義両親に離婚をすすめられても、それだけでは終わらない。一人から始める夫婦関係修復法

パートナーの親から「もう離婚した方がいい」と言われてしまった。そんな一言に、深く傷つき、頭が真っ白になっている方も多いのではないでしょうか。

義両親からの発言は、当事者である夫婦の気持ちとは関係なく、大きな衝撃を与えます。特に、味方だと思っていた相手の親から突きつけられた言葉は、心に重くのしかかります。

しかし、義両親に離婚をすすめられたからといって、それだけで離婚が決まってしまうわけではありません。私はこれまで20年以上、1万組を超えるご夫婦の関係修復をサポートしてきました。

その経験から断言できるのは、義両親の一言だけで夫婦の未来が決まることはないということです。今回は、義両親に離婚をすすめられた場合に知っておくべき法的な事実と、そこから夫婦関係を修復していくための具体的な方法をお伝えしていきます。

1.義両親に離婚をすすめられても、それだけで離婚が決まるわけではない

まず最初にお伝えしたいのは、義両親に離婚をすすめられたという事実だけでは、法律上、離婚が成立することはないということです。

これは精神論ではなく、法律の仕組みそのものに基づいた事実です。順番に見ていきましょう。

1-1.離婚が成立するための法的な条件

離婚が成立するのは、夫婦二人が話し合って合意する「協議離婚」か、家庭裁判所の手続きを経る「裁判離婚」のいずれかです。

裁判で離婚が認められるには、民法第770条で定められた法定離婚事由に該当する必要があります。不貞行為や悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、そして婚姻を継続し難い重大な事由のいずれかです。

義両親が離婚をすすめているという事実は、この法定離婚事由には含まれていません。2つの離婚の違いを、以下にまとめました。

協議離婚 裁判離婚
成立の条件 夫婦二人の合意 法定離婚事由の該当
義両親の意見 直接の要件にならない 直接の要件にならない
手続きの場 夫婦間の話し合い 家庭裁判所

※出典:民法第770条

義両親がどれだけ強く離婚を望んでも、あなたと配偶者が離婚に合意しない限り、法的に離婚が成立することはないのです。

1-2.義両親の意見だけでは離婚事由にならない理由

義両親は法律上、離婚の当事者ではありません。そのため、義両親の意見だけでは、離婚の法的な理由にはなりません。

裁判所が離婚を認めるかどうかを判断する際も、あくまで夫婦間の事情が対象となります。義両親との不仲や、義両親からの圧力そのものは、直接的な離婚の理由としては扱われにくいのが実情です。

もちろん、配偶者が義両親の意見に影響されて夫婦関係が悪化することはあります。ただし、それは夫婦間のコミュニケーションの問題であり、詳しくは次の章で見ていきます。

1-3.義両親に離婚をすすめられても実際に離婚に至る割合

義両親に何か言われたという理由だけで離婚を選ぶ夫婦は、実際にはごくわずかです。多くの場合、義両親の発言をきっかけに夫婦で向き合い直し、関係を立て直すことができています。

厚生労働省の令和6年人口動態統計によると、年間の離婚件数は183,814組でした。この数字だけを見ると多く感じるかもしれませんが、離婚に至る夫婦は、様々な要因が積み重なった結果としてその選択をしています。

大切なのは、義両親の言葉に振り回されて焦ることではなく、今の状況を正しく理解した上で、次にどう行動するかを考えることです。

2.義両親が離婚をすすめてくる背景にある心理

義両親の発言だけで離婚に至るケースが少ないと分かったところで、次に、その発言の裏にある心理を見ていきましょう。

2-1.義両親が本当に心配していること

義両親が離婚をすすめる背景には、多くの場合、我が子を心配する気持ちがあります。息子や娘が辛そうにしている姿を見て、居ても立っても居られなくなっているのです。

義両親から見えている情報は、配偶者から聞いた話だけに限られています。そのため、状況の一部分だけを見て、極端な結論に至ってしまうことも珍しくありません。

義両親の発言を「攻撃された」と受け止めるのではなく、我が子を思うあまりの言葉だと捉え直すことで、少し冷静に状況を見られるようになります。

2-2.配偶者が義両親の意見に流されやすい理由

配偶者が義両親の意見に流されるのは、夫婦関係で疲れている時ほど、身近な人の意見に頼りたくなるためです。特に実の親の言葉には、他の誰よりも強い影響力があります。

義両親の心配する気持ちが分かったところで、次は配偶者側の心理を見ていきます。

長年築かれてきた親子の信頼関係があるからこそ、配偶者は義両親の意見を無視できずにいるのです。ここで大切なのは、配偶者が義両親の意見に流されていることと、配偶者自身の本心が完全に一致しているとは限らないという視点です。

2-3.板挟みになっている配偶者の本音

義両親と自分の間で板挟みになっている配偶者は、実は誰よりも苦しんでいることが少なくありません。両方を大切にしたい気持ちがあるからこそ、身動きが取れなくなっているのです。

配偶者が義両親の意見に流されやすい理由が分かると、次に見えてくるのが、板挟みになっている配偶者自身の本音です。

配偶者の本心を見極めるヒントは、日常の言動の中にあります。義両親の前とあなたの前とで態度が大きく違う場合や、離婚の話をする時にあなたの目を見られない場合は、本心では迷いを抱えているサインであることが多いです。

私のカウンセリングでも、配偶者が「本当は離婚したいわけではないけれど、親に強く言われて何も言い返せなかった」と後から打ち明けるケースを、多く見てきました。配偶者の発言をそのまま本心として受け止めてしまう前に、その言葉の裏にある板挟みの状況を想像してみることが、次の一歩につながります。

3.義両親に離婚をすすめられた時にやってはいけない行動

義両親からの言葉にショックを受けている時ほど、感情のままに行動してしまいがちです。ですが、その行動が状況を悪化させてしまうこともあります。

板挟みになっている配偶者の本音が見えてきたところで、次に、特に避けていただきたい行動を見ていきましょう。避けたい行動は、次の3つです。

義両親に離婚をすすめられた時に避けたい3つの行動
  • 義両親と直接対決してしまう
  • 配偶者を感情的に問い詰めてしまう
  • 周囲やSNSに不満を漏らしてしまう

それでは、それぞれの行動について詳しく見ていきましょう。

義両親と直接対決してしまう

義両親に対して直接反論したり、抗議しに行ったりすることは、避けていただきたい行動の一つです。感情的な対立は、関係をさらに悪化させるだけでなく、配偶者をより苦しい立場に追い込んでしまいます。

例えば、次のような伝え方は避けましょう。

「息子さんの意見だけで離婚が決まるわけではありませんので、口を出さないでください」

伝えたいことがある場合は、感情がおさまってから、次のように冷静に、そして敬語で丁寧に伝えることを心がけましょう。

「ご心配いただきありがとうございます。私たち夫婦でよく話し合って、答えを出していきたいと思っております」

配偶者を感情的に問い詰めてしまう

義両親との対決を避けた上で、次に気をつけたいのが配偶者への接し方です。

配偶者に対して、次のように感情的に問い詰めてしまう気持ちは、よく分かります。

「なんでお義母さんの言いなりなの?自分の意見はないの?」

しかし、こうした感情的な問い詰めは、配偶者をさらに追い詰めてしまいます。板挟みで苦しんでいる配偶者にとって、パートナーからも責められることは、逃げ場をなくすことと同じです。

問い詰めるのではなく、次のように、まずは相手の状況を気づかう言葉から始めてみましょう。

「お義母さんに色々言われて、あなたも辛い立場だよね」

こうした一言が、配偶者の心を少しずつ開いていくきっかけになります。

周囲やSNSに不満を漏らしてしまう

配偶者への問い詰めを避けられたら、最後に注意したいのが、周囲への発信の仕方です。

友人や家族、SNSに義両親への不満を吐き出したくなる気持ちも、自然なことです。ですが、これも慎重になっていただきたい行動です。

一度発信した言葉は、思わぬ形で本人や配偶者の耳に入ることがあります。関係修復を目指しているのであれば、対立を深める発言は控えることが賢明です。

気持ちを吐き出したい時は、信頼できる専門家など、状況を正しく理解した上でアドバイスをくれる相手に相談することをおすすめします。ここまでの3つの行動を、あらためて振り返っておきましょう。

義両親に離婚をすすめられた時に避けたい行動チェック
□ 義両親に直接抗議しに行こうとしていないか
□ 配偶者を感情的に問い詰めていないか
□ 周囲やSNSに不満を発信していないか
※1つでも当てはまる場合は、一度立ち止まってみましょう

4.一人からでも始められる夫婦関係修復の実践ステップ

このように、感情のままに動いてしまうと、かえって状況を悪化させてしまいます。では、義両親に離婚をすすめられた状況から、実際に夫婦関係を修復していくには、何から始めればよいのでしょうか。

夫婦関係の修復と聞くと、二人で一緒に取り組むものだとイメージする方が多いかもしれません。しかし、配偶者が話し合いに応じてくれない状況では、まず自分一人から始めることが何よりの近道になります。

私がこれまでサポートしてきた1万組以上のご夫婦の中にも、最初は自分一人からの行動で関係を立て直した方が数多くいらっしゃいます。一人からでも始められる実践ステップは、次の4つです。

一人からでも始められる夫婦関係修復の4つのステップ
  • 【Step1】自分の気持ちと状況を整理する
  • 【Step2】義両親と適切な距離を取る
  • 【Step3】配偶者との信頼を取り戻す会話を始める
  • 【Step4】第三者のサポートを活用する

それでは、それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

4-1.【Step1】自分の気持ちと状況を整理する

最初のステップは、自分自身の気持ちと、今置かれている状況を整理することです。ショックを受けている状態のままでは、次に取るべき行動を冷静に判断することができません。

義両親から何を言われたのか、配偶者はどんな様子だったのか、自分は何にどう傷ついたのかを、紙に書き出してみることをおすすめします。頭の中だけで考えるよりも、状況を客観的に見つめ直しやすくなります。

私のカウンセリングでも、自分の感情を書き出すだけで気持ちが整理され、冷静さを取り戻せたという声を多くいただきます。焦って行動する前に、まずはこの整理の時間を持ちましょう。

4-2.【Step2】義両親と適切な距離を取る

義両親との適切な距離とは、関係を断ち切ることではなく、接触の頻度や連絡の仕方を見直し、無用な摩擦を避けることです。

気持ちの整理ができたら、次のステップとして義両親との距離を見直していきます。

例えば、直接反論するのではなく、接触の頻度を少し減らしたり、連絡を配偶者経由に一本化したりするだけでも、無用な摩擦を避けられます。

距離を置くことは、決して逃げることではなく、冷静に関係を立て直すための前向きな選択です。

4-3.【Step3】配偶者との信頼を取り戻す会話を始める

配偶者との信頼を取り戻す鍵は、特別な話し合いではなく、日常の何気ない会話を少しずつ積み重ねることです。

義両親との距離が整ってきたら、次のステップとして配偶者との会話に目を向けていきます。板挟みで疲れている配偶者に対して、いきなり深い話をしようとすると、かえって身構えられてしまうことがあります。

今日どうだった、体調は大丈夫、といった軽い言葉から始めてみましょう。

40代前半、結婚15年目のある女性は、義両親から離婚をすすめられたことをきっかけに、夫との会話がほとんどなくなっていました。彼女はまず、毎日の挨拶と体調を気づかう一言だけを続けることから始めました。

3ヶ月ほど経った頃、夫の方から少しずつ会話を返してくれるようになり、半年後には二人で今後のことを話し合える関係に戻りました。

4-4.【Step4】第三者のサポートを活用する

配偶者との会話を重ねてもなお、一人での取り組みに限界を感じる場面も出てきます。そんな時は、第三者のサポートを頼ることをためらわないでください。

第三者のサポートには、いくつかの選択肢があります。最高裁判所の司法統計によると、家庭裁判所に申し立てられる家事調停の件数は年間128,472件にのぼり、夫婦間の問題を第三者を交えて解決する仕組みが広く利用されています。

家事調停は法的な手続きのため、話し合いだけで解決したい段階には少し重く感じられるかもしれません。その場合、夫婦関係修復の専門家によるカウンセリングという選択肢もあります。

私たちのカウンセリングは、配偶者に内緒のまま、妻か夫のどちらか一方だけで受けていただくことも可能です。

5.別居中や子どもがいる場合の対応

義両親の問題がきっかけで、すでに別居に至っているご夫婦や、お子さんがいるご夫婦もいらっしゃると思います。ここでは、そうした状況特有の注意点をお伝えします。

5-1.別居中に意識しておきたいこと

別居中は、物理的な距離があるからこそ、連絡の取り方に工夫が必要です。連絡を絶ってしまうと、配偶者の中であなたへの気持ちがどんどん薄れていってしまう恐れがあります。

かといって、頻繁に連絡をしすぎるのも逆効果です。負担にならない範囲で、月に数回程度、近況を伝える連絡を続けることを意識してみましょう。

別居からの関係修復には、同居中よりも時間がかかる傾向があります。おおまかな時間の目安を、以下にまとめました。

▼別居からの関係修復にかかる時間の目安
時期 状態の目安
0~3ヶ月 気持ちの整理、距離の見直し
3~6ヶ月 配偶者との会話再開
6ヶ月~1年 信頼関係の再構築
1年~1年半 関係修復の実感
※あくまで一般的な目安であり、個々の状況によって異なります

焦らず、この時間軸を前提に取り組んでいただければと思います。

5-2.子どもがいる場合の注意点

お子さんがいる場合、最も気をつけていただきたいのは、子どもの前で義両親や配偶者の悪口を言わないことです。子どもは想像以上に、両親の言動を敏感に感じ取っています。

子どもに対しては、状況を包み隠さず話す必要はありませんが、どちらか一方を悪者にするような伝え方は避けるようにしましょう。子どもの安心感を守ることが、結果的に夫婦関係の修復にも良い影響を与えます。

子どものために離婚を思いとどまるという考え方もありますが、それ以上に、子どもが安心して過ごせる家庭の空気を取り戻すことを目指していただきたいと思います。

5-3.よくある質問

ここまでお伝えしてきた内容を踏まえ、よくいただく質問にお答えします。

Q:義両親に嫌われたままでも、夫婦関係は修復できますか。

A:はい、可能です。義両親との関係が改善しなくても、夫婦二人の信頼関係を取り戻すことは十分にできます。義両親との和解を目指すよりも、まずは配偶者との関係に集中することをおすすめします。

Q:義両親との話し合いが家事調停になったら、どうなりますか。

A:家事調停は、あくまで夫婦間の問題を話し合う場であり、義両親が直接関与するものではありません。第三者の調停委員を交えて、夫婦二人の意向を整理していく手続きです。

Q:義両親が反対していても、離婚を回避できることはありますか。

A:はい、あります。義両親の意見と配偶者本人の意思は、必ずしも一致しません。夫婦二人で向き合う時間を積み重ねることで、義両親の反対にかかわらず関係を立て直したご夫婦を、私はこれまで数多く見てきました。

まとめ

義両親に離婚をすすめられるという経験は、誰にとっても大きなショックを伴うものです。しかし、義両親の一言だけで離婚が決まることはなく、法的にも夫婦二人の意思が何よりも重視されます。

大切なのは、義両親を敵視することでも、配偶者を問い詰めることでもありません。自分の気持ちを整理し、義両親と適切な距離を取りながら、配偶者との信頼を少しずつ積み重ねていくことです。

一人での取り組みが不安な時は、専門家のサポートを頼ることも、立派な選択肢の一つです。私はこれまで、1万組を超えるご夫婦の関係修復に携わってきましたが、一人の行動から関係が変わっていったご夫婦を、数えきれないほど見てきました

今は先が見えず不安な気持ちかもしれませんが、今日からの小さな一歩が、1年後、1年半後の夫婦関係を確実に変えていきます。あなたの夫婦にとって、最高の笑顔が戻ってくることを、心から願っています。

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