笑顔を見ても心が動かないといった状態です。楽しいと感じる力が弱っているときは、休養と専門家の助けが必要なことがあります。

自分を責める気持ちが止まらない

全部自分のせいだ、自分には価値がないといった考えが、頭から離れなくなる状態です。一時的な自責とは違い、何度打ち消しても戻ってくるときは注意が必要です。

考えがまとまらず集中できない

仕事でミスが増える、簡単なことも決められない、人の話が頭に入ってこないといった状態です。日常生活への影響が大きくなる前に、手を打つことが大切です。

カウンセリングの現場でも、離婚問題に向き合う前に、まず体と心の治療を優先してもらうことがあります。自己判断せず、早めに相談することは、決して大げさなことではありません。

3-2.2週間を待たずにすぐ受診したほうがいい状態

2週間というのは、あくまで一つの目安です。状態によっては、それを待たずに相談したほうがいい場合もあります。特に気をつけてほしいのは、次の4つの状態です。

2週間を待たずに受診を考えたい4つの状態
  1. 水分もほとんど取れない
  2. 短い期間で体重が目に見えて減っている
  3. 仕事や家事など毎日の生活が送れない
  4. 消えてしまいたいという気持ちが浮かぶ

それぞれ、なぜ早めの受診が必要なのかをお伝えします。

①水分もほとんど取れない

食事が取れなくても、水分が取れていれば体はある程度持ちこたえられます。けれども、水分まで取れない状態が続くと、脱水によってめまいやふらつきが起き、体に大きな負担がかかります。

飲もうとしても受けつけない日が続くときは、早めに医療機関を受診してください。

②短い期間で体重が目に見えて減っている

服がゆるくなった、まわりから痩せたねと言われるほど体重が落ちている場合は、体が栄養不足になっているサインです。体力が落ちると気力も落ち、回復にも時間がかかるようになります。

体の病気が隠れている可能性もあるので、早めに診てもらうと安心です。

③仕事や家事など毎日の生活が送れない

朝起き上がれない、仕事に行けない、子どもの世話がまったくできないといった状態は、心と体がすでに限界に近いことを示しています。

我慢して乗り切ろうとせず、医師に相談して休む方法を一緒に考えてもらってください。

④消えてしまいたいという気持ちが浮かぶ

つらさが強くなると、いなくなってしまいたい、楽になりたいという気持ちが浮かぶことがあります。そう感じたときは一人で抱えず、すぐに医療機関や身近な人に相談してください。

夜間など誰にもつながらないときは、電話やLINEで話を聞いてもらえる公的な心の相談窓口もあります。連絡先は、第8章でくわしくご紹介しています。

3-3.かかりつけ医・心療内科など相談先の選び方

相談先は、今いちばんつらい症状で選ぶと迷いません。体の症状が中心ならかかりつけ医や内科、心の症状が中心なら心療内科や精神科が目安です。

▼症状別の相談先の目安
今いちばんつらい症状 相談先の目安 相談するメリット
胃の痛み、吐き気、体重の減少など体の症状 かかりつけ医・内科 体の病気が隠れていないか確認でき、必要に応じて専門の病院を紹介してもらえる
眠れない、気分の落ち込み、強い不安など心の症状 心療内科・精神科 心の不調に合わせた治療や、休み方の相談ができる
※どちらか迷うときは、まずかかりつけ医に相談するのも一つの方法です。

精神科と聞くと身構えてしまう方もいますが、つらさが軽いうちに相談するほど、回復も早くなりやすいものです。

受診するときは、いつから食欲がないのか、どのくらい食べられているのか、眠れているかを伝えると、医師が状態をつかみやすくなります。きっかけとして、パートナーから離婚を切り出されたことを話しても大丈夫です。

医療の力を借りることは、逃げでも弱さでもありません。体と心を整えることは、これからの夫婦関係に向き合うための大切な土台づくりになります。

4.食べられない時期にやりがちな夫婦関係を遠ざける行動

体が弱っているときは、不安に押されて、思わず相手を追いかけるような行動をとってしまいがちです。ここでは、関係を立て直したい気持ちとは逆に、相手の心をさらに遠ざけてしまう3つの行動と、この時期に避けたい大きな決断についてお伝えします。

4-1.やつれた姿を見せて同情を引こうとする

やつれた姿を見せて同情を引こうとすると、相手は責められていると感じて、かえって距離を置きやすくなります。痩せていく自分を見れば考え直してくれるかもしれない、と思ってしまうのは自然な気持ちですが、多くの場合、思っているのとは反対の結果につながります。

その理由は、罪悪感にあります。やつれた姿を見せられた相手は、あなたのせいだと言われているように感じ、その重さから逃げたくなってしまうのです。

例えば、こんなやりとりになってしまうことがあります。

「見てよ、こんなに痩せたんだよ。あなたのせいで食べられないんだから」
「……そういうところが、しんどいんだよ」

仮に一時的に優しくしてくれたとしても、それは同情であって、気持ちが戻ったわけではありません。弱った姿は、相手を引き戻す力にはなりにくいということを覚えておいてください。体調を隠す必要はなく、伝えるなら事実を短く伝えるだけで十分です。

4-2.不安から何度も話し合いや返事を迫る

次に気をつけたいのが、不安に耐えきれず、何度も相手に答えを求めてしまうことです。本気なの、いつまでに決めるの、どうしたら考え直してくれるの、と問いかけたくなる気持ちはよく分かります。

けれども、答えを迫られるほど、相手は追い詰められた気持ちになります。そして、話し合うたびにつらい思いをするなら、早く終わらせたいと、かえって離婚の決意を固めてしまうことがあるのです。

カウンセリングでよく聞くのは、一度だけのつもりで話を切り出したのに、気がつけば毎晩のように問い詰めていた、というケースです。体が弱っていると気持ちの余裕もなくなり、自分でも止められなくなってしまいます。

今の時期に大切なのは、相手に考える時間を渡すことです。例えば、こんなふうに伝えるだけでも、相手の受け止め方は変わります。

「急いで答えを出さなくていいと思ってる。私も少し、自分のことを考えたい」

答えを急がないことは、あきらめることではありません。今は結論を出すときではなく、体を整えながら、落ち着いて向き合える自分に戻るための時間だと考えてください。

4-3.眠れない夜に長文のメッセージを送ってしまう

最後にお伝えしたいのが、夜中のメッセージです。眠れない夜は不安がどんどんふくらみ、謝りたいこと、分かってほしいこと、やり直したい気持ちを、長い文章にして送りたくなります。

けれども、夜は気持ちが沈みやすく、考えも悪いほうへ偏りがちです。その勢いで書いた文章は、謝罪とお願いと後悔が入り混じった、受け取る側にとってはとても重いものになりやすいのです。

朝起きてそのメッセージを読んだ相手は、どう返せばいいのか分からず、負担に感じてしまいます。返事が来ないことでさらに不安になり、また夜に送ってしまうという悪い流れに入る方も少なくありません。

そこで、夜中に書いた文章は送らずに朝まで置くことを自分のルールにしてください。気持ちはスマホのメモ帳やノートに書き出すだけで、頭の中が少し整理され、眠りにつきやすくなります。

朝になって読み返し、それでも伝えたいことがあれば、短く一言にまとめれば十分です。

4-4.体調が弱っている時期に離婚届へ署名しない

もう一つ、食べられない時期に気をつけてほしいのが、離婚届への署名です。相手から署名を求められると、つらさから逃れたい一心で、もうどうでもいいと応じてしまう方がいます。

けれども、体と心が弱っているときは、物事を冷静に判断する力も落ちています。その状態で決めたことは、あとから大きな後悔につながりやすいのです。

まず知っておいてほしいのは、話し合いで離婚する場合、あなたが同意しなければ離婚は成立しないということです。離婚したいと言われたからといって、すぐに応じなければならないわけではありません。

署名を求められたときは、その場で答えを出さず、時間をもらうことを伝えれば大丈夫です。

「今は体調もよくないから、すぐには決められない。少し時間がほしい」

相手が勝手に離婚届を出してしまうのではと不安な場合は、市区町村の役所に離婚届の不受理申出をしておく方法があります。申出をしておけば、あなた本人が窓口に来て届け出たことが確認できない離婚届は受理されません。手続きの詳しい内容は、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。

弱っている時期に、人生を左右する決断はしない。それが、あとで関係を立て直す道を残しておくための、何より大切な守りになります。

5.心と体を立て直すことが夫婦関係修復の第一歩になる理由

ここまで、食べられない時期に避けたい行動と決断をお伝えしてきました。では、なぜ心と体を立て直すことが修復の第一歩になるのでしょうか。

その理由は3つあります。弱ったままでは冷静に向き合えないこと、落ち着きを取り戻した姿が相手の気持ちを動かすこと、そしてそれが相手の協力なしに一人で始められることです。ここからは、その一つひとつをお伝えします。

5-1.弱った状態のままでは冷静に向き合えない

心と体を立て直すことは、遠回りではなく修復のための準備そのものです。食べられず眠れない状態のまま動いても、思うような結果にはつながりにくいからです。

体が弱っていると、心にも余裕がなくなります。相手のちょっとした言葉や態度に大きく傷つき、気がつけば感情的に言い返していた、ということが起こりやすくなるのです。

前の章でお伝えした、返事を迫る、夜中に長文を送るといった行動も、多くは心と体が限界に近いときに起こります。本当はそんなことをしたくないのに、不安に押されて止められなくなってしまうのです。

夫婦関係の修復では、相手の話を落ち着いて聞くこと、自分の気持ちを穏やかに伝えることが欠かせません。それができるのは、少なくとも最低限食べて眠れている自分です。

関係を修復したい気持ちが強いほど、少しでも早く何かをしなければと焦るものです。けれども、今の段階では、体を整えることを後回しにしないでください。

5-2.落ち着きを取り戻した姿が相手の気持ちを少しずつ動かす

心と体が整ってくると、家の中でのあなたの様子も自然と変わっていきます。そしてその変化は、言葉で何かを伝えるよりもずっと強く、相手の心に届いていきます。

離婚を切り出した側も、実は相手がどう反応するかを気にしています。泣かれるのではないか、責められるのではないか、と身構えている人も少なくありません。

そんな中で、あなたが落ち着いて普段どおりに過ごしていると、相手の緊張は少しずつほどけていきます。責められない、追いかけられないと分かると、人は自然と相手を見る余裕を取り戻すものです。

カウンセリングの現場でも、相談者の方が自分を立て直すことに集中し始めてから、パートナーの態度がやわらいでいったという例は数多くあります。最初は目も合わせなかった相手が、ある日ふと、最近元気そうだね、と声をかけてきた、という話もよく聞きます。

相手の気持ちを無理に変えることはできません。けれども、あなたが落ち着きを取り戻すことで、相手が気持ちを変えやすい空気はつくれます。その積み重ねが、関係を立て直すきっかけになっていきます。

5-3.相手の協力がなくても一人から始められる

夫婦関係の修復というと、二人で話し合ったり、一緒にカウンセリングを受けたりしなければ無理だと思う方が多いかもしれません。けれども、離婚を切り出された今、相手にその協力を求めるのは難しいのが実情です。

そこでお伝えしたいのが、夫婦関係は一人から変え始めることができるということです。夫婦はお互いに影響を与え合っているので、どちらか一方の関わり方が変わると、もう一方の反応も少しずつ変わっていきます。

私がこれまでサポートしてきた夫婦の多くも、最初に変わり始めたのは、悩んで相談に来られた妻か夫のどちらか一人でした。相手が変わるのを待つのではなく、自分から関わり方を変えたことで、関係が動き出したのです。

ここで大切なのは、自分を責めて我慢することとは違うという点です。すべてあなたが悪いという意味ではなく、自分がコントロールできることに力を注ぐという考え方です。

相手の気持ちは、あなたが決めることはできません。けれども、自分の体調、自分の言葉、自分の過ごし方は、今日から自分で選べます。一人から始められることがあるという事実は、今のあなたにとって大きな希望になるはずです。

6.食欲が戻り始めたら取り組みたい一人から始める関係修復ステップ

少しずつ食べられるようになり、夜も眠れる日が増えてきたら、いよいよ関係修復に向けた行動を始める時期です。相手の協力がなくても一人で取り組めるステップは、次の4つです。

一人から始める関係修復の4つのステップ
  1. 離婚したい理由を責めずに受け止める
  2. 家の中の空気をやわらげる小さな行動を続ける
  3. 自分の生活リズムと笑顔を取り戻す
  4. 1年〜1年半を見通して焦らず進める

どれも特別な技術はいりませんが、順番に積み重ねることで効果が出やすくなります。それでは、一つずつ詳しくお伝えします。

6-1.離婚したい理由を責めずに受け止める

最初のステップは、相手が離婚したいと思った理由に、きちんと向き合うことです。関係を修復するには、相手が何につらさを感じていたのかを知ることが欠かせません。

理由を聞くときに気をつけたいのは、言い訳や反論をしないことです。そんなつもりじゃなかった、あなただって、と返したくなる気持ちは分かりますが、それをすると相手は分かってもらえないと感じ、心を閉ざしてしまいます。

相手が話してくれたら、まずは受け止めた言葉を返すだけで十分です。

「そんなふうに感じてたんだね。話してくれてありがとう」

相手が理由を話したがらないときは、無理に聞き出す必要はありません。これまでの会話や相手の態度を振り返り、次のシートに思い当たることを書き出してみてください。

▼離婚したい理由の整理シート
相手が言ったこと・不満をもらしていた場面 そのとき自分がとっていた言動 今日からできる小さな行動
(記入例)帰りが遅いと責められている気がすると言われた 帰宅するたびに、ため息まじりに遅いと言っていた 帰ってきたら、おかえりとだけ穏やかに伝える
※自分を責めるためではなく、次にできる行動を見つけるためのシートです。思い当たる場面を一つずつ書き出してみてください。

右の列に書いたことは、すぐに大きく変えようとしなくてかまいません。一つでも続けられそうなものが見つかれば十分です。

理由を受け止めることは、相手の言い分をすべて正しいと認めることではありません。相手の気持ちを知ろうとする姿勢そのものが、これまでとは違うあなたを相手に見せる第一歩になります。

6-2.家の中の空気をやわらげる小さな行動を続ける

相手の気持ちが少し見えてきたら、次は家の中の空気をやわらげる行動を、小さく続けていきます。大きなことをする必要はなく、毎日の何気ないやりとりを少しずつ変えていくことが大切です。

例えば、朝のおはよう、出かけるときのいってらっしゃい、何かしてもらったときのありがとうを、穏やかな声で伝えることです。当たり前のようで、関係がこじれているときほど、こうした言葉はなくなりがちです。

よくある失敗は、急にサプライズのプレゼントを用意したり、手の込んだ料理を毎日作ったりして、見返りを期待してしまうことです。相手の反応が薄いとがっかりし、どうして分かってくれないのと責める気持ちに戻ってしまいます。

小さな行動の目的は、相手を喜ばせて気持ちを取り戻すことではなく、この家は居心地が悪くないと相手に感じてもらうことです。反応がなくても続けることで、ゆっくりと空気は変わっていきます。

続けるうちに、相手から短い返事が返ってくるようになったり、リビングで過ごす時間が少し長くなったりします。そうした小さな変化に気づけたら、それは確かに前へ進んでいるサインです。

6-3.自分の生活リズムと笑顔を取り戻す

相手への関わり方と同じくらい大切なのが、自分自身の毎日を取り戻すことです。関係修復に取り組んでいると、気がつけば相手のことばかり考え、自分の生活がおろそかになってしまう方が少なくありません。

決まった時間に起きて、食べて、眠る。仕事や家事をこなし、たまには好きなことをする。こうした当たり前の生活リズムが戻ってくると、心にも少しずつ余裕が生まれてきます。

離婚を切り出されてから趣味をやめてしまった方は、短い時間でもいいので再開してみてください。散歩をする、好きな音楽を聴く、友人とお茶をするなど、心がふっと軽くなる時間を意識してつくることが大切です。

自分の時間を楽しむことに、罪悪感を覚える方もいるかもしれません。けれども、相手の顔色ばかりうかがって暗い表情で過ごすより、自分の生活を大切にして自然な笑顔でいるほうが、相手にとってもずっと一緒にいやすい存在になります。

あなたが自分らしさを取り戻すことは、相手にとって、もう一度この人と向き合ってみようと思えるきっかけになります。関係修復は、相手のためだけでなく、あなた自身が幸せになるための道のりでもあるのです。

6-4.1年〜1年半を見通して焦らず進める

最後のステップは、時間をかけることを受け入れることです。これまでの経験から言えるのは、離婚を切り出されたところから関係を立て直すには、おおむね1年から1年半ほどの時間を見ておくことが大切だということです。

すぐに結果が出ないと、やっぱりだめなのかもしれないと不安になります。けれども、相手の心が離れるまでにも長い時間がかかっているので、戻ってくるにも同じように時間が必要なのです。

おおまかな流れの目安を、次の表にまとめました。

▼関係修復までの流れの目安
時期の目安 中心になる取り組み 起こりやすい変化
最初の数か月 体と心を整え、関係をこじらせる行動をやめる 家の中の緊張が少しずつやわらぐ
半年前後まで 理由を受け止め、小さな行動を続ける あいさつや短い会話が戻り始める
1年前後まで 自分の生活と笑顔を取り戻し、自然な会話を増やす 相手から話しかけてくる場面が増える
1年〜1年半 落ち着いてこれからのことを話し合う 離婚の話が白紙に戻ることもある
※進み方には個人差があり、状況によっては早く進むことも、もう少し時間がかかることもあります。

途中で相手の態度が冷たく戻ったり、進んでいる実感がもてなかったりする時期も必ずあります。そんなときは、一歩戻ったと考えるのではなく、全体の流れの中の一場面だと受け止めてください。

焦らず、自分にできることを続けていけば、関係は少しずつ変わっていきます。大切なのは、目の前の一日だけで判断せず、1年後の夫婦の姿を思い描きながら進むことです。

7.食べられないほどの状態から夫婦関係を修復した事例

では、実際に時間をかけて関係を立て直した人たちは、どのような道のりをたどったのでしょうか。ここでは、私がこれまでサポートしてきた中でよく見られる経過をもとに、食べることも眠ることもままならない状態から、一人で行動を始めた二人の事例をご紹介します。

7-1.夫から離婚を切り出され体重が落ちた40代妻の事例

小学生の子ども二人を育てる40代の妻Aさんは、ある晩、夫から離婚したいと告げられました。理由は、ずっと責められているようで家にいるのがつらい、というものでした。

その日からAさんは食事がほとんど喉を通らなくなり、服がゆるくなるほど痩せてしまいました。夫に毎晩のように考え直してほしいと迫り、そのたびに夫は黙って部屋にこもるようになっていました。

相談に来られたとき、まずお願いしたのは、内科を受診して体の状態を確かめてもらうことと、夫に答えを迫るのをやめることでした。Aさんはスープやおかゆをひと口ずつ口にすることから始め、数か月かけて少しずつ食欲を取り戻していきました。

体が落ち着いてきたころ、Aさんは夫が感じていたつらさに向き合いました。振り返ると、帰りが遅い夫に対して、ため息まじりに文句を言うことが多かったと気づいたのです。

そこからAさんは、おかえりとありがとうを穏やかに伝えることを続けました。反応のない日も多かったものの、半年を過ぎたころには、夫が子どもと一緒に夕食の席につく日が増えていきました。

そして離婚を切り出されてから1年3か月ほどたったある日、夫のほうから話がありました。

「離婚の話、いったん白紙にしたい。最近、家にいるのがしんどくなくなったんだ」

Aさんは、あのとき無理に引き止め続けていたら、この言葉は聞けなかったと思う、と話してくれました。

7-2.妻から離婚を告げられ眠れなくなった30代夫の事例

30代の夫Bさんは、共働きの妻から、家事も育児も一人で抱えていてもう限界、と離婚を切り出されました。Bさん自身は手伝っているつもりだったため、大きなショックを受けました。

それからBさんは夜ほとんど眠れなくなり、食欲も落ち、仕事中もぼんやりすることが増えました。眠れない夜には、謝罪とやり直したい気持ちをつづった長いメッセージを妻に送り続けていました。

Bさんにまず勧めたのは、心療内科で眠れないことを相談することと、夜中のメッセージをやめることでした。治療を受けながら、伝えたい気持ちはノートに書くようにしたところ、少しずつ眠れる日が増えていきました。

心と体が落ち着いてから、Bさんは妻の言葉を振り返りました。手伝うという考え方そのものが、妻にとっては一人で抱えている証拠だったのだと気づいたのです。

そこからBさんは、言われる前に家事をする、子どもの保育園の準備を自分の担当にするなど、目立たない行動を淡々と続けました。妻にほめてもらうことは求めず、ただ続けることを自分に課しました。

1年ほどたったころから、妻との会話に笑いが戻り始めました。そして1年半が過ぎたある夜、妻がぽつりと言いました。

「もう一回、ちゃんと夫婦をやってみようか」

Bさんは、一人で変わり始めたときは不安しかなかったけれど、続けてよかったと心から思えた、と振り返っています。

7-3.2つの事例に共通する立ち直りと修復のポイント

AさんとBさんは、立場も状況も違います。それでも、関係を立て直すまでの流れには、はっきりとした共通点があります。それは次の4つです。

2つの事例に共通する4つのポイント
  1. 自分の体と心を整えることを優先した
  2. 相手を追いかける行動をやめた
  3. 見返りを求めずに小さな行動を続けた
  4. 1年から1年半かけてあきらめなかった

それぞれのポイントから、あなたが今日から生かせる学びをお伝えします。

①自分の体と心を整えることを優先した

二人とも、関係修復より先に、医療の力も借りながら食べる、眠るという土台を取り戻しました。この土台があったからこそ、そのあと相手と落ち着いて向き合うことができたのです。

②相手を追いかける行動をやめた

答えを迫ることや、夜中の長文メッセージを手放したことで、相手は責められる不安から解放されました。関係が動き出したのは、相手を動かそうとするのをやめたあとでした。

③見返りを求めずに小さな行動を続けた

二人とも、相手が離婚したいと思った理由に向き合い、自分にできる小さな行動を毎日続けました。言葉で説得するのではなく、反応がない日も積み重ねたことが、相手の気持ちを少しずつ変えていきました。

④1年から1年半かけてあきらめなかった

手応えを感じられない時期があっても、あきらめずに続けたことが結果につながっています。どちらの事例も、相手の協力がない状態から、悩んでいた側の一人が先に変わったことで関係が動き出しました。今食べられないほど苦しんでいるあなたも、同じ道を歩むことができます。

8.一人で抱え込まずに頼れる相談先

とはいえ、その道のりを一人きりで歩く必要はありません。気持ちを聞いてほしいときは家族や友人、心のつらさが強いときは公的な相談窓口、夫婦関係を立て直したいときはカウンセリング、と目的に合わせて頼り先を選ぶことが大切です。

離婚を切り出されたことは身近な人にも話しづらく、つい一人で抱え込んでしまいがちです。けれども、食べられないほどのつらさを一人で抱え続けるのは、心と体にとって大きな負担になります。ここでは、それぞれの相談先についてお伝えします。

8-1.信頼できる家族や友人に気持ちを話す

まず頼ってほしいのは、あなたの気持ちを否定せずに聞いてくれる家族や友人です。つらい気持ちを口に出すだけで、頭の中が整理され、張りつめていた心が少しゆるむことがあります。

話すときは、アドバイスがほしいのではなく、ただ聞いてほしいと最初に伝えておくと安心です。

「どうしたらいいかは自分で考えるから、今日はただ聞いてほしいんだ」

気をつけたいのは、相手によっては、そんな人とは別れたほうがいい、と強く言われることがある点です。家族や友人はあなたを心配するからこそ、パートナーを悪く言ってしまうことがあります。

身近な人の意見は、その人自身の経験にもとづくものです。気持ちの支えとしてはとても大切ですが、夫婦関係をどうするかの判断まで任せてしまう必要はありません。聞いてもらう相手と、関係修復の相談をする相手は、分けて考えるのがおすすめです。

8-2.公的な心の相談窓口を利用する

身近に話せる人がいないときや、夜中に不安で押しつぶされそうなときは、公的な相談窓口を利用する方法もあります。厚生労働省のホームページでは、心の悩みを抱えている人に向けて、全国の相談窓口がまとめて紹介されています。

代表的なのが、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)です。電話をかけると、住んでいる地域の公的な相談窓口につながる仕組みで、相談できる時間は地域によって異なります。電話が苦手な方のために、LINEなどのSNSで相談できる窓口も案内されています。

また、都道府県ごとに独自の相談窓口を設けているところもあります。例えば埼玉県では、県立精神保健福祉センターでの電話相談や来所相談のほか、夜の時間帯に利用できるSNS相談や、24時間使えるAI相談も用意されています。

お住まいの都道府県名と心の相談で検索すると、地域の窓口が見つかることが多いです。前半でお伝えしたように、消えてしまいたい気持ちが浮かんだときは、ためらわずにこうした窓口を頼ってください。あなたのつらさを受け止める場所は、ちゃんと用意されています。

8-3.夫婦関係の悩みは一人で通えるカウンセリングに相談する

心と体が少し落ち着き、関係修復に向けて動き出したいと思えたら、夫婦関係を専門に扱うカウンセリングを頼るのも一つの方法です。一人で手探りで進めると、どうしても今までと同じやり方を繰り返してしまいやすいからです。

私のカウンセリングは、悩んでいる妻か夫のどちらか一方だけが、パートナーには内緒で通う形をとっています。相手に協力してもらう必要はなく、あなた一人で始めることができます。

カウンセリングでは、相手が離婚したいと思った理由の整理や、今の時期にかけるべき言葉、避けるべき行動など、あなたの状況に合わせた具体的な方法を一緒に考えていきます。事例でご紹介したAさんやBさんのように、一人から関係を立て直していく道筋を、そばで支えるのが私の役割です。

ただし、食事や水分がほとんど取れない、眠れない日が長く続いているといった場合は、まず医療機関での治療を優先してください。体と心が整ってからでも、関係修復に取り組む時間は十分にあります。

9.離婚したいと言われて食欲がないときのよくある質問

ここで、離婚を切り出されて食欲をなくした方から、相談の中でよく受ける質問を3つ取り上げます。

Q1:食欲がないことを相手に伝えてもいいですか?

A:伝えても大丈夫です。体調が悪いことを無理に隠すと、かえって不自然な態度になり、相手にも気をつかわせてしまいます。

伝えるときは、あなたのせいでという響きにならないよう、事実だけを短く伝えるのがポイントです。最近少し食欲がないけれど、自分で病院にも行くから心配しないで、という程度で十分です。

自分で自分の体を守ろうとしている姿は、相手に余計な重さを感じさせず、安心感を与えます。

Q2:食べられない時期に話し合いを求められたらどうすればいいですか?

A:話し合いそのものを断る必要はありません。ただ、体調がすぐれないことを伝えたうえで、時間を短めにする、日を改めるなど、自分が落ち着いて話せる形を相談してかまいません。

話し合いの場では相手の話を聞くことに集中し、その場で結論を出したり、離婚届に署名したりする必要はありません。

Q3:食欲はどのくらいで戻るものですか?

A:戻るまでの期間は人によって違い、決まった日数があるわけではありません。多くの場合、気持ちが少し落ち着き、生活リズムが整ってくるにつれて、少しずつ食べられる量が増えていきます。

ただし、眠れない、楽しめないなどのつらいサインが重なって2週間以上続くときや、水分さえ取れないときは、自然に戻るのを待たずに医療機関へ相談してください。

食欲が戻り始めたら、相手の離婚したい理由を受け止めることや、家の中の空気をやわらげる小さな行動など、一人から始められる関係修復に少しずつ取り組んでいくのがおすすめです。

おわりに

離婚したいと言われて食欲がなくなるのは、あなたが弱いからではなく、それだけ夫婦の関係を大切に思ってきたからです。まずはそのことを、自分自身に認めてあげてください。

この記事でお伝えしたポイントを、最後にもう一度振り返ります。

離婚したいと言われて食欲がないときに大切な5つのポイント
  • 食べられないのは強いショックへの自然な反応で、自分を責めなくていい
  • ひと口から始め、水分と睡眠だけは優先して守る
  • つらいサインが2週間以上続くときや水分も取れないときは、早めに医療機関に相談する
  • 相手を追いかける行動や、弱った時期の離婚届への署名は避ける
  • 心と体を整えてから、一人でできる関係修復を1年〜1年半かけて進める

今はまだ、ひと口食べることさえ大変かもしれません。それでも、そのひと口は、あなたが立ち直り、夫婦関係を取り戻していくための確かな一歩です。

相手の協力がなくても、あなた一人から始められることはたくさんあります。そして、時間をかけて関係を立て直し、もう一度笑い合える夫婦に戻った方を、私はこれまで数多く見てきました。

焦らず、まずは今日の自分の体を大切にするところから始めてください。あなたがまた心から笑える日が来ることを、私は信じています。

この記事で参考にした公的情報は、次のとおりです。

  • 厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット
  • 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院
  • 厚生労働省 相談先一覧
  • 埼玉県 自殺予防に関する埼玉県の相談窓口の御案内
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動画を視聴すると、こんなことが知れます▼

  • なぜ多くの夫婦が問題を解決できずにいるのか?その本当の理由
  • 友人や家族に相談しても解決しない理由と、本当に必要なこととは
  • 離婚原因の上位12項目のうち、解決可能な問題と解決できない問題の見分け方
  • 夫婦関係修復に必要な「あり方」を決める方法
  • 本物の自分と偽物の自分を見極め、パートナーから愛される自分になる秘訣
  • パートナーの頭の中の雑念や不安を取り除く具体的なアプローチ
  • 相手をリラックスさせ、前向きな気持ちにさせるコミュニケーション術
  • 見返りを求めない行動が、なぜ関係修復に絶大な効果をもたらすのか
  • パートナーがあなたの優しさや思いやりに気づいてくれるようになる方法
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